11 / 28
11
しおりを挟む
「やあやあ、噂の『聖女兼・発明王兼・爆笑コメディエンヌ』の公爵令嬢は君かい?」
とある日の午後。
王宮の庭園で一人、反省会(という名のやけ食い)をしていた私の前に、派手な男が現れた。
金髪の巻き毛に、チャラついた笑顔。
胸元が大きく開いたシャツからは、無駄に色気のある鎖骨が見えている。
「……どちら様でしょうか? わたくし今、人生の虚しさを噛み締めている最中なのですが」
私はマカロンをかじりながら、ジト目で男を見上げた。
男は芝居がかった動作で、バサリとマントを翻した。
「失敬。俺の名はエクレア。隣国ガレット王国の第二王子さ」
「ガレット王国……?」
聞いたことがある。
美食と芸術、そして「自由奔放な恋愛」で有名な国だ。
そこの第二王子といえば、確か……。
「ああ、あの『歩くフェロモン』とか『王族の面汚し』とか呼ばれている……」
「おいおい、手厳しいな子猫ちゃん。せめて『愛の狩人』と呼んでくれよ」
エクレア王子はウィンクを飛ばすと、私の隣に図々しく腰を下ろした。
「で? 君がブリオッシュ嬢だね。サヴァランの婚約者」
「……ええ、一応」
「噂は聞いているよ。パンを買い占めて民衆を救ったり、毒草を駆除して医療革命を起こしたり、ドレスを汚して新素材をアピールしたり……」
彼は指を折りながら、私の「黒歴史(成功例)」を列挙した。
「すごいねえ。サヴァランがあんなに溺愛するのも分かるよ。君、面白いもん」
「面白くないです。わたくしは悪女です」
私はムッとして反論した。
「全ての行動は悪意から始まっているんです! 結果がバグっているだけで!」
「ははは! 『結果がバグってる』か! いいね、そのワードセンス!」
エクレア王子は腹を抱えて笑った。
何がおかしいのよ。
こっちは深刻な悩みだって言ってるのに。
「……それで? 隣国の王子様が、わたくしに何か用ですか?」
「うん。実はね、サヴァランに会いに来たついでに、君をスカウトしに来たんだ」
「スカウト?」
「そう」
エクレア王子は急に真顔になり、私の顔を覗き込んだ。
その瞳は、チャラついた雰囲気とは裏腹に、獲物を値踏みするような鋭い光を宿していた。
「君さあ、この国にいるの、息苦しくない?」
「……え?」
「サヴァランは完璧すぎる。国も真面目すぎる。君みたいな『規格外の劇薬』を扱える土壌じゃない気がするんだよね」
ドキリとした。
図星だ。
私が何をしても、この国の「真面目な常識」と「サヴァラン様の天才的解釈」によって、すべてが善行に丸め込まれてしまう。
悪役になりたくてもなれないジレンマ。
それを、初対面のこの男に見抜かれた?
「そこでだ、ブリオッシュちゃん。俺からの提案」
エクレア王子は私の手を取り、甘い声で囁いた。
「俺と一緒に、ガレット王国に来ないか?」
「……はい?」
「俺の愛人……いや、専属エンターテイナーとしてね。好待遇を約束するよ」
「はぁ!?」
私は素っ頓狂な声を上げた。
「愛人!? 何言ってるんですかこの変態王子!」
「まあまあ、聞いてよ。うちの国は寛容だ。君がパンを買い占めようが、花壇を破壊しようが、誰も『聖女』なんて崇めない。『わはは、また派手にやってるな!』で終わりさ」
「えっ」
「つまり、君は心置きなく『悪女』になれる。思う存分暴れて、破壊して、周囲を困らせても……俺が『まあ彼女は俺の女だから』って笑って許してやる」
悪魔の囁きだ。
でも、なんて甘美な響きだろう。
心置きなく悪女になれる場所。
「聖女」というレッテルを貼られず、ただの「面白い悪女」として生きられる国。
「それに……」
エクレア王子はニヤリと笑った。
「君が俺の国に行けば、サヴァランとの婚約は当然破棄になる。……君の望み通りにね」
「!!」
そこよ!
一番重要なのはそこ!
