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「……素晴らしい。王都の空気そのものが、心なしか高タンパクな質感に変わった気がいたしますわ」
王宮前広場に設置された特設審査員席。
私は、最高級のクッションに腰を下ろし、愛用の算盤を膝に置いて、眼下に広がる光景を眺めていた。
本日は、国王陛下が正式に認可した国家行事『第一回・王都筋肉美博覧会』――通称「マッスル・フェスティバル」の当日である。
広場を埋め尽くすのは、着飾った貴族たち……ではなく、上半身を晒してオイルでテカテカに輝く男たちと、それを熱狂的に見守る市民の群れだった。
「お嬢様……。まさか、一令嬢の趣味が、これほどの規模の国家予算を動かすことになるとは思いませんでしたよ」
後ろで、山積みの採点表を整理しているハンスが、遠い目をしながら呟いた。
「パチリ。……ハンス、これは趣味ではありません。国家の『健康管理意識』の向上と、観光収入による経済効果を狙った、極めて合理的な事業(ビジネス)ですわ。……見てごらんなさい、あちらの出店を。プロテイン入りのエールが、飛ぶように売れていますわよ」
「売れているのは、お嬢様が裏で手を引いているからでしょうに……」
そんな私の横に、華やかなマントを翻して国王陛下が現れた。
陛下も、最初は難色を示していたものの、今や「我が国の兵士の強さを他国に見せつける絶好の機会だ」と、ノリノリである。
「ジェリカよ。……準備は整ったか? 審査基準は、お前の算盤に任せてあるぞ」
「お任せください、陛下。パチパチ……。審美性、機能性、そして『血管の浮き具合による誠実さ』の三項目で、厳正に計量いたしますわ」
ファンファーレが鳴り響き、ついにフェスティバルが開幕した。
まず入場してきたのは、アステリア領から招待された「木こりギルド」の精鋭たちだ。
彼らが巨大な斧を担ぎ、荒々しい足取りで壇上へ上がると、会場からは地鳴りのような歓声が上がった。
「パチリ! ……十点! あの野性味溢れる外腹斜筋(がいふくしゃきん)! まさに大自然の息吹を感じますわね!」
私は興奮を抑えきれず、算盤を猛烈に弾いた。
続いて登場したのは、なんとリリアン様率いる「令嬢マッスル部」の面々だ。
ドレスの袖を切り落とし、引き締まった二の腕を誇示しながら歩く彼女たちの姿に、王都の女性たちが「まあ、あんなに凛々しくて美しくなれるなんて!」と憧れの声を上げる。
「お師匠様ーーー! 見てくださいまし、わたくしの背筋(はいきん)のキレを!」
リリアン様が壇上で見事なポージングを披露する。
彼女の背中には、以前の弱々しさは微塵もなく、美しい「鬼の貌(かお)」がうっすらと浮かび上がっていた。
「パチパチパチ! ……満点ですわ、リリアン様! 努力という名の複利が、完璧な資産となって結実していますわね!」
そして。
会場の熱気が最高潮に達したその時、満を持して彼が現れた。
近衛騎士団、総勢五十名。
その中心に立つのは、新調された「筋肉の動きを阻害しない」制服を身に纏った、キース様である。
彼らが一斉に、号令と共に制服の上着を脱ぎ捨てると、あまりの眩しさに(あるいは筋肉の圧力に)気絶する観客が続出した。
「キース……様……っ!」
私は思わず立ち上がった。
キース様は、少し恥ずかしそうに、しかし騎士としての誇りを持って、私の方を真っ直ぐに見据えた。
彼がグッと腕を曲げ、大胸筋を波打たせる。
その瞬間の、筋繊維の一本一本が精密に計算され尽くしたような、神々しいまでの造形美。
「パチ……パチ……。…………っ!」
指が止まる。
算盤の珠を弾くことすら忘れるほどの、圧倒的な「正解」がそこにあった。
「……ジェリカ。……これで、満足か?」
キース様が壇上から、私だけに聞こえるような低い声で問いかけてきた。
「……不満なわけが、ありませんわ。……パチリ。……測定不能、一兆点ですわ……!」
私は、胸に手を当てて深く溜息をついた。
この景色を見るために、私は婚約破棄され、悪役令嬢としての汚名を着て、今日まで戦ってきたのだ。
しかし、その感動の最中に、予想外の乱入者が現れた。
