16 / 35
16. 藁をも掴む
しおりを挟む
その日、ユテは朝からベッドに横たわっていた。
例にもれず前の晩に盛り上がりすぎたせいで、下半身が重怠くて動けないとのことだった。ベッドの縁に腰かけて柔らかい頬に指を滑らせると、ゆっくりと目蓋が開いてレモン色が覗く。
キスマークだらけの体が目に毒だと思って俺の服を着せたが、効果はなかった。露出がなくても色気が隠れていない。
「ユテ、悪い。また調子に乗っちまった…」
このところ、ずっとこんな調子だ。ユテとの行為に箍が簡単に外れて、理性が全く働かずにヤりすぎちまう。ユテが嫌がらずに全部を受け入れてくれるから余計に。
「ううん、全然いいよ。たくさんしてもらえて嬉しい」
細い指が俺の手を捕まえて、頬擦りする。ふにゃりと効果音が出そうな、蕩ける笑みに視線が吸い寄せられる。俺への愛情が表情に如実に表れていた。
その言葉がうわべのものじゃないと分かるだけに厄介だ。ユテが際限なく受け入れてくるのをいいことに、どこまでも甘えてしまいそうな自分がいる。
自分の番は最高だと思うのと同時に、アルファとしては情けねえだろとも思う。俺だって自分の番に対してかっこよくありたいという気持ちは少なからずある。……既に数えきれないほどの醜態をさらしてはいるが。
「おい、そういうことを簡単に言うな。俺がつけあがったらどうすんだ」
「照れてる?」
「こら、年上を揶揄うんじゃねえ」
「違うよ。可愛いなって思ってる」
何も言い返せなくなる。無言で鼻を指で摘まむと、ユテがくすぐったそうに笑いながら身をよじる。
おっさんなのに可愛いと言われてうれしく思う自分がいる。
完全に転がされてるよなあ…。それも悪くないって思っちまう。底なし沼に足を踏み入れた気分だ。
にやけそうになる口元を隠すように、外套に腕を通す。
「飯、買ってくるけど何か希望はあるか?」
何でもいいと答えるユテに返事の代わりに頭を撫で、行ってくると告げて寝室を後にする。扉を閉める前、微笑むユテが小さく手を振る姿が見えた。
ベッドの上でも摘まめるような果物や食べ物を見繕って家路を急ぐ。その足取りは自分でも驚くくらいに軽やかだった。
家で自分の帰りを待ってくれてる人がいるってのはいいもんだな。なんてついつい口が笑みを形作る。
帰宅し、ユテに声をかけるも返事はなく、屋内はしんとしていた。寝ているのかもしれない、とも思ったが本能が瞬時にそれを否定する。
何も変わったところはない。鍵も閉まっていた。家具の配置も元通り、何もかもが家を出て行ったときのままだ。だが、何かがおかしいと頭の中で警鐘が鳴る。
荷物をテーブルの上に置き、気配と足音を消して寝室の戸を開けた。そして視界に飛び込んできた光景に目を疑った。
ベッドは、もぬけの殻だった。
俺は警戒を続けながら家中を見て回った。だけどどこにもユテの姿はなかった。
ユテは自分からどこかに行ったわけじゃねえ。連れ去られた。
俺の脳は即座にそう結論付けていた。ユテが好んで身に着けていた靴も外套もそのまま。ユテが自分から出て行ったなら、これが残っているのはおかしい。着替えた痕跡も残っていない。何より、ユテが出て行く理由がない。散々抱き潰したんだ。起き上がるのだってやっとのはずだ。
そのユテが、靴も履かず外套も着ず、ご丁寧に鍵まで閉めて出て行くか?考えられない。
「…くそっ…どこに…!」
連れ去られたことが分かっても、誰がどこに、には繋がらない。傍を離れた自分自身に凶悪な怒りが向く。ここ最近は、何をするにもどこに行くにもずっと一緒だった。完全に離れたのは久しぶりだった。ユテを連れ去った奴らは、この時を待っていた。
何の手がかりもなく、仁王立ちしたまま焦燥だけが募る。
俺を狙った犯行には思えなかった。俺への復讐だったとして、なぜこのタイミングなんだ?俺は何年にもわたって廃人も同然だった。俺の寝首をかくのは容易だ。俺が逆の立場ならそうする。
それに俺を苦しめたいのに、何のメッセージも残さないのか?それも不可解に思えた。
俺の第六感が、狙いは俺ではなくユテだと告げる。連れ去った奴らは元よりユテが目的だったと。
