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いよいよ準備へ
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透さんに本音を言ってから僕は自分に自信を持てるように仕事も頑張った。でもたまに抜けてしまったりして室長に言われることもあるけれど…
秘書検定準1級を取るために通っているスクールの送迎はもちろん透さんだ。仕事との両立で、なかなか勉強についていけないこともあるけれど、フォローをしてもらったり、わからないことは室長に聞いたりしてなんとか合格できるように頑張っている。
いつものように出社してメールのチェックをしていた。室長と角谷さんがちょっとミーティングしてくるから何かあれば小会議室に来てくれと声をかけてきた。他の作業に取り掛かって30分ほどたった頃2人で戻ってきた。
「みんなちょっと聞いてくれ」先程のミーティングの話だろうけど…なんだろう?
「みんなも知っての通り、営業部の浅井部長が副社長に就任するにあたり、そのお披露目言わば就任披露パーティーを開催することが正式に決まった。3ヶ月後の11月17日だ。そのパーティーの準備に総務部と秘書課を中心に取り掛かるが人数が足りないので、各部署から数名ずつ募り準備委員会を立ち上げることになった。これから普段の仕事に加えて忙しくなるからよろしく頼む。今日、各部署に準備委員のメンバーを集めてもらうよう周知する。来週中にはメンバーが集まるだろうから、そしたら第1回目の準備委員会を立ち上げる予定だ。規模は全従業員に招待客を含め1,000人くらいになる予定です。それまでに資料等を準備するので後ほど割り振りを決めます。盛大なパーティーになるのでミスなく最後までよろしくお願いします」
そうか、いよいよ3ヶ月後には透さんの副社長就任パーティーがあるんだ。それに伴い、僕は副社長付きの秘書になる。そして…その日に初めて透さんのパートナーとして紹介される。それまでは相変わらず秘密の関係だけど…今は部署も離れ、周りからも何も勘付かれてない。そんな僕が…透さんのパートナーと知ったらみんなどう思うだろう?
「小沢ちょっといいか?」室長に呼ばれた。
「悪いが3ヶ月後の11月17日に空いてるホテル等のリストを作成してくれないか?1回目の会議でその中から決めて会場だけは先に押さえたいから。人数も多いから立食できる場所ならホテルじゃなくてもパーティー会場でもどこでもいいが…なるべく近場でアクセスしやすい所がいいな。車で来る招待客もいるだろうから、その辺も考慮してくれると助かる。できれば今週中に頼めるか?」
「あの…」
「ん?他に何かあるか?」
「この日って…どうやって決めたんですか?」
「あぁ…浅井部長からの希望だそうだ。その日に就任パーティーをしたいってな。なんかあるのか理由は聞いてないが…なんかあるのか?まぁ金曜日だからかもな。じゃあ頼む」
「承知しました」
透さんが決めてくれたんだと思うと嬉しかった。だってその日は僕の26回目の誕生日だ。小さい頃は家族で誕生日会をしてもらったけど、お父さんが亡くなってからはそんなことしてなかった。前の彼氏は適当な人だったから最初の1年はしてくれてたけど、次の年から忘れられてたような気がする。そういえば…ネックレスに付いてる石が誕生石だって教えてくれたなぁーそれにしても1,000人のホテルって…どこがいいのかな?それこそ透さんに聞いた方が早いのかな?でも今から予約なんて取れるのかな?色々考えてるうちにお昼になってしまい社食に向かった。
あれ?デルと平井かな?仲良く話をしている2人の姿が見えた。
「海斗~」デルが僕を見つけて手を振ってくれた。
「デル、平井も久しぶり」
「海斗元気?なかなか会えないけど」
「小沢、頑張ってるか?なんか頼んできたら?」
「うん。2人は…唐揚げなんだ気が合うね」僕は悩んだ結果、カレーライスにした。
「海斗、部長の就任パーティー決まったって?」