「待て! その審査に、異議ありだ!!」
会場の端から、一人の男が猛ダッシュで壇上へ駆け上がってきた。
……セドリック殿下だ。
彼は、以前のような豪華な服ではなく、質素な「庭師の作業着」を脱ぎ捨てた。
「ジェリカ! リリアン! 見てくれ! 僕も、この一ヶ月、毎日じょうろとバケツを持って……必死に自分を鍛え直したんだ!」
殿下が披露したのは、かつてのプヨプヨした体ではない。
そこには、うっすらとだが、努力の跡が見える「健康的な腹筋」があった。
……いや、キース様たちと比べれば、まだまだ赤子のようなものだが。
「……殿下。パチリ。……腹直筋(ふくちょくきん)の割れ方は、まだ甘いですわね。……ですが」
私は、算盤を一回だけ、優しく弾いた。
「その『姿勢の良さ』には、一定の評価を与えましょう。……自己投資の第一歩としては、上々の黒字ですわ」
「ジェリカ……! あ、ありがとう……!」
殿下は涙を流して喜び、リリアン様に「殿下、背筋が丸まっていますわよ!」と喝を入れられていた。
祭典は、熱狂のうちに幕を閉じた。
夕暮れ時、後片付けの進む会場で、私はキース様と二人きりになった。
「……公嬢。……いや、統括長。……これで、君の望む『筋肉の王国』は完成したのか?」
キース様が、少しだけ寂しげに笑った。
「……いいえ、キース様。筋肉に完成はありません。常に更新され続けるからこそ、価値があるのです。……ですが」
私は、彼の逞しい腕に自分の手を重ねた。
「……私の隣にいるべき『変数』は、キース様、あなた一人で確定しましたわ。……この計算結果、修正は一切不可です」
「…………。……ああ。……私も、その答えをずっと待っていた」
キース様が私を抱き寄せ、その逞しい胸板が私の視界を覆い尽くした。
(パチリ。……幸福指数、カンスト。……私の人生の決算、これにて完全勝利ですわ!)
……と、思っていたのだが。
私の背後で、ハンスが恐る恐る声を上げた。
「……あ、あの、お嬢様。……隣国の『マッチョ公国』から、親善試合の申し込みが届いておりますが……」
「……は? マッチョ公国? ……パチパチ。……面白い。計算の幅が、さらに広がりますわね!」
私の「筋肉帝国」の戦いは、まだまだ終わる気配がなかった。
王宮前広場に設置された特設審査員席。
私は、最高級のクッションに腰を下ろし、愛用の算盤を膝に置いて、眼下に広がる光景を眺めていた。
本日は、国王陛下が正式に認可した国家行事『第一回・王都筋肉美博覧会』――通称「マッスル・フェスティバル」の当日である。
広場を埋め尽くすのは、着飾った貴族たち……ではなく、上半身を晒してオイルでテカテカに輝く男たちと、それを熱狂的に見守る市民の群れだった。
「お嬢様……。まさか、一令嬢の趣味が、これほどの規模の国家予算を動かすことになるとは思いませんでしたよ」
後ろで、山積みの採点表を整理しているハンスが、遠い目をしながら呟いた。
「パチリ。……ハンス、これは趣味ではありません。国家の『健康管理意識』の向上と、観光収入による経済効果を狙った、極めて合理的な事業(ビジネス)ですわ。……見てごらんなさい、あちらの出店を。プロテイン入りのエールが、飛ぶように売れていますわよ」
「売れているのは、お嬢様が裏で手を引いているからでしょうに……」
そんな私の横に、華やかなマントを翻して国王陛下が現れた。
陛下も、最初は難色を示していたものの、今や「我が国の兵士の強さを他国に見せつける絶好の機会だ」と、ノリノリである。
「ジェリカよ。……準備は整ったか? 審査基準は、お前の算盤に任せてあるぞ」
「お任せください、陛下。パチパチ……。審美性、機能性、そして『血管の浮き具合による誠実さ』の三項目で、厳正に計量いたしますわ」
ファンファーレが鳴り響き、ついにフェスティバルが開幕した。
まず入場してきたのは、アステリア領から招待された「木こりギルド」の精鋭たちだ。
彼らが巨大な斧を担ぎ、荒々しい足取りで壇上へ上がると、会場からは地鳴りのような歓声が上がった。
「パチリ! ……十点! あの野性味溢れる外腹斜筋(がいふくしゃきん)! まさに大自然の息吹を感じますわね!」
私は興奮を抑えきれず、算盤を猛烈に弾いた。