俺は、ユテがリュキテの生まれ変わりだということ以外、何も知らない。知ろうとせず、ただ目の前の愛しい存在と快楽にふけることしか考えてなかった。何の障害もないとあぐらをかいていた俺の責任だ。
皮膚に爪が食いこむくらいに強く拳を握る。俺からユテを奪った奴らはもちろんのこと、なにより自分自身に怒りを覚えた。
*******
「面会の予約がない方はお通しできません。お引き取りください」
うるせえ。
やたら装飾がゴテゴテした机で気取った格好で澄ました態度の受付の女を押しのけ、中へと押し入る。女は俺の行動に驚きながらも、侵入者だと衛兵に叫んだ。
「ザヤ!ザヤ、どこだ!?」
槍を手に不審者制圧に突進してくる衛兵たちをいなしながら、声を張り上げる。
受付の女も衛兵にも非はない。彼らは自分たちの役目をまっとうにこなしてるだけだ。俺みたいな怪しい風体の男が予約もなく突然王宮に現れて、国軍の要職に就くザヤに会わせろなど、聞き入れられるはずもない。
頭では分かってる。けど俺だってなりふり構ってはいられない。面接をしてユテを採用したのはザヤだからこそ、何か知っているはずだ。……そうであってくれと願わざるをえない。ユテに繋がる頼みの綱はザヤだけなんだ。
「ザヤ、さっさと姿見せねえと衛兵全員ぶっ倒しちまうぞ!俺一人なんかに制圧されたら、国の面目丸つぶれだけどいいのかっ!?」
大声をあげているせいで衛兵が王宮中から駆けつけてくる。それを片っ端から掌底を叩き込み、武器を落とさせ無力化し、手刀で意識を昏倒させる。
早く出てきてもらわねーと、俺のスタミナだって無尽蔵じゃねえんだ。
「聞いたことのある声だと思えば!」
「陛下…、危険です!お近づきにならないでください、御身に何かあれば…!」
「心配いらん。あやつは余の旧友だ!」
頭上から聞こえる声に目を向ければ、生真面目を絵にかいたような眼鏡の男の制止を振り切った若い男が会談を駆け下りてこっちに向かってくるところだった。
陛下、という呼称からもわかる通り、リズリカ国国王エルフィード本人だ。ドーランとの戦を率いた先王が終戦を機に退位し、長子である彼が後を継いだ。俺は父王に中世を誓ってたクチだが、当然エルフィードとも面識があるし、俺の事情を知っている数少ないうちの一人だ。
まるで少年のように頬を赤く染めて俺に飛びつく王の姿に、衛兵たちが一斉に動きを止めた。
「シグルド、全く顔を見せに来ぬとはこの薄情者め!ザヤから話は聞いてて、会いに行きたかったんだが、臣下たちに止められてな」
「ご無沙汰してます、陛下。そりゃあ一国の王がこんな不審者を訪ねでもしたら、あらぬ噂が立つぞ。俺が臣下の立場でも止めてるっての」
「そう思うなら、なおさらなぜ余に会いに来てくれんかったんじゃ!?」
エルフィードは信じられないとばかりに目を見開いて不快感を示し、腕をつねってくる。まるで駄々をこねる子供みたいな行動に、思わず脱力して苦笑が浮かぶ。
「……陛下、非礼を詫びて積もる話をしたいとこだが、緊急の用事でザヤを探してる」
拗ねるように頬を膨らませていた王の雰囲気が、俺の一言で一変した。おちゃらけた空気が一瞬にして引き締まり、エルフィードは眼鏡の男にザヤを呼ぶよう言いつけた。
「で、ですが陛下、ザヤ殿は国防会議に出席中で…」
「ほかの者も十分に優秀だ。ザヤがしばし抜けたとてたいした影響はない。不都合があれば余の名を出せばいい」
有無を言わせぬ物言いとその圧に、眼鏡の男は足をもつれさせながら駆けていく。遠巻きに様子を窺う衛兵に倒れた兵の処置も指示したエルフィードは俺を私室に通した。多忙なはずの王はすぐに出ていくものと思っていたが、豪奢な椅子にゆるりと座ってにこにこと笑ったままだ。ザヤへの緊急の用事の内容を知りたいように思えた。
まあいい。事情を知った王が直々に手を貸してくれるかもしれない。
そう思いながら逸る気持ちをおさめようと深呼吸しするも、あまり効果はなかった。腕を組み、室内を落ち着きなく歩き回る。
ほどなくしてザヤが入室し、俺の姿を目にして大きく目を見開いた。
「不審な男が陛下と私室に入っていったと涙まじりの報告があったが、シグルドだったのか」
ザヤは、おかしいと言わんばかりにくつくつと喉を鳴らして笑った。軽口を返す余裕など既になく、戦友の腕を掴む。
「ザヤ、ユテについて知ってること全部教えてくれ、頼む…っ!」
「ユテくん…?何かあったのかい?」
ザヤの顔を見た途端、必死で取り繕っていたものが恐怖で覆われていく。
「ユテが、攫われた…あいつは、ユテは俺の運命の番で……なのに、俺はまた守れずに…っ!」
怖い。ザヤが最後の希望なのに、もしなんの手がかりを得られなかったら詰みだ。
戦友の腕をつかむ手に無意識に力がこもる。俯く俺は、ザヤとエルフィードが短く息をのんだのに気づかなかった。
「待った待った!ユテくんが、シグルドの運命の番!?」
「そ、そなたの運命の番は死んだのではなかったか…っ!?」
顔を上げれば、混乱に目をむく二人の顔が。まるで俺が妄言を言ってるかのような表情に、わずかばかりの平静を取り戻す。そうだ、ユテがリュキテの生まれ変わりだってこと、まだ誰にも話していなかった。ザヤに事情を話して雇用契約を解除してもらうことは話題にのぼっていたが、浮かれるあまり後回しにしていた。
ザヤの手を借り、椅子へと腰を下ろす。
それから俺は、自分の身に起こった夢物語としか思えないような事情をすべて語って聞かせた。話し終えるころには、二人とも言葉を失っていた。無理もない。当事者の俺だって初めは、とうとう自分が狂っちまったと思った。
「信じられねえと思うが、本当なんだ。どんな発情期のオメガにも反応を示さなかった俺の息子が、ユテのヒートフェロモンを嗅いだら一瞬で勃起した。酒浸りだったのも、ユテの存在のおかげで今は改善した。もう何日も素面でいられてる」
二人は尚も狐につままれたような顔をしていたが、ザヤは俺に顔を近づけて匂いを嗅いだ。
「確かに、鼻が曲がりそうなくらい強烈だった酒の臭気が全くしない。しばらく酒を断ってるのは本当みたいです、陛下」
「うむ、確かに。不摂生な生活を長年送っていると聞いているが、全くそうは思えん。玄関ホールで護衛兵を次々といなしたあの動きも、まるで全盛期のおぬしを見ているかのようだった」
とりあえずは受け入れてくれたらしく、ほっと安堵の息が漏れる。これでようやく本題に入れる。
「ザヤ、お前が持ってるユテに関する情報を全部教えてくれねえか。なんでもいい。お前が面接して使用人に決めたなら、俺よりも情報を持ってるはずだ」
俺の発言にザヤは渋面を浮かべながら離席し、すぐに書類を手に戻ってきた。
「それが私が持ってるユテくんに関する全情報だ。彼がベータだという医師の署名付き診断書もある。本物としか思えないそれがまさか偽造なら、他の情報の信ぴょう性も今となっては低いね」
「ああ、孤児だとここには書いてあるが、それはリュキテだった時のことだ。ユテには家族がいて、俺の使用人になるために両親に協力してもらったと言っていた」
「どこに住んでるとか、名字とか他に何も聞いてないのかい?」
問いに対して頭を振る俺に、ザヤは眉間にしわを寄せながらも、意地悪そうに口角を釣り上げた。
「その様子じゃ、本当にユテくんにうつつをぬかしてたみたいだねえ」
「うるせえ。こんな時に揶揄ってくるんじゃねえよ」
「ごめんごめん。でも揶揄ってるわけじゃなくて、純粋にうれしいんだよ。戦友の元気な姿が見れて」
「……とにかく、何でもいいから案を出してくれ」
なんだか照れくさくて話を遮る。ザヤの純粋な気持ちと一緒に、面白がっているのも伝わってくる。
「医師に診断書の偽造を頼んだり、俺の動向を窺ってたからには、それなりに財力のある家系のはずだ。ユテの名前も本当だってことも確認済みだ。金持ちをまとめたリストとかねえのか?」
「子息の名前がユテ、家はそれなりの財力。これだけの情報で該当する家系を見つけ出せって?この広大な国にどれだけの人口がいると思ってるんだい?」
「俺だって無茶苦茶なこと言ってるって分かってんだよ…けど他になんも思いつかねえんだ」
喉の奥から威嚇のような唸り声が出る。他に良い案があればとっくに飛びついてる。
