婚約破棄?ナニソレ美味しいの?あ、美味しかったです

夏乃みのり

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15話

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ヴァルモン公爵の影に気づいてから数日後。
私の元へ、王宮から一通の召喚状が届いた。差出人は、国王陛下ご本人。

「陛下が、私に……?」

一体、何のご用だろうか。
私は少し緊張しながらも、グレイソンに準備をさせ、王宮へと向かった。

通されたのは、謁見の間ではなく、陛下が私的な執務を行う小さな部屋だった。
部屋には、陛下と、宰相閣下しかいらっしゃらなかった。

「よく来たな、ミリアーナ嬢。楽にしてよい」

陛下は、以前よりもずっと親しげな口調で私に話しかけ、椅子に座るよう促した。

「この度は、お召しいただき、恐悦至極に存じます」

私が形式通りに挨拶をすると、陛下は楽しそうに笑った。

「その猫を被った挨拶はよせ。お前の本性は、そんな殊勝なものではあるまい」

「……失礼いたしました」

どうやら、この王様には、何もかもお見通しのようだ。

「お前のカフェの評判は、私の耳にも届いておる。実に愉快なことをしてくれる。先日の騒ぎへの対処も見事であった」

陛下は私の働きを称賛した後、ふっと真剣な表情になった。

「さて、本題だ。ミリアーナ嬢。お前に、頼みたいことがある」

ゴクリ、と私は唾を飲んだ。

「近年、我が国では密輸組織が横行し、国庫に多大な損害を与えている。警備隊を動かしてはいるのだが、トカゲの尻尾切りの連続で、一向に首謀者までたどり着けん」

密輸組織。その言葉に、私の心臓がどきりとした。ヴァルモン公爵に繋がる、あの金の流れだ。

「そこで、お前の力を借りたい。お前には、貴族社会の常識に囚われない、新しい視点がある。その商才と知恵で、奴らの金の流れを追ってほしいのだ」

それは、国王陛下からの、極秘の依頼だった。
公式な任務ではない。もし失敗すれば、王家は何の保証もしてくれない。全ては自己責任。
しかし、成功すれば、それは計り知れない功績となる。

そして何より、この依頼は、ヴァルモン公爵の陰謀を暴くための、絶好の機会だった。

「……陛下。そのお話、謹んでお受けいたします」

私は、迷わず答えた。

「しかし、一つ条件がございます」

「ほう、申してみよ」

「この件に関する調査、采配の一切を、わたくしに一任していただきたく存じます。たとえ相手が、どれほどの大物貴族であろうとも、手心を加えることはいたしません」

私の言葉に、陛下は宰相と顔を見合わせた。そして、次の瞬間、声を上げて笑った。

「ハッハッハ! 面白い! 気に入った! よかろう、全てお前に任せる!」

陛下は、私の挑戦的な申し出を、あっさりと受け入れた。

「ただし、一つだけ忠告しておく。お前が戦おうとしている相手は、お前が思う以上に巨大で、危険な存在だ。決して、油断するでないぞ」

「肝に銘じます」

私は深く頭を下げた。
こうして私は、国王陛下という最強の後ろ盾を得て、国家を揺るがす巨大な陰謀との戦いに、正式に乗り出すことになった。
望むところよ。私の悠々自適ライフを賭けて、この勝負、必ず勝ってみせる。
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