続いて登場したのは、なんとリリアン様率いる「令嬢マッスル部」の面々だ。
ドレスの袖を切り落とし、引き締まった二の腕を誇示しながら歩く彼女たちの姿に、王都の女性たちが「まあ、あんなに凛々しくて美しくなれるなんて!」と憧れの声を上げる。
「お師匠様ーーー! 見てくださいまし、わたくしの背筋(はいきん)のキレを!」
リリアン様が壇上で見事なポージングを披露する。
彼女の背中には、以前の弱々しさは微塵もなく、美しい「鬼の貌(かお)」がうっすらと浮かび上がっていた。
「パチパチパチ! ……満点ですわ、リリアン様! 努力という名の複利が、完璧な資産となって結実していますわね!」
そして。
会場の熱気が最高潮に達したその時、満を持して彼が現れた。
近衛騎士団、総勢五十名。
その中心に立つのは、新調された「筋肉の動きを阻害しない」制服を身に纏った、キース様である。
彼らが一斉に、号令と共に制服の上着を脱ぎ捨てると、あまりの眩しさに(あるいは筋肉の圧力に)気絶する観客が続出した。
「キース……様……っ!」
私は思わず立ち上がった。
キース様は、少し恥ずかしそうに、しかし騎士としての誇りを持って、私の方を真っ直ぐに見据えた。
彼がグッと腕を曲げ、大胸筋を波打たせる。
その瞬間の、筋繊維の一本一本が精密に計算され尽くしたような、神々しいまでの造形美。
「パチ……パチ……。…………っ!」
指が止まる。
算盤の珠を弾くことすら忘れるほどの、圧倒的な「正解」がそこにあった。
「……ジェリカ。……これで、満足か?」
キース様が壇上から、私だけに聞こえるような低い声で問いかけてきた。
「……不満なわけが、ありませんわ。……パチリ。……測定不能、一兆点ですわ……!」
私は、胸に手を当てて深く溜息をついた。
この景色を見るために、私は婚約破棄され、悪役令嬢としての汚名を着て、今日まで戦ってきたのだ。
しかし、その感動の最中に、予想外の乱入者が現れた。
「待て! その審査に、異議ありだ!!」
会場の端から、一人の男が猛ダッシュで壇上へ駆け上がってきた。
……セドリック殿下だ。
彼は、以前のような豪華な服ではなく、質素な「庭師の作業着」を脱ぎ捨てた。
「ジェリカ! リリアン! 見てくれ! 僕も、この一ヶ月、毎日じょうろとバケツを持って……必死に自分を鍛え直したんだ!」
殿下が披露したのは、かつてのプヨプヨした体ではない。
そこには、うっすらとだが、努力の跡が見える「健康的な腹筋」があった。
……いや、キース様たちと比べれば、まだまだ赤子のようなものだが。
「……殿下。パチリ。……腹直筋(ふくちょくきん)の割れ方は、まだ甘いですわね。……ですが」
私は、算盤を一回だけ、優しく弾いた。
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「ジェリカ……! あ、ありがとう……!」
殿下は涙を流して喜び、リリアン様に「殿下、背筋が丸まっていますわよ!」と喝を入れられていた。
祭典は、熱狂のうちに幕を閉じた。
夕暮れ時、後片付けの進む会場で、私はキース様と二人きりになった。
「……公嬢。……いや、統括長。……これで、君の望む『筋肉の王国』は完成したのか?」
キース様が、少しだけ寂しげに笑った。
「……いいえ、キース様。筋肉に完成はありません。常に更新され続けるからこそ、価値があるのです。……ですが」
私は、彼の逞しい腕に自分の手を重ねた。
「……私の隣にいるべき『変数』は、キース様、あなた一人で確定しましたわ。……この計算結果、修正は一切不可です」
「…………。……ああ。……私も、その答えをずっと待っていた」
キース様が私を抱き寄せ、その逞しい胸板が私の視界を覆い尽くした。
(パチリ。……幸福指数、カンスト。……私の人生の決算、これにて完全勝利ですわ!)
……と、思っていたのだが。
私の背後で、ハンスが恐る恐る声を上げた。
「……あ、あの、お嬢様。……隣国の『マッチョ公国』から、親善試合の申し込みが届いておりますが……」
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