ここまでお膳立てしてあげたのに、どうして恋に落ちないの!?

*菜乃

文字の大きさ
23 / 25
第9章

どう思ってるの…?

しおりを挟む
「…」
「……」

…沈黙が辛い……。

ルークの後ろをただ歩くだけのこの時間。

ソル様に正体を見破られ速攻で帰りたかったのだが、流石にそんなことをしたら明日には首と胴体がおさらばしている。
考えただけでゾッとするわ。

でも、流石にこの沈黙は辛くない?
こころなしかルーク機嫌悪いし。
ねえ帰って良い?良いよね??

「おい」
「は、はいっ」

え…逃げようとしてるのバレた?
ルークは頭の後ろにも目がついてたりする??

「なんでしょうか?」

内面の動揺を隠しながらそう問うと、ルークは何か躊躇うように話し始めた。

「さっきから思っていたのだが、お前はルシアにそっくりだな。その容姿といい声といい。まさかーー」
「ち、違いますわっ?」

少し声がうわずってしまったが、気にしないでほしい。

「一階の侍女が、公爵令嬢であるルシア様のはずがない…と、思いますが?」

ついで畳みかけるように言えば、疑いながらも、まあそうか、と納得してくれてた。

「…ルシア様が、どうかされたのですか?」

また沈黙になるのが耐えられなくて、つい勢いで聞いてしまったけれど、聞いてからハッとする。
たかが侍女ごときが、王太子に話しかけるのは失礼だ…。

「…さぁな」

慌てて謝ろうとしたが、ルークが返答してくれたことに驚く。

…というか、さぁなって何よ。
嫌いでないのは嬉しいけど!

「…そう、ですか」

どう返答するか考えていたが、結局これしか返せなかった。

「……彼女はどこに居るのだろうな」
「……」

話の流れからしてルシアのことなんだろうけど。
そんな憂いの表情で言われても。

実はここに居ました!あははぁとは言えない…

「…きっと、王太子殿下に会いたがっておられますよ」

これが模範解答、なはず。

今の私は侍女だからお世辞しか言えない。
本当は、こんな夜会みたいに人が多いところが嫌いで、敵意剥き出しのところになんかいたくないだけだけど。それにルークのことそんなに考えてなかった。ごめん。

でも、なんでこんなに不機嫌なの?
私が送られてきたドレスを着なかったからかな。
……そんなことで怒るかしら。

「…そうか。それならどんなに嬉しいだろう…また、彼女に会いたいよ」
「……!」

話していて、憂いとほのかな怒りが滲んでいた顔が、一瞬にしてほころぶ。

それ、どうゆう意味で……

まるで、私のことを好きと言っているように感じてしまう。

思ってもいなかった返答に、胸が締め付けられる。
なんで私にーー

「あの、私ーー」
「ーーー………きゃぁっ!!」

無意識に問いかけようとしていた言葉をぐっと飲み込む。
私、今何言おうとしてた…?

て、それよりも!

「今の声は…」
「ユリア嬢の声だ」

お互いにハッとし、いつの間にか止まっていた足を再び動かす。

やがて見えてきた光景に、自分の目を疑った。
あの令嬢達、さっきのーー!
まだ距離はあるし、話し声もうっすら聞こえる程度だが、間違いない。

あんだけ脅してやったのに、まだ懲りないの?!
あれ、でもこの光景見覚えある……あ。

「王太子殿下!ちょっとよろしいでしょうか!!」
「…?!何をしている!」

今は侍女であるということも忘れ、ぐいぐいとルークの腕を引っ張る。

そして近くの客間へと押し込み、そっと令嬢たちの様子を伺う。
間違いない。

これ、フォレストのイベだわ!!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された際もらった慰謝料で田舎の土地を買い農家になった元貴族令嬢、野菜を買いにきたベジタリアン第三王子に求婚される

さら
恋愛
婚約破棄された元伯爵令嬢クラリス。 慰謝料代わりに受け取った金で田舎の小さな土地を買い、農業を始めることに。泥にまみれて種を撒き、水をやり、必死に生きる日々。貴族の煌びやかな日々は失ったけれど、土と共に過ごす穏やかな時間が、彼女に新しい幸せをくれる――はずだった。 だがある日、畑に現れたのは野菜好きで有名な第三王子レオニール。 「この野菜は……他とは違う。僕は、あなたが欲しい」 そう言って真剣な瞳で求婚してきて!? 王妃も兄王子たちも立ちはだかる。 「身分違いの恋」なんて笑われても、二人の気持ちは揺るがない。荒れ地を畑に変えるように、愛もまた努力で実を結ぶのか――。

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――

ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。 魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。 ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。 誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。

婚約破棄されたのでファンシーショップ始めました。 ― 元婚約者が、お人形さんを側室にしようとして大恥をかきました ―

鷹 綾
恋愛
隣国の王子から「政略的にも個人的にも魅力を感じない」と婚約破棄された、ファンタジア王国第三女王タナー。 泣きも怒りもせず、彼女が考えたのは――「いつか王宮の庇護がなくなっても困らない生き方」だった。 まだ八歳。 それでも先を見据え、タナーは王都の片隅で小さなファンシーショップを開くことを決意する。 並ぶのは、かわいい雑貨。 そして、かわいい魔法の雑貨。 お茶を淹れてくれるクマのぬいぐるみ店員《テイデイ・バトラー》、 冷めないティーカップ、 時間になると小鳥が飛び出すアンティーク時計――。 静かに広がる評判の裏で、 かつての元婚約者は「お人形さんを側室にしようとして」赤っ恥をかくことに。 ざまぁは控えめ、日常はやさしく。 かわいいものに囲まれながら、女王は今日も穏やかにお店を開けています。 --- この文面は ✔ アルファポリス向け文字数 ✔ 女子読者に刺さるワード配置 ✔ ネタバレしすぎない ✔ ほのぼの感キープ を全部満たしています。 次は 👉 タグ案 👉 ランキング用超短縮あらすじ(100字) どちらにしますか?

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

悪役令嬢だったので、身の振り方を考えたい。

しぎ
恋愛
カーティア・メラーニはある日、自分が悪役令嬢であることに気づいた。 断罪イベントまではあと数ヶ月、ヒロインへのざまぁ返しを計画…せずに、カーティアは大好きな読書を楽しみながら、修道院のパンフレットを取り寄せるのだった。悪役令嬢としての日々をカーティアがのんびり過ごしていると、不仲だったはずの婚約者との距離がだんだんおかしくなってきて…。

【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!

美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』  そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。  目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。  なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。  元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。  ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。  いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。  なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。  このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。  悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。  ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

処理中です...