75 / 105
海斗くん守る会
しおりを挟む
室長からの話の内容を整理しながら親父が
「それにしても、なぜ透が海斗くんを推薦したって話になってるんだ?」
「それが…いつの間にかそういう話になってて…最初は上層部が…と言う話だったのが、デルが来たから海斗くんの居場所がなくなったから透さんが海斗くんを秘書課に移したというのが推薦に変わったんじゃないかと…」
「そんなのおかしいだろ。確かに俺の秘書にさせたいって言ったけど…」
「それにしても海斗くんを陥れて川上さんを透の秘書にしようと考えてるんだろう?そんなことして室長にメリットはあるのか?」と親父が角谷さんに質問した。それは俺も不思議でならない。
「それが、調べた情報によると川上の実家が不動産業をしているのですが、新しくグループ会社を作るそうなんです。その副社長になるのが室長の長年の思い人のようでして、これから秘書を募集するとの情報をどこからか得たようです。そのことを川上に伝えると自分を透さんの秘書にしてくれれば、川上が父に頼んで室長をその方の秘書に推薦してあげると打診されたようです」
「もうそんな情報を集めたのか、相変わらず仕事が早いな」
「いえ…自分はそれくらいしかできずに申し訳ありません」
「流石です。角谷さん、教えてくれてありがとうございました。そんな人がいたんですね」
「そうか…ここの室長を辞めてまでその人の秘書になりたいってわけか…なら今すぐ辞めてもらっても構わないな」
「親父っ」
「だってそうだろ?自分の立場があるのに、それをわかってない行動をする奴は俺はいらない。気に入らない。しかも俺の大事な息子が辛い思いをしてるんだろ?透、お前だって同じ気持ちだろ?海斗くんに謝らないと…」
「自分も、海斗くんが辛い言葉をかけられてたのに声をかけてあげられませんでしたから…」
「親父、角谷さん…俺も正直、はらわたが煮えくりかえってます。でもちゃんと教えてくれて、対策まで考えてくれてありがとうございます」
「これは海斗くんに対する名誉毀損に当たるぞ。どうする訴えてみるか?勝てるように仕向けられるぞ」
「里中の叔父さん…いつの間に…」
「海斗くんを守る会のメンバーだからな俺は」
「じゃあ、あの2人に制裁を与えなくちゃ気が済まないな。でもまあ言い訳くらいは聞いてやるか?」
それから俺たち4人は明日の対策を練った。
「透、今日は頼むな。寄ってもらったのはお前に伝えたいことがあったんだ」
「何かあったのか?」
「このことは専務と常務にも伝え済みだから安心しろよ」
「話してくれたのか?」
「当たり前だろ。俺たちは海斗くん守る会なんだから。じゃあまた後でな。俺がいいって言うまでお前は会議では余計なことを言ってヒートアップするなよ。相手が怖気付くかもしれないからな。一応、忠告な」
そう言われて俺は営業部に戻り仕事をした。でも今日はどうしても時間を気にしてしまうが仕方ないだろう。海斗は昼ごはん食べられただろうか?今日が解決すれば胃の痛みも少しは落ち着くだろうか?
会議もあるからその前に昼飯に行くか…そう思ったら
「部長、少しよろしいでしょうか?」珍しく平井が来た。もしかして海斗に何かあったのか?
「13時から会議があるから飯食いながらでもいいか?」
「はい。大丈夫です」
平井と社食に行った。
「どうした?なんかあったのか?」
「あの…小沢が元気がないのが気になって…」
「あぁ…心配かけて悪いな」
「いえ…なんか部長と喧嘩をしたわけでもなさそうだし、でも理由を聞いても教えてくれなくて…今日も朝会った時に元気がなさそうだったから昼飯誘ったのに会議の準備が忙しいからって断られてしまって…」
「そうか…会議が終わったら、平井にも色々話ができると思うから。それまで待っててくれないか?」
「わかりました。小沢のことよろしくお願いします」
「わかってる。大丈夫だ」
平井に先に行くと伝え、俺は会議室に向かった。会議室には海斗の他、数人の秘書が準備を整えて出てきた所だった。
「浅井部長、お疲れ様です。会議室の準備は整っておりますので名札が置いてあるお席でもうしばらくお待ちください。今コーヒーをお持ちいたします。小沢さん準備してきて」
そう言われて海斗が「少々お待ちください…」と言って給湯室に向かった。
相変わらず元気もないし…覇気もない。昼も食べられなかったんじゃないか?
