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柔らかな朝の光が、レースのカーテン越しに部屋に満ちてきた。隣で眠る弦也の穏やかな寝息を乱さないよう、そっとベッドを抜け出した。
すっかり見慣れたキングサイズのベッドも素足に心地よい大理石の床も、もう俺を気後れさせることはない。
ここは――、俺の家なのだから。
キッチンに立ち冷蔵庫から卵を取り出す。
数ヶ月前の自分を思い出すと、まるで前世の記憶のように遠い。
終電を逃した駅前で途方に暮れ、スマホの「最終通知」に怯え、「俺なんて」と世界を呪っていた日々。あの頃の俺に、こんな未来が待っていると誰が教えられただろう。
ふと、左手の薬指で静かに光るリングに目を落とす。弦也とお揃いの、シンプルなプラチナのリング。
視線でなぞるたびに、胸の奥に温かいものが満ちていく。
――俺はもう、一人じゃない。
「……おはよう、悠斗」
背後からたくましい腕に抱きしめられ、思考が中断される。首筋に顔をうずめる弦也の髪がくすぐったい。この不意打ちのバックハグも、今ではすっかり朝の習慣だ。
「おはようございます、弦也さん。よく眠れましたか?」
「お前が隣にいれば、いつでもな。……今日はスクランブルエッグか?」
彼の低い声が耳元で甘く響く。
「はい。この前の出張帰り、『悠斗の作る卵料理が一番うまい』って言ってたから、張り切っちゃいました」
俺が少しだけ得意げに言うと、弦也は嬉しそうに喉を鳴らし、腕の力を強めた。
「ああ。どんな高級ホテルの朝食より、お前が俺のために作ってくれるものが一番だ。この特権は、誰にも譲らん」
振り返って、軽くキスを交わす。甘くて、優しい、一日の始まりの挨拶。
その時、ふっと視界が揺れた。ほんの一瞬のめまい。昨日、少し無理して残業したせいだろうか。
「悠斗?」
弦也の目が、鋭く俺を捉える。何でもないふりをしようとしたのに、彼の前ではどんな小さな変化も隠せない。
「顔色が悪い。熱があるんじゃないか」
大きな手が俺の額に触れる。ひんやりとして気持ちいい。
「……少し、熱いな。今日は会社を休め」
「だ、大丈夫です!ちょっと疲れてるだけで……」
「俺の言うことが聞けないのか」
声のトーンが、一瞬だけ昔の彼に戻る。
有無を言わさぬ、絶対的な支配者の声。でも、その瞳の奥に揺れているのは、紛れもない心配の色だった。このギャップが、たまらなくずるい。
「……わかりました」
観念して頷くと、弦也は俺の身体をふわりと横抱きにした。突然の浮遊感に、思わず彼の首にしがみつく。
「ちょっ……!自分で歩けますって!」
「病人は黙って運ばれていろ」
悪びれもせずに言い切り、彼は寝室へと戻る。
ベッドに優しく降ろされ、上質な羽布団を掛けられた。重要な会議があるはずなのに、彼は鷹羽さんに電話をかけ、「今日の予定はすべてキャンセルだ」と簡潔に告げている。
俺一人のために、世界を動かす男。その事実が、申し訳なさと同時に、どうしようもないほどの幸福感をもたらした。
薬を飲まされ、冷たいタオルで額を冷やされ、至れり尽くせりの看病が始まった。
食事も、彼が作った消化のいいスープ。昔、高熱で一人きり、心細さに泣いた夜を思い出す。
今は、すぐ隣に彼がいる。その温もりが、何よりの薬だった。
夕方、熱が下がり身体が楽になってきた頃。
「汗を流した方がいい。風呂に入るぞ」
「一人で大丈夫です」
「湯冷めしたらどうする。俺が一緒に入って、洗ってやる」
「……っ!」
当然のように告げられた言葉に、顔が熱くなる。
熱がぶり返したのかもしれない。結局、抵抗も虚しく、俺は彼と共に広すぎるバスルームへと連れて行かれた。
結局、抵抗も虚しく、俺は彼と共に広すぎるバスルームへと連れて行かれた。
先に身体を清めた後、たっぷりと張られた湯船に二人で浸かる。
俺は弦也の逞しい胸板に背中を預け、彼の腕の中にすっぽりと収まるようにして座った。彼の体温がじんわりと伝わってきて、心臓がトクンと鳴る。
「……大丈夫か」
頭上から降ってきた声に、こくりと頷く。病み上がりの身体に、お湯の温かさと彼の体温がじんわりと染み渡っていく。その心地よさに、思わずふぅ、と長い息が漏れた。
弦也の指が、俺の腹のあたりをそっとなぞる。
びくりと身体が跳ねると、彼は面白そうに喉を鳴らした。
「これからもちゃんと食わせる。俺の管理下で、お前を甘やかすのが楽しみだ」
「……もう、十分甘やかされてます」
「まだ足りん。お前が『もう無理だ』と音を上げるまで、やめない」
囁くような声と、お湯が揺れる音だけが響く。その静かな時間が心地よくて、だんだんと瞼が重くなってきた。彼の胸に身体を預けたまま、ウトウトと意識が微睡んでいく。
「……悠斗」
「……ん……」
「眠いのか」
「……すこし……」
返事をすると、弦也は俺の身体を支える腕に力を込めた。
「寝ていい。俺がいる」
その言葉が、どんな魔法よりも安心感をくれた。彼の腕の中は、世界で一番安全で、温かい場所。
微睡みの中、額に優しいキスが落とされたのを感じた。
「まだ顔が赤いな」
「……弦也さんのせいです」
「自覚している」
そう言って、彼は濡れた唇で俺のそれに触れた。湯気で潤んだ、熱いキス。
最初は啄むようだったのが、次第に深くなり、舌が絡み合って、息が苦しくなる。バスタブの中だということも忘れて、夢中で彼を求めていた。
風呂から上がると、またしてもお姫様抱っこでベッドまで運ばれた。用意されていたふかふかのパジャマに袖を通し、ベッドに潜り込むと、弦也も隣に入ってくる。
「もう、大丈夫ですから」
「俺が、お前といたいだけだ」
そう言って、彼は俺を腕の中に閉じ込めた。彼の心音が、耳元で聞こえる。それが、世界で一番安心する音だった。
「悠斗」
「なんですか?」
「愛してる」
静かな夜に響く、低く甘い声。それはもう、聞き慣れた言葉のはずなのに、言われるたびに胸が熱くなる。俺は顔を上げて、彼の瞳をまっすぐに見つめ返した。
「俺も、愛してます。弦也さん」
その答えを待っていたかのように、弦也は深く口づけた。もう、どちらのものかもわからない吐息が混じり合う。
冷酷で支配的だったはずの御曹司は、今では俺にだけ惜しみない愛を注いでくれる、世界で一番甘い恋人だ。
借金のカタに始まったこの同居生活に、逃げ場なんてどこにもなかった。
でも、それでいい。それで、よかったんだ。
だって、俺が唯一帰りたかった居場所は、もうずっと前から、この人の腕の中にだけあったのだから。
溺れるほどに甘いこの日々が、俺のすべて。
この腕の中が、俺の永遠の終着点だ。
すっかり見慣れたキングサイズのベッドも素足に心地よい大理石の床も、もう俺を気後れさせることはない。
ここは――、俺の家なのだから。
キッチンに立ち冷蔵庫から卵を取り出す。
数ヶ月前の自分を思い出すと、まるで前世の記憶のように遠い。
終電を逃した駅前で途方に暮れ、スマホの「最終通知」に怯え、「俺なんて」と世界を呪っていた日々。あの頃の俺に、こんな未来が待っていると誰が教えられただろう。
ふと、左手の薬指で静かに光るリングに目を落とす。弦也とお揃いの、シンプルなプラチナのリング。
視線でなぞるたびに、胸の奥に温かいものが満ちていく。
――俺はもう、一人じゃない。
「……おはよう、悠斗」
背後からたくましい腕に抱きしめられ、思考が中断される。首筋に顔をうずめる弦也の髪がくすぐったい。この不意打ちのバックハグも、今ではすっかり朝の習慣だ。
「おはようございます、弦也さん。よく眠れましたか?」
「お前が隣にいれば、いつでもな。……今日はスクランブルエッグか?」
彼の低い声が耳元で甘く響く。
「はい。この前の出張帰り、『悠斗の作る卵料理が一番うまい』って言ってたから、張り切っちゃいました」
俺が少しだけ得意げに言うと、弦也は嬉しそうに喉を鳴らし、腕の力を強めた。
「ああ。どんな高級ホテルの朝食より、お前が俺のために作ってくれるものが一番だ。この特権は、誰にも譲らん」
振り返って、軽くキスを交わす。甘くて、優しい、一日の始まりの挨拶。
その時、ふっと視界が揺れた。ほんの一瞬のめまい。昨日、少し無理して残業したせいだろうか。
「悠斗?」
弦也の目が、鋭く俺を捉える。何でもないふりをしようとしたのに、彼の前ではどんな小さな変化も隠せない。
「顔色が悪い。熱があるんじゃないか」
大きな手が俺の額に触れる。ひんやりとして気持ちいい。
「……少し、熱いな。今日は会社を休め」
「だ、大丈夫です!ちょっと疲れてるだけで……」
「俺の言うことが聞けないのか」
声のトーンが、一瞬だけ昔の彼に戻る。
有無を言わさぬ、絶対的な支配者の声。でも、その瞳の奥に揺れているのは、紛れもない心配の色だった。このギャップが、たまらなくずるい。
「……わかりました」
観念して頷くと、弦也は俺の身体をふわりと横抱きにした。突然の浮遊感に、思わず彼の首にしがみつく。
「ちょっ……!自分で歩けますって!」
「病人は黙って運ばれていろ」
悪びれもせずに言い切り、彼は寝室へと戻る。
ベッドに優しく降ろされ、上質な羽布団を掛けられた。重要な会議があるはずなのに、彼は鷹羽さんに電話をかけ、「今日の予定はすべてキャンセルだ」と簡潔に告げている。
俺一人のために、世界を動かす男。その事実が、申し訳なさと同時に、どうしようもないほどの幸福感をもたらした。
薬を飲まされ、冷たいタオルで額を冷やされ、至れり尽くせりの看病が始まった。
食事も、彼が作った消化のいいスープ。昔、高熱で一人きり、心細さに泣いた夜を思い出す。
今は、すぐ隣に彼がいる。その温もりが、何よりの薬だった。
夕方、熱が下がり身体が楽になってきた頃。
「汗を流した方がいい。風呂に入るぞ」
「一人で大丈夫です」
「湯冷めしたらどうする。俺が一緒に入って、洗ってやる」
「……っ!」
当然のように告げられた言葉に、顔が熱くなる。
熱がぶり返したのかもしれない。結局、抵抗も虚しく、俺は彼と共に広すぎるバスルームへと連れて行かれた。
結局、抵抗も虚しく、俺は彼と共に広すぎるバスルームへと連れて行かれた。
先に身体を清めた後、たっぷりと張られた湯船に二人で浸かる。
俺は弦也の逞しい胸板に背中を預け、彼の腕の中にすっぽりと収まるようにして座った。彼の体温がじんわりと伝わってきて、心臓がトクンと鳴る。
「……大丈夫か」
頭上から降ってきた声に、こくりと頷く。病み上がりの身体に、お湯の温かさと彼の体温がじんわりと染み渡っていく。その心地よさに、思わずふぅ、と長い息が漏れた。
弦也の指が、俺の腹のあたりをそっとなぞる。
びくりと身体が跳ねると、彼は面白そうに喉を鳴らした。
「これからもちゃんと食わせる。俺の管理下で、お前を甘やかすのが楽しみだ」
「……もう、十分甘やかされてます」
「まだ足りん。お前が『もう無理だ』と音を上げるまで、やめない」
囁くような声と、お湯が揺れる音だけが響く。その静かな時間が心地よくて、だんだんと瞼が重くなってきた。彼の胸に身体を預けたまま、ウトウトと意識が微睡んでいく。
「……悠斗」
「……ん……」
「眠いのか」
「……すこし……」
返事をすると、弦也は俺の身体を支える腕に力を込めた。
「寝ていい。俺がいる」
その言葉が、どんな魔法よりも安心感をくれた。彼の腕の中は、世界で一番安全で、温かい場所。
微睡みの中、額に優しいキスが落とされたのを感じた。
「まだ顔が赤いな」
「……弦也さんのせいです」
「自覚している」
そう言って、彼は濡れた唇で俺のそれに触れた。湯気で潤んだ、熱いキス。
最初は啄むようだったのが、次第に深くなり、舌が絡み合って、息が苦しくなる。バスタブの中だということも忘れて、夢中で彼を求めていた。
風呂から上がると、またしてもお姫様抱っこでベッドまで運ばれた。用意されていたふかふかのパジャマに袖を通し、ベッドに潜り込むと、弦也も隣に入ってくる。
「もう、大丈夫ですから」
「俺が、お前といたいだけだ」
そう言って、彼は俺を腕の中に閉じ込めた。彼の心音が、耳元で聞こえる。それが、世界で一番安心する音だった。
「悠斗」
「なんですか?」
「愛してる」
静かな夜に響く、低く甘い声。それはもう、聞き慣れた言葉のはずなのに、言われるたびに胸が熱くなる。俺は顔を上げて、彼の瞳をまっすぐに見つめ返した。
「俺も、愛してます。弦也さん」
その答えを待っていたかのように、弦也は深く口づけた。もう、どちらのものかもわからない吐息が混じり合う。
冷酷で支配的だったはずの御曹司は、今では俺にだけ惜しみない愛を注いでくれる、世界で一番甘い恋人だ。
借金のカタに始まったこの同居生活に、逃げ場なんてどこにもなかった。
でも、それでいい。それで、よかったんだ。
だって、俺が唯一帰りたかった居場所は、もうずっと前から、この人の腕の中にだけあったのだから。
溺れるほどに甘いこの日々が、俺のすべて。
この腕の中が、俺の永遠の終着点だ。
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