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一章
〜 誘惑 〜
しおりを挟む次の日から普通に登校している優理の姿があり、席に着いて熱っぽい溜め息を何度もついていた。
「はぁー・・・」
クリスマスかぁー・・・・
『心の準備・・しといてね』
昨日の出来事が頭をよぎり、優理は頬を赤くさせて悶えながら机にもたれかかった。
「はぁーー・・・」
やだっ、思い出しただけでドキドキしてきちゃったっ・・・
瑠花さんとクリスマスなんて、凄く嬉しいし楽しみなんだけど・・・・
『優理ちゃん、メリークリスマス・・・』
妄想の中の瑠花は上半身裸の状態で、その整った顔をゆっくり自分に近付けてくるーー・・・・というシチュエーションに、優理はまた悶えて深く熱っぽい溜め息を漏らした。
「なぁ、宮内ってなんか最近雰囲気変わった気がしねぇ?」
「ん?そうか?」
「あ、前髪ピンでとめ始めたからじゃねぇ?」
「それもあるけどさぁ
・・・なんかこう・・エロくなったような感じ?
前は存在感すらなかったのに」
「ああっ、存在感はなかったなぁ!
っていうか、もしかしてお前っ」
「ち、ちげぇーよっ」
「あはは!じょーだんだってっ」
遠くの席で、男子グループが机にへばりついている優理をチラ見しながら密かに盛り上がってる一方・・・
そんな話しをされているのも知らずに、優理は悶々としながら授業が始まるのを待っていた。
☆ ☆
少し日が沈んできて、いっそう寒さが厳しくなってきた頃。
全ての授業が終わり、学校から出てくるコート姿の生徒達に混じって優理の姿もあった。
はぁーー・・・結局、ずっと瑠花さんの事が頭から離れなかった・・・・
「おい!」
学校の門を出た時、突然見覚えのある美しい男が目の前に立ちはだかる様に現れた。
長身でモデルのように抜群のスタイルと、ハーフの様な美しい容姿は性別関係なく魅了してしまいそうだ。
焦げ茶に金が混ざったような長髪を後ろで縛っていて、ぱっと見女性と勘違いしてしまいそうだ。
「あ、あなたはっ・・瑠花さんの・・・」
「お前、瑠花のカフェに通ってるのか?
淫魔とヤリまくったら、生気奪われすぎて死ぬかもしれないから気おつけろよ」
意地悪げに笑みを浮かべるレイに、優理は耳まで真っ赤にさせて俯いてしまった。
「わ、私・・瑠花さんとそんな・・・」
突然現れてなんなのっ・・・しかも、こんな人前で・・・・
「・・・ふぅーん・・・
お前、もしかして処女?」
「っ!?」
「ねぇっ、あの人すごいカッコイイ!!」
「あの子の知り合いかなっ!?」
「わぁ・・綺麗な人・・・」
気がつくと学校の女子達が集まっていて、みんなレイの美しい美貌に釘付けになっていた。
するとレイは、めんどくさそうな顔をして浅く溜め息をついた。
「ちっ、うるせぇ・・・
おい、ちょっと来い」
レイは優理の腕を掴んだが、優理は反射的にその手を払った。
「あ・・すいませんっ・・・」
どうしようっ、つい手が・・・
「ふーん、俺の手を振り払うなんていい度胸してんじゃねぇか」
レイはうっすら不敵な笑みを浮かべると、突然優理の顎を掴んで唇を塞いだ。
その衝撃的な光景を見た女子達は、顔を赤くさせながら静かに息を飲み込んだ。
やだっ、いきなりなにっ!?
「んーーっ・・やっ!」
優理は必死にレイから離れようとじたばたしていた拍子に、思わず唇を噛んでしまった。
「っつ・・・」
「あ・・・ごめんなさいっ」
申し訳なさそうにそう言うと、優理は逃げるようにその場を走り去って行った。
「ちっ・・・」
あの女、噛みやがった。
・・・この俺を拒んだ奴は初めてだな・・・
レイは、血が滲んでいた唇を親指で拭うと、ニヤリと何か企んでいる様な笑みを浮かべた。
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