「お待たせいたしました」
「大丈夫か?」
「はい。大丈夫です」
そうは見えないんだけどなぁーまぁ仕方がないか…
「これ、ありがとな」
ネクタイピンを掲げてみせると一瞬驚いた顔をしたが、だんだんと目が潤みはじめた。なんだ?そう思った途端、ガヤガヤと人が入ってきてしまった。今日の会議のメンバーは各部署の課長クラス以上だ。
今日の議題は各部署の中間報告や市場調査報告などだ。それに加え来月のパーティーの確認事項の報告など盛りだくさんだ。1つ1つの報告が終わり、そろそろ会議が終わりそうな頃、やっとあの男が立ち上がった。
「1つ皆様にご報告と、ご提案があります」そう言い出したのは土居室長だった。
「室長、まだ何か確認事項がありましたか?それとも別のことでしょうか?」
皮肉な笑みを浮かべながら社長が室長に問いかけた。こういう顔をする時の親父は裏が怖いんだよな…と思っていたら
「聞いてください。皆様、浅井部長の推薦で秘書課に来た小沢海斗ですが、正直、使い物にならなくて困っています」と言いはじめた。
海斗の方がお前のせいで辛い思いをしてるのに…とつい心の声が出そうになった。
「それにしても、なぜ透が海斗くんを推薦したって話になってるんだ?」
「それが…いつの間にかそういう話になってて…最初は上層部が…と言う話だったのが、デルが来たから海斗くんの居場所がなくなったから透さんが海斗くんを秘書課に移したというのが推薦に変わったんじゃないかと…」
「そんなのおかしいだろ。確かに俺の秘書にさせたいって言ったけど…」
「それにしても海斗くんを陥れて川上さんを透の秘書にしようと考えてるんだろう?そんなことして室長にメリットはあるのか?」と親父が角谷さんに質問した。それは俺も不思議でならない。
「それが、調べた情報によると川上の実家が不動産業をしているのですが、新しくグループ会社を作るそうなんです。その副社長になるのが室長の長年の思い人のようでして、これから秘書を募集するとの情報をどこからか得たようです。そのことを川上に伝えると自分を透さんの秘書にしてくれれば、川上が父に頼んで室長をその方の秘書に推薦してあげると打診されたようです」
「もうそんな情報を集めたのか、相変わらず仕事が早いな」
「いえ…自分はそれくらいしかできずに申し訳ありません」
「流石です。角谷さん、教えてくれてありがとうございました。そんな人がいたんですね」
「そうか…ここの室長を辞めてまでその人の秘書になりたいってわけか…なら今すぐ辞めてもらっても構わないな」
「親父っ」
「だってそうだろ?自分の立場があるのに、それをわかってない行動をする奴は俺はいらない。気に入らない。しかも俺の大事な息子が辛い思いをしてるんだろ?透、お前だって同じ気持ちだろ?海斗くんに謝らないと…」
「自分も、海斗くんが辛い言葉をかけられてたのに声をかけてあげられませんでしたから…」
「親父、角谷さん…俺も正直、はらわたが煮えくりかえってます。でもちゃんと教えてくれて、対策まで考えてくれてありがとうございます」
「これは海斗くんに対する名誉毀損に当たるぞ。どうする訴えてみるか?勝てるように仕向けられるぞ」
「里中の叔父さん…いつの間に…」
「海斗くんを守る会のメンバーだからな俺は」
「じゃあ、あの2人に制裁を与えなくちゃ気が済まないな。でもまあ言い訳くらいは聞いてやるか?」
それから俺たち4人は明日の対策を練った。
「透、今日は頼むな。寄ってもらったのはお前に伝えたいことがあったんだ」
「何かあったのか?」
「このことは専務と常務にも伝え済みだから安心しろよ」
「話してくれたのか?」
「当たり前だろ。俺たちは海斗くん守る会なんだから。じゃあまた後でな。俺がいいって言うまでお前は会議では余計なことを言ってヒートアップするなよ。相手が怖気付くかもしれないからな。一応、忠告な」
そう言われて俺は営業部に戻り仕事をした。でも今日はどうしても時間を気にしてしまうが仕方ないだろう。海斗は昼ごはん食べられただろうか?今日が解決すれば胃の痛みも少しは落ち着くだろうか?
会議もあるからその前に昼飯に行くか…そう思ったら
「部長、少しよろしいでしょうか?」珍しく平井が来た。もしかして海斗に何かあったのか?
「13時から会議があるから飯食いながらでもいいか?」
「はい。大丈夫です」
平井と社食に行った。
「どうした?なんかあったのか?」
「あの…小沢が元気がないのが気になって…」
「あぁ…心配かけて悪いな」
「いえ…なんか部長と喧嘩をしたわけでもなさそうだし、でも理由を聞いても教えてくれなくて…今日も朝会った時に元気がなさそうだったから昼飯誘ったのに会議の準備が忙しいからって断られてしまって…」
「そうか…会議が終わったら、平井にも色々話ができると思うから。それまで待っててくれないか?」
「わかりました。小沢のことよろしくお願いします」
「わかってる。大丈夫だ」
平井に先に行くと伝え、俺は会議室に向かった。会議室には海斗の他、数人の秘書が準備を整えて出てきた所だった。
「浅井部長、お疲れ様です。会議室の準備は整っておりますので名札が置いてあるお席でもうしばらくお待ちください。今コーヒーをお持ちいたします。小沢さん準備してきて」
そう言われて海斗が「少々お待ちください…」と言って給湯室に向かった。
相変わらず元気もないし…覇気もない。昼も食べられなかったんじゃないか?
「お待たせいたしました」
「大丈夫か?」
「はい。大丈夫です」
そうは見えないんだけどなぁーまぁ仕方がないか…
「これ、ありがとな」
ネクタイピンを掲げてみせると一瞬驚いた顔をしたが、だんだんと目が潤みはじめた。なんだ?そう思った途端、ガヤガヤと人が入ってきてしまった。今日の会議のメンバーは各部署の課長クラス以上だ。
今日の議題は各部署の中間報告や市場調査報告などだ。それに加え来月のパーティーの確認事項の報告など盛りだくさんだ。1つ1つの報告が終わり、そろそろ会議が終わりそうな頃、やっとあの男が立ち上がった。
「1つ皆様にご報告と、ご提案があります」そう言い出したのは土居室長だった。
「室長、まだ何か確認事項がありましたか?それとも別のことでしょうか?」
皮肉な笑みを浮かべながら社長が室長に問いかけた。こういう顔をする時の親父は裏が怖いんだよな…と思っていたら
「聞いてください。皆様、浅井部長の推薦で秘書課に来た小沢海斗ですが、正直、使い物にならなくて困っています」と言いはじめた。
海斗の方がお前のせいで辛い思いをしてるのに…とつい心の声が出そうになった。
461
あなたにおすすめの小説
黒の執愛~黒い弁護士に気を付けろ~
ひなた翠
BL
小野寺真弥31歳。
転職して三か月。恋人と同じ職場で中途採用の新人枠で働くことに……。
朝から晩まで必死に働く自分と、真逆に事務所のトップ2として悠々自適に仕事をこなす恋人の小林豊28歳。
生活のリズムも合わず……年下ワンコ攻め小林に毎晩のように求められてーー。
どうしたらいいのかと迷走する真弥をよそに、熱すぎる想いをぶつけてくる小林を拒めなくて……。
忙しい大人の甘いオフィスラブ。
フジョッシーさんの、オフィスラブのコンテスト参加作品です。
若頭の溺愛は、今日も平常運転です
なの
BL
『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』続編!
過保護すぎる若頭・鷹臣との同棲生活にツッコミが追いつかない毎日を送る幼なじみの相良悠真。
ホットミルクに外出禁止、舎弟たちのニヤニヤ見守り付き(?)ラブコメ生活はいつだって騒がしく、でもどこかあったかい。
だけどそんな日常の中で、鷹臣の覚悟に触れ、悠真は気づく。
……俺も、ちゃんと応えたい。
笑って泣けて、めいっぱい甘い!
騒がしくて幸せすぎる、ヤクザとツッコミ男子の結婚一直線ラブストーリー!
※前作『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』を読んでからの方が、より深く楽しめます。
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。
今日もBL営業カフェで働いています!?
卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ
※ 不定期更新です。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる