転移したら獣人たちに溺愛されました。

なの

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第1章

第31話

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ノアには少し酷なようだが今が頑張りどころなのかもしれない。何せリハビリもあるから午前中しか学校に行けない。そうなると受けられない授業が出てくる。わからない授業をそのままにしておいたらますます分からなくて勉強がどんどん嫌いになるだろう。この小学生のうちに克服しないとな…と考えてるとノアが俺の前にぶどうが乗ったお皿を置いてくれた。

「カイくんも5個ね。僕のと合わせると10個、パパのも入れると…15個だよ」
父上に教えてもらったんだろう。ニコニコしながら教えてくれた。

「ノアは凄いな。15も足し算できたのか。じゃあ俺が2個食べたら俺のお皿には何個残るかな?」
少し難しいだろうか?そんな質問をしていると父上が自分の大きな手を見せて指を折っていく。ノアはぶつぶつと言いながら父上の指を折って

「カイくん3個?」と不安そうに聞いてきた。
「そうだよ。大正解だ」
ノアの頭を撫でてあげた。本当はこんな簡単な問題、指を使わずに答えてほしいけど今のノアには無理だろう。指でもなんでも使ってもいいから正解してほしいな。と思いつつ滅多に食べないぶどうを食べた。ノアはまだ残っているぶどうを母上に渡したら問題を出されたんだろう父上の手を使って問題を答えていた。本当、父上はノアが可愛くて仕方がないんだな。事あるごとにノアの頭を撫でている。まだ小さいノアだから我慢できるが、もっと大きくなったら許せなくなるんだろうなと1人で大きくなったノアを想像していたら

「まだ食べ終わってないのか?ノアのリハビリに先に行くぞ」
父上の声がしてハッとした。いつの間にか食べ終わって父上と母上、ノアはリハビリに行こうとしていた。ノアの大きくなった姿を想像していただなんていえずに俺は残りの3粒のぶどうを一気に口に入れると

「カイくん凄い、パパ全部お口に入れたよ」
ノアがびっくりした顔で見てきた。
「あぁごめんな。ノアのリハビリに行きたくて急いで食べてしまったよ」
「ううん。僕もカイくんみたいに大きくなりたいな」
「ノアは今のままでも可愛いから大丈夫だ」
そう言うと、そっかぁ大きかったら抱っこしてもらえなくなるもんね。僕パパとカイくんに抱っこしてもらうの好きっと言ってくれた。ようやく抱っこが好きになってくれたかと嬉しくなった。それは父上も同じのようで、いつもはキリリと厳しい顔の父上が嬉しそうに顔を綻ばせていた。

ノアは最近リハビリを頑張っている。2本の棒に掴まり額に汗を光らせながら頑張って歩く練習をしている。そんなに急いで歩けるようにならなくてもいつだって、どこに行くのだって抱っこしてあげるのに…そう思っていたが、サイモン先生から聞いたのは俺と手を繋いで歩きたいみたいだと教えてくれた。なんでもカールと空の散歩をした時に手を繋いで歩いてる人を見て羨ましくなったみたいだ。ノアのリハビリの様子を見ているとサイモン先生から声をかけられた。

「カイル王子、少しよろしいでしょうか」
少し躊躇いがちに言われて戸惑った。今までそんな言い方をされたことがなくいいことではないと直感で感じた。
父上と母上、そしてリアムたちがノアの側にいてくれてるので少し離れたところに移動した。

「先生、ノアのことですか?」
「はい。実は…」
そう言ってサイモン先生は教えてくれた。ノアの脚の動きに最近、左右差が見られるとのことだった。よく見てみると確かに右足のかかとがちゃんとついていない。だからか棒に掴まって歩いてるように見えるが右足は引きずってるようにも見える。

「ノアに聞いたところ、最初は教えてくれなかったのですが、少しビリビリするからって言われたんです。でも大丈夫って言ってくれたんですけど、マッサージをしてても左足より右足の足首の方が固いですし…もしかしたら怪我とかしてそのまま放置していたのが原因かと思います。それで詳しい検査をしたいと思うのですが…人間達が行く病院があるのでそこでならノアの負担もないかと思うんです。ただ……」
「ただ?何か問題でも?」
「もしかしたら痛い検査や辛い思いをさせてしまうかもしれないんですが」
確かにノアは痛みに少しだけ弱い、それはまだ幼いからと思っているが…それでも母上の治癒魔法は人間には効きにくいから本人の回復に任せてきたけれど…それももう限界なのかもしれない。

「ノアの病院には俺も一緒に行くから、なるべく早く行かないか?もし原因がわかればいいだろうし、ノアのことは俺が抱きしめてるから」
「わかりました。大至急、連絡をとってみます」
サイモン先生は足早に駆けて行った。
それから30分もしないうちにサイモン先生は戻ってきて、明日の1番に診てくれることになった。

「ノア明日は足を診てくれる先生に会いに行こうな」
「足ですか?」
「うんそう。ノアの足のビリビリに気づかなくてごめんな」
そう謝ると、前に戻ったみたく大丈夫という声が聞こえた。きっとずいぶん我慢していたんだろう。それでも言い出せなかったのはまだノアの心の中には俺たちのことを信用できないのかもしれない。知らない異国の地に連れて来られて見たこともない獣人たちがいるんだから、それでも俺はノアを手放すことはもうできない。ノアにはなんでも話してほしい。辛いことも嬉しいことも…もっともっと絆を深めたいと思いながらノアを抱きしめた。


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