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23話
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「ヴァルモン公爵は、領地である北方の要塞に立てこもり、王家への反逆の姿勢を明確にしました。我々に与するよう、各地の貴族へ密使を送っている模様です」
王宮の軍事会議で、将軍の一人が苦々しい表情で報告した。
「兵を出せば、必ず内乱になる。かといって、このまま放置もできん。どうしたものか……」
陛下が、重いため息をつく。
会議室に、重苦しい沈黙が流れた。
その沈黙を破ったのは、特別に参加を許されていた、私だった。
「陛下。わたくしに、考えがございます」
全員の視線が、私に集まる。
「軍事力でなく、経済の力で、ヴァルモン公爵を追い詰めます」
「経済で、だと?」
「はい。いわば、『資金攻め』でございます」
私は立ち上がると、地図を広げ、自分の作戦を説明し始めた。
「第一に、わたくしが築いた新しい交易ルートと、隣国ヴァインラントとの連携を使い、ヴァルモン公爵領を経済的に完全に孤立させます。物資の輸出入を、完全にストップさせるのです」
「第二に、公爵に味方しようとしている貴族や商人たちに対し、選択を迫ります。『反逆者である公爵側につき、我々の新しい経済圏から締め出されるか』、それとも『王家側につき、未来の繁栄を手にするか』、の二択を」
「そして第三に、これが最後の切り札です。ヴァルモン公爵の軍資金の源泉となっている、彼の領内のいくつかの大商会。ここに、偽の情報を流し、内部から混乱させ、資金を引き揚げさせるのです」
私の作戦は、血を流さずに敵の戦意を削ぎ、内部から崩壊させるという、前代未聞のものだった。
将軍たちは、あまりの大胆さに、呆気にとられている。
「……面白い」
最初に口を開いたのは、陛下だった。
「実に、お前らしいやり方だ。武力で制圧すれば、遺恨が残る。だが、その手ならば、戦わずして勝つことも可能やもしれん」
「しかし、危険すぎる! もし失敗すれば……」
「危険は承知の上ですわ」
私は、懸念を示す宰相の言葉を遮った。
「この作戦が成功するためには、ヴァルモン公爵の動きを完全に封じ込める、絶対的な『剣』が必要です」
私の視線が、隣に立つカイルに向けられる。
彼は、私の意図を察し、一歩前に進み出た。
「陛下。我がヴァインラント騎士団最強の精鋭部隊を、お貸しください。私が指揮を執り、ヴァルモン公爵の軍が領地から一歩も動けぬよう、完璧に包囲してみせます。ミリアーナ嬢の『盾』となり、彼女の知略が成功するまでの時間を、稼いでみせましょう」
カイルの力強い言葉に、会議室の空気が変わった。
私の知略という「槍」と、カイルの武力という「盾」。
二つが合わされば、鉄壁の要塞も、内側から崩すことができる。
「……よかろう! 全軍に告ぐ! これより、我が国の運命は、ミリアーナ・リールに託す!」
陛下の決断が、下った。
一世一代の大博打。私の人生で、最も刺激的なゲームが、今、始まろうとしていた。
王宮の軍事会議で、将軍の一人が苦々しい表情で報告した。
「兵を出せば、必ず内乱になる。かといって、このまま放置もできん。どうしたものか……」
陛下が、重いため息をつく。
会議室に、重苦しい沈黙が流れた。
その沈黙を破ったのは、特別に参加を許されていた、私だった。
「陛下。わたくしに、考えがございます」
全員の視線が、私に集まる。
「軍事力でなく、経済の力で、ヴァルモン公爵を追い詰めます」
「経済で、だと?」
「はい。いわば、『資金攻め』でございます」
私は立ち上がると、地図を広げ、自分の作戦を説明し始めた。
「第一に、わたくしが築いた新しい交易ルートと、隣国ヴァインラントとの連携を使い、ヴァルモン公爵領を経済的に完全に孤立させます。物資の輸出入を、完全にストップさせるのです」
「第二に、公爵に味方しようとしている貴族や商人たちに対し、選択を迫ります。『反逆者である公爵側につき、我々の新しい経済圏から締め出されるか』、それとも『王家側につき、未来の繁栄を手にするか』、の二択を」
「そして第三に、これが最後の切り札です。ヴァルモン公爵の軍資金の源泉となっている、彼の領内のいくつかの大商会。ここに、偽の情報を流し、内部から混乱させ、資金を引き揚げさせるのです」
私の作戦は、血を流さずに敵の戦意を削ぎ、内部から崩壊させるという、前代未聞のものだった。
将軍たちは、あまりの大胆さに、呆気にとられている。
「……面白い」
最初に口を開いたのは、陛下だった。
「実に、お前らしいやり方だ。武力で制圧すれば、遺恨が残る。だが、その手ならば、戦わずして勝つことも可能やもしれん」
「しかし、危険すぎる! もし失敗すれば……」
「危険は承知の上ですわ」
私は、懸念を示す宰相の言葉を遮った。
「この作戦が成功するためには、ヴァルモン公爵の動きを完全に封じ込める、絶対的な『剣』が必要です」
私の視線が、隣に立つカイルに向けられる。
彼は、私の意図を察し、一歩前に進み出た。
「陛下。我がヴァインラント騎士団最強の精鋭部隊を、お貸しください。私が指揮を執り、ヴァルモン公爵の軍が領地から一歩も動けぬよう、完璧に包囲してみせます。ミリアーナ嬢の『盾』となり、彼女の知略が成功するまでの時間を、稼いでみせましょう」
カイルの力強い言葉に、会議室の空気が変わった。
私の知略という「槍」と、カイルの武力という「盾」。
二つが合わされば、鉄壁の要塞も、内側から崩すことができる。
「……よかろう! 全軍に告ぐ! これより、我が国の運命は、ミリアーナ・リールに託す!」
陛下の決断が、下った。
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