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18話
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私の経済戦略が水面下で着々と進行している頃、ヴァルモン公爵は焦っていた。
思ったように密輸品の利益が上がらず、計画に狂いが生じ始めていたからだ。
そこで彼は、事態を打開するため、アルフ王子とセシリー嬢の婚約披露パーティーを盛大に執り行うことを決定した。
王家の権威と自らの財力を誇示し、揺らぎ始めた求心力を取り戻そうという魂胆だろう。
招待状は、王都中の貴族に送られた。もちろん、私の元へも。
「お嬢様、このパーティー、いかがなさいますか?」
グレイソンが尋ねる。
「行くわ。もちろん、堂々と正面からね。最高のドレスを用意してちょうだい」
敵の土俵に乗り込んでこそ、勝利の美酒は美味しいものよ。
そしてパーティー当日。
会場となった王宮の大広間は、ヴァルモン公爵の財力を示すかのように、これ以上ないほど豪華絢爛に飾り付けられていた。
しかし――。
「……人が、少なくないか?」
「有力貴族の顔が、ほとんど見えんぞ……」
会場のあちこちで、そんな囁き声が聞こえる。
そうなのだ。集まったのは、ヴァルモン公爵派の貴族や、王家の体面のために仕方なく出席した者たちばかり。
社交界の中心人物や、時流に敏感な貴族たちの姿は、どこにもなかった。
なぜなら、彼らは皆、私のカフェ「ラヴィアンローズ」の常連だからだ。
私の動向を窺っている彼らが、私が敵対していると公言しているようなアルフ王子たちのパーティーに、喜んで出席するはずがなかった。
主役であるはずのアルフ王子は、まばらな客席を見て、明らかに苛立っていた。
その隣で微笑むセシリー嬢の笑顔も、ひどく引きつっているように見える。
後ろ盾であるヴァルモン公爵だけが、作り物のような笑みを浮かべていたが、その目の奥が笑っていないのを、私は見逃さなかった。
そこへ、私が登場する。
カイルをエスコート役に、隣国ヴァインラントから取り寄せた、まだ誰も見たことのない美しいデザインのドレスを身にまとって。
「ミリアーナ・リール様、ご入場!」
私の名が呼ばれた瞬間、会場の視線が一斉に私に注がれた。
貴婦人たちは私のドレスにため息を漏らし、貴族たちは私の隣に立つカイルの凛々しい姿に目を見張る。
「まあ、ミリアーナ様……なんてお美しい……」
「あのドレス、どこのものですの?」
私はにこやかに微笑みながら、会場をゆっくりと進む。
アルフ王子とセシリー嬢の前を通り過ぎる時、私はわざと立ち止まって、完璧なカーテシーを決めてみせた。
「この度は、誠におめでとうございます、殿下、セシリー嬢」
私の祝福の言葉は、皮肉にも、彼らの惨めさを際立たせるだけだった。
アルフは悔しそうに顔を歪め、セシリーは俯いて唇を噛みしめている。
私は、彼らの前から立ち去ると、会場の隅でシャンパンを片手に、この空虚なパーティーを眺めた。
ヴァルモン公爵、あなたの見せかけの権力は、もうメッキが剥がれ始めているわ。このパーティーは、あなたの栄光の始まりではなく、終わりの始まりになるのよ。
思ったように密輸品の利益が上がらず、計画に狂いが生じ始めていたからだ。
そこで彼は、事態を打開するため、アルフ王子とセシリー嬢の婚約披露パーティーを盛大に執り行うことを決定した。
王家の権威と自らの財力を誇示し、揺らぎ始めた求心力を取り戻そうという魂胆だろう。
招待状は、王都中の貴族に送られた。もちろん、私の元へも。
「お嬢様、このパーティー、いかがなさいますか?」
グレイソンが尋ねる。
「行くわ。もちろん、堂々と正面からね。最高のドレスを用意してちょうだい」
敵の土俵に乗り込んでこそ、勝利の美酒は美味しいものよ。
そしてパーティー当日。
会場となった王宮の大広間は、ヴァルモン公爵の財力を示すかのように、これ以上ないほど豪華絢爛に飾り付けられていた。
しかし――。
「……人が、少なくないか?」
「有力貴族の顔が、ほとんど見えんぞ……」
会場のあちこちで、そんな囁き声が聞こえる。
そうなのだ。集まったのは、ヴァルモン公爵派の貴族や、王家の体面のために仕方なく出席した者たちばかり。
社交界の中心人物や、時流に敏感な貴族たちの姿は、どこにもなかった。
なぜなら、彼らは皆、私のカフェ「ラヴィアンローズ」の常連だからだ。
私の動向を窺っている彼らが、私が敵対していると公言しているようなアルフ王子たちのパーティーに、喜んで出席するはずがなかった。
主役であるはずのアルフ王子は、まばらな客席を見て、明らかに苛立っていた。
その隣で微笑むセシリー嬢の笑顔も、ひどく引きつっているように見える。
後ろ盾であるヴァルモン公爵だけが、作り物のような笑みを浮かべていたが、その目の奥が笑っていないのを、私は見逃さなかった。
そこへ、私が登場する。
カイルをエスコート役に、隣国ヴァインラントから取り寄せた、まだ誰も見たことのない美しいデザインのドレスを身にまとって。
「ミリアーナ・リール様、ご入場!」
私の名が呼ばれた瞬間、会場の視線が一斉に私に注がれた。
貴婦人たちは私のドレスにため息を漏らし、貴族たちは私の隣に立つカイルの凛々しい姿に目を見張る。
「まあ、ミリアーナ様……なんてお美しい……」
「あのドレス、どこのものですの?」
私はにこやかに微笑みながら、会場をゆっくりと進む。
アルフ王子とセシリー嬢の前を通り過ぎる時、私はわざと立ち止まって、完璧なカーテシーを決めてみせた。
「この度は、誠におめでとうございます、殿下、セシリー嬢」
私の祝福の言葉は、皮肉にも、彼らの惨めさを際立たせるだけだった。
アルフは悔しそうに顔を歪め、セシリーは俯いて唇を噛みしめている。
私は、彼らの前から立ち去ると、会場の隅でシャンパンを片手に、この空虚なパーティーを眺めた。
ヴァルモン公爵、あなたの見せかけの権力は、もうメッキが剥がれ始めているわ。このパーティーは、あなたの栄光の始まりではなく、終わりの始まりになるのよ。
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