302 / 434
3章 希う大学生編
リア充って怖いや
公園の入り口で立ち止まっていると、窪くんが大きく手を振って、大きな声で呼び掛けてくれた。そんな大きな声を出さなくても、充分聞こえる距離なんだけどね。
本当に元気で明るい人なんだなぁと、感心しつつ輪に呼び込まれた。八千代は傍にあったベンチにでんと座り、足を組んで横柄な態度を見せつける。
「八千代もやろうよ」
「んじゃお前がこっち来い。その輪には入んねぇぞ」
「もう····」
仕方がないので、我儘を聞いてあげる事にした。線香花火を数本持って、八千代の隣にちょこっと座る。
何故か八千代が持っていたライターで火をつけ、パチパチと弾ける小さな火球を眺める。
「ねぇ、なんでライター持ってるの?」
「··········癖」
「もしかして、煙草吸ってるの?」
臭いやキスの味で、そう感じた事はない。けど、そんなものいくらでも誤魔化せそうだもんね。
「吸ってねぇよ。吸ってねぇからお前に何かあった時我慢できねぇんだろうが」
そんなの知らないよ。けど、そうだったんだ。それなら尚更、心配掛けないように気をつけなくちゃだね。
とは思うんだけど、後でマッサージだけは教えてもらうね。と、心の中で何度も謝った。だって、皆に喜んでほしいんだもん。
線香花火を眺めていると、何本目かで八千代が『結人のケツが壊れませんように』と呟いた。皆には聞こえないように、極々小さな声で、にまっと僕を見ながら。
だから、僕はお礼に『八千代の腰が振りすぎで折れませんように』と祈ってあげた。
「ンっと負けず嫌いだよな」
まったく、どの口が言っているんだか。自分だって凄く負けず嫌いなくせに。
僕は呆れて、八千代の手を握った。自分の事は棚に上げて減らず口をたたく八千代に、愛おしさが込み上げて仕方なかったんだもん。
すると、イチャつく僕たちを見て、啓吾がずでんと隣に座った。
「俺もイチャつきたいんですけどぉ。なぁ結人、ポッ〇ーあーんしてくれんだろ? 今して」
「旅館まで我慢しろよ。つぅかどう見てもコイツの手ぇ塞がってんだろ。ハッ、残念だったな」
いちいち喧嘩をふっかける八千代。こういう所は僕より子供っぽい。けど、慣れてしまえば可愛いものだ。
けど、現状僕の手は線香花火と八千代で塞がっている。八千代は手を離す気がないみたいだし、どうやって食べさせてあげようか。
「いいもーん。そう言うと思ってたもんね~」
啓吾は怯む事なくポッ〇ーを1本取り出すと、持ち手の方を咥えた。そして、僕の顎をクイッと持ち上げる。
「ん」
整った顔を見せつけて『ん』と言われてもだよ。自分で食べちゃ、あーんできないじゃないか。と、何をすればいいのか分からず軽くパニックに陥った。
だが、数秒考えて気づく。そうか、これはあれだ、ポッ〇ーゲームだ。え、人前でするの?
「け、啓吾、皆見てるよ?」
僕は、皆の方をチラッと見て言った。誰か止めてくれないだろうかと、淡い期待を抱いたのだが甘かったようだ。
「あぁ、大丈夫だよ結人くん。俺達、花火以外何も見えていないから。ははっ」
永峰くんは決して此方を向かず、見事な棒読みで、線香花火から一切視線を逸らさずに言った。それに倣い、上影組は線香花火から視線を外さない。
そして、その向こうでこっちをチラチラ見ながら、見るからにソワソワしている朔とりっくん。後で自分たちもするつもりなのだろう。
見えていないフリをしてほしかったんじゃないんだけどな。朔とりっくんの事だから、やめてやれって言ってくれると思ったんだけどな。
どうしてこういう時だけ団結してしまうのだろう。勘弁してほしいよ。
「えぇー··、皆ホントにおバカすぎるでしょ····」
僕は観念して、啓吾の口から生えているポッ〇ーに齧りつく。これ、途中で折れちゃいけないんだっけ。こんなリア充の遊び、知らないや。
ガリガリと食べ進めてくる啓吾。慣れている様子に、少しモヤッとする。ううん、気にしちゃいけないんだ。
それよりも、緊張して上手く進められない。薄ら目を開けると、啓吾が目前まで迫っていた。僕は、もう一度ギュッと目を瞑る。
さわっと唇が触れ、来る··と思った瞬間、啓吾が止まった。
「ふ··ぅ?」
「ん」
僕は、恐る恐る目を開けた。しっかりと目が合う。完全に待っていじゃないか。最後の一齧り、キスの仕上げを僕にさせる気なんだ。
僕は、もう一度ギュッと目を瞑り、意を決して数ミリ進む。そして、キャラメル味の甘いキスをした。
そっと唇を離すと、満足そうな啓吾の笑顔が僕の心臓を跳ねさせる。本当に、心臓がいくつあっても足りないや。
待ってましたと言わんばかりのりっくん。今度は、僕が咥えて待つ。目を瞑って待っていると、一度ポッ〇ーを抜かれた。
何事かと思い目を開けると、持ち手を自分の方に変えて咥え、ニヤけるのを堪えながら待っているじゃないか。本当に甘々なんだから。
僕は、遠慮なく美味しい方に齧りつく。焦らしながら迫る啓吾とは違い、凄い速さで食べ進めてくる。キスが待ちきれないらしい。
あっという間に唇が触れ、濃厚なキスで舌まで食べられた。余裕なんてないような、僕を貪るキスだ。何をそんなに急いているのだろう。僕は逃げないのに。
待ちくたびれた様子の朔は、僕から1本ポッ〇ーを取り上げる。それを僕の口に咥えさせ、二口くらいでキスへ持ち込んだ。早いよ。
ポッ〇ーゲームを知らないのか、ただキスをしに来ただけみたいになっている。朔らしいや。
そぅっと離れ、雄剥き出しの目で僕をジッと見つめる朔。目を細めて指で唇を拭う仕草がえっちで、お尻がキュンとした。
当然、自分もしないと気が済まない八千代。皆とシてる間も、ずっと手を離さなかった。いつの間にか足元に落としていた線香花火を回収してバケツに放り込むと、僕を膝に乗せた。
朔が『外だぞ』と注意するが、八千代は全く意に介さない。例の如く持ち手側を咥えると、やらしく指を絡めて両手を繋ぐ。それから、顎で『始めろ』と合図する。
僕は狼狽えながら、おずおずとポッ〇ーに口をつける。体勢も相まって緊張が高まり、八千代の息遣いが耳について集中できない。
やはり上手く食べ進められず、唇が触れる直前で折れてしまった。にも関わらず、八千代は繋いだ手を引いて強引にキスをする。
心の中で『外なんだぞ!?』と叫びながらも、引き寄せ握る手の力強さに抗えず、僕はされるがままキスを受け入れる。
「はーい、そろそろ終わってねぇ。君ら分かってる? ここねぇ、お外。ヘイ場野くん、人語分かる?」
啓吾が八千代を詰る。けれど、八千代はキスをやめない。勿論、僕からはやめられない。
見かねた朔が、八千代の後ろへ回り髪をガシッと鷲掴んだ。目が据わっていて怖い。
「ん゙っ、ッでぇな!」
身動きが取れず、八千代は朔の手首を掴んで苛つきをぶつける。
「いい加減にしろ。外だつってんだろ。それに、俺らだけじゃねぇんだ。弁えて行動しろ」
自分も目を輝かせてキスしていたのに。なんて、とてもじゃないが口を挟める雰囲気ではない。
朔は、八千代の髪を離すと、今度は僕の後ろへ来て僕を抱き上げた。
「理性のねぇゴリラから逃げれなかったんだよな、可哀想に。旅館まで俺が守ってやる」
そう言って、僕を降ろしてしっかりと手を繋ぐ。反対側にはりっくんが。
僕を奪われてぐぬぬ顔の八千代は、啓吾に背中をバシバシ叩かれながら宥められていた。苛立ちのおさまらない八千代は、啓吾の首を小脇に抱え、セットした髪をグシャグシャにしていた。なんて腹いせだ。
それを、生温かい目で見守る上影の皆さん。本当に何をお見せしているのかと、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
そうして、騒がしく花火を終えた僕たちは、ゆっくりと寒さを肌に沁み込ませながら旅館へ戻る。
⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆
Xでは結構前に投げてたんですけど、そう言えば他で載せてなかったなと····。
初期設定をこんなにちゃんと考えたのは初めてです。
ましてや勢いだけで生まれたモブのはずだった子達なのに····。名前すらなかったよ🤣
この子達だけで話ができそうな気がするけど、余裕がないので生きているうちに書けたらいいな程度に思ってます(笑)
上影組の関係図(メモ)
あなたにおすすめの小説
人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます
七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。
歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。
世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。
気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。
元カレに追い出された専門学生がネカフェでP活相手のパパちんぽに理解らせられてトロトロのメロメロになっちゃう話
ルシーアンナ
BL
既婚子持ちバイ×専門学生
Pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=27436158
ムーンライトノベルズ https://novel18.syosetu.com/n1512ls/
fujossy https://fujossy.jp/books/31185
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
双子のイケメン執事達と恋愛しています
すいかちゃん
BL
母親の再婚により、平野家の息子となった勇人。超お金持ちの家では、驚く事ばかり。そんな勇人は、双子のイケメン執事に気に入られてしまう。やがて双子の気持ちを知った勇人は、驚きながらもその気持ちを受け入れる事を決める。
回を重ねるごとに、勇人と双子の関係が濃厚になっていきます。
長編ですが、1話1話は短めです。
第5話で一旦完結となります。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される
中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」
夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。
相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。
このお話はムーンライトでも投稿してます〜
