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「……で、これが昨夜の収支報告書ですわ、お父様」
翌朝、アステリア公爵邸の食堂。
私は焼きたてのトーストを優雅に齧りながら、一枚の書類を父――アステリア公爵の前に置いた。
父は、昨夜のパーティーでの騒動を耳にしていたらしく、目の下に深い隈を作って頭を抱えていた。
しかし、差し出された紙面を見た瞬間、その目が点になった。
「ジェリカ……。これは、何だ?」
「見ての通りですが? 王家に対する請求総額、並びに内訳です」
「八億四千万ゴールド……。お前、正気か? 婚約破棄をされたショックで、脳の回路がショートしたのか?」
「失礼な。私の脳はいつだって、最新式の魔導計算機より正確です。むしろ、あの不良債権……失礼、セドリック殿下との縁が切れたことで、処理速度が二〇パーセントほど向上しましたわ」
父はプルプルと手を震わせながら、請求書を凝視している。
公爵家としても、娘の婚約破棄は一大事。普通なら「王家に謝罪して復縁を」と泣きつくか、「隠居して修道院へ」と勧めるところだろう。
だが、私の辞書に「泣き寝入り」という言葉はない。
「お父様。殿下の浮気相手――リリアン様でしたか。彼女への名誉毀損料もしっかり計上してあります。これで我が家の領地のダム工事、三つは終わりますわね」
「……お前、本当に私の娘か? いや、確かに私の娘だが……。普通は、もう少し、こう……傷ついたりしないのか?」
「傷つく? なぜですか? 愛という不確かな資産が消えた代わりに、現金という確実な流動資産が手に入るのですよ。これほど健全な取引はありません」
私は最後の一切れのトーストを口に運ぶと、ナプキンで口元を拭った。
「さて、お父様。これから王宮へ行ってまいります」
「えっ、もう行くのか!?」
「『鉄は熱いうちに打て』、そして『債権は逃げられる前に回収せよ』。これがアステリア家の家訓でしょう?」
「そんな家訓はない!」
父の叫びを背中に受けながら、私は颯爽と馬車に乗り込んだ。
目的地は王宮。ターゲットは、昨夜のバカ息子……ではなく、その父親である国王陛下だ。
王宮に到着し、謁見の間へ向かう廊下を歩いていると、すれ違う官吏たちが私を見てヒソヒソと囁き合う。
「例の悪役令嬢だぞ」「算盤を持って王宮に殴り込みに来たらしい」
失礼な。殴り込みではなく、正当な権利の主張である。
「ジェリカ・フォン・アステリア。陛下がお待ちだ」
重厚な扉を開けたのは、昨夜も見かけた近衛騎士団長、キース様だった。
今日の彼は、正装の鎧を身に纏っている。
陽光を反射する銀色の肩当て。そこから伸びる、丸太のように太い上腕二頭筋。
(……素晴らしい。朝から良いものを見ましたわ。あの筋肉の隆起だけで、白米が三杯はいけますわね)
「キース様、おはようございます。今日も筋肉の仕上がりが完璧ですね」
「……何?」
キース様が眉をひそめるが、私は構わず謁見の間へと進んだ。
そこには、玉座に座って頭を抱えている国王陛下と、その傍らで不機嫌そうに立っているセドリック殿下の姿があった。
「ジェリカよ……。昨夜の話は聞いた。セドリックが……その、済まないことをした」
陛下は深いため息をついた。
息子が公衆の面前で暴走したのだから、親としての心労はお察しする。
だが、それとこれとは話が別だ。
「お言葉ですが陛下。謝罪の言葉よりも、まずは受領印をいただけますでしょうか」
私は恭しく歩み寄り、例の請求書を差し出した。
横から覗き込んだセドリック殿下が、顔を真っ赤にして叫ぶ。
「ジェリカ! 貴様、まだそんなふざけた紙を持って歩いているのか! 八億だと!? そんな金、払えるわけがないだろう!」
「あら、殿下。お支払いいただけないのですか? それでは、王家の信用格付け(クレジットスコア)が大幅に下落してしまいますわよ」
「うるさい! 第一、お前が僕を事務的に利用していた分を差し引けば、むしろお前が金を払うべきだ!」
「事務的に利用……? ふふっ、面白いことをおっしゃいますね」
私は手元の算盤を一度だけ、チャッ、と弾いた。
「殿下が過去三年間に提出された報告書の誤字脱字、計算ミス、及び論理破綻箇所をすべて修正したのは私です。もし、それらを修正せずに提出していたら、今頃隣国との通商条約は破棄され、王家の財政は二度破綻していました。私の労働価値を低く見積もらないでいただきたい」
「ぐっ……。そ、れは……」