私が隣国の王子の愛人(という名のペット)になって出奔すれば、さすがのサヴァラン様も私を見限るはず。
『他国の男に走った尻軽女』として、公的に婚約破棄できる!
そうすれば、サヴァラン様の経歴に傷はつかない。
むしろ「裏切られた悲劇の天才王子」として、国民からの同情と支持が集まるわ!
「……その話、詳しく聞かせてもらえるかしら」
私が身を乗り出すと、エクレア王子は満足げに頷いた。
「もちろん。契約金は弾むよ。君の体重と同じ重さの金貨でどう?」
「重すぎますわよ! 床が抜けるわ!」
「あはは! 本当に君は最高だ!」
二人が盛り上がっていると。
ザッ、ザッ、ザッ。
芝生を踏みしめる音が、背後から近づいてきた。
規則正しい、しかしどこか圧を感じる足音。
気温が、急に2、3度下がった気がする。
「……おやおや。私の庭で、随分と楽しそうな商談をしているね」
絶対零度の声。
振り返ると、そこにはサヴァラン様が立っていた。
笑顔だ。
完璧な笑顔だ。
でも、目が笑っていない。
背後に黒いオーラが見えるのは気のせいだろうか。
「やあサヴァラン! 久しぶり!」
エクレア王子は悪びれもせず、片手を上げた。
「相変わらず堅苦しい顔してるなー。だから婚約者が逃げ出したくなるんだよ」
「逃げる? 誰が?」
「ブリオッシュちゃんだよ。彼女、俺の国に来るってさ」
ピキッ。
空気が凍りついた音がした。
サヴァラン様はゆっくりと視線を私に移した。
「……本当かい? ブリオッシュ」
「ひっ」
怖い。
いつもの「余裕綽々の天才王子」じゃない。
本能が「逃げろ」と警鐘を鳴らしている。
でも、ここで引いては悪役令嬢の名折れだ!
私は震える足を叱咤し、精一杯の強がりで顎を上げた。
「ほ、本当ですわ! サヴァラン様!」
「……ほう」
「エクレア殿下は、私の『悪の才能』を正当に評価してくださるとおっしゃいました! この国では、私が何をしても『聖女』扱いされて息が詰まりますの!」
私は拳を握りしめた。
「だから私は、より自分らしく生きられる場所へ……悪の道へ進むために、転職(ヘッドハンティング)を受け入れることにしました!」
どうだ!
これで愛想を尽かしたでしょう!
サヴァラン様はしばしの沈黙の後、ふっ、と短く笑った。
「……なるほど。転職、か」
彼はエクレア王子の方を向き、優雅に一礼した。
「エクレア殿下。遠路はるばる、我が国の至宝を奪いに来てくださり、恐悦至極」
「おっ、分かってくれる? じゃあ譲って……」
「――ですが」
サヴァラン様が顔を上げた瞬間。
バンッ!!
強烈な殺気が、衝撃波となって庭園を揺らした。
鳥たちが一斉に飛び立ち、木々の葉がざわめく。
エクレア王子の顔から、初めて笑みが消えた。
「……っ、おっと」
「彼女は譲れません」
サヴァラン様は静かに、しかし断固として告げた。
「彼女の才能も、狂気も、可愛げも、すべて私のものです。他国の王子ごときが、横から手を出していい領域ではない」
「……独占欲が強いねえ」
「独占欲ではありません。危機管理です」
サヴァラン様は私の方へ歩み寄り、私の腕を強く引いて自分の背中に隠した。
「彼女を野放しにすれば、一週間であなたの国は転覆しますよ?」
「え?」
「パンを買い占めて経済を混乱させ、雑草を抜いて生態系を変え、ドレスを汚して繊維業界に革命を起こす女ですよ? ガレット王国ごときの国力で、彼女の『予測不能な善行(テロ)』を制御できるとでも?」
「……」
エクレア王子が固まった。
「制御できるのは、世界で私一人だ」
サヴァラン様は傲然と言い放った。
「彼女の飼い主は私だ。文句があるなら、国を賭けて戦争でもしましょうか?」
「ちょ、ちょっと待ってサヴァラン様!?」
私は慌てて彼の背中を叩いた。
「なんで私の引き抜き話が、国家間の戦争になりかけてるんですか!?」
「君がそれだけの価値がある女だからだよ」
「嬉しくないわよ! 平和的に解決して!」