「ユテ……。もしやクライゼル家の者ではないか?」
口元に手を当て、今まで沈黙を保っていたエルフィードの一言に、俺とザヤはすばやく顔を上げた。
驚きのあまり心臓が止まりそうになる。
「陛下、ユテのことを知ってんのか!?」
「余の記憶が間違ってなければな」
勢いよく立ち上がったせいで、椅子が大きな音を立てて転がった。
「クライゼル家って言うと、当主が強硬派の中流貴族ですよね」
「うむ。当主のジゼアは老いてなお上昇志向と権力欲を貪欲に渇望しておる。クレイゼル家の地位と繁栄のためならば、あらゆる犠牲を厭わぬ苛烈な人物だ。確か令孫がユテという名だったと記憶しておる」
「その通りです、陛下。確かにクライゼル家の家系図にユテくんの名前が。よく覚えておいでですね。ユテくんは年齢的には社交界デビューもまだで、陛下との関わりは無に等しいのに」
「余ほどもなれば、貴族の当主のみならず伴侶やはたまた子や孫まで、すべからず名を覚えておるものだ!それが国の元首たる者の務めであろう?」
ザヤに褒められたエルフィードは、腰に両手を当てて鼻高々とばかりに胸を張った。
それを横目に見ながら、俺はザヤから手渡された書籍に注意を向けた。指先を目で追うとユテの名前が記載されていた。どうやらリズリカ国の貴族の家系図をまとめたものらしい。ページをめくってみると他の貴族の家系図が描かれていた。
番の名前を指でそっと撫でる。
ユテ…、孤児だったのに次は貴族として生まれ変わったのか。まるっきり異なる環境で生きてきたユテの苦労は想像を絶する。
ユテは確かに、両親からの支援と理解は得られているといった。二人の言う通り、当主のジゼアが苛烈な人物であれば、ユテの連れ去りは彼によるものと考えていいだろう。何らかの形で俺とユテのことが漏れたに違いない。
そして俺の不在中にそれが起こった以上、ジゼアは俺のことをよく思ってないに違いない。貴族の令孫であるユテ。もしかするとゆくゆくはクライゼル家を背負う者の相手としてはふさわしくない、と。
ふざけるなよ。
ジゼアの立場を考えれば、理解できなくもない。けど、俺たちは不本意な形で決別せざるを得なかった。それが運命のめぐりあわせで再び会えたんだ。何があろうとも、離すつもりもあきらめるつもりもない。たとえ世界を敵に回そうとも。
書籍を持つ手に力が入り、ページがぐしゃりと音を立てて歪む。
「む、待てよ。そういえば……」
何かを思い出したらしいエルフィードが、突然机の上の書類をあさり始める。探していたものを見つけた彼は顔面蒼白で目を見開いた。
「大変だ、シグルド…!ユテ・クライゼルと国軍少将リースローク・ファローが婚姻を結ぶことになっているぞ…っ!?」
エルフィードが差し出す紙に書かれた、数日前の日付。そしてユテとリースロークの婚約を知らせる内容がジゼアの署名付きで記されていた。
例にもれず前の晩に盛り上がりすぎたせいで、下半身が重怠くて動けないとのことだった。ベッドの縁に腰かけて柔らかい頬に指を滑らせると、ゆっくりと目蓋が開いてレモン色が覗く。
キスマークだらけの体が目に毒だと思って俺の服を着せたが、効果はなかった。露出がなくても色気が隠れていない。
「ユテ、悪い。また調子に乗っちまった…」
このところ、ずっとこんな調子だ。ユテとの行為に箍が簡単に外れて、理性が全く働かずにヤりすぎちまう。ユテが嫌がらずに全部を受け入れてくれるから余計に。
「ううん、全然いいよ。たくさんしてもらえて嬉しい」
細い指が俺の手を捕まえて、頬擦りする。ふにゃりと効果音が出そうな、蕩ける笑みに視線が吸い寄せられる。俺への愛情が表情に如実に表れていた。
その言葉がうわべのものじゃないと分かるだけに厄介だ。ユテが際限なく受け入れてくるのをいいことに、どこまでも甘えてしまいそうな自分がいる。
自分の番は最高だと思うのと同時に、アルファとしては情けねえだろとも思う。俺だって自分の番に対してかっこよくありたいという気持ちは少なからずある。……既に数えきれないほどの醜態をさらしてはいるが。
「おい、そういうことを簡単に言うな。俺がつけあがったらどうすんだ」