「陛下。私は、セドリック殿下との間に『真実の愛』なるものがあったとは思いません。ですが、私は私なりに、次期王妃としての責務を果たしてまいりました。その契約を一方的に、かつ理不尽に破棄されたのです。これはもはや、国家による不当解雇と同義ですわ」
陛下は、私の理路整然とした(と自分では思っている)主張を聞きながら、何度も頷いていた。
「……セドリック。お前、ジェリカにそこまで仕事を押し付けていたのか?」
「い、いや、それは……彼女が勝手に手伝うと言うから……」
「勝手に? いいえ、殿下が『ジェリカぁ、これ明日までにお願いぃ……』と泣きついてこられたからではありませんか。当時の音声記録……は、取っていませんが、私の手帳にはすべての日時と殿下の情けない表情が記録されております」
「記録するな!」
陛下はついに観念したのか、大きく肩を落とした。
「……わかった。ジェリカ、お前の言い分は最もだ。八億四千万ゴールド……。正直、今の王室予算から一括で出すのは厳しいが、分割、または資産の譲渡で手を打てないか?」
「お待ちしておりました、そのお言葉」
私は、あらかじめ用意していた別の書類をスッと差し出した。
「王宮北側に隣接する、騎士団宿舎横の更地。あそこの土地の所有権、並びに建築許可をいただけますでしょうか。それから、王宮図書館の全資料への閲覧権。これを慰謝料の一部として相殺させていただきます。残金については、今後十年の分割払いで構いません」
「……そんなことでいいのか?」
「はい。私は、物分かりの良い女ですから」
私は、内心でガッツポーズを作った。
あの土地は、騎士団の朝練を特等席で眺めることができる、私にとっての「聖地」だ。
そこを格安(というか慰謝料代わり)で手に入れ、図書館のデータを活用してさらに効率的な資産運用を行う。
完璧。
これぞ、悪役令嬢の鮮やかな引き際というものだ。
「キース、悪いがジェリカを土地の検分まで案内してやってくれ。……私は、これから息子の再教育という名の地獄を始めるからな」
陛下の目は、全く笑っていなかった。
セドリック殿下が「父上!? リリアンとの婚約は!?」と叫んでいるが、無視だ。
「……承知しました。アステリア公嬢、こちらへ」
キース様が、困惑した様子で私を促す。
私は彼に付いていきながら、その逞しい背中をじっくりと観察した。
(ふふふ……。あの広背筋。まるで大理石の彫刻のようだわ。これからは毎日、あの筋肉を隣で見られるのね。婚約破棄、本当に万歳ですわ!)
私の独身生活は、最高のスタートを切った。
翌朝、アステリア公爵邸の食堂。
私は焼きたてのトーストを優雅に齧りながら、一枚の書類を父――アステリア公爵の前に置いた。
父は、昨夜のパーティーでの騒動を耳にしていたらしく、目の下に深い隈を作って頭を抱えていた。
しかし、差し出された紙面を見た瞬間、その目が点になった。
「ジェリカ……。これは、何だ?」
「見ての通りですが? 王家に対する請求総額、並びに内訳です」
「八億四千万ゴールド……。お前、正気か? 婚約破棄をされたショックで、脳の回路がショートしたのか?」
「失礼な。私の脳はいつだって、最新式の魔導計算機より正確です。むしろ、あの不良債権……失礼、セドリック殿下との縁が切れたことで、処理速度が二〇パーセントほど向上しましたわ」
父はプルプルと手を震わせながら、請求書を凝視している。
公爵家としても、娘の婚約破棄は一大事。普通なら「王家に謝罪して復縁を」と泣きつくか、「隠居して修道院へ」と勧めるところだろう。
だが、私の辞書に「泣き寝入り」という言葉はない。
「お父様。殿下の浮気相手――リリアン様でしたか。彼女への名誉毀損料もしっかり計上してあります。これで我が家の領地のダム工事、三つは終わりますわね」
「……お前、本当に私の娘か? いや、確かに私の娘だが……。普通は、もう少し、こう……傷ついたりしないのか?」
「傷つく? なぜですか? 愛という不確かな資産が消えた代わりに、現金という確実な流動資産が手に入るのですよ。これほど健全な取引はありません」
私は最後の一切れのトーストを口に運ぶと、ナプキンで口元を拭った。
「さて、お父様。これから王宮へ行ってまいります」
「えっ、もう行くのか!?」
「『鉄は熱いうちに打て』、そして『債権は逃げられる前に回収せよ』。これがアステリア家の家訓でしょう?」
「そんな家訓はない!」
父の叫びを背中に受けながら、私は颯爽と馬車に乗り込んだ。
目的地は王宮。ターゲットは、昨夜のバカ息子……ではなく、その父親である国王陛下だ。
王宮に到着し、謁見の間へ向かう廊下を歩いていると、すれ違う官吏たちが私を見てヒソヒソと囁き合う。
「例の悪役令嬢だぞ」「算盤を持って王宮に殴り込みに来たらしい」
失礼な。殴り込みではなく、正当な権利の主張である。
「ジェリカ・フォン・アステリア。陛下がお待ちだ」
重厚な扉を開けたのは、昨夜も見かけた近衛騎士団長、キース様だった。
今日の彼は、正装の鎧を身に纏っている。
陽光を反射する銀色の肩当て。そこから伸びる、丸太のように太い上腕二頭筋。
(……素晴らしい。朝から良いものを見ましたわ。あの筋肉の隆起だけで、白米が三杯はいけますわね)
「キース様、おはようございます。今日も筋肉の仕上がりが完璧ですね」
「……何?」
キース様が眉をひそめるが、私は構わず謁見の間へと進んだ。
そこには、玉座に座って頭を抱えている国王陛下と、その傍らで不機嫌そうに立っているセドリック殿下の姿があった。
「ジェリカよ……。昨夜の話は聞いた。セドリックが……その、済まないことをした」
陛下は深いため息をついた。
息子が公衆の面前で暴走したのだから、親としての心労はお察しする。
だが、それとこれとは話が別だ。
「お言葉ですが陛下。謝罪の言葉よりも、まずは受領印をいただけますでしょうか」
私は恭しく歩み寄り、例の請求書を差し出した。
横から覗き込んだセドリック殿下が、顔を真っ赤にして叫ぶ。
「ジェリカ! 貴様、まだそんなふざけた紙を持って歩いているのか! 八億だと!? そんな金、払えるわけがないだろう!」
「あら、殿下。お支払いいただけないのですか? それでは、王家の信用格付け(クレジットスコア)が大幅に下落してしまいますわよ」
「うるさい! 第一、お前が僕を事務的に利用していた分を差し引けば、むしろお前が金を払うべきだ!」
「事務的に利用……? ふふっ、面白いことをおっしゃいますね」
私は手元の算盤を一度だけ、チャッ、と弾いた。
「殿下が過去三年間に提出された報告書の誤字脱字、計算ミス、及び論理破綻箇所をすべて修正したのは私です。もし、それらを修正せずに提出していたら、今頃隣国との通商条約は破棄され、王家の財政は二度破綻していました。私の労働価値を低く見積もらないでいただきたい」
「ぐっ……。そ、れは……」
「陛下。私は、セドリック殿下との間に『真実の愛』なるものがあったとは思いません。ですが、私は私なりに、次期王妃としての責務を果たしてまいりました。その契約を一方的に、かつ理不尽に破棄されたのです。これはもはや、国家による不当解雇と同義ですわ」
陛下は、私の理路整然とした(と自分では思っている)主張を聞きながら、何度も頷いていた。
「……セドリック。お前、ジェリカにそこまで仕事を押し付けていたのか?」
「い、いや、それは……彼女が勝手に手伝うと言うから……」
「勝手に? いいえ、殿下が『ジェリカぁ、これ明日までにお願いぃ……』と泣きついてこられたからではありませんか。当時の音声記録……は、取っていませんが、私の手帳にはすべての日時と殿下の情けない表情が記録されております」
「記録するな!」
陛下はついに観念したのか、大きく肩を落とした。
「……わかった。ジェリカ、お前の言い分は最もだ。八億四千万ゴールド……。正直、今の王室予算から一括で出すのは厳しいが、分割、または資産の譲渡で手を打てないか?」
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私は、あらかじめ用意していた別の書類をスッと差し出した。
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「……そんなことでいいのか?」
「はい。私は、物分かりの良い女ですから」
私は、内心でガッツポーズを作った。
あの土地は、騎士団の朝練を特等席で眺めることができる、私にとっての「聖地」だ。
そこを格安(というか慰謝料代わり)で手に入れ、図書館のデータを活用してさらに効率的な資産運用を行う。
完璧。
これぞ、悪役令嬢の鮮やかな引き際というものだ。
「キース、悪いがジェリカを土地の検分まで案内してやってくれ。……私は、これから息子の再教育という名の地獄を始めるからな」
陛下の目は、全く笑っていなかった。
セドリック殿下が「父上!? リリアンとの婚約は!?」と叫んでいるが、無視だ。
「……承知しました。アステリア公嬢、こちらへ」
キース様が、困惑した様子で私を促す。
私は彼に付いていきながら、その逞しい背中をじっくりと観察した。
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