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「お風呂ですって?」
「ああ。村に一つだけ、共同の浴場があるんだ。たまには大きい風呂に入りたくなった」
マスカルの提案に、グルメアは顔をしかめた。
「共同浴場……? 平民たちと肌を合わせろと? ご冗談でしょう?」
「じゃあ、あんたはここで水浴びでもしてろ」
「そ、それは……」
ここ数日、体を拭うだけで済ませていたのも事実。
温かい湯船に浸かれるという魅力は、抗いがたいものがあった。
「……し、仕方ありませんわね。あなたがあまりに不潔だと、わたくしの食欲にも関わりますから。付き合ってさしあげますわ」
例によって、上から目線の許可を出すグルメア。
こうして二人は、夕暮れ時、村の共同浴場へと向かうことになった。
幸い、浴場には誰もおらず、貸切状態だった。
男湯と女湯は、低い木の壁で仕切られているだけという簡素な作りだ。
「いいですこと、マスカル。絶対にこちらを覗いてはなりませんわよ!」
「誰が見るか、そんなもん」
壁の向こうから聞こえる呆れた声に少し安心し、グルメアは久しぶりの湯船に体を沈めた。
「はぁぁ……。生き返りますわ……」
手足を伸ばし、凝り固まった体がほぐれていくのを感じる。
貴族の屋敷にあった、薔薇の花びらを浮かべた大理石の風呂には及ばないが、これはこれで悪くない。
しばらく至福の時を過ごし、そろそろ上がろうかと立ち上がった、その時だった。
ガラッ、と男湯の戸が開く音がした。
どうやら、マスカルが先に上がったようだ。
グルメアも急いで体を拭き、脱衣所へ向かおうとした。
しかし、足を滑らせてしまった。
「きゃっ!」
小さな悲鳴を上げ、とっさに近くの壁に手をついた。
その拍子に、老朽化した壁板が、音を立てて一枚外れてしまったのだ。
「……え?」
壁に、ぽっかりと穴が開いた。
そして、その穴の向こう側──男湯の脱衣所が、見えてしまった。
そこに立っていたのは、ちょうど体を拭いている最中の、マスカルだった。
「……!」
グルメアは息を呑んだ。
湯気に霞む彼の体は、想像以上にたくましかった。
ピザ生地をこね、薪を割ることで鍛え上げられた腕。厚い胸板。引き締まった腹筋。
そして、グルメアの視線は、自然と彼の体の中心へと吸い寄せられた。
彼は、腰にタオルを巻いただけの姿だった。
そして、そのタオルの隙間から、ちらりと見えてしまったのだ。
(なっ……!?)
それは、グルメアが知る、どんなものよりも……。
(なんという……なんという立派な……ソーセージ……!!)
市場で売っている、一番太くて大きい、あの高級なソーセージ。
いや、それすらも霞んで見えるほどの、圧倒的な存在感と、力強いフォルム。
グルメアの頭は、真っ白になった。
思考が停止し、全身の血液が顔に集中する。
「……のぼせ……ましたわ……」
それが、グルメアが最後に発した言葉だった。
次の瞬間、彼女の体は糸が切れた人形のように、その場に崩れ落ちた。
遠のく意識の中で、グルメアは確信していた。
マスカル・ポーネという男は、ピザだけでなく、何もかもが規格外なのだ、と。
「ああ。村に一つだけ、共同の浴場があるんだ。たまには大きい風呂に入りたくなった」
マスカルの提案に、グルメアは顔をしかめた。
「共同浴場……? 平民たちと肌を合わせろと? ご冗談でしょう?」
「じゃあ、あんたはここで水浴びでもしてろ」
「そ、それは……」
ここ数日、体を拭うだけで済ませていたのも事実。
温かい湯船に浸かれるという魅力は、抗いがたいものがあった。
「……し、仕方ありませんわね。あなたがあまりに不潔だと、わたくしの食欲にも関わりますから。付き合ってさしあげますわ」
例によって、上から目線の許可を出すグルメア。
こうして二人は、夕暮れ時、村の共同浴場へと向かうことになった。
幸い、浴場には誰もおらず、貸切状態だった。
男湯と女湯は、低い木の壁で仕切られているだけという簡素な作りだ。
「いいですこと、マスカル。絶対にこちらを覗いてはなりませんわよ!」
「誰が見るか、そんなもん」
壁の向こうから聞こえる呆れた声に少し安心し、グルメアは久しぶりの湯船に体を沈めた。
「はぁぁ……。生き返りますわ……」
手足を伸ばし、凝り固まった体がほぐれていくのを感じる。
貴族の屋敷にあった、薔薇の花びらを浮かべた大理石の風呂には及ばないが、これはこれで悪くない。
しばらく至福の時を過ごし、そろそろ上がろうかと立ち上がった、その時だった。
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どうやら、マスカルが先に上がったようだ。
グルメアも急いで体を拭き、脱衣所へ向かおうとした。
しかし、足を滑らせてしまった。
「きゃっ!」
小さな悲鳴を上げ、とっさに近くの壁に手をついた。
その拍子に、老朽化した壁板が、音を立てて一枚外れてしまったのだ。
「……え?」
壁に、ぽっかりと穴が開いた。
そして、その穴の向こう側──男湯の脱衣所が、見えてしまった。
そこに立っていたのは、ちょうど体を拭いている最中の、マスカルだった。
「……!」
グルメアは息を呑んだ。
湯気に霞む彼の体は、想像以上にたくましかった。
ピザ生地をこね、薪を割ることで鍛え上げられた腕。厚い胸板。引き締まった腹筋。
そして、グルメアの視線は、自然と彼の体の中心へと吸い寄せられた。
彼は、腰にタオルを巻いただけの姿だった。
そして、そのタオルの隙間から、ちらりと見えてしまったのだ。
(なっ……!?)
それは、グルメアが知る、どんなものよりも……。
(なんという……なんという立派な……ソーセージ……!!)
市場で売っている、一番太くて大きい、あの高級なソーセージ。
いや、それすらも霞んで見えるほどの、圧倒的な存在感と、力強いフォルム。
グルメアの頭は、真っ白になった。
思考が停止し、全身の血液が顔に集中する。
「……のぼせ……ましたわ……」
それが、グルメアが最後に発した言葉だった。
次の瞬間、彼女の体は糸が切れた人形のように、その場に崩れ落ちた。
遠のく意識の中で、グルメアは確信していた。
マスカル・ポーネという男は、ピザだけでなく、何もかもが規格外なのだ、と。
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