エクレア王子は、しばらく呆気にとられていたが、やがて「くっくっく」と笑い出した。
「……あはははは! 参った! こりゃ勝てないわ!」
彼は両手を上げて降参のポーズをとった。
「噂以上の溺愛っぷりだね。本気のサヴァランを敵に回したら、うちの国なんて明日には更地になっちまう」
彼は私にウィンクをした。
「残念だけど、今回は諦めるよブリオッシュちゃん。命あっての物種だしね」
「ええっ、そんなあ……」
私の「国際的悪女デビュー」の夢が……。
「でもまあ、しばらくはこの国に滞在させてもらうよ。君たちの『愛の劇場』を特等席で見物させてもらうためにね」
エクレア王子は面白そうにサヴァラン様を指差した。
「精々気をつけることだね、天才王子。油断してると、いつか本当に彼女にかっさらわれるよ?」
「ご忠告どうも。……だが、そうはさせない」
サヴァラン様は振り返り、私を強く抱きしめた。
「きゃっ!」
「ブリオッシュ。今日から監視を強化する。僕の目の届かないところで、変な男と喋るのは禁止だ」
「子供扱いしないでください! それに監視って何ですか!」
「愛の束縛だよ」
「重い! 愛が重いですわ!」
こうして。
チャラ男王子によるスカウト騒動は、サヴァラン様の「重すぎる愛」と「国家規模の脅し」によって未然に防がれた。
しかし、エクレア王子という新たなトリックスター(引っ掻き回し役)が加わったことで、私の受難はさらに加速していくことになるのだった。
とある日の午後。
王宮の庭園で一人、反省会(という名のやけ食い)をしていた私の前に、派手な男が現れた。
金髪の巻き毛に、チャラついた笑顔。
胸元が大きく開いたシャツからは、無駄に色気のある鎖骨が見えている。
「……どちら様でしょうか? わたくし今、人生の虚しさを噛み締めている最中なのですが」
私はマカロンをかじりながら、ジト目で男を見上げた。
男は芝居がかった動作で、バサリとマントを翻した。
「失敬。俺の名はエクレア。隣国ガレット王国の第二王子さ」
「ガレット王国……?」
聞いたことがある。
美食と芸術、そして「自由奔放な恋愛」で有名な国だ。
そこの第二王子といえば、確か……。
「ああ、あの『歩くフェロモン』とか『王族の面汚し』とか呼ばれている……」
「おいおい、手厳しいな子猫ちゃん。せめて『愛の狩人』と呼んでくれよ」
エクレア王子はウィンクを飛ばすと、私の隣に図々しく腰を下ろした。
「で? 君がブリオッシュ嬢だね。サヴァランの婚約者」
「……ええ、一応」
「噂は聞いているよ。パンを買い占めて民衆を救ったり、毒草を駆除して医療革命を起こしたり、ドレスを汚して新素材をアピールしたり……」
彼は指を折りながら、私の「黒歴史(成功例)」を列挙した。
「すごいねえ。サヴァランがあんなに溺愛するのも分かるよ。君、面白いもん」
「面白くないです。わたくしは悪女です」
私はムッとして反論した。
「全ての行動は悪意から始まっているんです! 結果がバグっているだけで!」
「ははは! 『結果がバグってる』か! いいね、そのワードセンス!」
エクレア王子は腹を抱えて笑った。
何がおかしいのよ。
こっちは深刻な悩みだって言ってるのに。
「……それで? 隣国の王子様が、わたくしに何か用ですか?」
「うん。実はね、サヴァランに会いに来たついでに、君をスカウトしに来たんだ」
「スカウト?」
「そう」
エクレア王子は急に真顔になり、私の顔を覗き込んだ。
その瞳は、チャラついた雰囲気とは裏腹に、獲物を値踏みするような鋭い光を宿していた。
「君さあ、この国にいるの、息苦しくない?」
「……え?」
「サヴァランは完璧すぎる。国も真面目すぎる。君みたいな『規格外の劇薬』を扱える土壌じゃない気がするんだよね」
ドキリとした。
図星だ。
私が何をしても、この国の「真面目な常識」と「サヴァラン様の天才的解釈」によって、すべてが善行に丸め込まれてしまう。
悪役になりたくてもなれないジレンマ。
それを、初対面のこの男に見抜かれた?
