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ボルス邸(現・仮領主館)での朝。
私は鳥のさえずりではなく、電卓を弾く音で目を覚ました。
いや、正確には寝ながら計算していたのかもしれない。夢の中でグラフが右肩上がりになるのを見て、ニヤけながら起床した。
「……よし。昨夜の宴会費を差し引いても、ボルスの隠し財産のおかげで当面の運転資金は確保できたわ」
私はベッドから起き上がり、伸びをした。
今日から本格的な『領地改革』が始まる。
その第一弾として、私が着手したのは――。
「食生活の改善」である。
◇
「……なんだ、これは」
その日の夕食。
食堂(といっても、ボルスの趣味の悪い金ピカの長テーブルがある部屋)に現れたジルベール様は、皿の中身を見て眉をひそめた。
「本日のディナーです」
私は胸を張って答えた。
テーブルの上に並んでいるのは、以下のメニューだ。
1.クリスタル・ジンジャー(旧・雑草大根)と根菜の具だくさんスープ
2.堅い黒パンを卵液に浸して焼いた、フレンチトースト風
3.森で採れたキノコと山菜のソテー
以上。
貴族の、しかも辺境伯の夕食としては、あまりにも質素。いや、ハッキリ言えば「貧乏飯」である。
「……肉は?」
ジルベール様が、肉食獣のような目でテーブルを探る。
「ありません」
私は即答した。
「昨日、ボルスから押収した高級肉はすべて、領民や兵士たちに振る舞ってしまいましたから。在庫切れです」
「俺の分は……?」
「閣下は昨日、ワインをガブ飲みしていましたよね? カロリー過多です。よって本日は休肝日ならぬ、休胃日とさせていただきます」
「……」
ジルベール様がショックを受けた顔で、スプーンを握りしめる。
私は心の中で身構えた。
(さあ、文句を言いなさい! 『こんな餌みたいなものが食えるか!』とちゃぶ台をひっくり返すのが、テンプレ的な傲慢貴族の反応よ!)
そうすれば、私はすかさず『食費削減の重要性』と『栄養バランスの数値データ』を叩きつけ、論破する準備ができている。
さあ、来い!
ジルベール様は、おそるおそるスープを口に運んだ。
ズズッ……。
静寂が流れる。
私は固唾を呑んで見守った。
クリスタル・ジンジャー独特の辛味と、野菜の甘みが溶け込んだスープだ。味付けは塩のみだが、素材の味は活かしているつもりだ。
しかし、舌の肥えた貴族には物足りないはず――。
「…………」
ジルベール様が、ふうっと息を吐いた。
そして、ポツリと呟いた。
「……温かい」
「はい?」
「温かくて……野菜の味がする」
「はあ。スープですから」
「いつもは、冷え切った油の塊か、焦げた肉しか出てこなかった。……こんなに優しい味のする液体を飲んだのは、数年ぶりだ」
「…………えっ」
私は拍子抜けした。
怒るどころか、彼は感動していた。
しかも、その瞳が少し潤んでいるようにすら見える。
「このパンもだ。いつもは石のように固くて、水で流し込まないと飲み込めなかったが……これは柔らかい。甘い匂いがする」
彼はフレンチトースト風のパンを頬張り、幸せそうに咀嚼している。
「うまい……。本当に、うまい」
ガツガツと食べるのではなく、一口一口を慈しむように味わっている。
その姿を見て、私は計算が狂ったことに気づいた。
(な、なによこれ……)
私は狼狽えた。
(『こんな貧乏飯!』って罵倒されて、『嫌なら自分で作ってください!』って返す予定だったのに……!)