「照れてる?」
「こら、年上を揶揄うんじゃねえ」
「違うよ。可愛いなって思ってる」
何も言い返せなくなる。無言で鼻を指で摘まむと、ユテがくすぐったそうに笑いながら身をよじる。
おっさんなのに可愛いと言われてうれしく思う自分がいる。
完全に転がされてるよなあ…。それも悪くないって思っちまう。底なし沼に足を踏み入れた気分だ。
にやけそうになる口元を隠すように、外套に腕を通す。
「飯、買ってくるけど何か希望はあるか?」
何でもいいと答えるユテに返事の代わりに頭を撫で、行ってくると告げて寝室を後にする。扉を閉める前、微笑むユテが小さく手を振る姿が見えた。
ベッドの上でも摘まめるような果物や食べ物を見繕って家路を急ぐ。その足取りは自分でも驚くくらいに軽やかだった。
家で自分の帰りを待ってくれてる人がいるってのはいいもんだな。なんてついつい口が笑みを形作る。
帰宅し、ユテに声をかけるも返事はなく、屋内はしんとしていた。寝ているのかもしれない、とも思ったが本能が瞬時にそれを否定する。
何も変わったところはない。鍵も閉まっていた。家具の配置も元通り、何もかもが家を出て行ったときのままだ。だが、何かがおかしいと頭の中で警鐘が鳴る。
荷物をテーブルの上に置き、気配と足音を消して寝室の戸を開けた。そして視界に飛び込んできた光景に目を疑った。
ベッドは、もぬけの殻だった。
俺は警戒を続けながら家中を見て回った。だけどどこにもユテの姿はなかった。
ユテは自分からどこかに行ったわけじゃねえ。連れ去られた。
俺の脳は即座にそう結論付けていた。ユテが好んで身に着けていた靴も外套もそのまま。ユテが自分から出て行ったなら、これが残っているのはおかしい。着替えた痕跡も残っていない。何より、ユテが出て行く理由がない。散々抱き潰したんだ。起き上がるのだってやっとのはずだ。
そのユテが、靴も履かず外套も着ず、ご丁寧に鍵まで閉めて出て行くか?考えられない。
「…くそっ…どこに…!」
連れ去られたことが分かっても、誰がどこに、には繋がらない。傍を離れた自分自身に凶悪な怒りが向く。ここ最近は、何をするにもどこに行くにもずっと一緒だった。完全に離れたのは久しぶりだった。ユテを連れ去った奴らは、この時を待っていた。
何の手がかりもなく、仁王立ちしたまま焦燥だけが募る。
俺を狙った犯行には思えなかった。俺への復讐だったとして、なぜこのタイミングなんだ?俺は何年にもわたって廃人も同然だった。俺の寝首をかくのは容易だ。俺が逆の立場ならそうする。
それに俺を苦しめたいのに、何のメッセージも残さないのか?それも不可解に思えた。
俺の第六感が、狙いは俺ではなくユテだと告げる。連れ去った奴らは元よりユテが目的だったと。
俺は、ユテがリュキテの生まれ変わりだということ以外、何も知らない。知ろうとせず、ただ目の前の愛しい存在と快楽にふけることしか考えてなかった。何の障害もないとあぐらをかいていた俺の責任だ。
皮膚に爪が食いこむくらいに強く拳を握る。俺からユテを奪った奴らはもちろんのこと、なにより自分自身に怒りを覚えた。
*******
「面会の予約がない方はお通しできません。お引き取りください」
うるせえ。
やたら装飾がゴテゴテした机で気取った格好で澄ました態度の受付の女を押しのけ、中へと押し入る。女は俺の行動に驚きながらも、侵入者だと衛兵に叫んだ。
「ザヤ!ザヤ、どこだ!?」
槍を手に不審者制圧に突進してくる衛兵たちをいなしながら、声を張り上げる。
受付の女も衛兵にも非はない。彼らは自分たちの役目をまっとうにこなしてるだけだ。俺みたいな怪しい風体の男が予約もなく突然王宮に現れて、国軍の要職に就くザヤに会わせろなど、聞き入れられるはずもない。
頭では分かってる。けど俺だってなりふり構ってはいられない。面接をしてユテを採用したのはザヤだからこそ、何か知っているはずだ。……そうであってくれと願わざるをえない。ユテに繋がる頼みの綱はザヤだけなんだ。
「ザヤ、さっさと姿見せねえと衛兵全員ぶっ倒しちまうぞ!俺一人なんかに制圧されたら、国の面目丸つぶれだけどいいのかっ!?」
大声をあげているせいで衛兵が王宮中から駆けつけてくる。それを片っ端から掌底を叩き込み、武器を落とさせ無力化し、手刀で意識を昏倒させる。
早く出てきてもらわねーと、俺のスタミナだって無尽蔵じゃねえんだ。
「聞いたことのある声だと思えば!」
「陛下…、危険です!お近づきにならないでください、御身に何かあれば…!」
「心配いらん。あやつは余の旧友だ!」
頭上から聞こえる声に目を向ければ、生真面目を絵にかいたような眼鏡の男の制止を振り切った若い男が会談を駆け下りてこっちに向かってくるところだった。
陛下、という呼称からもわかる通り、リズリカ国国王エルフィード本人だ。ドーランとの戦を率いた先王が終戦を機に退位し、長子である彼が後を継いだ。俺は父王に中世を誓ってたクチだが、当然エルフィードとも面識があるし、俺の事情を知っている数少ないうちの一人だ。
まるで少年のように頬を赤く染めて俺に飛びつく王の姿に、衛兵たちが一斉に動きを止めた。
「シグルド、全く顔を見せに来ぬとはこの薄情者め!ザヤから話は聞いてて、会いに行きたかったんだが、臣下たちに止められてな」
「ご無沙汰してます、陛下。そりゃあ一国の王がこんな不審者を訪ねでもしたら、あらぬ噂が立つぞ。俺が臣下の立場でも止めてるっての」
「そう思うなら、なおさらなぜ余に会いに来てくれんかったんじゃ!?」
エルフィードは信じられないとばかりに目を見開いて不快感を示し、腕をつねってくる。まるで駄々をこねる子供みたいな行動に、思わず脱力して苦笑が浮かぶ。
「……陛下、非礼を詫びて積もる話をしたいとこだが、緊急の用事でザヤを探してる」
拗ねるように頬を膨らませていた王の雰囲気が、俺の一言で一変した。おちゃらけた空気が一瞬にして引き締まり、エルフィードは眼鏡の男にザヤを呼ぶよう言いつけた。
「で、ですが陛下、ザヤ殿は国防会議に出席中で…」
「ほかの者も十分に優秀だ。ザヤがしばし抜けたとてたいした影響はない。不都合があれば余の名を出せばいい」
有無を言わせぬ物言いとその圧に、眼鏡の男は足をもつれさせながら駆けていく。遠巻きに様子を窺う衛兵に倒れた兵の処置も指示したエルフィードは俺を私室に通した。多忙なはずの王はすぐに出ていくものと思っていたが、豪奢な椅子にゆるりと座ってにこにこと笑ったままだ。ザヤへの緊急の用事の内容を知りたいように思えた。
まあいい。事情を知った王が直々に手を貸してくれるかもしれない。
そう思いながら逸る気持ちをおさめようと深呼吸しするも、あまり効果はなかった。腕を組み、室内を落ち着きなく歩き回る。
ほどなくしてザヤが入室し、俺の姿を目にして大きく目を見開いた。
「不審な男が陛下と私室に入っていったと涙まじりの報告があったが、シグルドだったのか」
ザヤは、おかしいと言わんばかりにくつくつと喉を鳴らして笑った。軽口を返す余裕など既になく、戦友の腕を掴む。
「ザヤ、ユテについて知ってること全部教えてくれ、頼む…っ!」
「ユテくん…?何かあったのかい?」
ザヤの顔を見た途端、必死で取り繕っていたものが恐怖で覆われていく。
「ユテが、攫われた…あいつは、ユテは俺の運命の番で……なのに、俺はまた守れずに…っ!」
怖い。ザヤが最後の希望なのに、もしなんの手がかりを得られなかったら詰みだ。
戦友の腕をつかむ手に無意識に力がこもる。俯く俺は、ザヤとエルフィードが短く息をのんだのに気づかなかった。
「待った待った!ユテくんが、シグルドの運命の番!?」
「そ、そなたの運命の番は死んだのではなかったか…っ!?」
顔を上げれば、混乱に目をむく二人の顔が。まるで俺が妄言を言ってるかのような表情に、わずかばかりの平静を取り戻す。そうだ、ユテがリュキテの生まれ変わりだってこと、まだ誰にも話していなかった。ザヤに事情を話して雇用契約を解除してもらうことは話題にのぼっていたが、浮かれるあまり後回しにしていた。
ザヤの手を借り、椅子へと腰を下ろす。