「そこでだ、ブリオッシュちゃん。俺からの提案」
エクレア王子は私の手を取り、甘い声で囁いた。
「俺と一緒に、ガレット王国に来ないか?」
「……はい?」
「俺の愛人……いや、専属エンターテイナーとしてね。好待遇を約束するよ」
「はぁ!?」
私は素っ頓狂な声を上げた。
「愛人!? 何言ってるんですかこの変態王子!」
「まあまあ、聞いてよ。うちの国は寛容だ。君がパンを買い占めようが、花壇を破壊しようが、誰も『聖女』なんて崇めない。『わはは、また派手にやってるな!』で終わりさ」
「えっ」
「つまり、君は心置きなく『悪女』になれる。思う存分暴れて、破壊して、周囲を困らせても……俺が『まあ彼女は俺の女だから』って笑って許してやる」
悪魔の囁きだ。
でも、なんて甘美な響きだろう。
心置きなく悪女になれる場所。
「聖女」というレッテルを貼られず、ただの「面白い悪女」として生きられる国。
「それに……」
エクレア王子はニヤリと笑った。
「君が俺の国に行けば、サヴァランとの婚約は当然破棄になる。……君の望み通りにね」
「!!」
そこよ!
一番重要なのはそこ!
私が隣国の王子の愛人(という名のペット)になって出奔すれば、さすがのサヴァラン様も私を見限るはず。
『他国の男に走った尻軽女』として、公的に婚約破棄できる!
そうすれば、サヴァラン様の経歴に傷はつかない。
むしろ「裏切られた悲劇の天才王子」として、国民からの同情と支持が集まるわ!
「……その話、詳しく聞かせてもらえるかしら」
私が身を乗り出すと、エクレア王子は満足げに頷いた。
「もちろん。契約金は弾むよ。君の体重と同じ重さの金貨でどう?」
「重すぎますわよ! 床が抜けるわ!」
「あはは! 本当に君は最高だ!」
二人が盛り上がっていると。
ザッ、ザッ、ザッ。
芝生を踏みしめる音が、背後から近づいてきた。
規則正しい、しかしどこか圧を感じる足音。
気温が、急に2、3度下がった気がする。
「……おやおや。私の庭で、随分と楽しそうな商談をしているね」
絶対零度の声。
振り返ると、そこにはサヴァラン様が立っていた。
笑顔だ。
完璧な笑顔だ。
でも、目が笑っていない。
背後に黒いオーラが見えるのは気のせいだろうか。
「やあサヴァラン! 久しぶり!」
エクレア王子は悪びれもせず、片手を上げた。
「相変わらず堅苦しい顔してるなー。だから婚約者が逃げ出したくなるんだよ」
「逃げる? 誰が?」
「ブリオッシュちゃんだよ。彼女、俺の国に来るってさ」
ピキッ。
空気が凍りついた音がした。
サヴァラン様はゆっくりと視線を私に移した。
「……本当かい? ブリオッシュ」
「ひっ」
怖い。
いつもの「余裕綽々の天才王子」じゃない。
本能が「逃げろ」と警鐘を鳴らしている。
でも、ここで引いては悪役令嬢の名折れだ!
私は震える足を叱咤し、精一杯の強がりで顎を上げた。
「ほ、本当ですわ! サヴァラン様!」
「……ほう」
「エクレア殿下は、私の『悪の才能』を正当に評価してくださるとおっしゃいました! この国では、私が何をしても『聖女』扱いされて息が詰まりますの!」
私は拳を握りしめた。
「だから私は、より自分らしく生きられる場所へ……悪の道へ進むために、転職(ヘッドハンティング)を受け入れることにしました!」
どうだ!
これで愛想を尽かしたでしょう!
サヴァラン様はしばしの沈黙の後、ふっ、と短く笑った。
「……なるほど。転職、か」
彼はエクレア王子の方を向き、優雅に一礼した。
「エクレア殿下。遠路はるばる、我が国の至宝を奪いに来てくださり、恐悦至極」
「おっ、分かってくれる? じゃあ譲って……」
「――ですが」
サヴァラン様が顔を上げた瞬間。
バンッ!!
強烈な殺気が、衝撃波となって庭園を揺らした。
鳥たちが一斉に飛び立ち、木々の葉がざわめく。
エクレア王子の顔から、初めて笑みが消えた。
「……っ、おっと」
「彼女は譲れません」
サヴァラン様は静かに、しかし断固として告げた。
「彼女の才能も、狂気も、可愛げも、すべて私のものです。他国の王子ごときが、横から手を出していい領域ではない」
「……独占欲が強いねえ」
「独占欲ではありません。危機管理です」
サヴァラン様は私の方へ歩み寄り、私の腕を強く引いて自分の背中に隠した。
「彼女を野放しにすれば、一週間であなたの国は転覆しますよ?」
「え?」
「パンを買い占めて経済を混乱させ、雑草を抜いて生態系を変え、ドレスを汚して繊維業界に革命を起こす女ですよ? ガレット王国ごときの国力で、彼女の『予測不能な善行(テロ)』を制御できるとでも?」
「……」
エクレア王子が固まった。
「制御できるのは、世界で私一人だ」
サヴァラン様は傲然と言い放った。
「彼女の飼い主は私だ。文句があるなら、国を賭けて戦争でもしましょうか?」
「ちょ、ちょっと待ってサヴァラン様!?」
私は慌てて彼の背中を叩いた。
「なんで私の引き抜き話が、国家間の戦争になりかけてるんですか!?」
「君がそれだけの価値がある女だからだよ」
「嬉しくないわよ! 平和的に解決して!」
エクレア王子は、しばらく呆気にとられていたが、やがて「くっくっく」と笑い出した。
「……あはははは! 参った! こりゃ勝てないわ!」
彼は両手を上げて降参のポーズをとった。
「噂以上の溺愛っぷりだね。本気のサヴァランを敵に回したら、うちの国なんて明日には更地になっちまう」
彼は私にウィンクをした。
「残念だけど、今回は諦めるよブリオッシュちゃん。命あっての物種だしね」
「ええっ、そんなあ……」
私の「国際的悪女デビュー」の夢が……。
「でもまあ、しばらくはこの国に滞在させてもらうよ。君たちの『愛の劇場』を特等席で見物させてもらうためにね」
エクレア王子は面白そうにサヴァラン様を指差した。
「精々気をつけることだね、天才王子。油断してると、いつか本当に彼女にかっさらわれるよ?」
「ご忠告どうも。……だが、そうはさせない」
サヴァラン様は振り返り、私を強く抱きしめた。
「きゃっ!」
「ブリオッシュ。今日から監視を強化する。僕の目の届かないところで、変な男と喋るのは禁止だ」
「子供扱いしないでください! それに監視って何ですか!」
「愛の束縛だよ」
「重い! 愛が重いですわ!」
こうして。
チャラ男王子によるスカウト騒動は、サヴァラン様の「重すぎる愛」と「国家規模の脅し」によって未然に防がれた。
しかし、エクレア王子という新たなトリックスター(引っ掻き回し役)が加わったことで、私の受難はさらに加速していくことになるのだった。
21
あなたにおすすめの小説
【完結】余命三年ですが、怖いと評判の宰相様と契約結婚します
咲楽えび@改名しました(旧 佐倉えび)
恋愛
断罪→偽装結婚(離婚)→契約結婚
不遇の人生を繰り返してきた令嬢の物語。
私はきっとまた、二十歳を越えられないーー
一周目、王立学園にて、第二王子ヴィヴィアン殿下の婚約者である公爵令嬢マイナに罪を被せたという、身に覚えのない罪で断罪され、修道院へ。
二周目、学園卒業後、夜会で助けてくれた公爵令息レイと結婚するも「あなたを愛することはない」と初夜を拒否された偽装結婚だった。後に離婚。
三周目、学園への入学は回避。しかし評判の悪い王太子の妾にされる。その後、下賜されることになったが、手渡された契約書を見て、契約結婚だと理解する。そうして、怖いと評判の宰相との結婚生活が始まったのだが――?
*ムーンライトノベルズにも掲載
この度娘が結婚する事になりました。女手一つ、なんとか親としての務めを果たし終えたと思っていたら騎士上がりの年下侯爵様に見初められました。
毒島かすみ
恋愛
真実の愛を見つけたと、夫に離婚を突きつけられた主人公エミリアは娘と共に貧しい生活を強いられながらも、自分達の幸せの為に道を切り開き、幸せを掴んでいく物語です。
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
夫に君も愛人を作ればいいと言われましたので
麻麻(あさあさ)
恋愛
「君も愛人を作ればいい」と夫に言われたので売り言葉に買い言葉で出会った愛人候補は自分が魔法使い伯爵と言いました。
全15話。プロローグから4話まで一挙公開。
翌日からは20時に2話ずつ公開。11日は最終話まで3話一挙公開。
登場人物
マーリン・ダグラス
結婚2年目にして夫の不倫を問い詰めたら黒だった令嬢。母に聞かされた結婚は夫となる人を大事にという言葉を守ってるが夫のギルバートにブチギレてこの度愛人を探すと決める。
デミトリアス・ドラモンドまたはアロン
マーリンが仮面舞踏会で知り合った自称魔法使い伯爵。次の日にマーリン好みの執事アロンに姿を変えて彼女の屋敷に来る。
ギルバート・ダグラス
マーリンの夫で伯爵。ギルと呼ばれている。愛人を作れば発言をした。
シェリー・モーヴ
ギルバートの愛人
エミリー
マーリンの親友で既婚者。
ララとリリー
マーリンの屋敷のメイド達。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
一年後に離婚すると言われてから三年が経ちましたが、まだその気配はありません。
木山楽斗
恋愛
「君とは一年後に離婚するつもりだ」
結婚して早々、私は夫であるマグナスからそんなことを告げられた。
彼曰く、これは親に言われて仕方なくした結婚であり、義理を果たした後は自由な独り身に戻りたいらしい。
身勝手な要求ではあったが、その気持ちが理解できない訳ではなかった。私もまた、親に言われて結婚したからだ。
こうして私は、一年間の期限付きで夫婦生活を送ることになった。
マグナスは紳士的な人物であり、最初に言ってきた要求以外は良き夫であった。故に私は、それなりに楽しい生活を送ることができた。
「もう少し様子を見たいと思っている。流石に一年では両親も納得しそうにない」
一年が経った後、マグナスはそんなことを言ってきた。
それに関しては、私も納得した。彼の言う通り、流石に離婚までが早すぎると思ったからだ。
それから一年後も、マグナスは離婚の話をしなかった。まだ様子を見たいということなのだろう。
夫がいつ離婚を切り出してくるのか、そんなことを思いながら私は日々を過ごしている。今の所、その気配はまったくないのだが。
夫と愛し合った翌朝、一方的に離縁されました【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
美しい公爵夫人マルグリートは、冷徹な夫ディートリヒと共に、王国の裏で密かに任務をこなす“悪女”。
だがある日、突然夫から離婚を言い渡される。しかもその裏には、平民の愛人の存在が──。
失意の中、王命で新たな婚約者・エルンストと結ばれることに。
どうやら今回の離婚再婚は、王家の陰謀があるよう。
「悪女に、遠慮はいらない」
そう決意した彼女は、華やかな舞踏会で王に真っ向から言い放つ。
「わたくし、人の家庭を壊しておきながら悪びれない方に、下げる頭は持っていませんの。
王族であられる前に、人におなりくださいませ。……失礼」
愛も、誇りも奪われたなら──
今度はこの手で、すべてを取り戻すだけ。
裏切りに燃える、痛快リベンジ・ロマンス!
⚠️本作は AI の生成した文章を一部に使っています。タイトル変えました。コメディーです。主人公は悪女です。
幼馴染以上、婚約者未満の王子と侯爵令嬢の関係
紫月 由良
恋愛
第二王子エインの婚約者は、貴族には珍しい赤茶色の髪を持つ侯爵令嬢のディアドラ。だが彼女の冷たい瞳と無口な性格が気に入らず、エインは婚約者の義兄フィオンとともに彼女を疎んじていた。そんな中、ディアドラが学院内で留学してきた男子学生たちと親しくしているという噂が広まる。注意しに行ったエインは彼女の見知らぬ一面に心を乱された。しかし婚約者の異母兄妹たちの思惑が問題を引き起こして……。
顔と頭が良く性格が悪い男の失恋ストーリー。
※流血シーンがあります。(各話の前書きに注意書き+次話前書きにあらすじがあるので、飛ばし読み可能です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる