王弟殿下は運命の番を離さない

なの

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きっと言い合っていた声が聞こえたのかもしれない。
「大丈夫?」
そう言いながらルディたちが入ってきてリオルはまた肩をすくめて縮こまってしまった。するとルディがリオルを抱きしめてきた。

「リオル、今まで辛いこと苦しいことたくさん経験してきたから、急にこんな王族の運命の番だって言われてびっくりしたと思うし戸惑うリオルの気持ち、僕はすごくよくわかるんだ。僕はね施設で育ったんだ。父親はもともといなかったと思う。母と2人で生活してたけど僕がオメガだってわかったときにこの国に置き去りにされたんだ。僕がオメガだったから……それに働く場所は娼館しかないって言われたこともあるけど僕はそれだけは嫌だったんだ。だから抑制剤を飲んでベータって偽ってあまり職場環境がよくないといわれてる工場で働いてた時にエルが視察できて出会ったの。運命の番って言われて僕も戸惑った。しかもみんなにオメガだってばれちゃったし。王族はアルファと結婚すると思ってたんだ。こんな自分が……ってすごく悩んだ。でもね、考えても僕もエルとは離れられないと気がついた。身分とか、自分の置かれてる立場とか育った環境とか全部エルとは違うけどエルが言ってくれたの。僕のことは全力で守ってくれるって。それにおばあ様もお母様も自分たちは親に決められて結婚したから羨ましいって運命の番なんて素敵だって。だから僕は今ここにいるんだ。それにみんな僕のことをオメガだからって言わないし、きっとエルが言わせないでくれてるんだと思う。だからリオル、僕もここで生きてるからリオルもアルと幸せになって」

リオルはルディと一緒に大粒の涙をこぼしていた。祖母も母もリオルを抱きしめてくれた。兄夫婦のことはあまり詳しく聞いたことはなかったが、ルディにそんな過去があったなんてしらなかった。ただ兄が運命の番を見つけたと聞いた時には羨ましく思っていた。

「アル、リオルのこと離すんじゃないぞ絶対に。リオル、アルに何か言われたらルディを頼るといい。わが家は王族って言ったって普通の家族だ。ただ俺が国王だから国を守らないといけない使命があって、国のみんなを大事に思ってはいるが、やっぱり1番守るべきものは自分の家族だと言えるほど俺は家族を愛してるんだ。ただ生まれた場所がここだっただけなんだ。身分なんて関係ない。お互いがお互いを信頼して、愛し合っていればそれだけでいいんじゃないのか?もし何か理不尽なことやオメガを侮辱するようなことを言われたら俺やアルが黙ってない。それ相当の制裁を加える。だからリオル、アルのことを愛してくれているなら俺たちと本当の家族になってくれないか?」
兄の言葉にリオルは声をあげて泣き出してしまった。今までの胸のつかえがとれたように……


◇◆◇◆◇◆◇◆


「アル早く早く」
「リオルそんなに慌ててるとお腹の子もびっくりするし、それに走って転んだらどうするんだ。ほら俺と手をつないでゆっくり歩こう。みんな待っててくれるんだから急がなくても大丈夫だ」
「全くパパは過保護ですよね~ついこの前まで掃除もしてたんだから大丈夫だよね~」
「だからそれはやめさせただろ」


あの後リオルは目を腫らすほど泣かせてしまった。すぐに医者を呼んで診てもらうと、やはりリオルは妊娠していた。
妊娠中はささいなことでも気持ちが不安定になることが多いから、しっかりと支えるようにと言われてしまった。
ルディのおかげでその後は卑屈に思うことが少なくなったように感じていたし、俺もことあるごとにリオルに愛を伝え続けた。
ロルフとラルフに会いに行く機会も増えてそのたびに、祖母や母から料理を教えてもらっては屋敷でも作ってくれるようになった。みんながリオルのことを歓迎してくれていた。

本当は結婚式を挙げたいといったのだが、もともと恥ずかしがりやで目立つのは嫌な性格なのもあって国中のみんなには顔見せだけで終わり、後日、身内と使用人を集めて小さな教会で愛を誓い合った。

さっき母からルディが無事に出産したと知らせを受けて会いにいくところだ。リオルは妊娠してからも掃除や洗濯、それに料理までやるようになってしまいお腹が大きくなっても頑張ってしまう様子に使用人たちからドキドキして身が持たないから早く休ませてくれと報告が上がっていた。俺が言っても大丈夫と毎日頑張りすぎていたが先月、リオル自身も気がつかないうちに疲れが溜まってしまったのだろう熱を出してしまった。その時に、生まれて落ち着くまで家事をするのは禁止と医者に言われてしぶしぶ休んでくれることになって安堵していたが、今日だけは……と張り切って長い廊下を俺の前をやや小走りしている。俺はヒヤヒヤが止まらずリオルの手を引いて王宮へと向かった。


「リオル来てくれてありがとう。エルの希望だった女の子だったの。かわいいでしょ?リオルも自分の子供が生まれたら凄くかわいいと思うよ。練習だと思って抱っこしてみない?」
色が白くて、目が大きくてルディに似ている女の子だった。

「ルディさん、おめでとうございます。こんにちは僕はリオル。僕の子供が生まれたら一緒に遊んでね」
そう言って生まれたばかりの赤ちゃんを抱き上げた。

「うわぁ~柔らかくて緊張ちちゃいます。でもふわふわしてて温かい。アルかわいいね。僕たちの子供も無事に生まれてくるといいね」
「あぁ、かわいいな。これから楽しみだ」

あの日リオルに会わなければ今頃俺たちは運命の番だと気がつかずに人生を歩んでいたのかもしれない。そしたら俺はきっと親が選んでくれた相手と結婚していただろう。それなりに相手のことは好きになったかもしれないが、こんなにも手放したくないほど愛おしい存在にはならなかっただろう。
「リオル愛してる」
ルディの子供に微笑んでるリオルのこめかみにキスをした。

すこし暑いくらいの日差しが窓から降り注いでた。あと少しでリオルとの子供が生まれる。守るべき宝物がまた1つ増えるのが楽しみな反面、子供にリオルを取られないか心配だな。と心のなかで苦笑しながらも、これから家族が増えてますます賑やかに楽しくなるのが今から楽しみだ。


END

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