それから俺は、自分の身に起こった夢物語としか思えないような事情をすべて語って聞かせた。話し終えるころには、二人とも言葉を失っていた。無理もない。当事者の俺だって初めは、とうとう自分が狂っちまったと思った。
「信じられねえと思うが、本当なんだ。どんな発情期のオメガにも反応を示さなかった俺の息子が、ユテのヒートフェロモンを嗅いだら一瞬で勃起した。酒浸りだったのも、ユテの存在のおかげで今は改善した。もう何日も素面でいられてる」
二人は尚も狐につままれたような顔をしていたが、ザヤは俺に顔を近づけて匂いを嗅いだ。
「確かに、鼻が曲がりそうなくらい強烈だった酒の臭気が全くしない。しばらく酒を断ってるのは本当みたいです、陛下」
「うむ、確かに。不摂生な生活を長年送っていると聞いているが、全くそうは思えん。玄関ホールで護衛兵を次々といなしたあの動きも、まるで全盛期のおぬしを見ているかのようだった」
とりあえずは受け入れてくれたらしく、ほっと安堵の息が漏れる。これでようやく本題に入れる。
「ザヤ、お前が持ってるユテに関する情報を全部教えてくれねえか。なんでもいい。お前が面接して使用人に決めたなら、俺よりも情報を持ってるはずだ」
俺の発言にザヤは渋面を浮かべながら離席し、すぐに書類を手に戻ってきた。
「それが私が持ってるユテくんに関する全情報だ。彼がベータだという医師の署名付き診断書もある。本物としか思えないそれがまさか偽造なら、他の情報の信ぴょう性も今となっては低いね」
「ああ、孤児だとここには書いてあるが、それはリュキテだった時のことだ。ユテには家族がいて、俺の使用人になるために両親に協力してもらったと言っていた」
「どこに住んでるとか、名字とか他に何も聞いてないのかい?」
問いに対して頭を振る俺に、ザヤは眉間にしわを寄せながらも、意地悪そうに口角を釣り上げた。
「その様子じゃ、本当にユテくんにうつつをぬかしてたみたいだねえ」
「うるせえ。こんな時に揶揄ってくるんじゃねえよ」
「ごめんごめん。でも揶揄ってるわけじゃなくて、純粋にうれしいんだよ。戦友の元気な姿が見れて」
「……とにかく、何でもいいから案を出してくれ」
なんだか照れくさくて話を遮る。ザヤの純粋な気持ちと一緒に、面白がっているのも伝わってくる。
「医師に診断書の偽造を頼んだり、俺の動向を窺ってたからには、それなりに財力のある家系のはずだ。ユテの名前も本当だってことも確認済みだ。金持ちをまとめたリストとかねえのか?」
「子息の名前がユテ、家はそれなりの財力。これだけの情報で該当する家系を見つけ出せって?この広大な国にどれだけの人口がいると思ってるんだい?」
「俺だって無茶苦茶なこと言ってるって分かってんだよ…けど他になんも思いつかねえんだ」
喉の奥から威嚇のような唸り声が出る。他に良い案があればとっくに飛びついてる。
「ユテ……。もしやクライゼル家の者ではないか?」
口元に手を当て、今まで沈黙を保っていたエルフィードの一言に、俺とザヤはすばやく顔を上げた。
驚きのあまり心臓が止まりそうになる。
「陛下、ユテのことを知ってんのか!?」
「余の記憶が間違ってなければな」
勢いよく立ち上がったせいで、椅子が大きな音を立てて転がった。
「クライゼル家って言うと、当主が強硬派の中流貴族ですよね」
「うむ。当主のジゼアは老いてなお上昇志向と権力欲を貪欲に渇望しておる。クレイゼル家の地位と繁栄のためならば、あらゆる犠牲を厭わぬ苛烈な人物だ。確か令孫がユテという名だったと記憶しておる」
「その通りです、陛下。確かにクライゼル家の家系図にユテくんの名前が。よく覚えておいでですね。ユテくんは年齢的には社交界デビューもまだで、陛下との関わりは無に等しいのに」
「余ほどもなれば、貴族の当主のみならず伴侶やはたまた子や孫まで、すべからず名を覚えておるものだ!それが国の元首たる者の務めであろう?」
ザヤに褒められたエルフィードは、腰に両手を当てて鼻高々とばかりに胸を張った。
それを横目に見ながら、俺はザヤから手渡された書籍に注意を向けた。指先を目で追うとユテの名前が記載されていた。どうやらリズリカ国の貴族の家系図をまとめたものらしい。ページをめくってみると他の貴族の家系図が描かれていた。
