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3章 希う大学生編
こんなはずじゃなかった
旅館へ戻ると、皆の隙を突いて窪くんに連れ出された。ドジな僕は1人じゃ抜け出せないだろうから、窪くんにどこかへ引っ張りこんでくれるよう頼んでおいたのだ。
タイムリミットは5分もないだろう。僕の不在に気づいた瞬間、きっとスマホを鳴らされてしまうだろうから。
僕と窪くんは通路の暗がりに隠れ、さっさとマッサージを伝授してもらう。
「よーし、それじゃちゃっちゃと教えちゃうね。早く皆のトコ戻んないとだもんね~」
「うん、僕が頼んだのに急がせちゃってごめんね。お願いします」
僕は、ペコッと頭を下げる。実際に揉んで教えるからと、窪くんは僕をクルッと回して背中を向けさせた。
「いいよいいよ~。まずはねぇ、首のここから····あ、髪ちょっと寄せるね」
その時、窪くんの指先が耳に触れる。
「んぁっ」
「わ、ごめん。····もしかして、耳弱いの?」
「よ、弱くない」
「うっそだ~。めっちゃビクッてしたじゃん。可愛い声漏れてたし。ねぇ、耳、感じる?」
ただの好奇心なのだろうか。窪くんは、耳に唇を寄せ囁くように聞く。
「ひぁぁ♡」
「んはっ♡ 激弱じゃん。結人くんオモロ~」
なんだ、面白がっているだけか。どうやら、揶揄われたようだ。
けど、このままじゃマズイ気がするから、早くマッサージを教えてもらって退散しよう。
「窪くん、あの、マッ──」
「ねぇ、結人くんてさ、全身超敏感じゃない? ちょっと触ってみていい?」
少し低い声で、おどけた少年から男に雰囲気を変え、窪くんの手が耳に触れる。意図して耳輪を撫で、中指を挿れ弄る。
「あっ、んっ、やぁ····窪くん、やめ··はぁんっ」
「今、軽イキしたよね? やっば、結人くん可愛すぎ」
「はぇ? なに?」
「もうちょいイかせてみていい?」
「な、ダメ··、だよぉ」
返事を聞かずに、窪くんは僕の耳に吐息を掛けながら声を注ぐ。
「もしかして、声だけでイケんの?」
「ふ··ぅ····イ、けない····皆の声じゃなきゃ、イかないもん」
「へぇ、それめっちゃ可愛いね。ね、俺のでもイッてよ。俺結構イイ声でしょ? 女の子はこうしたらすぐ濡れちゃうんだよね。結人くんも濡れる?」
「はぅんっ····濡れ、ない····」
窪くんは、ずっと耳に甘い声を流し続ける。このままじゃ、本当にイかされちゃいそうだ。
「そっか、お尻だもんね。こんなちっちゃいお尻で、場野くんのデッカイのずっぽり飲み込んでたじゃん? すげぇ気持ち良さそうだったよね」
そう言われて、八千代のが入っている感覚を思い出してしまった。途端に、お尻がキュンと疼く。
て言うか、お尻揉まないでほしいんだけど。これは完全にアウトだよ。
「あぁ、今また軽くイッたよね。分かりやすいなぁ。ちょっとだけさ、気持ちイイとこ触ってみていい? どこが好き?」
「ん··ぇ? 気持ちぃ··とこ····おっぱい····」
「やらしぃ~♡ おっぱい感じちゃうんだ。乳首だけでイケたりする?」
答える前に、窪くんが指先で乳首を弾いた。
「ひあっ··んんぅっ」
「あ~ぁ、これ完全にイッちゃったね····あれ? 出てない? もしかしてケツでイッたの?」
「ふぇ····」
僕は、溢れんばかりに涙を浮かべる。1人で来た事を後悔しても、もう遅いんだ。
窪くんは、ようやく耳から離れたかと思ったら、後ろから僕の顔を覗き込み、ふっと柔らかく笑った。
お尻に固くなったナニかが当たっている。いよいよヤバい気がしてきた。焦りと恐怖で声が震える。
「窪く··ふ、ぁ··、ね、当たってるの、ダメだよぉ」
「やば。結人くん、それヤバいって。可愛すぎんだけど」
僕を半回転させ向き合う。窪くんは、舌なめずりをして袖を捲った。
改めて見ると、やはりイケメンだ。これは自力で逃げられそうにない。そう思った途端、ポロッと涙が零れ落ちる。
僕が固まっていると、窪くんは天井を仰ぎ特大の溜め息を吐いた。一体、何なのだろう。
ゆっくりと顔を下ろし、パンッと両手で自分の顔を挟むと、僕をキッと見る。突然の行動に驚き、涙も引っ込んでしまった。
「ごめん! 一瞬理性飛んでた! マッサージは今度にしよう。今日はもう戻んなよ」
今度って、旅行が終わってからも会えるのかな。連絡先も知らないんだけど。
それより、これが皆にバレたらまた大変な事になる。それだけは避けないと。
(えっと、なんだっけ····。挿れてないから、セーフ··だよね··?)
「んぇ··うん。あのね、皆にはこの事言わないで? また心配掛けちゃうし、揉めるの嫌だから····」
「はは、そうだね。俺も場野くんと瀬古くんに殺されたくないし。2人だけの秘密な」
窪くんは唇に人差し指を当て、シーッと“内緒”ポーズで共犯を誓う。あぁ、罪悪感で胸が苦しい。
マッサージを教えてもらうだけの予定だったのに、どうしてこうなるんだよぅ。これじゃ、サプライズも何もできないじゃないか。
僕は、肩を落として皆の元へ戻ろうとした。その瞬間、大音量でスマホが鳴り響く。僕と窪くんは、同時に身体が跳ね上がった。
「や、八千代だ····」
僕は、モタモタと通話ボタンを押す。
「もしも──」
『ドコだよ』
僕の言葉を待たず、焦りと苛つきを露わに居場所を聞き出す。僕は、慌てて辺りを見回す。
「えー··っと、ここどこ?」
『くそ、アイツまた迷子だわ。朔、GPSまだか』
『チッ····見てるけど、館内じゃ流石に分かんねぇ』
僕が目印になる物を探してキョロキョロしていると、窪くんがスマホを取り上げた。
「もしもーし? 俺、窪だけど。迷子っぽい結人くん発見したから回収してそっち戻んね~」
そう言って、さっさと電話を切ってしまった。鮮やかな回避術だ。
皆と合流すると、窪くんが状況を説明してくれた。
「ジュース買いに行ったらキョドってる結人くん見つけてさぁ。通路間違えて入ってたみたいよ? つか着信音デカいね。ビビった」
「そうだったのか、無事で良かった··。窪、本当にありがとう。着信音、ビビらせてすまねぇ。結人の居場所が分かるようにちょっと弄ったんだ」
「へぇ~、そういうのって一般人ができるもんなの? もしかして瀬古くんて天才? すげぇね」
「天才じゃねぇ。システムさえ分かれば誰でもできるぞ」
「いやできねぇよ」
すかさず啓吾がツッコむ。まったく同感だ。
その後は、卓球でチーム戦をした。僕はずっと足手まとい。おかげで、負けてしまった。
そして、また八千代と永峰くんが個人戦で長い試合をしていた。結局、勝敗はつかず引き分け。
けれど、2人は満足そうに拳を交わしていた。あんなに熱くなっている八千代は初めて見たかもしれない。楽しそうで何よりだ。
部屋へ戻ると、皆にすっごく怒られた。部屋に入るまでは凄くにこやかだったのに、上影組と別れた途端、雰囲気が一変したのだ。
何処へ言ってたのかと聞かれ、咄嗟に『よそ見してたら皆が居なくなってて····』と嘘をついてしまった。
僕は悪い子だ。こんなに心配してくれている皆を騙しているのだから。けれど、正直に言うわけにもいかない。墓場まで持って行けるかな。ダメだ、不安しかない。
僕が落ち込んでいるのを、怒られたからだと思っている皆。心配していただけだと言い、お説教を終えて甘い夜が本番を迎える。
「まぁ、ゆいぴから目離した俺らも悪いんだし··ね」
「だな。俺ら別に怒ってるわけじゃねぇし。心配して焦っただけだよ。おいで、結人」
罪悪感に苛まれながら、僕は啓吾の腕に包まれた。優しく頭を撫でて、気持ちを落ち着かせようと優しい言葉を沢山くれる。
あぁ、このまま正直に謝れば楽になれるのだろう。けど、それじゃサプライズができないんだよね。
頑張って内緒にしてなくちゃ。窪くんが殺されちゃうのも困るし、約束したもんね····。
「結人? 眠いの?」
「眠い····くない」
「ふはっ、どっちだよ。いいよ、寝ても。このまま朝までギュッてしててやっから」
「ん····やだぁ」
「え、嫌なの?」
「旅行··夜····、今日で終わりだから、皆とえっちシたいのぉ」
僕は、しょぼしょぼする目を擦り、頭が回らないまま恥ずかしい事を言ってしまった。けれど、本心なのだから今更否定もできない。
僕が“しまった····”って顔をしていると、啓吾が僕を抱えたまま布団へ移動した。そして、僕を寝かせ上に跨る。
「俺も、つか俺らも、結人とえっちしたい。朝まで··な♡」
「ねー、俺と朔は明日運転するから流石に寝るよ?」
「だから、今日は俺と莉久が優先だな。場野と啓吾は大人しく待ってろ」
いつもとは逆のパターン。仕方がないからと、八千代と啓吾は卓球でかいた汗を流しに行った。
そして、期待で膨らむ胸を、りっくんがねちっこく弄り始めた。
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