「そうなのデルも平井も聞いたの?」
「さっきパーティーの実行委員を各部署から募るって、桜さんから話があって、俺とデルが営業部からは出るから」
「え?2人が出てくれるの?」
「当たり前だろ?俺たち以外、営業部で誰が適任なんだよ。小沢もメンバーなんだろ?」
「うん。秘書課だからね。担当だし」
「うん。俺たちも頑張るから、よろしくな」
2人が手伝ってくれるのは嬉しかった。
帰ってきた透さんにパーティーの式場の相談をしてると、お義母さんの友達の旦那さんがホテルを経営してるという、そこは1度は聞いたことがある名前のホテルだった。
「透さん、お義母さんに連絡してみてもいいですか?」
「あぁ…海斗からの連絡じゃ喜ぶんじゃないか?」
僕はお義母さんに電話をした。
「あら海斗くんじゃない。元気にしてた?」
「はい。お義母さん久しぶりです。今、電話しても大丈夫ですか?」
「また透がなんかしたの?こんな時間に電話くるなんて…」
「そうじゃないんです。あの…透さんの副社長就任パーティーの会場なんですけど…」
「あら?透から聞いたの?実は、日程を今日周知したって角谷さんから聞いたから連絡して、もう予約取っちゃったの。ごめんね。本当は候補があった?」
「え?本当ですか?予約まで…すみません」
「ううん。明日、室長にでも連絡しようと思ったんだけどね。先走りすぎたかしら?」
「お義母さん、ありがとうございます」
「じゃあ大変だと思うけど、よろしくね。あ…そうだ。海斗くん、今度の日曜日予定あるかしら?」
「日曜日は特に…」
「あら、じゃあデートしましょう?」
「デート?」
透さんがびっくりしてスピーカーに切り替えた。
「お袋、デートってどういうこと?」
「あら透、心配しなくても、貴方も一緒に行く?日曜日に行きましょう」
「日曜日?どこに」
「いいから。また連絡するから。じゃあね」
透さん、日曜日どこに行くんでしょうかね?
わからないけど…海斗を連れて行きたいんだろ?俺は付き添いみたいなもんだな。
そんなことないです。
でも流石にお袋とはいえども2人きりは反対だから。
ギュッと抱きしめてくれる。
透さんの独占欲はお義母さんにも発揮しちゃうんだ…なんだかとっても嬉しかった。
秘書検定準1級を取るために通っているスクールの送迎はもちろん透さんだ。仕事との両立で、なかなか勉強についていけないこともあるけれど、フォローをしてもらったり、わからないことは室長に聞いたりしてなんとか合格できるように頑張っている。
いつものように出社してメールのチェックをしていた。室長と角谷さんがちょっとミーティングしてくるから何かあれば小会議室に来てくれと声をかけてきた。他の作業に取り掛かって30分ほどたった頃2人で戻ってきた。
「みんなちょっと聞いてくれ」先程のミーティングの話だろうけど…なんだろう?
「みんなも知っての通り、営業部の浅井部長が副社長に就任するにあたり、そのお披露目言わば就任披露パーティーを開催することが正式に決まった。3ヶ月後の11月17日だ。そのパーティーの準備に総務部と秘書課を中心に取り掛かるが人数が足りないので、各部署から数名ずつ募り準備委員会を立ち上げることになった。これから普段の仕事に加えて忙しくなるからよろしく頼む。今日、各部署に準備委員のメンバーを集めてもらうよう周知する。来週中にはメンバーが集まるだろうから、そしたら第1回目の準備委員会を立ち上げる予定だ。規模は全従業員に招待客を含め1,000人くらいになる予定です。それまでに資料等を準備するので後ほど割り振りを決めます。盛大なパーティーになるのでミスなく最後までよろしくお願いします」
そうか、いよいよ3ヶ月後には透さんの副社長就任パーティーがあるんだ。それに伴い、僕は副社長付きの秘書になる。そして…その日に初めて透さんのパートナーとして紹介される。それまでは相変わらず秘密の関係だけど…今は部署も離れ、周りからも何も勘付かれてない。そんな僕が…透さんのパートナーと知ったらみんなどう思うだろう?
