婚約破棄?ナニソレ美味しいの?あ、美味しかったです

夏乃みのり

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22話

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ヴァルモン公爵の反逆の意思が明確になったという報は、瞬く間に王都を駆け巡った。
そしてそれは、彼に利用されていただけの者たちに、過酷な現実を突きつけた。

「お父様! ヴァルモン公爵様から、何の連絡もないのですか!?」

セシリーは、父であるグレイ子爵に必死に詰め寄っていた。
ヴァルモン公爵の陰謀が明るみに出て以来、グレイ子爵家は完全に孤立していた。かつて媚びへつらってきた貴族たちは手のひらを返し、誰も助けてはくれない。頼みの綱は、ヴァルモン公爵だけだった。

「……もう、終わりだ」

グレイ子爵は、力なく呟いた。

「公爵様は、我々を切り捨てるおつもりなのだ。我々は、ただの駒だったのだよ……」

その言葉に、セシリーは全てを悟った。
自分は、王子妃という甘い夢を見せられ、ただ利用されていただけだったのだ、と。
このままでは、反逆者の片棒を担いだ罪で、自分も家族も裁かれることになる。

その夜、セシリーは誰にも告げず、なけなしの宝石と金貨を握りしめ、夜の闇に紛れて王都から姿を消した。
彼女がどこへ向かったのか、誰にもわからなかった。

一方、もう一人の駒、アルフ王子は、城の一室に引きこもっていた。
父である国王から、全ての真相――自分がセシリーに騙され、ヴァルモン公爵の陰謀に利用され、そして、心の底では大切に思っていたはずのミリアーナを、無実の罪で断罪してしまったこと――を聞かされた彼は、完全に心を打ち砕かれていた。

「ミリアーナ……すまない……私が、愚かだった……」

彼は、ベッドの上でうずくまり、ただ同じ言葉を繰り返すだけだった。
プライドが高く、常に自分が正しいと信じて疑わなかった王子が、初めて直面した、自分の過ちという名の絶望。
彼は、ミリアーナが自分を嘲笑っているだろう、軽蔑しているだろう、と思い込んでいた。
彼女に謝罪する勇気も、顔を合わせる資格もない。

かつての婚約者であるミリアーナは、国の英雄として輝きを増していく。
その光が強ければ強いほど、アルフの心に落ちる影は、深く、暗くなっていくばかりだった。
栄光の座から転げ落ちた王子は、自分自身が作り出した絶望という名の牢獄で、ただ無力に打ちひしがれるしかなかった。
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