11 / 28
11
しおりを挟む
キラキラと輝くはずだった、私の新しい人生。
それは、思い描いていたものとは、何もかもが違っていた。
「なんですの、この紅茶は! 色が薄すぎますわ! それに、少し冷めているじゃないの! 今すぐ淹れ直してきなさい!」
王宮の一室。リリアナは、侍女が差し出したティーカップを、テーブルに叩きつけるように置いた。
侍女はびくりと肩を震わせたが、その瞳の奥に、怯えと同じくらい、うんざりとした色が浮かんでいるのを、リリアナは見逃さなかった。
(なんなのよ、その目は…!)
最近、侍女たちの態度が、明らかにぞんざいになってきている。
未来の王太子妃である、この私に対して。
腹立たしくて、悔しくて、リリアナは唇をぎゅっと噛みしめた。
イライラの原因は、一つではない。
遅々として進まない妃教育。
日に日に冷たくなっていくエドワードの態度。
そして、何よりも…社交界でまことしやかに囁かれている、あの女の噂。
『聞きました? サーシャ・フォン・シュヴァルツ様が、あのアシュフォード辺境伯様と、二人きりで食事を楽しまれたそうですわ』
『まあ! それどころか、平民街の市場を、まるで恋人同士のように歩いていらしたとか…』
『辺境伯様からは、連日、シュヴァルツ公爵邸に贈り物が届けられているんですって。猪だの鹿だの、少し変わっているけれど…』
(なんで、あのサーシャさんが…!)
リリアナは、爪が食い込むほど、強く拳を握りしめた。
殿下に捨てられた、悪役令嬢のくせに。
惨めに、屋敷の片隅で泣いて暮らしているべき人間が、なぜ。
なぜ、私の父である男爵よりも、遥かに身分も格も上の、あの辺境伯と親しくしているというの?
(おかしいわ、絶対におかしい!)
きっと、あの女のことだ。
公爵家の財力と権力を笠に着て、何か汚い手を使って、辺境伯様を騙しているに違いない。
そうでなければ、説明がつかない。
自分が手に入れたはずの、王太子妃という最高の地位。
しかし、その現実は、退屈で厳しい勉強と、息の詰まる作法の連続。
誰もが羨むはずの生活は、少しも輝いてなんかいない。
それなのに、すべてを失ったはずのサーシャが、自由を謳歌し、自分よりも幸せそうにしているなんて、許せるはずがなかった。
「リリアナ様、歴史学のお時間ですわ」
侍女の声に、リリアナは渋々、妃教育の教室へと向かう。
今日の講師も、あの口うるさいハリッジ女伯爵だ。
「では、リリアナ様。前回の復習です。我が国の建国神話において、初代国王が聖竜と交わした三つの盟約とは、何でしたかな?」
「え…っと…」
リリアナは、口ごもる。
そんなもの、聞いた覚えもなければ、覚える気もなかった。
女伯爵は、表情一つ変えずに、しかし、深々と、これみよがしに、ため息をついた。
「…本日で、同じ質問を差し上げるのは、五回目になります。もう、結構ですわ。今日の講義は、これまでにいたしましょう」
その、完全に匙を投げられた態度。
「あなたに教えても無駄だ」と、暗に言われているようで、リリアナは屈辱に顔を真っ赤にした。
(なんなのよ、みんなして…! わたくしを馬鹿にして…!)
リリアナは、教室を飛び出すと、いつものようにエドワードの執務室へと駆け込んだ。
泣きつけば、彼だけは、きっと自分の味方をしてくれる。そう信じて。
「エドワード様! お聞きになりました!?」
リリアナは、扉を開けるなり、悲劇のヒロインのように叫んだ。
「サーシャさんが、あの堅物で有名なアシュフォード辺境伯と、市場でデートをしていたそうですわ!」
しかし、エドワードの反応は、リリアナが期待していたものとは全く違っていた。
彼は、山のような書類から一度も顔を上げずに、うんざりした声で答えた。
「…ああ、その噂なら、私の耳にも入っている」
「聞いているって…! それだけですの!?」
「では、私にどうしろと?」
その冷たい声に、リリアナは言葉を失う。
「あの女、きっと辺境伯様を誑かして、何かよからぬことを企んでいますわ! シュヴァルツ公爵家とアシュフォード辺境伯家が手を組んで、王家に反旗を翻すつもりかもしれませんのよ!」
突拍子もない妄想を並べ立てるリリアナに、エドワードは、ようやく顔を上げた。
だが、その瞳には、かつてのような愛情の色はなく、ただ、深い疲労と苛立ちが浮かんでいるだけだった。
「リリアナ、馬鹿なことを言うのはやめろ」
「馬鹿ですって!?」
「辺境伯は、王家への忠誠心篤い、実直な御方だ。サーシャ嬢と個人的に親しくしていたとしても、それだけで国を揺るがすような行動に出るはずがない。それに…」
エドワードは、こめかみを指で押さえながら、吐き捨てるように言った。
「今の王家に、シュヴァルツ公爵家とアシュフォード辺境伯家を、同時に敵に回せるほどの力など、ない。分かるか? だから、下手に刺激するようなことは、絶対にやめろ」
「そんな…! じゃあ、あの女が、辺境伯様の後ろ盾を得て、好き放題しているのを、ただ黙って見ていろと仰るのですか!?」
「そうだ」
エドワードは、再び書類に目を落とすと、最後の一撃を、冷酷にリリアナに放った。
「君は、他人の心配をしている場合か? 君の妃教育の進捗の悪さは、私の耳にも嫌というほど届いている。これ以上、私を、そして王家を、失望させるような真似はしないでくれ」
突き放すような、冷たい言葉。
リリアナは、愕然として、その場に立ち尽くした。
執務室を追い出され、人気のない廊下で、リリアナは初めて、自分が完全に孤立していることに気づいた。
侍女たちは、自分を遠巻きにするだけ。
講師たちは、自分に匙を投げた。
そして、唯一の頼りだったはずのエドワード王子は、もう、自分の涙に騙されてはくれない。
(エドワード様まで…わたくしを信じてくださらないなんて…!)
じわり、と涙が滲む。
しかし、それは悲しみの涙ではなかった。
悔しさと、怒りと、そして、見捨てられたことへの焦りからくる、熱い涙だった。
(もう、いいわ)
リリアナは、ごしごしと乱暴に涙を拭った。
(こうなったら、わたくし一人の力で、証明してみせる。あの女の化けの皮を、剥いでみせるわ…!)
サーシャが、辺境伯を騙しているという、決定的な証拠。
それを掴んで、皆の前に突き出してやればいい。
そうすれば、きっと、エドワード様も、周りの人間も、みんな、わたくしを見直してくれるはずだ。
誰にも頼れないという焦りが、リリアナを、危険で、そして、あまりにも浅はかな考えへと駆り立てていく。
その可憐な瞳の奥に、歪んだ決意の光を宿して。
リリアナは、自ら破滅へと続く道を、確かに、一歩、踏み出したのだった。
それは、思い描いていたものとは、何もかもが違っていた。
「なんですの、この紅茶は! 色が薄すぎますわ! それに、少し冷めているじゃないの! 今すぐ淹れ直してきなさい!」
王宮の一室。リリアナは、侍女が差し出したティーカップを、テーブルに叩きつけるように置いた。
侍女はびくりと肩を震わせたが、その瞳の奥に、怯えと同じくらい、うんざりとした色が浮かんでいるのを、リリアナは見逃さなかった。
(なんなのよ、その目は…!)
最近、侍女たちの態度が、明らかにぞんざいになってきている。
未来の王太子妃である、この私に対して。
腹立たしくて、悔しくて、リリアナは唇をぎゅっと噛みしめた。
イライラの原因は、一つではない。
遅々として進まない妃教育。
日に日に冷たくなっていくエドワードの態度。
そして、何よりも…社交界でまことしやかに囁かれている、あの女の噂。
『聞きました? サーシャ・フォン・シュヴァルツ様が、あのアシュフォード辺境伯様と、二人きりで食事を楽しまれたそうですわ』
『まあ! それどころか、平民街の市場を、まるで恋人同士のように歩いていらしたとか…』
『辺境伯様からは、連日、シュヴァルツ公爵邸に贈り物が届けられているんですって。猪だの鹿だの、少し変わっているけれど…』
(なんで、あのサーシャさんが…!)
リリアナは、爪が食い込むほど、強く拳を握りしめた。
殿下に捨てられた、悪役令嬢のくせに。
惨めに、屋敷の片隅で泣いて暮らしているべき人間が、なぜ。
なぜ、私の父である男爵よりも、遥かに身分も格も上の、あの辺境伯と親しくしているというの?
(おかしいわ、絶対におかしい!)
きっと、あの女のことだ。
公爵家の財力と権力を笠に着て、何か汚い手を使って、辺境伯様を騙しているに違いない。
そうでなければ、説明がつかない。
自分が手に入れたはずの、王太子妃という最高の地位。
しかし、その現実は、退屈で厳しい勉強と、息の詰まる作法の連続。
誰もが羨むはずの生活は、少しも輝いてなんかいない。
それなのに、すべてを失ったはずのサーシャが、自由を謳歌し、自分よりも幸せそうにしているなんて、許せるはずがなかった。
「リリアナ様、歴史学のお時間ですわ」
侍女の声に、リリアナは渋々、妃教育の教室へと向かう。
今日の講師も、あの口うるさいハリッジ女伯爵だ。
「では、リリアナ様。前回の復習です。我が国の建国神話において、初代国王が聖竜と交わした三つの盟約とは、何でしたかな?」
「え…っと…」
リリアナは、口ごもる。
そんなもの、聞いた覚えもなければ、覚える気もなかった。
女伯爵は、表情一つ変えずに、しかし、深々と、これみよがしに、ため息をついた。
「…本日で、同じ質問を差し上げるのは、五回目になります。もう、結構ですわ。今日の講義は、これまでにいたしましょう」
その、完全に匙を投げられた態度。
「あなたに教えても無駄だ」と、暗に言われているようで、リリアナは屈辱に顔を真っ赤にした。
(なんなのよ、みんなして…! わたくしを馬鹿にして…!)
リリアナは、教室を飛び出すと、いつものようにエドワードの執務室へと駆け込んだ。
泣きつけば、彼だけは、きっと自分の味方をしてくれる。そう信じて。
「エドワード様! お聞きになりました!?」
リリアナは、扉を開けるなり、悲劇のヒロインのように叫んだ。
「サーシャさんが、あの堅物で有名なアシュフォード辺境伯と、市場でデートをしていたそうですわ!」
しかし、エドワードの反応は、リリアナが期待していたものとは全く違っていた。
彼は、山のような書類から一度も顔を上げずに、うんざりした声で答えた。
「…ああ、その噂なら、私の耳にも入っている」
「聞いているって…! それだけですの!?」
「では、私にどうしろと?」
その冷たい声に、リリアナは言葉を失う。
「あの女、きっと辺境伯様を誑かして、何かよからぬことを企んでいますわ! シュヴァルツ公爵家とアシュフォード辺境伯家が手を組んで、王家に反旗を翻すつもりかもしれませんのよ!」
突拍子もない妄想を並べ立てるリリアナに、エドワードは、ようやく顔を上げた。
だが、その瞳には、かつてのような愛情の色はなく、ただ、深い疲労と苛立ちが浮かんでいるだけだった。
「リリアナ、馬鹿なことを言うのはやめろ」
「馬鹿ですって!?」
「辺境伯は、王家への忠誠心篤い、実直な御方だ。サーシャ嬢と個人的に親しくしていたとしても、それだけで国を揺るがすような行動に出るはずがない。それに…」
エドワードは、こめかみを指で押さえながら、吐き捨てるように言った。
「今の王家に、シュヴァルツ公爵家とアシュフォード辺境伯家を、同時に敵に回せるほどの力など、ない。分かるか? だから、下手に刺激するようなことは、絶対にやめろ」
「そんな…! じゃあ、あの女が、辺境伯様の後ろ盾を得て、好き放題しているのを、ただ黙って見ていろと仰るのですか!?」
「そうだ」
エドワードは、再び書類に目を落とすと、最後の一撃を、冷酷にリリアナに放った。
「君は、他人の心配をしている場合か? 君の妃教育の進捗の悪さは、私の耳にも嫌というほど届いている。これ以上、私を、そして王家を、失望させるような真似はしないでくれ」
突き放すような、冷たい言葉。
リリアナは、愕然として、その場に立ち尽くした。
執務室を追い出され、人気のない廊下で、リリアナは初めて、自分が完全に孤立していることに気づいた。
侍女たちは、自分を遠巻きにするだけ。
講師たちは、自分に匙を投げた。
そして、唯一の頼りだったはずのエドワード王子は、もう、自分の涙に騙されてはくれない。
(エドワード様まで…わたくしを信じてくださらないなんて…!)
じわり、と涙が滲む。
しかし、それは悲しみの涙ではなかった。
悔しさと、怒りと、そして、見捨てられたことへの焦りからくる、熱い涙だった。
(もう、いいわ)
リリアナは、ごしごしと乱暴に涙を拭った。
(こうなったら、わたくし一人の力で、証明してみせる。あの女の化けの皮を、剥いでみせるわ…!)
サーシャが、辺境伯を騙しているという、決定的な証拠。
それを掴んで、皆の前に突き出してやればいい。
そうすれば、きっと、エドワード様も、周りの人間も、みんな、わたくしを見直してくれるはずだ。
誰にも頼れないという焦りが、リリアナを、危険で、そして、あまりにも浅はかな考えへと駆り立てていく。
その可憐な瞳の奥に、歪んだ決意の光を宿して。
リリアナは、自ら破滅へと続く道を、確かに、一歩、踏み出したのだった。
587
あなたにおすすめの小説
政略結婚の指南書
編端みどり
恋愛
【完結しました。ありがとうございました】
貴族なのだから、政略結婚は当たり前。両親のように愛がなくても仕方ないと諦めて結婚式に臨んだマリア。母が持たせてくれたのは、政略結婚の指南書。夫に愛されなかった母は、指南書を頼りに自分の役目を果たし、マリア達を立派に育ててくれた。
母の背中を見て育ったマリアは、愛されなくても自分の役目を果たそうと覚悟を決めて嫁いだ。お相手は、女嫌いで有名な辺境伯。
愛されなくても良いと思っていたのに、マリアは結婚式で初めて会った夫に一目惚れしてしまう。
屈強な見た目で女性に怖がられる辺境伯も、小動物のようなマリアに一目惚れ。
惹かれ合うふたりを引き裂くように、結婚式直後に辺境伯は出陣する事になってしまう。
戻ってきた辺境伯は、上手く妻と距離を縮められない。みかねた使用人達の手配で、ふたりは視察という名のデートに赴く事に。そこで、事件に巻き込まれてしまい……
※R15は保険です
※別サイトにも掲載しています
【完結】姉に婚約者を奪われ、役立たずと言われ家からも追放されたので、隣国で幸せに生きます
よどら文鳥
恋愛
「リリーナ、俺はお前の姉と結婚することにした。だからお前との婚約は取り消しにさせろ」
婚約者だったザグローム様は婚約破棄が当然のように言ってきました。
「ようやくお前でも家のために役立つ日がきたかと思ったが、所詮は役立たずだったか……」
「リリーナは伯爵家にとって必要ない子なの」
両親からもゴミのように扱われています。そして役に立たないと、家から追放されることが決まりました。
お姉様からは用が済んだからと捨てられます。
「あなたの手柄は全部私が貰ってきたから、今回の婚約も私のもの。当然の流れよね。だから謝罪するつもりはないわよ」
「平民になっても公爵婦人になる私からは何の援助もしないけど、立派に生きて頂戴ね」
ですが、これでようやく理不尽な家からも解放されて自由になれました。
唯一の味方になってくれた執事の助言と支援によって、隣国の公爵家へ向かうことになりました。
ここから私の人生が大きく変わっていきます。
妹のために愛の無い結婚をすることになりました
バンブー竹田
恋愛
「エミリー、君との婚約は破棄することに決まった」
愛するラルフからの唐突な通告に私は言葉を失ってしまった。
婚約が破棄されたことはもちろんショックだけど、それだけじゃない。
私とラルフの結婚は妹のシエルの命がかかったものでもあったから・・・。
落ちこむ私のもとに『アレン』という大金持ちの平民からの縁談が舞い込んできた。
思い悩んだ末、私は会ったこともない殿方と結婚することに決めた。
処刑された悪役令嬢、二周目は「ぼっち」を卒業して最強チームを作ります!
みかぼう。
恋愛
地方を救おうとして『反逆者』に仕立て上げられ、断頭台で散ったエリアナ・ヴァルドレイン。
彼女の失敗は、有能すぎるがゆえに「独りで背負いすぎたこと」だった。
ループから始まった二周目。
彼女はこれまで周囲との間に引いていた「線」を、踏み越えることを決意した。
「お父様、私に『線を引け』と教えた貴方に、処刑台から見た真実をお話しします」
「殿下、私が貴方の『目』となります。王国に張り巡らされた謀略の糸を、共に断ち切りましょう」
淑女の仮面を脱ぎ捨て、父と王太子を「共闘者」へと変貌させる政争の道。
未来知識という『目』を使い、一歩ずつ確実に、破滅への先手を取っていく。
これは、独りで戦い、独りで死んだ令嬢が、信頼と連帯によって王国の未来を塗り替える――緻密かつ大胆なリベンジ政争劇。
「私を神輿にするのなら、覚悟してくださいませ。……その行き先は、貴方の破滅ですわ」
(※カクヨムにも掲載中です。)
婚約者と王の座を捨てて、真実の愛を選んだ僕の結果
もふっとしたクリームパン
恋愛
タイトル通り、婚約者と王位を捨てた元第一王子様が過去と今を語る話です。ざまぁされる側のお話なので、明るい話ではありません。*書きたいとこだけ書いた小説なので、世界観などの設定はふんわりしてます。*文章の追加や修正を適時行います。*カクヨム様にも投稿しています。*本編十四話(幕間四話)+登場人物紹介+オマケ(四話:ざまぁする側の話)、で完結。
偽王を演じた侯爵令嬢は、名もなき人生を選ぶ」
鷹 綾
恋愛
内容紹介
王太子オレンに婚約破棄された侯爵令嬢ライアー・ユースティティア。
だが、それは彼女にとって「不幸の始まり」ではなかった。
国政を放棄し、重税と私欲に溺れる暴君ロネ国王。
その無責任さを補っていた宰相リシュリュー公爵が投獄されたことで、
国は静かに、しかし確実に崩壊へ向かい始める。
そんな中、変身魔法を使えるライアーは、
国王の身代わり――偽王として玉座に座ることを強要されてしまう。
「王太子妃には向いていなかったけれど……
どうやら、国王にも向いていなかったみたいですわね」
有能な宰相とともに国を立て直し、
理不尽な税を廃し、民の暮らしを取り戻した彼女は、
やがて本物の国王と王太子を“偽者”として流刑に処す。
そして最後に選んだのは、
王として君臨し続けることではなく――
偽王のまま退位し、名もなき人生を生きることだった。
これは、
婚約破棄から始まり、
偽王としてざまぁを成し遂げ、
それでも「王にならなかった」令嬢の物語。
玉座よりも遠く、
裁きよりも静かな場所で、
彼女はようやく“自分の人生”を歩き始める。
婚約破棄されましたが、私はもう必要ありませんので
ふわふわ
恋愛
「婚約破棄?
……そうですか。では、私の役目は終わりですね」
王太子ロイド・ヴァルシュタインの婚約者として、
国と王宮を“滞りなく回す存在”であり続けてきた令嬢
マルグリット・フォン・ルーヴェン。
感情を表に出さず、
功績を誇らず、
ただ淡々と、最善だけを積み重ねてきた彼女に突きつけられたのは――
偽りの奇跡を振りかざす“聖女”による、突然の婚約破棄だった。
だが、マルグリットは嘆かない。
怒りもしない。
復讐すら、望まない。
彼女が選んだのは、
すべてを「仕組み」と「基準」に引き渡し、静かに前線から降りること。
彼女がいなくなっても、領地は回る。
判断は滞らず、人々は困らない。
それこそが、彼女が築いた“完成形”だった。
一方で、
彼女を切り捨てた王太子と偽聖女は、
「彼女がいない世界」で初めて、自分たちの無力さと向き合うことになる。
――必要とされない価値。
――前に出ない強さ。
――名前を呼ばれない完成。
これは、
騒がず、縋らず、静かに去った令嬢が、
最後にすべてを置き去りにして手に入れる“自由”の物語。
ざまぁは静かに、
恋は後半に、
そして物語は、凛と終わる。
アルファポリス女子読者向け
「大人の婚約破棄ざまぁ恋愛」、ここに完結。
悪役令嬢が行方不明!?
mimiaizu
恋愛
乙女ゲームの設定では悪役令嬢だった公爵令嬢サエナリア・ヴァン・ソノーザ。そんな彼女が行方不明になるというゲームになかった事件(イベント)が起こる。彼女を見つけ出そうと捜索が始まる。そして、次々と明かされることになる真実に、妹が両親が、婚約者の王太子が、ヒロインの男爵令嬢が、皆が驚愕することになる。全てのカギを握るのは、一体誰なのだろう。
※初めての悪役令嬢物です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる