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「ふんっ! ふんっ!」
私は、アラン様に教わった(農夫の)フォームで、一心不乱に鍬を振るっていた。
あれから一週間。
氷の騎士様の、スパルタ(ただし無表情)指導のおかげで、私もずいぶん鍬の扱いが上達した。
「(ぜえ…ぜえ…)」
さすがに疲れた。
私は、鍬を杖代わりにして、荒い息をつく。
目の前には、私とアラン様(がほとんど)で耕した、見事な「畑」が広がっていた。
まだ、丘全体の百分の一にも満たない広さだが、確実な第一歩だ。
「ルーシュ様。休憩にしてください」
「…はいですわ」
背後から、いつものように監視(という名の共同作業)をしていたアラン様の声がかかる。
彼も、さすがに額に汗を浮かべていた。
(まあ! 氷の騎士様も、汗をかかれるのですね!)
「…その、好奇の目で見るのはやめろ」
「失礼いたしましたわ。あまりにもお美しかったものですから」
「…(ギロリ)」
睨まれてしまった。
私たちは、岩陰に用意された簡素な休憩場所(丸太の椅子)に腰を下ろす。
「これ、どうぞ。水です」
「ありがとうございます」
老メイド長が用意してくれた水筒を受け取る。
アラン様は、自分の水筒の水を、無造作に呷った。
その喉仏の動きが、妙に男性的で、悪役令嬢(志望)の私としては、少しドキリとしてしまう。
(いけませんわ、ルーシュ! 彼はヒーローではなく、ただの監視役ですのに!)
「…ルーシュ様」
「は、はい!」
「顔が赤い。熱中症か」
「ち、違いますわ! これは、その…労働の熱気ですのよ!」
「…そうか。だが、無理はするな。倒れられては、俺の胃が持たない」
「(胃…)」
アラン様は、この一週間で、明らかに胃薬を飲む回数が増えていた。
私が、鍬を振り回しすぎて、危うく彼の足に当てそうになったり。
私が、掘り起こしたミミズ(薬の材料になる)を見て「美しい!」と叫んだり。
そのたびに、彼は無言で懐の小瓶を取り出していた。
(これは、いけませんわ)
私のせいで、監視役様の健康が損なわれるなど、あってはならないことだ。
悪役令嬢は、周囲に迷惑をかける存在。
…だが、監視役の胃をピンポイントで攻撃するのは、私の本意ではない。
(そうだわ!)
私は、何かを閃いた。
「アラン様! わたくし、少し館に戻りますわ!」
「…? 休憩はまだ始まったばかりだが」
「素晴らしいアイデアを思いつきましたの! すぐに『研究室』に戻らねば!」
「(研究室…)…あの、カビ臭かった物置のことか」
「失礼ですわね! 今は、わたくしの夢の城ですのよ!」
私は、アラン様の返事も待たず、土まみれのドレスの裾を翻し、館へと駆け戻った。
「…嵐が、また何か企んでいるな」
アラン様の、疲れ果てた呟きが、丘に響いていた。
*
「うふふ…うふふふふふ…」
私は、例の物置(改め、研究室)で、不気味な笑い声を上げていた。
目の前には、愛用の『携帯用ミニ薬研セット』。
そして、この一週間で採取した、貴重な薬草たちが並んでいる。
『鉄錆ゴケ』(乾燥済み)。
『北風草』(粉末)。
そして、昨日、アラン様の監視の目を盗んで(また怒られた)採取した、謎の『ギンギラキノコ』。
「これを、こうして、こうして…配合は、わたくしの『勘』ですわ!」
私は、乳鉢で材料をすり潰し、持参した蒸留水と混ぜ合わせる。
グツグツ…
アルコールランプで熱せられたフラスコの中で、液体が、なんとも言えない「毒々しい紫色」に変わっていった。
(完璧ですわ!)
私は、その液体を小瓶に詰め、ラベルを貼った。
『試作品ポーション1号:元気ハツラツ(ただし三日間眠れなくなる)薬』
「これさえあれば、アラン様の胃痛も、一発で解消されますわ!」
(※効能と症状が、まったく一致していない)
私は、その怪しげな紫色の小瓶を手に、意気揚々と開墾中の丘へと戻った。
*
「アラン様! お待たせいたしましたわ!」
「…ルーシュ様。今度は、何だ」
丘に戻ると、アラン様は、すでに作業を再開していた。
その無駄のない鍬さばきは、もはや芸術の域だ。
私は、彼の前に、自信作の小瓶を、ドン! と差し出した。
「できましたわ!」
「……」
アラン様は、作業の手を止め、その「毒々しい紫色の液体」と、私の(期待に満ちた)顔を、交互に見た。
そのアイスブルーの瞳が、最大級の「警戒」を示している。
「…それは、何だ」
「日頃の疲労回復に効く、特製ポーションですわ! 名付けて『元気ハツラツ(ただし三日間眠れなくなる)薬』ですの!」
「………………………」
アラン様が、固まった。
その完璧な無表情が、ピシリ、と凍りついたのがわかった。
「…ルーシュ嬢」
「はい!」
「それは、薬ではなく、劇薬と呼ぶのでは…?」
「まあ、失礼ですわね! これは、わたくしの優しさの結晶ですのよ!」
私は、胸を張ってポーションの効能を説明する。
「これを飲めば、あら不思議! 疲れも胃痛も吹き飛んで、三日三晩、眠らずとも元気に作業が続けられますのよ!」
「…三日間、眠れない。それは、副作用ではないのか」
「いいえ! 効果ですわ!」
私は、きっぱりと断言した。
「…(頭痛)。」
アラン様は、鍬の柄に額を押し付け、天を仰いだ。
「さあ! アラン様! まずは一口、お飲みになって!」
私は、小瓶のコルク栓を抜き、彼の口元へとぐいっと押し付ける。
「待て」
アラン様は、私の手首を、鉄のような力で掴んで止めた。
その目は、一切笑っていない。
「…遠慮する」
「まあ! なぜですの!?」
「俺は、監視役だ。意識が(三日三晩)飛び続けるわけにはいかない」
「失礼ですわね! 意識は飛ばず、むしろ冴えわたるのです!」
「…どちらにしろ、正常な状態ではないだろう」
「(むう!)」
頑固ですわ、氷の騎士様!
これほどの霊薬(?)を前にして、なんと疑り深い!
その時だった。
「あー…疲れただ…」
開墾作業を手伝ってくれていた領民の一人(若い男性だ)が、汗を拭いながら、私たちのそばに休憩に来た。
「!」
私は、閃いた。
「まあ! 〇〇さん(領民の名前)、お疲れ様ですわ!」
「へ? あ、はい。ルーシュ様も…」
領民は、私とアラン様(が、私の手首を掴んでいる)の奇妙な状況を見て、戸惑っている。
「ちょうどいいところに! あなた、お疲れでしょう? これをどうぞ!」
私は、アラン様の手を振りほどき(彼は油断していた)、領民の男性に、紫色の小瓶を差し出した。
「へ? こ、これは…?」
「わたくし特製の、栄養ドリンクですわ! ささ、一気に!」
「待て! ルーシュ様! それは…!」
アラン様の制止の声が飛ぶ。
だが、遅かった。
領民の男性は「公爵令嬢様から、直々に賜るなんて…!」と感激した様子で、小瓶の中身を、一気に呷ってしまった。
「あ」
「…飲んだか」
「ごっくん…ぷはぁ! …なんとも、不思議なお味で…」
男性が、感想を述べようとした、その瞬間。
カッ!!
男性の目が、ありえないほど見開かれた。
そして、全身が、小刻みにブルブルと震え始める。
「おお…」
「お、おい、大丈夫か」
アラン様が、さすがに心配そうに声をかける。
「おおおおおおおおお!!」
次の瞬間、男性は、雄叫びを上げた。
「力が…力が、みなぎるううううう!!」
ザク! ザク! ザク! ズドドドドド!!
男性は、傍らに置いてあった自分の鍬を掴むと、とんでもないスピードで、硬い大地を掘り返し始めた!
その速さ、アラン様の三倍(当社比)。
「「「(ポカーーーン…)」」」
私とアラン様は、その超人的な開墾作業を、ただ呆然と見つめるしかなかった。
「…ルーシュ嬢」
「ま、まあ! すごい効果ですわ! さすがわたくしのポーション!」
私は、自分の才能に打ち震えた。
「……」
アラン様は、何も言わなかった。
ただ、静かに、懐から胃薬の小瓶を取り出し、今度は、中身をすべて、口の中に流し込んだ。
「(ゴクリ)…はぁぁぁぁ」
「アラン様? そんなに一気に飲んだら、お体に障りま…」
「…あの領民が、三日後に、無事に丘から帰ってくることを祈る」
アラン様は、それだけ言うと、フラフラとした足取りで、館の方へ歩き出した。
「あら? アラン様? 監視はよろしいのですか?」
「…少し、休ませてくれ。胃が、爆発しそうだ」
氷の騎士様の、弱々しい背中を見送りながら、私は、次の試作品に思いを馳せるのだった。
(次は、アラン様のために、ぐっすり眠れる(ただし一週間起きられない)睡眠薬を作って差し上げましょう!)
私は、アラン様に教わった(農夫の)フォームで、一心不乱に鍬を振るっていた。
あれから一週間。
氷の騎士様の、スパルタ(ただし無表情)指導のおかげで、私もずいぶん鍬の扱いが上達した。
「(ぜえ…ぜえ…)」
さすがに疲れた。
私は、鍬を杖代わりにして、荒い息をつく。
目の前には、私とアラン様(がほとんど)で耕した、見事な「畑」が広がっていた。
まだ、丘全体の百分の一にも満たない広さだが、確実な第一歩だ。
「ルーシュ様。休憩にしてください」
「…はいですわ」
背後から、いつものように監視(という名の共同作業)をしていたアラン様の声がかかる。
彼も、さすがに額に汗を浮かべていた。
(まあ! 氷の騎士様も、汗をかかれるのですね!)
「…その、好奇の目で見るのはやめろ」
「失礼いたしましたわ。あまりにもお美しかったものですから」
「…(ギロリ)」
睨まれてしまった。
私たちは、岩陰に用意された簡素な休憩場所(丸太の椅子)に腰を下ろす。
「これ、どうぞ。水です」
「ありがとうございます」
老メイド長が用意してくれた水筒を受け取る。
アラン様は、自分の水筒の水を、無造作に呷った。
その喉仏の動きが、妙に男性的で、悪役令嬢(志望)の私としては、少しドキリとしてしまう。
(いけませんわ、ルーシュ! 彼はヒーローではなく、ただの監視役ですのに!)
「…ルーシュ様」
「は、はい!」
「顔が赤い。熱中症か」
「ち、違いますわ! これは、その…労働の熱気ですのよ!」
「…そうか。だが、無理はするな。倒れられては、俺の胃が持たない」
「(胃…)」
アラン様は、この一週間で、明らかに胃薬を飲む回数が増えていた。
私が、鍬を振り回しすぎて、危うく彼の足に当てそうになったり。
私が、掘り起こしたミミズ(薬の材料になる)を見て「美しい!」と叫んだり。
そのたびに、彼は無言で懐の小瓶を取り出していた。
(これは、いけませんわ)
私のせいで、監視役様の健康が損なわれるなど、あってはならないことだ。
悪役令嬢は、周囲に迷惑をかける存在。
…だが、監視役の胃をピンポイントで攻撃するのは、私の本意ではない。
(そうだわ!)
私は、何かを閃いた。
「アラン様! わたくし、少し館に戻りますわ!」
「…? 休憩はまだ始まったばかりだが」
「素晴らしいアイデアを思いつきましたの! すぐに『研究室』に戻らねば!」
「(研究室…)…あの、カビ臭かった物置のことか」
「失礼ですわね! 今は、わたくしの夢の城ですのよ!」
私は、アラン様の返事も待たず、土まみれのドレスの裾を翻し、館へと駆け戻った。
「…嵐が、また何か企んでいるな」
アラン様の、疲れ果てた呟きが、丘に響いていた。
*
「うふふ…うふふふふふ…」
私は、例の物置(改め、研究室)で、不気味な笑い声を上げていた。
目の前には、愛用の『携帯用ミニ薬研セット』。
そして、この一週間で採取した、貴重な薬草たちが並んでいる。
『鉄錆ゴケ』(乾燥済み)。
『北風草』(粉末)。
そして、昨日、アラン様の監視の目を盗んで(また怒られた)採取した、謎の『ギンギラキノコ』。
「これを、こうして、こうして…配合は、わたくしの『勘』ですわ!」
私は、乳鉢で材料をすり潰し、持参した蒸留水と混ぜ合わせる。
グツグツ…
アルコールランプで熱せられたフラスコの中で、液体が、なんとも言えない「毒々しい紫色」に変わっていった。
(完璧ですわ!)
私は、その液体を小瓶に詰め、ラベルを貼った。
『試作品ポーション1号:元気ハツラツ(ただし三日間眠れなくなる)薬』
「これさえあれば、アラン様の胃痛も、一発で解消されますわ!」
(※効能と症状が、まったく一致していない)
私は、その怪しげな紫色の小瓶を手に、意気揚々と開墾中の丘へと戻った。
*
「アラン様! お待たせいたしましたわ!」
「…ルーシュ様。今度は、何だ」
丘に戻ると、アラン様は、すでに作業を再開していた。
その無駄のない鍬さばきは、もはや芸術の域だ。
私は、彼の前に、自信作の小瓶を、ドン! と差し出した。
「できましたわ!」
「……」
アラン様は、作業の手を止め、その「毒々しい紫色の液体」と、私の(期待に満ちた)顔を、交互に見た。
そのアイスブルーの瞳が、最大級の「警戒」を示している。
「…それは、何だ」
「日頃の疲労回復に効く、特製ポーションですわ! 名付けて『元気ハツラツ(ただし三日間眠れなくなる)薬』ですの!」
「………………………」
アラン様が、固まった。
その完璧な無表情が、ピシリ、と凍りついたのがわかった。
「…ルーシュ嬢」
「はい!」
「それは、薬ではなく、劇薬と呼ぶのでは…?」
「まあ、失礼ですわね! これは、わたくしの優しさの結晶ですのよ!」
私は、胸を張ってポーションの効能を説明する。
「これを飲めば、あら不思議! 疲れも胃痛も吹き飛んで、三日三晩、眠らずとも元気に作業が続けられますのよ!」
「…三日間、眠れない。それは、副作用ではないのか」
「いいえ! 効果ですわ!」
私は、きっぱりと断言した。
「…(頭痛)。」
アラン様は、鍬の柄に額を押し付け、天を仰いだ。
「さあ! アラン様! まずは一口、お飲みになって!」
私は、小瓶のコルク栓を抜き、彼の口元へとぐいっと押し付ける。
「待て」
アラン様は、私の手首を、鉄のような力で掴んで止めた。
その目は、一切笑っていない。
「…遠慮する」
「まあ! なぜですの!?」
「俺は、監視役だ。意識が(三日三晩)飛び続けるわけにはいかない」
「失礼ですわね! 意識は飛ばず、むしろ冴えわたるのです!」
「…どちらにしろ、正常な状態ではないだろう」
「(むう!)」
頑固ですわ、氷の騎士様!
これほどの霊薬(?)を前にして、なんと疑り深い!
その時だった。
「あー…疲れただ…」
開墾作業を手伝ってくれていた領民の一人(若い男性だ)が、汗を拭いながら、私たちのそばに休憩に来た。
「!」
私は、閃いた。
「まあ! 〇〇さん(領民の名前)、お疲れ様ですわ!」
「へ? あ、はい。ルーシュ様も…」
領民は、私とアラン様(が、私の手首を掴んでいる)の奇妙な状況を見て、戸惑っている。
「ちょうどいいところに! あなた、お疲れでしょう? これをどうぞ!」
私は、アラン様の手を振りほどき(彼は油断していた)、領民の男性に、紫色の小瓶を差し出した。
「へ? こ、これは…?」
「わたくし特製の、栄養ドリンクですわ! ささ、一気に!」
「待て! ルーシュ様! それは…!」
アラン様の制止の声が飛ぶ。
だが、遅かった。
領民の男性は「公爵令嬢様から、直々に賜るなんて…!」と感激した様子で、小瓶の中身を、一気に呷ってしまった。
「あ」
「…飲んだか」
「ごっくん…ぷはぁ! …なんとも、不思議なお味で…」
男性が、感想を述べようとした、その瞬間。
カッ!!
男性の目が、ありえないほど見開かれた。
そして、全身が、小刻みにブルブルと震え始める。
「おお…」
「お、おい、大丈夫か」
アラン様が、さすがに心配そうに声をかける。
「おおおおおおおおお!!」
次の瞬間、男性は、雄叫びを上げた。
「力が…力が、みなぎるううううう!!」
ザク! ザク! ザク! ズドドドドド!!
男性は、傍らに置いてあった自分の鍬を掴むと、とんでもないスピードで、硬い大地を掘り返し始めた!
その速さ、アラン様の三倍(当社比)。
「「「(ポカーーーン…)」」」
私とアラン様は、その超人的な開墾作業を、ただ呆然と見つめるしかなかった。
「…ルーシュ嬢」
「ま、まあ! すごい効果ですわ! さすがわたくしのポーション!」
私は、自分の才能に打ち震えた。
「……」
アラン様は、何も言わなかった。
ただ、静かに、懐から胃薬の小瓶を取り出し、今度は、中身をすべて、口の中に流し込んだ。
「(ゴクリ)…はぁぁぁぁ」
「アラン様? そんなに一気に飲んだら、お体に障りま…」
「…あの領民が、三日後に、無事に丘から帰ってくることを祈る」
アラン様は、それだけ言うと、フラフラとした足取りで、館の方へ歩き出した。
「あら? アラン様? 監視はよろしいのですか?」
「…少し、休ませてくれ。胃が、爆発しそうだ」
氷の騎士様の、弱々しい背中を見送りながら、私は、次の試作品に思いを馳せるのだった。
(次は、アラン様のために、ぐっすり眠れる(ただし一週間起きられない)睡眠薬を作って差し上げましょう!)
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