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20話
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パーティーは、後味の悪い結末のまま、お開きとなった。
私は最大の目的を果たし、満足して王宮を後にした。
「今夜は、月が綺麗ね」
リール公爵家へ向かう馬車の中で、私は窓の外を眺めながら呟いた。
エスコート役を務めてくれたカイルも、護衛として同じ馬車に乗っている。
「ええ。ですが、あなたの方が、ずっと」
カイルが、真面目な顔でそう言うものだから、私は思わず噴き出してしまった。
「あなた、意外と口説き上手なのね」
和やかな空気が流れた、その瞬間だった。
ヒュン、と風を切る音と共に、馬車の窓ガラスが粉々に砕け散った。
「!?」
「お嬢様、伏せて!」
グレイソンが叫ぶと同時に、カイルが私を庇うように抱き寄せ、床に伏させた。
馬車が激しく揺れ、嘶きと共に急停車する。
外から、複数の剣戟の音が聞こえてくる。
「くそっ、待ち伏せか!」
カイルは私をグレイソンに任せると、剣を抜き放ち、馬車の外へと飛び出していった。
私も、護身用の短剣を構え、外の様子を窺う。
月明かりの下、黒装束の男たちが十数人、馬車を取り囲んでいた。リール家の護衛たちが応戦しているが、相手の方が数も腕も上のようだ。
狙いは、私ね。パーティーで恥をかかされたヴァルモン公爵が、ついに実力行使に出てきたんだわ。
「死ねええっ!」
一人の刺客が、馬車の中にいる私を見つけ、斬りかかってきた。
私は短剣で受け止めようとするが、相手の力はあまりに強い。刃が、じりじりと私の喉元に迫る。
もはやこれまでか、と覚悟した、その時。
「――ミリアーナに、指一本触れさせるか!」
銀閃が煌めいた。
刺客の体は、力なく崩れ落ちる。
そこに立っていたのは、返り血を浴びながらも、不動の如く構えるカイルだった。
しかし、彼の格好は、先ほどまでの礼装ではなかった。
いつの間に着替えたのか、彼は隣国ヴァインラント騎士団の、白銀の甲冑をその身にまとっていた。
「カイル……あなた、その鎧……」
「もはや、身分を隠している場合ではないようですな」
カイルは、私をまっすぐに見つめると、はっきりと告げた。
「ミリアーナ様。いいえ、ミリアーナ。聞いてほしい。俺はもう、『通りすがりの騎士』や『非公式の護衛』ではない。騎士団長カイル・フォン・シュヴァルツとして、俺の全てを懸けて、あなたを守る」
彼の言葉は、夜の静寂に強く、そして熱く響いた。
それは、騎士としての誓いであり、同時に、一人の男としての、覚悟の言葉だった。
彼は再び剣を構えると、残りの刺客たちへと向き直る。
その姿は、まるで伝説に謳われる英雄のように、神々しく見えた。
私の心臓は、恐怖ではなく、別の理由で、激しく高鳴っていた。
私は最大の目的を果たし、満足して王宮を後にした。
「今夜は、月が綺麗ね」
リール公爵家へ向かう馬車の中で、私は窓の外を眺めながら呟いた。
エスコート役を務めてくれたカイルも、護衛として同じ馬車に乗っている。
「ええ。ですが、あなたの方が、ずっと」
カイルが、真面目な顔でそう言うものだから、私は思わず噴き出してしまった。
「あなた、意外と口説き上手なのね」
和やかな空気が流れた、その瞬間だった。
ヒュン、と風を切る音と共に、馬車の窓ガラスが粉々に砕け散った。
「!?」
「お嬢様、伏せて!」
グレイソンが叫ぶと同時に、カイルが私を庇うように抱き寄せ、床に伏させた。
馬車が激しく揺れ、嘶きと共に急停車する。
外から、複数の剣戟の音が聞こえてくる。
「くそっ、待ち伏せか!」
カイルは私をグレイソンに任せると、剣を抜き放ち、馬車の外へと飛び出していった。
私も、護身用の短剣を構え、外の様子を窺う。
月明かりの下、黒装束の男たちが十数人、馬車を取り囲んでいた。リール家の護衛たちが応戦しているが、相手の方が数も腕も上のようだ。
狙いは、私ね。パーティーで恥をかかされたヴァルモン公爵が、ついに実力行使に出てきたんだわ。
「死ねええっ!」
一人の刺客が、馬車の中にいる私を見つけ、斬りかかってきた。
私は短剣で受け止めようとするが、相手の力はあまりに強い。刃が、じりじりと私の喉元に迫る。
もはやこれまでか、と覚悟した、その時。
「――ミリアーナに、指一本触れさせるか!」
銀閃が煌めいた。
刺客の体は、力なく崩れ落ちる。
そこに立っていたのは、返り血を浴びながらも、不動の如く構えるカイルだった。
しかし、彼の格好は、先ほどまでの礼装ではなかった。
いつの間に着替えたのか、彼は隣国ヴァインラント騎士団の、白銀の甲冑をその身にまとっていた。
「カイル……あなた、その鎧……」
「もはや、身分を隠している場合ではないようですな」
カイルは、私をまっすぐに見つめると、はっきりと告げた。
「ミリアーナ様。いいえ、ミリアーナ。聞いてほしい。俺はもう、『通りすがりの騎士』や『非公式の護衛』ではない。騎士団長カイル・フォン・シュヴァルツとして、俺の全てを懸けて、あなたを守る」
彼の言葉は、夜の静寂に強く、そして熱く響いた。
それは、騎士としての誓いであり、同時に、一人の男としての、覚悟の言葉だった。
彼は再び剣を構えると、残りの刺客たちへと向き直る。
その姿は、まるで伝説に謳われる英雄のように、神々しく見えた。
私の心臓は、恐怖ではなく、別の理由で、激しく高鳴っていた。
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