番の名前を指でそっと撫でる。
ユテ…、孤児だったのに次は貴族として生まれ変わったのか。まるっきり異なる環境で生きてきたユテの苦労は想像を絶する。
ユテは確かに、両親からの支援と理解は得られているといった。二人の言う通り、当主のジゼアが苛烈な人物であれば、ユテの連れ去りは彼によるものと考えていいだろう。何らかの形で俺とユテのことが漏れたに違いない。
そして俺の不在中にそれが起こった以上、ジゼアは俺のことをよく思ってないに違いない。貴族の令孫であるユテ。もしかするとゆくゆくはクライゼル家を背負う者の相手としてはふさわしくない、と。
ふざけるなよ。
ジゼアの立場を考えれば、理解できなくもない。けど、俺たちは不本意な形で決別せざるを得なかった。それが運命のめぐりあわせで再び会えたんだ。何があろうとも、離すつもりもあきらめるつもりもない。たとえ世界を敵に回そうとも。
書籍を持つ手に力が入り、ページがぐしゃりと音を立てて歪む。
「む、待てよ。そういえば……」
何かを思い出したらしいエルフィードが、突然机の上の書類をあさり始める。探していたものを見つけた彼は顔面蒼白で目を見開いた。
「大変だ、シグルド…!ユテ・クライゼルと国軍少将リースローク・ファローが婚姻を結ぶことになっているぞ…っ!?」
エルフィードが差し出す紙に書かれた、数日前の日付。そしてユテとリースロークの婚約を知らせる内容がジゼアの署名付きで記されていた。
0
あなたにおすすめの小説
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
運命の番は僕に振り向かない
ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。
それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。
オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。
ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。
ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。
ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。
ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
いい加減観念して結婚してください
彩根梨愛
BL
平凡なオメガが成り行きで決まった婚約解消予定のアルファに結婚を迫られる話
元々ショートショートでしたが、続編を書きましたので短編になりました。
2025/05/05時点でBL18位ありがとうございます。
作者自身驚いていますが、お楽しみ頂き光栄です。
巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく
藍沢真啓/庚あき
BL
11月にアンダルシュノベルズ様から出版されます!
婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。
目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり……
巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。
【感想のお返事について】
感想をくださりありがとうございます。
執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。
大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。
他サイトでも公開中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる