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建国記念祝賀パーティー当日。
王宮の大広間は、かつてないほどの緊張感と静寂に包まれていた。
その原因は、大階段の上に現れた、私――ブリオッシュの姿にある。
「……ひっ」
「あ、あれは……?」
「まさか……着ていないのか!?」
ざわめきが波紋のように広がっていく。
無理もない。
今日の私が身にまとっているのは、特注の『究極のヌーディードレス』だ。
生地は、私の肌の色と完全に同化したベージュ色。
装飾は一切なし。
さらに、体のラインを完璧に拾う極薄のストレッチ素材。
遠目に見れば、全裸で歩いているようにしか見えない(実際は極暖タイツも履いているので暖かいけれど)。
「ふふふ……どう? この痴態!」
私は心の中で勝利の雄叫びを上げた。
これぞ、エクレア殿下直伝の「大人の色気」の暴走形態。
もはや色気を通り越して、ただの変質者である。
公爵令嬢がこんな格好で公の場に出れば、王室への侮辱罪で捕まっても文句は言えない。
さあ、サヴァラン様!
見てください、この恥知らずな婚約者を!
そして今すぐ衛兵を呼んで、私を会場からつまみ出してください!
「……ブリオッシュ様、正気ですか……?」
近くにいた貴族が、顔を真っ赤にして目を逸らした。
「目のやり場に困る……」
「なんて破廉恥な……」
いいわ、その反応!
軽蔑の視線が突き刺さる!
快感だわ(※悪役的な意味で)!
私は堂々と胸を張り、階段を降りていく。
その時だった。
「――待たせたね、愛しい僕の婚約者」
会場の空気を切り裂くように、よく通る声が響いた。
サヴァラン様だ!
私はニヤリと笑い、振り返った。
さあ、罵倒の準備はOK?
「ごきげんよう、サヴァラン様。わたくし、今日は気合を入れて……え?」
言葉が詰まった。
私の思考回路がフリーズした。
階段の上に現れたサヴァラン様。
彼が着ている衣装を見て、私の目は点になった。
「……は?」
彼が着ていたのは、いつもの王族らしい青や白の正装ではなかった。
ベージュだった。
それも、私のドレスと『完全に同じ色』『同じ素材』の、全身ベージュのタキシードだった。
「な……」
遠目に見ると、彼もまた、全裸に蝶ネクタイだけしている変態に見えなくもない。
いや、さすがに男性用のスーツだから服だと分かるけれど、色が肌色すぎて違和感がすごい。
サヴァラン様は爽やかな笑顔で階段を降りてきた。
そして、私の隣に並ぶ。
ベージュとベージュ。
肌色と肌色。
まるで、生まれたままの姿で並び立つアダムとイブのようだ。
「……サ、サヴァラン様? その格好は……?」
「やあ、ブリオッシュ。奇遇だね」
彼は私の腰に手を回し(肌色同士が重なって境界線が消える!)、ウィンクをした。
「まさか、君も『ロイヤル・シャンパン・ゴールド』を選んでくるとは。……やはり僕たちは、魂レベルで惹かれ合っているようだね」
「……ロイヤルなんとか?」
「ああ。今年の建国記念のテーマカラーさ。豊穣の大地を表す、この高貴なる土色! それを全身で表現するとは、さすが僕の選んだ女性だ」
「嘘おっしゃい! 絶対ただの肌色でしょう!?」
私は小声でツッコミを入れた。
「それに、なんで私と同じ生地なんですか!? これ特注ですよ!?」
「君がクロワッサンに発注した生地の余りを、こっそり融通してもらったんだ」
「余り布で作ったんですか!?」
「君とお揃いにしたくてね。職人が徹夜で仕上げてくれたよ」
サヴァラン様は悪びれもせず言った。
そして、凍りついている会場の貴族たちに向かって、高らかに宣言した。
「皆の者! 見よ、この完璧なコーディネートを!」
シーン……。
誰も反応できない。
「我々二人は、建国の父祖たちが踏みしめた『大地』の色を身にまとい、初心に返ることを誓ったのである! 飾り気のない、ありのままの姿(ヌードカラー)で、国民と向き合う! これぞ王族の覚悟!」
サヴァラン様の天才的な演説(こじつけ)が炸裂した。
「見よ、このブリオッシュの姿を! 華美な装飾をすべて削ぎ落とし、素材の美しさだけで勝負するこの潔さ! 彼女こそ、虚飾にまみれた貴族社会へのアンチテーゼだ!」
「ち、違います……ただの露出狂です……」
「おお、なんという高潔な精神……!」
サヴァラン様が涙ぐむ演技をすると、周囲の空気がガラリと変わった。
「そ、そうだったのか……!」
「裸に見えたのは、私の心が汚れていたからか!」
「あれは大地の色! 母なる大地の象徴だったのか!」
「ブリオッシュ様バンザイ! サヴァラン殿下バンザイ!」
拍手喝采。
またしても。
またしても、私の「破廉恥な企み」が、「高尚な思想」に塗り替えられてしまった。
しかも、隣にいるサヴァラン様と「完全なペアルック」になってしまったせいで、カップルとしての親密度が限界突破しているように見える。
「……ねえ、サヴァラン様」
私は引きつった笑顔で、彼の耳元で囁いた。
「恥ずかしくないんですか? 全身肌色ですよ?」
「君と一緒なら、何も恥ずかしくないさ」
彼は私の手を取り、甲にキスをした。
「それに、君のそのドレス……僕以外の男が凝視するのは許せないからね」
「え?」
「僕が同じ色を着ることで、君のインパクトを中和したんだ。……君のそのセクシーな姿を見ていいのは、僕だけだ」
彼の瞳が、ギラリと光った。
独占欲。
ああ、そうか。
彼は私が恥をかかないように、自ら道化(全身肌色マン)になって、私の隣に立ったのだ。
天才の奇行かと思ったけれど、これは彼なりの……守り方?
「……馬鹿みたい」
私は俯いた。
顔が熱い。
ドレスのせいじゃない。
彼のせいで、全身が熱い。
「ありがとう……なんて、言いませんからね」
「うん、聞こえないな」
サヴァラン様は満足げに笑い、私の腰を抱き寄せて、パーティーのホールへとエスコートした。
二つの肌色の塊が、ワルツを踊り始める。
傍から見たらシュール極まりない光景だが、誰も笑う者はいなかった。
だって、サヴァラン様が「最高に美しい」と言い張るから。
第16話の教訓。
『裸に見えるドレスを着ても、隣に同じ格好の変人がいれば、それはファッションになる』。
天才王子の「連帯責任」という名の愛に、私はまたしても完敗したのだった。
……でも、ちょっとだけ。
本当にちょっとだけ、この変な色のスーツを着てくれた彼が、格好良く見えてしまったのは秘密だ。
王宮の大広間は、かつてないほどの緊張感と静寂に包まれていた。
その原因は、大階段の上に現れた、私――ブリオッシュの姿にある。
「……ひっ」
「あ、あれは……?」
「まさか……着ていないのか!?」
ざわめきが波紋のように広がっていく。
無理もない。
今日の私が身にまとっているのは、特注の『究極のヌーディードレス』だ。
生地は、私の肌の色と完全に同化したベージュ色。
装飾は一切なし。
さらに、体のラインを完璧に拾う極薄のストレッチ素材。
遠目に見れば、全裸で歩いているようにしか見えない(実際は極暖タイツも履いているので暖かいけれど)。
「ふふふ……どう? この痴態!」
私は心の中で勝利の雄叫びを上げた。
これぞ、エクレア殿下直伝の「大人の色気」の暴走形態。
もはや色気を通り越して、ただの変質者である。
公爵令嬢がこんな格好で公の場に出れば、王室への侮辱罪で捕まっても文句は言えない。
さあ、サヴァラン様!
見てください、この恥知らずな婚約者を!
そして今すぐ衛兵を呼んで、私を会場からつまみ出してください!
「……ブリオッシュ様、正気ですか……?」
近くにいた貴族が、顔を真っ赤にして目を逸らした。
「目のやり場に困る……」
「なんて破廉恥な……」
いいわ、その反応!
軽蔑の視線が突き刺さる!
快感だわ(※悪役的な意味で)!
私は堂々と胸を張り、階段を降りていく。
その時だった。
「――待たせたね、愛しい僕の婚約者」
会場の空気を切り裂くように、よく通る声が響いた。
サヴァラン様だ!
私はニヤリと笑い、振り返った。
さあ、罵倒の準備はOK?
「ごきげんよう、サヴァラン様。わたくし、今日は気合を入れて……え?」
言葉が詰まった。
私の思考回路がフリーズした。
階段の上に現れたサヴァラン様。
彼が着ている衣装を見て、私の目は点になった。
「……は?」
彼が着ていたのは、いつもの王族らしい青や白の正装ではなかった。
ベージュだった。
それも、私のドレスと『完全に同じ色』『同じ素材』の、全身ベージュのタキシードだった。
「な……」
遠目に見ると、彼もまた、全裸に蝶ネクタイだけしている変態に見えなくもない。
いや、さすがに男性用のスーツだから服だと分かるけれど、色が肌色すぎて違和感がすごい。
サヴァラン様は爽やかな笑顔で階段を降りてきた。
そして、私の隣に並ぶ。
ベージュとベージュ。
肌色と肌色。
まるで、生まれたままの姿で並び立つアダムとイブのようだ。
「……サ、サヴァラン様? その格好は……?」
「やあ、ブリオッシュ。奇遇だね」
彼は私の腰に手を回し(肌色同士が重なって境界線が消える!)、ウィンクをした。
「まさか、君も『ロイヤル・シャンパン・ゴールド』を選んでくるとは。……やはり僕たちは、魂レベルで惹かれ合っているようだね」
「……ロイヤルなんとか?」
「ああ。今年の建国記念のテーマカラーさ。豊穣の大地を表す、この高貴なる土色! それを全身で表現するとは、さすが僕の選んだ女性だ」
「嘘おっしゃい! 絶対ただの肌色でしょう!?」
私は小声でツッコミを入れた。
「それに、なんで私と同じ生地なんですか!? これ特注ですよ!?」
「君がクロワッサンに発注した生地の余りを、こっそり融通してもらったんだ」
「余り布で作ったんですか!?」
「君とお揃いにしたくてね。職人が徹夜で仕上げてくれたよ」
サヴァラン様は悪びれもせず言った。
そして、凍りついている会場の貴族たちに向かって、高らかに宣言した。
「皆の者! 見よ、この完璧なコーディネートを!」
シーン……。
誰も反応できない。
「我々二人は、建国の父祖たちが踏みしめた『大地』の色を身にまとい、初心に返ることを誓ったのである! 飾り気のない、ありのままの姿(ヌードカラー)で、国民と向き合う! これぞ王族の覚悟!」
サヴァラン様の天才的な演説(こじつけ)が炸裂した。
「見よ、このブリオッシュの姿を! 華美な装飾をすべて削ぎ落とし、素材の美しさだけで勝負するこの潔さ! 彼女こそ、虚飾にまみれた貴族社会へのアンチテーゼだ!」
「ち、違います……ただの露出狂です……」
「おお、なんという高潔な精神……!」
サヴァラン様が涙ぐむ演技をすると、周囲の空気がガラリと変わった。
「そ、そうだったのか……!」
「裸に見えたのは、私の心が汚れていたからか!」
「あれは大地の色! 母なる大地の象徴だったのか!」
「ブリオッシュ様バンザイ! サヴァラン殿下バンザイ!」
拍手喝采。
またしても。
またしても、私の「破廉恥な企み」が、「高尚な思想」に塗り替えられてしまった。
しかも、隣にいるサヴァラン様と「完全なペアルック」になってしまったせいで、カップルとしての親密度が限界突破しているように見える。
「……ねえ、サヴァラン様」
私は引きつった笑顔で、彼の耳元で囁いた。
「恥ずかしくないんですか? 全身肌色ですよ?」
「君と一緒なら、何も恥ずかしくないさ」
彼は私の手を取り、甲にキスをした。
「それに、君のそのドレス……僕以外の男が凝視するのは許せないからね」
「え?」
「僕が同じ色を着ることで、君のインパクトを中和したんだ。……君のそのセクシーな姿を見ていいのは、僕だけだ」
彼の瞳が、ギラリと光った。
独占欲。
ああ、そうか。
彼は私が恥をかかないように、自ら道化(全身肌色マン)になって、私の隣に立ったのだ。
天才の奇行かと思ったけれど、これは彼なりの……守り方?
「……馬鹿みたい」
私は俯いた。
顔が熱い。
ドレスのせいじゃない。
彼のせいで、全身が熱い。
「ありがとう……なんて、言いませんからね」
「うん、聞こえないな」
サヴァラン様は満足げに笑い、私の腰を抱き寄せて、パーティーのホールへとエスコートした。
二つの肌色の塊が、ワルツを踊り始める。
傍から見たらシュール極まりない光景だが、誰も笑う者はいなかった。
だって、サヴァラン様が「最高に美しい」と言い張るから。
第16話の教訓。
『裸に見えるドレスを着ても、隣に同じ格好の変人がいれば、それはファッションになる』。
天才王子の「連帯責任」という名の愛に、私はまたしても完敗したのだった。
……でも、ちょっとだけ。
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