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14話
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カイルから彼の正体を聞いた後、私はすぐにグレイソンを呼んで、今後の対策を話し合った。
「隣国の騎士団長……。なるほど、道理であれほどの腕前なわけですな」
グレイソンは、私の報告を聞いても、さほど驚いた様子はなかった。おそらく、彼も薄々感づいていたのだろう。
「それよりも、お嬢様。先日のチンピラの件で、気になることが」
グレイソンは、一枚の調査報告書をテーブルの上に広げた。
それは、例の嫌がらせを主導した伯爵家の背後関係を調べ上げたものだった。
「この伯爵家、数年前から急に羽振りが良くなっているようです。そして、その資金源を探っていくと、奇妙な金の流れに行き着きました」
報告書には、複雑な金の流れを示す図が描かれている。
その金の出どころを辿っていくと、やがて一つの名前に突き当たった。
「ヴァルモン公爵……?」
それは、我が国でも一、二を争う権勢を誇る大貴族の名前だった。
王家とも遠い親戚関係にあり、野心家として知られている人物だ。
「ヴァルモン公爵が、なぜセシリー嬢のような子爵令嬢を? いったい何が目的なのかしら……」
「おそらく、セシリー嬢を使ったアルフ殿下への接近と、お嬢様と殿下の婚約破棄も、全てはこの公爵の計画の一部だったのではないでしょうか」
グレイソンの推測に、私は背筋が寒くなるのを感じた。
「リール家と王家の繋がりを断ち、愚かなアルフ殿下を傀儡として操り、いずれは王家を乗っ取ろうとしている……? まさか……」
考えすぎかもしれない。だが、点と点が、恐ろしい線で繋がり始めた。
セシリー嬢の嫉妬や嫌がらせは、もっと大きな陰謀の、ほんの表層に過ぎなかったのだ。
「お嬢様、これは単なる痴話喧嘩や商売敵の妨害ではございません。我々は、国家を揺るがしかねない、巨大な陰謀の渦中にいるのかもしれませんぞ」
グレイソンの声が、重く響く。
「ええ、わかっているわ。面白くなってきたじゃない」
私は恐怖よりも先に、強い闘志が湧き上がってくるのを感じていた。
ただの悠々自適ライフのはずが、とんでもない事件に巻き込まれてしまったようだ。
でも、だから何だというの?
「グレイソン、ヴァルモン公爵について、さらに詳しく調査して。金の流れ、弱み、どんな些細なことでもいいわ。情報を集めて」
「かしこまりました」
「ピエールには、引き続き最高の菓子を作らせて。カフェは、私たちの情報収集の拠点にもなるわ」
次々と指示を出す私を見て、グレイソンは満足そうに口元を綻ばせた。
「お嬢様のその瞳、先代様にそっくりでございますな。困難であればあるほど、輝きを増す」
「おだてても、何も出ないわよ」
私はそう言って笑ったが、心の中は燃えていた。
ヴァルモン公爵。あなたがどれほど巨大な敵であろうと、私は負けない。
私の「バラ色の人生」を邪魔する者は、誰であろうと容赦はしないのだから。
「隣国の騎士団長……。なるほど、道理であれほどの腕前なわけですな」
グレイソンは、私の報告を聞いても、さほど驚いた様子はなかった。おそらく、彼も薄々感づいていたのだろう。
「それよりも、お嬢様。先日のチンピラの件で、気になることが」
グレイソンは、一枚の調査報告書をテーブルの上に広げた。
それは、例の嫌がらせを主導した伯爵家の背後関係を調べ上げたものだった。
「この伯爵家、数年前から急に羽振りが良くなっているようです。そして、その資金源を探っていくと、奇妙な金の流れに行き着きました」
報告書には、複雑な金の流れを示す図が描かれている。
その金の出どころを辿っていくと、やがて一つの名前に突き当たった。
「ヴァルモン公爵……?」
それは、我が国でも一、二を争う権勢を誇る大貴族の名前だった。
王家とも遠い親戚関係にあり、野心家として知られている人物だ。
「ヴァルモン公爵が、なぜセシリー嬢のような子爵令嬢を? いったい何が目的なのかしら……」
「おそらく、セシリー嬢を使ったアルフ殿下への接近と、お嬢様と殿下の婚約破棄も、全てはこの公爵の計画の一部だったのではないでしょうか」
グレイソンの推測に、私は背筋が寒くなるのを感じた。
「リール家と王家の繋がりを断ち、愚かなアルフ殿下を傀儡として操り、いずれは王家を乗っ取ろうとしている……? まさか……」
考えすぎかもしれない。だが、点と点が、恐ろしい線で繋がり始めた。
セシリー嬢の嫉妬や嫌がらせは、もっと大きな陰謀の、ほんの表層に過ぎなかったのだ。
「お嬢様、これは単なる痴話喧嘩や商売敵の妨害ではございません。我々は、国家を揺るがしかねない、巨大な陰謀の渦中にいるのかもしれませんぞ」
グレイソンの声が、重く響く。
「ええ、わかっているわ。面白くなってきたじゃない」
私は恐怖よりも先に、強い闘志が湧き上がってくるのを感じていた。
ただの悠々自適ライフのはずが、とんでもない事件に巻き込まれてしまったようだ。
でも、だから何だというの?
「グレイソン、ヴァルモン公爵について、さらに詳しく調査して。金の流れ、弱み、どんな些細なことでもいいわ。情報を集めて」
「かしこまりました」
「ピエールには、引き続き最高の菓子を作らせて。カフェは、私たちの情報収集の拠点にもなるわ」
次々と指示を出す私を見て、グレイソンは満足そうに口元を綻ばせた。
「お嬢様のその瞳、先代様にそっくりでございますな。困難であればあるほど、輝きを増す」
「おだてても、何も出ないわよ」
私はそう言って笑ったが、心の中は燃えていた。
ヴァルモン公爵。あなたがどれほど巨大な敵であろうと、私は負けない。
私の「バラ色の人生」を邪魔する者は、誰であろうと容赦はしないのだから。
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