これではまるで、私がものすごく健気で家庭的な妻みたいではないか。
「……あの、閣下。材料費は一人前あたり銅貨五枚です。極限までコストカットした、節約メニューなんですよ?」
「ああ。だが、王都の晩餐会で出た冷めたフルコースより、ずっと価値がある」
ジルベール様はスープを飲み干し、満足げに息をついた。
「リーリン。お前は数字だけでなく、料理の魔法も使えるのか」
「魔法ではありません。工夫です。パンが固いなら卵と牛乳に浸せばいいし、野菜の皮も煮込めば出汁になります。これは『廃材利用(リサイクル)』の一環です」
「言い方は色気がないが……俺にとってはご馳走だ。ありがとう」
「っ……!」
不意打ちの「ありがとう」に、私は言葉を詰まらせた。
ジルベール様が、穏やかな表情で私を見ている。
いつも眉間にシワを寄せている強面が嘘のように、今は憑き物が落ちたような顔をしている。
(……反則よ、その顔は)
私は慌てて視線を逸らし、自分のスープを飲んだ。
熱い。
顔が熱いのは、スープのせいだということにしておこう。
「……礼を言う暇があったら、手を動かしてください。食後は、特産品開発会議を行いますからね」
「鬼だな」
「鬼で結構です。私はあなたの妻ではなく、ビジネスパートナーですから」
「そうだったな。……だが、パートナーの淹れた茶くらいは、期待してもいいか?」
「……別途、サービス料を請求します」
「ツケにしておいてくれ」
ジルベール様が小さく笑った。
その夜の会議は、いつもより少しだけ和やかな雰囲気で進んだ。
◇
数日後。
私たちの「クリスタル・ジンジャー」作戦が本格始動した。
場所は、領内にある加工場(元は放置されていた倉庫)。
「いいですか、皆さん! 手順を徹底してください!」
私は作業着に身を包み、集まった領民たちに指示を飛ばしていた。
「第一班は洗浄! 泥を完全に落としてください! 第二班はスライス! 厚さは二ミリ均一! 第三班は瓶詰め! ラベルはズレないように!」
「へいっ! 奥方様!」
領民たちの動きは機敏だ。
何しろ、給料が現金(ボルスから没収した金)で即日払いされるのだ。彼らのモチベーションは最高潮に達している。
一方、ジルベール様は。
「……本当にこれをやるのか?」
工場の隅で、彼はどんよりとしたオーラを放っていた。
「もちろんです」
私は完成したばかりの試作品第一号を持っていった。
小洒落た瓶に詰められた、ジンジャーの酢漬け。
そしてその横には、ポスター用の画用紙と絵師が待機している。
「さあ、閣下。商品を手に持って、ニッと笑ってください。キャッチコピーは『氷の閣下も溶かす、情熱の辛さ』です」
「……殺してくれ」
「死んだら借金が返せません。さあ、スマイル!」
「くっ……!」
ジルベール様は、まるで処刑台に上るような悲壮な決意で、小瓶を手に取った。
そして、ぎこちなく口角を上げた。
「こ、これでいいか……?」
引きつった笑顔。
鋭い眼光。
手には赤い液体の入った小瓶。
どう見ても、『今からこの毒薬で貴様を始末してやる』という暗殺者の図である。
絵師の手が震えている。
「ひぃっ……! め、目が合うと石にされそうです……!」
「ダメですね」
私は首を振った。
「殺意が高すぎます。もっとこう、愛する人を想うような、甘い表情はできませんか?」
「愛する人など……いない」
ジルベール様が不機嫌そうにそっぽを向く。
「じゃあ、昨日のスープを思い出してください。あの時の顔は悪くなかったですよ」
「……スープ?」
彼は一瞬きょとんとし、それから少しだけ表情を緩めた。
「……ああ。あれか」
ふっと、彼の瞳から険しい色が消え、どこか遠くを見るような、優しい眼差しになる。
「……うまかったな」
「そこです! 絵師さん、今! 今の顔を描いて!」
「は、はいっ! これならいけます!」
絵師が猛烈な勢いで筆を走らせる。
こうして完成したポスターは、奇跡的な仕上がりとなった。
