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親の沙汰はガチャ次第
しおりを挟む親ってもんは一部例外を除いてね、毎日、毎時毎秒、我が子の為に最適解を模索してんだよ。それはもう一生懸命に、脳をフル回転させてんだよ。
それでも間違えることだってあるさ。人間だもんね。我が子と同じ人間だものね。
それもわかってんだよ。そして、間違えちまったら誰よりも悔やんで嘆いてんだよ。
でも親だって格好つけたいさ。人間だもんよ。素直になれない時だってあるさね。
まぁ、かくいう私も、今若けりゃこんな事を平然と口にしてたのかね。親に、こんな事を思ってたのかねぇ。
──と、一昨日亡くなったばあちゃんが、朝の情報番組を見ながら言っていた。
ばあちゃんは早口だし、昔学校の先生だったからか、少し難しい言い回しをするから全部は分からなかったけど。それでもなんだか、悲しそうな顔をしているのは分かった。
僕の学校でも、道徳の時間に田中先生が『親ガチャ』について話していた。皆は口々に親の文句ばかり言ってたけど、田中先生は黙って聞いているだけだった。そして、最後にこう言ったんだ。
「先生は、あなた達に出会えたことを凄く嬉しく思っています」
僕はばあちゃんに可愛がってもらったし、母さんも優しいから、クラスの皆はなんでそんな事思うんだろうって不思議に思った。先生の言う通りじゃないか。
だって、ばあちゃんが母さんを産んでくれてなきゃ、僕は生まれてなかったよ。ひいばあちゃんがばあちゃんを産んでくれてなきゃ、母さんは生まれてなかったよ。ひいばあちゃんだって。
ならきっと、ガチャは当たりだったんだよ。だって、僕は生まれて良かったって思ってるから。
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