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桃太郎、やっとで合流
しおりを挟む既に順番を決めていたのだろう。男たちはもめる事無く頷きあうと、桃太郎を仰向けにし、体に巻き付く縄を手早く外していった。
紐や猿轡も外してくれるのかと思いきや、それはそのままにされたので、やはり三太郎の事は言えないままだ。
「解くのは縄だけか?せっかくの若い娘だ。声も聞きてぇよ」
「辛抱しろ。みんな解いちまってもいいが、大声出されちゃやべぇからよ。三太郎様や幸四郎様に気付かれたら、全員が楽しむ前にお咎めだぜ」
「そりゃまずいな。仕方ねぇ、我慢するさ」
そんな事をいいながら、尻を舐めていた一番体格のいい男が桃太郎の太腿を大きく広げて、その間に入り込んでくる。
「へへへ。まずは俺からだ。しっかし、見ろよ、この乳」
普段から桃太郎のおっぱいは寝転がっても垂れたりしないが、今は上下を縊られているせいでいつもより大きく張り詰めており、天井に向かって突き出ている。男は両手で擦るみたいに乳房を撫で、うっとりと目を細めて言った。
「仰向けに寝てもでかいまんまだ。堪んねぇ。こっちも楽しみてぇが、順番がつかえてるから後でだな」
大きく広げた太腿の間を覗き込んで、割れ目に指を這い込ませ、花唇を捲り返した。そうして、さっき指で確かめた膣穴とクリトリスを剥き出しにして、ヌルヌル指でまさぐってくる。
「んふっ、むぐっ、ぐっ……」
敏感な突起を擦られ、爪先で弾かれて、桃太郎はガクガク腰を揺さぶった。目尻に涙も滲んでくる。
「おいおい、待ちきれねぇってか?壊れたみたいに淫水が溢れてきたぜ」
今度は膣穴に指を入れ、中で鉤型に折り曲げて、愛液を掻き出し始める。滑りがいいのだろう、男が指を動かす度にグチュグチュといやらしい水音が響くから、残りの2人も待ちきれない様子で桃太郎の肩や腕に大きく膨らんだ肉棒を擦りつけ始めた。
先走りでベタベタなのが気持ち悪い。
思わず眉をしかめたが、既に体力も限界が来ている桃太郎には抵抗する力が残っていない。
「なあ、なあなあ。そろそろいいだろ。早くやっちまえよ。お前がモタモタしてたらいつまで経っても俺の番が来ないじゃねぇか」
待っている男が不満を洩らせば、もう一人も同じ気持ちなのだろう。同様に不満を口にする。
「わかったよ、ったく、仕方ねぇな。んじゃ、そろそろやらせて貰うよ。へへへ、うんと気持ちよくしてやるからな」
そう言うと、男は体を伸ばして、誇らしげに勃起した肉棒を扱いてみせる。
「んうぅ~っ、んんっ、んっ……」
せめてもの抵抗に激しく首を振ってみるが、何の役にも立ちそうにない。
順番待ちの男たちの手が片方ずつ細い足首を掴み、左右に大きく割ながら頭上へと持ち上げた。そうやって、無防備に晒された割れ目に、いよいよ男の肉棒がピッタリくっ付いて。
「いいか、行くぞ」
言いながら、男は濡れ光る鬼頭で膣の入り口を捏ね回し、グチャグチャと音を響かせた後、ほんの僅かだけ押し込んできた。
「ううっん~~~~、んっふ、ぐうぅぅ」
入れられると思った瞬間、緊張で体に力が入って硬くなった。でも、挿入を拒める程の力は残っていない。
このまま男たちの好きにされるのだろう。どうやっても敵わない。
諦めた桃太郎が小さく息を吐き、目を閉じた時だ。ドゴ~ンと何か大きな物が壊れる音がして、部屋が揺れた。
ただ事ではない音と揺れに、男たちはあたふたと桃太郎から離れて立ち上がる。
「なっ、何だ。何があったんだ?」
「何の音だ?表の方から聞こえたぞ」
男たちの困惑に続き、バタバタと人が走り回る音と大勢の叫び声、そしてさらに大きな物が壊れる音が立て続けに聞こえてきた。
「おいっ、やばいぞ、これは」
「だがここは貴族屋敷だぞ。何が起こるって言うんだ」
男たちは急ぎ衣類を身に纏い、桃太郎などそっちのけで部屋から飛び出していく。
一体何が起こったのかわからないが、桃太郎が危機一髪で難を逃れたのは確かになった。
「………助かった……のかな?」
幸い手足を縛っていた縄は解かれている。今なら何とか自力で逃げ出せるだろう。このチャンスを逃がすわけにはいかない。
萎えた手足に力を入れて起き上がった桃太郎は、壁に手を付きながらよろよろと脚を踏み出した。
「っと………さすがにこれはまずいかな」
猿轡は外したものの、紐を解いている暇はない。だが、紐だけを身に着けたほぼ裸の恰好で逃げ出せば、またさっきみたいによからぬ男にさらわれかねない。できれば何か身に纏う物を、と部屋の中を見回した。
客間だろう部屋には箪笥や行李の類はない。だが、幸いにも床の間に凝った刺繍の飾り布がかけられていたから、それをはぎ取って体に巻き付ける。少々布面積が少ないが、無いよりましだろう。
そうして、今度こそ桃太郎は部屋から逃げ出した。
一体何が起こっているのかわからなかった桃太郎は、少し悩んだが、騒ぎが起こっている方向へ進んでいった。さっき、男が表の方が騒がしいと言っていたから、そちらへ向かえば他の人にまぎれて逃げ出せると思ったのだ。
表へ近づけば近づく程人の声や物音が大きくなった。
家臣だけじゃない、下男や厨房で働いているらしい格好の人間も走り回っている。
角を曲がった所で庭を見れば、団子になって逃げだしている一団がいて、中の一人がよろけて倒れた。後ろから走っていた男がその男に圧し掛かるみたいに倒れ、更に後ろの男も倒れ込んだ。
悲鳴に怒声が飛び交って、誰が何を叫んでいるのかわからない。
「何があったんだろ……」
気になるが考えている暇はない。今は少しでも早くここから出ていくだけだ。倒れている人を見捨てるのは心苦しいが、迷いを振り切った。
が、ここで桃太郎はとんでもなく大事な事を思い出した。
そう。
「鯉子ちゃんや皆がいる」
この屋敷のどこかに捕まった皆がいる筈だ。
彼らを見捨てて自分ひとり逃げ出すわけにはいかないのだった。
ここは普通の貴族屋敷で警備隊の詰め所じゃない。普通の屋敷にそうそう牢など造らない。造るとしたら一時止めおく簡素な部屋か、貴人を入れる座敷牢。
多分、皆が居るのは座敷牢の方だろう。
桃太郎は振り向いて、屋敷の奥へ、今来た廊下を引き返す。
途中、すれ違った数人がちっぽけな布切れを巻いただけの桃太郎の姿に目を剥いたが、そんな事に構っていられない。
壁伝いによろけながらも出せる全力で進む桃太郎。よそ見もせずに廊下を進み、大きな角を曲がった時だ。前から走ってきた誰かにぶつかった。
「ぬぎゃっ!」
普段なら踏ん張れるところだが、今の桃太郎にそんな力は残っていない。ばいんと弾んだ衝撃で後ろに飛んで尻から落ちた。
「ひだ~っ!お尻打った~」
「桃ちゃんっ!」
上げた悲鳴に声が重なる。その声は聞きなれた人のもので。
「猿さんっ!」
まん丸に目を見開いて突っ立っているのは猿川だった。血の付いた短刀を手に息を切らせている。
「ふにゃ~、猿さんだ、猿さん猿さん、猿さんだ~。よかった~」
嬉しさの余り飛び起きて抱き着く桃太郎。抱き返す猿川も立ち直ったのかいつもの声で。
「こっちも会えてよかったで~。しっかし凄い恰好やな、桃ちゃん。花街の踊り子でももうちっと隠しとるで」
こことか、こことか、と尻や太腿を撫でてくる。
「む~っ。仕方ないでしょ。自分で脱いだんじゃないもん」
「そらそやろなぁ。なんぼ桃ちゃんでも八月一日のやつらといちゃこらしと~ないやろな」
「あったり前。これは襲われかけたんだよ。無理矢理だよ」
力説したいが、今はそんな事より鯉子たちを見つけるのが先だろう。
猿川に言えば同意され、2人一緒に監禁場所を探しに向かった。
騒ぎは猿川の仕業なのか。誰と一緒に来たのか。浦島家の他の皆はどうしているのか。
聞きたい事は山のようにあるのだが、今は口を開く余裕が無い。桃太郎はゼイゼイ言いながら、猿川の後ろを走るしかできなかった。
猿川が下調べしてあったのか、野生の勘か、程なく鯉子たちが入れられた牢を発見できた。
「こっ、鯉子ちゃん~~~っ!」
喜びの余り細い柵に縋りつきながら鯉子の名を呼ぶ桃太郎。同様に鯉子や乙、犬山たちも喜びの声を上げる。
「出ようっ!早く出よう。ここから出よう」
鍵をガチャガチャヤリながら叫ぶ桃太郎に、しかし太之助が否を言う。
「いや、それはいかんだろう。我らは公に捕縛された身だ。今は無実の身ゆえお調べさえ終われば解放されるだろうが、勝手に牢から出れば今度は牢破りの刑に問われてしまうぞ」
正論だ。しかし、今は非常事態。桃太郎は誘拐されたし三太郎は刺されたし、それにもう猿川が乗り込んで来ているし。
「大丈夫や。今、アシニレラはんが実篤はんを連れてきよる最中なんや。次期様が到着したらこっちの被害を訴えりゃええ。さすがに誘拐監禁、強姦?はあかんやろ」
「何っ!桃か?桃なのか?強姦されたのは桃なのか?」
最後の一語にくいついたのは犬山で。
「やられてないよ、まだっ!」
吠える犬山は放置して、猿川が器用に解錠し、太之助たち一行を牢から出した。
後は外へ逃げるだけ。
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