31 / 101
第1章
第31話
しおりを挟む
ノアには少し酷なようだが今が頑張りどころなのかもしれない。何せリハビリもあるから午前中しか学校に行けない。そうなると受けられない授業が出てくる。わからない授業をそのままにしておいたらますます分からなくて勉強がどんどん嫌いになるだろう。この小学生のうちに克服しないとな…と考えてるとノアが俺の前にぶどうが乗ったお皿を置いてくれた。
「カイくんも5個ね。僕のと合わせると10個、パパのも入れると…15個だよ」
父上に教えてもらったんだろう。ニコニコしながら教えてくれた。
「ノアは凄いな。15も足し算できたのか。じゃあ俺が2個食べたら俺のお皿には何個残るかな?」
少し難しいだろうか?そんな質問をしていると父上が自分の大きな手を見せて指を折っていく。ノアはぶつぶつと言いながら父上の指を折って
「カイくん3個?」と不安そうに聞いてきた。
「そうだよ。大正解だ」
ノアの頭を撫でてあげた。本当はこんな簡単な問題、指を使わずに答えてほしいけど今のノアには無理だろう。指でもなんでも使ってもいいから正解してほしいな。と思いつつ滅多に食べないぶどうを食べた。ノアはまだ残っているぶどうを母上に渡したら問題を出されたんだろう父上の手を使って問題を答えていた。本当、父上はノアが可愛くて仕方がないんだな。事あるごとにノアの頭を撫でている。まだ小さいノアだから我慢できるが、もっと大きくなったら許せなくなるんだろうなと1人で大きくなったノアを想像していたら
「まだ食べ終わってないのか?ノアのリハビリに先に行くぞ」
父上の声がしてハッとした。いつの間にか食べ終わって父上と母上、ノアはリハビリに行こうとしていた。ノアの大きくなった姿を想像していただなんていえずに俺は残りの3粒のぶどうを一気に口に入れると
「カイくん凄い、パパ全部お口に入れたよ」
ノアがびっくりした顔で見てきた。
「あぁごめんな。ノアのリハビリに行きたくて急いで食べてしまったよ」
「ううん。僕もカイくんみたいに大きくなりたいな」
「ノアは今のままでも可愛いから大丈夫だ」
そう言うと、そっかぁ大きかったら抱っこしてもらえなくなるもんね。僕パパとカイくんに抱っこしてもらうの好きっと言ってくれた。ようやく抱っこが好きになってくれたかと嬉しくなった。それは父上も同じのようで、いつもはキリリと厳しい顔の父上が嬉しそうに顔を綻ばせていた。
ノアは最近リハビリを頑張っている。2本の棒に掴まり額に汗を光らせながら頑張って歩く練習をしている。そんなに急いで歩けるようにならなくてもいつだって、どこに行くのだって抱っこしてあげるのに…そう思っていたが、サイモン先生から聞いたのは俺と手を繋いで歩きたいみたいだと教えてくれた。なんでもカールと空の散歩をした時に手を繋いで歩いてる人を見て羨ましくなったみたいだ。ノアのリハビリの様子を見ているとサイモン先生から声をかけられた。
「カイル王子、少しよろしいでしょうか」
少し躊躇いがちに言われて戸惑った。今までそんな言い方をされたことがなくいいことではないと直感で感じた。
父上と母上、そしてリアムたちがノアの側にいてくれてるので少し離れたところに移動した。
「先生、ノアのことですか?」
「はい。実は…」
そう言ってサイモン先生は教えてくれた。ノアの脚の動きに最近、左右差が見られるとのことだった。よく見てみると確かに右足のかかとがちゃんとついていない。だからか棒に掴まって歩いてるように見えるが右足は引きずってるようにも見える。
「ノアに聞いたところ、最初は教えてくれなかったのですが、少しビリビリするからって言われたんです。でも大丈夫って言ってくれたんですけど、マッサージをしてても左足より右足の足首の方が固いですし…もしかしたら怪我とかしてそのまま放置していたのが原因かと思います。それで詳しい検査をしたいと思うのですが…人間達が行く病院があるのでそこでならノアの負担もないかと思うんです。ただ……」
「ただ?何か問題でも?」
「もしかしたら痛い検査や辛い思いをさせてしまうかもしれないんですが」
確かにノアは痛みに少しだけ弱い、それはまだ幼いからと思っているが…それでも母上の治癒魔法は人間には効きにくいから本人の回復に任せてきたけれど…それももう限界なのかもしれない。
「ノアの病院には俺も一緒に行くから、なるべく早く行かないか?もし原因がわかればいいだろうし、ノアのことは俺が抱きしめてるから」
「わかりました。大至急、連絡をとってみます」
サイモン先生は足早に駆けて行った。
それから30分もしないうちにサイモン先生は戻ってきて、明日の1番に診てくれることになった。
「ノア明日は足を診てくれる先生に会いに行こうな」
「足ですか?」
「うんそう。ノアの足のビリビリに気づかなくてごめんな」
そう謝ると、前に戻ったみたく大丈夫という声が聞こえた。きっとずいぶん我慢していたんだろう。それでも言い出せなかったのはまだノアの心の中には俺たちのことを信用できないのかもしれない。知らない異国の地に連れて来られて見たこともない獣人たちがいるんだから、それでも俺はノアを手放すことはもうできない。ノアにはなんでも話してほしい。辛いことも嬉しいことも…もっともっと絆を深めたいと思いながらノアを抱きしめた。
