鬼上司と秘密の同居

なの

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お義母さんとデート

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「室長、ホテルの件ですが、浅井部長のお母様からHOTE RESOTIA(ホテルリゾティア)の会場を押さえてくれたと話があったのですが…いかがでしょう?」

「え?どうして小沢に?しかもあのリゾティアって高級ホテルじゃないか。アクセスも抜群にいいし」

「じゃあ、それで進めてもいいですか?」

「でも、なんでわざわざ小沢に?部長のお母様って社長婦人だろ?」

「はい…」やばい…どうしよう。室長は僕と透さんのことは知らないんだった…困ったなぁ…と焦っていると。

「あぁ…昨日私が社長婦人に伝えたんですよ。日程も件も含め、そしたらご友人の旦那様がリゾティアの経営者だから予約しておくって言われたので、ホテルの担当が小沢くんだから、彼に連絡してあげてほしいって…私から室長に連絡差し上げてもよかったのですが…すみません」

「いやいや角谷さんが連絡してくださってたんですね。そりゃそうですよね。小沢と社長の繋がりだって…浅井部長は元上司だけど、部長と社長が親子だって、知らなかったよな?じゃあ会場はそれでいいな。あとは…ホテルとの打ち合わせ等はまた会議とかで担当決めの時に…小沢ありがとうな」

「いえ…失礼しました」

角谷さんが来てくれてよかった…とホッとして飲み物を取りに給湯室に行くと角谷さんがいた。

「角谷さん、先程は助かりました。すみません」

「いえいえ。そりゃまだ内緒ですからね。何かあったら教えてください。いつでもフォローするので」

「ありがとうございます」
角谷さんがいてくれなかったらバレちゃうのかな?そんな不安も少しあったが、いつもの業務に加え、これから忙しくなるんだと気を引き締めないと…
そんなことがあったが、いつの間にかお義母さんとのお出かけの日が近づいてきた。

「海斗、明日だろ?」

「はい。お義母さんからメッセージきて明日11時に迎えに来てって言ってました」

「わかった。…って迎え?」

「はい。透さんの車で行きたいからって、お義母さんの車、今車検中で代車は乗りづらいからって…」

「まぁいいか俺もお袋の車って居心地悪いしな。それより今日、どうだった?勉強難しいか?」

「何とか…今回は筆記だけじゃなくて面接もあるので、その対策も。でも透さん、パーティーの日は試験終わってるけど、まだ結果が出てないんですよね…」

「別に大丈夫だから。万が一落ちたとしてもそれで俺のパートナーになれないわけじゃないからな」

「そうですね。それにしても明日はどこに行くんでしょう?」

「俺にも見当もつかないな。きっと海斗を連れて行きたい場所があるんだろうから」

「はい楽しみです」
僕は少しドキドキしていた。お義母さんはどこに連れてってくれるんだろうか?そう思いながら、いつも通り透さんに抱きしめてもらいながら眠りについた。



翌朝、透さんの車で迎えに行くとお義母さんが待っていてくれた。
「待ってたわよ。早く行きましょ」
と後部座席に座ったので僕も隣に座った。なんとなく助手席は…と思ったら、お義母さんはいいのよ気を使わなくても…と笑ってくれた。

「…で?どこ行けばいい?」

「林さんのところまで」

「林さんって」

「海斗くんには着くまで内緒にしたいから、それ以上は内緒ね」

「わかったよ」
動き出すとお義母さんがお昼はどこに行こうか?稔さんのランチでもいいわね。やってるかしら?と電話をかけ始めた。
僕は、どこに行くのかわからないままドキドキしながら外の景色を眺めていた。

お義母さんは電話が終わったみたいで、2時間後に稔さんの所だからね。と言われたが、誰だろう?と思ったが、里中さんのところだと教えてくれた。

閑静な住宅街の1軒の駐車場に止まった。誰かの家だろうか…お義母さんに促されて降りたら、家の主人らしき方が玄関の前で待っていてくれた。スリーピースを身にまとった男性がいた。

「お久しぶりです里中さん。わざわざ来ていただいて」

「こちらこそ今日はお願いします」

「さぁどうぞ」
家に入って、奥に進むと「うわー」
所狭しとたくさんの生地が置いてあった。

「ここはテーラーといって、オーダーメイドのスーツを作ってくれるんだ、きっとお袋が海斗に作ってあげたいんだろう」

「せっかくのパーティーですもの、しかもお披露目でしょ。誠さんと私からの気持ちだから」

「ありがとうございます」

「誠さんもこの前オーダーしたのよね」

「先日はありがとうございました。そのときにお話は聞いてたのですが、やっぱり可愛らしい青年ですね」

「かわいいって…」

「海斗は可愛いよ。俺が惚れてるんだから」

「あらまあ。私も誠さん連れてくればよかった」

「お袋は何着るんだ?」

「私は着物よ。もう頼んでるから大丈夫。素敵なのよ」

「お義母さん楽しみにしてます」

「あら嬉しい。じゃあ海斗くんの番ね。どんなのがいいかしら?」

「そうですね、礼服がいいと思いますが、若いのでタキシードでいいかと思いますが…」

僕は生まれて初めてオーダーメイドのスーツを作ることになった。


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