野性味あふれる美丈夫が、小瓶を愛おしそうに見つめ、優しく微笑んでいる図。
タイトル:『野獣の休息』。
「……なんか、趣旨が変わっていませんか?」
ジルベール様が完成画を見て呟く。
「結果オーライです。これなら王都の令嬢たちが『キャーッ! 閣下素敵! その瓶になりたい!』と食いつくこと間違いなしです」
私は計算機を叩きながら、不敵に笑った。
「さあ、次は販売ルートの確保です。王都の商業ギルドにはコネがありませんが……力技でねじ込みますよ」
「力技?」
「ええ。閣下の『悪名』を最大限に利用させていただきます」
平和な食事の時間は終わり。
再び、銭ゲバ令嬢の戦闘モードがオンになった。
私は鳥のさえずりではなく、電卓を弾く音で目を覚ました。
いや、正確には寝ながら計算していたのかもしれない。夢の中でグラフが右肩上がりになるのを見て、ニヤけながら起床した。
「……よし。昨夜の宴会費を差し引いても、ボルスの隠し財産のおかげで当面の運転資金は確保できたわ」
私はベッドから起き上がり、伸びをした。
今日から本格的な『領地改革』が始まる。
その第一弾として、私が着手したのは――。
「食生活の改善」である。
◇
「……なんだ、これは」
その日の夕食。
食堂(といっても、ボルスの趣味の悪い金ピカの長テーブルがある部屋)に現れたジルベール様は、皿の中身を見て眉をひそめた。
「本日のディナーです」
私は胸を張って答えた。
テーブルの上に並んでいるのは、以下のメニューだ。
1.クリスタル・ジンジャー(旧・雑草大根)と根菜の具だくさんスープ
2.堅い黒パンを卵液に浸して焼いた、フレンチトースト風
3.森で採れたキノコと山菜のソテー
以上。
貴族の、しかも辺境伯の夕食としては、あまりにも質素。いや、ハッキリ言えば「貧乏飯」である。
「……肉は?」
ジルベール様が、肉食獣のような目でテーブルを探る。
「ありません」
私は即答した。
「昨日、ボルスから押収した高級肉はすべて、領民や兵士たちに振る舞ってしまいましたから。在庫切れです」
「俺の分は……?」
「閣下は昨日、ワインをガブ飲みしていましたよね? カロリー過多です。よって本日は休肝日ならぬ、休胃日とさせていただきます」
「……」
ジルベール様がショックを受けた顔で、スプーンを握りしめる。
私は心の中で身構えた。
(さあ、文句を言いなさい! 『こんな餌みたいなものが食えるか!』とちゃぶ台をひっくり返すのが、テンプレ的な傲慢貴族の反応よ!)
そうすれば、私はすかさず『食費削減の重要性』と『栄養バランスの数値データ』を叩きつけ、論破する準備ができている。
さあ、来い!
ジルベール様は、おそるおそるスープを口に運んだ。
ズズッ……。
静寂が流れる。
私は固唾を呑んで見守った。
クリスタル・ジンジャー独特の辛味と、野菜の甘みが溶け込んだスープだ。味付けは塩のみだが、素材の味は活かしているつもりだ。
しかし、舌の肥えた貴族には物足りないはず――。
「…………」
ジルベール様が、ふうっと息を吐いた。
そして、ポツリと呟いた。
「……温かい」
「はい?」
「温かくて……野菜の味がする」
「はあ。スープですから」
「いつもは、冷え切った油の塊か、焦げた肉しか出てこなかった。……こんなに優しい味のする液体を飲んだのは、数年ぶりだ」
「…………えっ」
私は拍子抜けした。
怒るどころか、彼は感動していた。
しかも、その瞳が少し潤んでいるようにすら見える。
「このパンもだ。いつもは石のように固くて、水で流し込まないと飲み込めなかったが……これは柔らかい。甘い匂いがする」
彼はフレンチトースト風のパンを頬張り、幸せそうに咀嚼している。
「うまい……。本当に、うまい」
ガツガツと食べるのではなく、一口一口を慈しむように味わっている。
その姿を見て、私は計算が狂ったことに気づいた。
(な、なによこれ……)
私は狼狽えた。
(『こんな貧乏飯!』って罵倒されて、『嫌なら自分で作ってください!』って返す予定だったのに……!)
これではまるで、私がものすごく健気で家庭的な妻みたいではないか。
「……あの、閣下。材料費は一人前あたり銅貨五枚です。極限までコストカットした、節約メニューなんですよ?」
「ああ。だが、王都の晩餐会で出た冷めたフルコースより、ずっと価値がある」
ジルベール様はスープを飲み干し、満足げに息をついた。
「リーリン。お前は数字だけでなく、料理の魔法も使えるのか」
「魔法ではありません。工夫です。パンが固いなら卵と牛乳に浸せばいいし、野菜の皮も煮込めば出汁になります。これは『廃材利用(リサイクル)』の一環です」
「言い方は色気がないが……俺にとってはご馳走だ。ありがとう」
「っ……!」
不意打ちの「ありがとう」に、私は言葉を詰まらせた。
ジルベール様が、穏やかな表情で私を見ている。
いつも眉間にシワを寄せている強面が嘘のように、今は憑き物が落ちたような顔をしている。
(……反則よ、その顔は)
私は慌てて視線を逸らし、自分のスープを飲んだ。
熱い。
顔が熱いのは、スープのせいだということにしておこう。
「……礼を言う暇があったら、手を動かしてください。食後は、特産品開発会議を行いますからね」
「鬼だな」
「鬼で結構です。私はあなたの妻ではなく、ビジネスパートナーですから」
「そうだったな。……だが、パートナーの淹れた茶くらいは、期待してもいいか?」
「……別途、サービス料を請求します」
「ツケにしておいてくれ」
ジルベール様が小さく笑った。
その夜の会議は、いつもより少しだけ和やかな雰囲気で進んだ。
◇
数日後。
私たちの「クリスタル・ジンジャー」作戦が本格始動した。
場所は、領内にある加工場(元は放置されていた倉庫)。
「いいですか、皆さん! 手順を徹底してください!」
私は作業着に身を包み、集まった領民たちに指示を飛ばしていた。
「第一班は洗浄! 泥を完全に落としてください! 第二班はスライス! 厚さは二ミリ均一! 第三班は瓶詰め! ラベルはズレないように!」
「へいっ! 奥方様!」
領民たちの動きは機敏だ。
何しろ、給料が現金(ボルスから没収した金)で即日払いされるのだ。彼らのモチベーションは最高潮に達している。
一方、ジルベール様は。
「……本当にこれをやるのか?」
工場の隅で、彼はどんよりとしたオーラを放っていた。
「もちろんです」
私は完成したばかりの試作品第一号を持っていった。
小洒落た瓶に詰められた、ジンジャーの酢漬け。
そしてその横には、ポスター用の画用紙と絵師が待機している。
「さあ、閣下。商品を手に持って、ニッと笑ってください。キャッチコピーは『氷の閣下も溶かす、情熱の辛さ』です」
「……殺してくれ」
「死んだら借金が返せません。さあ、スマイル!」
「くっ……!」
ジルベール様は、まるで処刑台に上るような悲壮な決意で、小瓶を手に取った。
そして、ぎこちなく口角を上げた。
「こ、これでいいか……?」
引きつった笑顔。
鋭い眼光。
手には赤い液体の入った小瓶。
どう見ても、『今からこの毒薬で貴様を始末してやる』という暗殺者の図である。
絵師の手が震えている。
「ひぃっ……! め、目が合うと石にされそうです……!」
「ダメですね」
私は首を振った。
「殺意が高すぎます。もっとこう、愛する人を想うような、甘い表情はできませんか?」
「愛する人など……いない」
ジルベール様が不機嫌そうにそっぽを向く。
「じゃあ、昨日のスープを思い出してください。あの時の顔は悪くなかったですよ」
「……スープ?」
彼は一瞬きょとんとし、それから少しだけ表情を緩めた。
「……ああ。あれか」
ふっと、彼の瞳から険しい色が消え、どこか遠くを見るような、優しい眼差しになる。
「……うまかったな」
「そこです! 絵師さん、今! 今の顔を描いて!」
「は、はいっ! これならいけます!」
絵師が猛烈な勢いで筆を走らせる。
こうして完成したポスターは、奇跡的な仕上がりとなった。
野性味あふれる美丈夫が、小瓶を愛おしそうに見つめ、優しく微笑んでいる図。
タイトル:『野獣の休息』。
「……なんか、趣旨が変わっていませんか?」
ジルベール様が完成画を見て呟く。
「結果オーライです。これなら王都の令嬢たちが『キャーッ! 閣下素敵! その瓶になりたい!』と食いつくこと間違いなしです」
私は計算機を叩きながら、不敵に笑った。
「さあ、次は販売ルートの確保です。王都の商業ギルドにはコネがありませんが……力技でねじ込みますよ」
「力技?」
「ええ。閣下の『悪名』を最大限に利用させていただきます」
平和な食事の時間は終わり。
再び、銭ゲバ令嬢の戦闘モードがオンになった。
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