「小沢ちょっといいか?」室長に呼ばれた。
「悪いが3ヶ月後の11月17日に空いてるホテル等のリストを作成してくれないか?1回目の会議でその中から決めて会場だけは先に押さえたいから。人数も多いから立食できる場所ならホテルじゃなくてもパーティー会場でもどこでもいいが…なるべく近場でアクセスしやすい所がいいな。車で来る招待客もいるだろうから、その辺も考慮してくれると助かる。できれば今週中に頼めるか?」
「あの…」
「ん?他に何かあるか?」
「この日って…どうやって決めたんですか?」
「あぁ…浅井部長からの希望だそうだ。その日に就任パーティーをしたいってな。なんかあるのか理由は聞いてないが…なんかあるのか?まぁ金曜日だからかもな。じゃあ頼む」
「承知しました」
透さんが決めてくれたんだと思うと嬉しかった。だってその日は僕の26回目の誕生日だ。小さい頃は家族で誕生日会をしてもらったけど、お父さんが亡くなってからはそんなことしてなかった。前の彼氏は適当な人だったから最初の1年はしてくれてたけど、次の年から忘れられてたような気がする。そういえば…ネックレスに付いてる石が誕生石だって教えてくれたなぁーそれにしても1,000人のホテルって…どこがいいのかな?それこそ透さんに聞いた方が早いのかな?でも今から予約なんて取れるのかな?色々考えてるうちにお昼になってしまい社食に向かった。
あれ?デルと平井かな?仲良く話をしている2人の姿が見えた。
「海斗~」デルが僕を見つけて手を振ってくれた。
「デル、平井も久しぶり」
「海斗元気?なかなか会えないけど」
「小沢、頑張ってるか?なんか頼んできたら?」
「うん。2人は…唐揚げなんだ気が合うね」僕は悩んだ結果、カレーライスにした。
「海斗、部長の就任パーティー決まったって?」
「そうなのデルも平井も聞いたの?」
「さっきパーティーの実行委員を各部署から募るって、桜さんから話があって、俺とデルが営業部からは出るから」
「え?2人が出てくれるの?」
「当たり前だろ?俺たち以外、営業部で誰が適任なんだよ。小沢もメンバーなんだろ?」
「うん。秘書課だからね。担当だし」
「うん。俺たちも頑張るから、よろしくな」
2人が手伝ってくれるのは嬉しかった。
帰ってきた透さんにパーティーの式場の相談をしてると、お義母さんの友達の旦那さんがホテルを経営してるという、そこは1度は聞いたことがある名前のホテルだった。
「透さん、お義母さんに連絡してみてもいいですか?」
「あぁ…海斗からの連絡じゃ喜ぶんじゃないか?」
僕はお義母さんに電話をした。
「あら海斗くんじゃない。元気にしてた?」
「はい。お義母さん久しぶりです。今、電話しても大丈夫ですか?」
「また透がなんかしたの?こんな時間に電話くるなんて…」
「そうじゃないんです。あの…透さんの副社長就任パーティーの会場なんですけど…」
「あら?透から聞いたの?実は、日程を今日周知したって角谷さんから聞いたから連絡して、もう予約取っちゃったの。ごめんね。本当は候補があった?」
「え?本当ですか?予約まで…すみません」
「ううん。明日、室長にでも連絡しようと思ったんだけどね。先走りすぎたかしら?」
「お義母さん、ありがとうございます」
「じゃあ大変だと思うけど、よろしくね。あ…そうだ。海斗くん、今度の日曜日予定あるかしら?」
「日曜日は特に…」
「あら、じゃあデートしましょう?」
「デート?」
透さんがびっくりしてスピーカーに切り替えた。
「お袋、デートってどういうこと?」
「あら透、心配しなくても、貴方も一緒に行く?日曜日に行きましょう」
「日曜日?どこに」
「いいから。また連絡するから。じゃあね」
透さん、日曜日どこに行くんでしょうかね?
わからないけど…海斗を連れて行きたいんだろ?俺は付き添いみたいなもんだな。
そんなことないです。
でも流石にお袋とはいえども2人きりは反対だから。
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