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一章
〜 嫉妬 〜
しおりを挟む翌朝。
制服に着替えた優理は、暗い雰囲気を漂わせてテレビを見ながら焼いた食パンをちまちまかじっていた。
「優理、具合でも悪いの?
顔色良くないわよ・・・」
「具合は悪くないから大丈夫・・・」
「そお?
・・・そういえば、昨日履いてたブーツ玄関にないみたいだけど・・・」
「あ・・・ちょっと忘れちゃって・・・」
「えっ、忘れたって・・・靴履かないで帰って来たって事っ!?」
『続いてのニュースです。
昨夜、◯◯地区の住宅街の路上で女性の遺体が発見されました。
女性の名前は斉藤 由香さん、22歳で死因は衰弱という事でーー・・・』
画面に昨夜の女の人と似た人の写真が映った瞬間、思わず持っていたパンを落としてしまった。
えっ・・・この人、絶対昨日の人だっ・・・・もしかしてっ・・・・
「◯◯地区って、家のすぐ近くじゃない」
「・・・・お母さん・・・やっぱり具合悪いから今日は休んでいい・・・・?」
「大丈夫?病院に・・・」
「寝たら多分大丈夫・・部屋に行くね・・・」
「お母さん仕事に行って来るから、どうしても具合悪かったら保険証とお金置いておくから病院に行ってね!」
「うん・・・いってらっしゃい・・・」
そう力のない返事をすると、青ざめた顔のまま重い足取りで部屋へ戻って行った。
部屋は6畳くらいあり、ドアから見て正面にベッドと窓があって、左側には勉強机、右側にはクローゼットがある。
床一面には灰色っぽいジュータンが敷いてあり、その上に3畳くらいある薄ピンクのラグを敷いている。
カーテンは、黄色に小さな花柄が散りばめられてあり部屋の雰囲気を少し明るげにしてくれている感じだ。
優理は部屋に入るなり、ベッドに上がり窓を開けて雪に染まった住宅街を見つめた。
「はぁー・・・・」
さっきのニュース・・・まさかだよね・・・衰弱死って言ってたし・・・・でも・・・・
カフェでの光景が頭をよぎり、優理は倒れる様にベッドへ横たわった。
「はぁーー・・・・」
・・・胸が・・すごく痛くて苦しい・・・・
付き合ってるわけじゃないのに・・なに嫉妬してるんだろう・・・・
・・・瑠花さんに逢いたいのに・・会いたくない・・・・
優理は静かに目を閉じて、冬の冷気を感じながらそのまま眠ってしまった。
「・・・・優・・理ちゃん・・・・・優理ちゃん・・・・」
・・・誰かに・・呼ばれてる・・・・この声・・・・
「窓開けたまま眠っちゃ風邪ひいちゃうよ・・・」
そう優しく囁かれると、窓を閉める音が聞こえてきた。
優理はまだ戻りきらない意識の中、ゆっくり目を開くと・・・すぐ目の前に瑠花の綺麗すぎる顔があり、思わず目を見開き息を呑んで固まってしまった。
「えっ・・ど、どうしてっ・・・」
「窓が開いてたから勝手に入ってきちゃった・・・驚かせてごめんね」
「えっ、えっ・・窓からっ!?って、ここ2階っ・・・」
意味が分からずあたふたしていると、完璧な瑠花の身体が覆いかぶさってきた。
「あっ・・・」
「そんなことより・・・優理ちゃん、昨日カフェに来たよね?」
「えっ・・・はい・・・」
「そっか・・・・優理ちゃんに、話さないといけない事があるんだ」
・・・それって、もしかして・・・
「ニュースで出てた女の人・・・」
「僕が犯人だよ」
真剣な瑠花の顔を見つめながら、優理の頭の中は一瞬真っ白になり短い沈黙が2人を包み込んだ。
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