「カイくんも5個ね。僕のと合わせると10個、パパのも入れると…15個だよ」
父上に教えてもらったんだろう。ニコニコしながら教えてくれた。
「ノアは凄いな。15も足し算できたのか。じゃあ俺が2個食べたら俺のお皿には何個残るかな?」
少し難しいだろうか?そんな質問をしていると父上が自分の大きな手を見せて指を折っていく。ノアはぶつぶつと言いながら父上の指を折って
「カイくん3個?」と不安そうに聞いてきた。
「そうだよ。大正解だ」
ノアの頭を撫でてあげた。本当はこんな簡単な問題、指を使わずに答えてほしいけど今のノアには無理だろう。指でもなんでも使ってもいいから正解してほしいな。と思いつつ滅多に食べないぶどうを食べた。ノアはまだ残っているぶどうを母上に渡したら問題を出されたんだろう父上の手を使って問題を答えていた。本当、父上はノアが可愛くて仕方がないんだな。事あるごとにノアの頭を撫でている。まだ小さいノアだから我慢できるが、もっと大きくなったら許せなくなるんだろうなと1人で大きくなったノアを想像していたら
「まだ食べ終わってないのか?ノアのリハビリに先に行くぞ」
父上の声がしてハッとした。いつの間にか食べ終わって父上と母上、ノアはリハビリに行こうとしていた。ノアの大きくなった姿を想像していただなんていえずに俺は残りの3粒のぶどうを一気に口に入れると
「カイくん凄い、パパ全部お口に入れたよ」
ノアがびっくりした顔で見てきた。
「あぁごめんな。ノアのリハビリに行きたくて急いで食べてしまったよ」
「ううん。僕もカイくんみたいに大きくなりたいな」
「ノアは今のままでも可愛いから大丈夫だ」
そう言うと、そっかぁ大きかったら抱っこしてもらえなくなるもんね。僕パパとカイくんに抱っこしてもらうの好きっと言ってくれた。ようやく抱っこが好きになってくれたかと嬉しくなった。それは父上も同じのようで、いつもはキリリと厳しい顔の父上が嬉しそうに顔を綻ばせていた。
ノアは最近リハビリを頑張っている。2本の棒に掴まり額に汗を光らせながら頑張って歩く練習をしている。そんなに急いで歩けるようにならなくてもいつだって、どこに行くのだって抱っこしてあげるのに…そう思っていたが、サイモン先生から聞いたのは俺と手を繋いで歩きたいみたいだと教えてくれた。なんでもカールと空の散歩をした時に手を繋いで歩いてる人を見て羨ましくなったみたいだ。ノアのリハビリの様子を見ているとサイモン先生から声をかけられた。
「カイル王子、少しよろしいでしょうか」
少し躊躇いがちに言われて戸惑った。今までそんな言い方をされたことがなくいいことではないと直感で感じた。
父上と母上、そしてリアムたちがノアの側にいてくれてるので少し離れたところに移動した。
「先生、ノアのことですか?」
「はい。実は…」
そう言ってサイモン先生は教えてくれた。ノアの脚の動きに最近、左右差が見られるとのことだった。よく見てみると確かに右足のかかとがちゃんとついていない。だからか棒に掴まって歩いてるように見えるが右足は引きずってるようにも見える。
「ノアに聞いたところ、最初は教えてくれなかったのですが、少しビリビリするからって言われたんです。でも大丈夫って言ってくれたんですけど、マッサージをしてても左足より右足の足首の方が固いですし…もしかしたら怪我とかしてそのまま放置していたのが原因かと思います。それで詳しい検査をしたいと思うのですが…人間達が行く病院があるのでそこでならノアの負担もないかと思うんです。ただ……」
「ただ?何か問題でも?」
「もしかしたら痛い検査や辛い思いをさせてしまうかもしれないんですが」
確かにノアは痛みに少しだけ弱い、それはまだ幼いからと思っているが…それでも母上の治癒魔法は人間には効きにくいから本人の回復に任せてきたけれど…それももう限界なのかもしれない。
「ノアの病院には俺も一緒に行くから、なるべく早く行かないか?もし原因がわかればいいだろうし、ノアのことは俺が抱きしめてるから」
「わかりました。大至急、連絡をとってみます」
サイモン先生は足早に駆けて行った。
それから30分もしないうちにサイモン先生は戻ってきて、明日の1番に診てくれることになった。
「ノア明日は足を診てくれる先生に会いに行こうな」
「足ですか?」
「うんそう。ノアの足のビリビリに気づかなくてごめんな」
そう謝ると、前に戻ったみたく大丈夫という声が聞こえた。きっとずいぶん我慢していたんだろう。それでも言い出せなかったのはまだノアの心の中には俺たちのことを信用できないのかもしれない。知らない異国の地に連れて来られて見たこともない獣人たちがいるんだから、それでも俺はノアを手放すことはもうできない。ノアにはなんでも話してほしい。辛いことも嬉しいことも…もっともっと絆を深めたいと思いながらノアを抱きしめた。
431
あなたにおすすめの小説
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる
七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。
だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。
そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。
唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。
優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。
穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。
――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。
【完結】婚約者の王子様に愛人がいるらしいが、ペットを探すのに忙しいので放っておいてくれ。
フジミサヤ
BL
「君を愛することはできない」
可愛らしい平民の愛人を膝の上に抱え上げたこの国の第二王子サミュエルに宣言され、王子の婚約者だった公爵令息ノア・オルコットは、傷心のあまり学園を飛び出してしまった……というのが学園の生徒たちの認識である。
だがノアの本当の目的は、行方不明の自分のペット(魔王の側近だったらしい)の捜索だった。通りすがりの魔族に道を尋ねて目的地へ向かう途中、ノアは完璧な変装をしていたにも関わらず、何故かノアを追ってきたらしい王子サミュエルに捕まってしまう。
◇拙作「僕が勇者に殺された件。」に出てきたノアの話ですが、一応単体でも読めます。
◇テキトー設定。細かいツッコミはご容赦ください。見切り発車なので不定期更新となります。
《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。
かざみはら まなか
BL
24歳の英雄公爵✕29歳の日本に帰りたい異世界転移した青年
異世界転移して出会っためちゃくちゃ好きな男が全く手を出してこない
春野ひより
BL
前触れもなく異世界転移したトップアイドル、アオイ。
路頭に迷いかけたアオイを拾ったのは娼館のガメツイ女主人で、アオイは半ば強制的に男娼としてデビューすることに。しかし、絶対に抱かれたくないアオイは初めての客である美しい男に交渉する。
「――僕を見てほしいんです」
奇跡的に男に気に入られたアオイ。足繁く通う男。男はアオイに惜しみなく金を注ぎ、アオイは美しい男に恋をするが、男は「私は貴方のファンです」と言うばかりで頑としてアオイを抱かなくて――。
愛されるには理由が必要だと思っているし、理由が無くなれば捨てられて当然だと思っている受けが「それでも愛して欲しい」と手を伸ばせるようになるまでの話です。
金を使うことでしか愛を伝えられない不器用な人外×自分に付けられた値段でしか愛を実感できない不器用な青年
植物チートを持つ俺は王子に捨てられたけど、実は食いしん坊な氷の公爵様に拾われ、胃袋を掴んでとことん溺愛されています
水凪しおん
BL
日本の社畜だった俺、ミナトは過労死した末に異世界の貧乏男爵家の三男に転生した。しかも、なぜか傲慢な第二王子エリアスの婚約者にされてしまう。
「地味で男のくせに可愛らしいだけの役立たず」
王子からそう蔑まれ、冷遇される日々にうんざりした俺は、前世の知識とチート能力【植物育成】を使い、実家の領地を豊かにすることだけを生きがいにしていた。
そんなある日、王宮の夜会で王子から公衆の面前で婚約破棄を叩きつけられる。
絶望する俺の前に現れたのは、この国で最も恐れられる『氷の公爵』アレクシス・フォン・ヴァインベルク。
「王子がご不要というのなら、その方を私が貰い受けよう」
冷たく、しかし力強い声。気づけば俺は、彼の腕の中にいた。
連れてこられた公爵邸での生活は、噂とは大違いの甘すぎる日々の始まりだった。
俺の作る料理を「世界一美味い」と幸せそうに食べ、俺の能力を「素晴らしい」と褒めてくれ、「可愛い、愛らしい」と頭を撫でてくれる公爵様。
彼の不器用だけど真っ直ぐな愛情に、俺の心は次第に絆されていく。
これは、婚約破棄から始まった、不遇な俺が世界一の幸せを手に入れるまでの物語。
【完】心配性は異世界で番認定された狼獣人に甘やかされる
おはぎ
BL
起きるとそこは見覚えのない場所。死んだ瞬間を思い出して呆然としている優人に、騎士らしき人たちが声を掛けてくる。何で頭に獣耳…?とポカンとしていると、その中の狼獣人のカイラが何故か優しくて、ぴったり身体をくっつけてくる。何でそんなに気遣ってくれるの?と分からない優人は大きな身体に怯えながら何とかこの別世界で生きていこうとする話。
知らない世界に来てあれこれ考えては心配してしまう優人と、優人が可愛くて仕方ないカイラが溺愛しながら支えて甘やかしていきます。
竜の生贄になった僕だけど、甘やかされて幸せすぎっ!【完結】
ぬこまる
BL
竜の獣人はスパダリの超絶イケメン!主人公は女の子と間違うほどの美少年。この物語は勘違いから始まるBLです。2人の視点が交互に読めてハラハラドキドキ!面白いと思います。ぜひご覧くださいませ。感想お待ちしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる