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28.フローリアの居場所 sideエドモンド
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sideエドモンド
「失礼します。少し遅れまし…は?」
団長が呼んでいると伝言を受け、扉を開けて団長室に足を踏み入れた瞬間、異様な光景に足を止めた。
そこには、団長とアドバン爺さん、そしてサラがいた。団長室の空気は重く、いつもとは違う緊張感が漂っている。普段は堂々とした団長と、頼りになる爺さんが、まるで怒られた子供のように項垂れているのが目に入った。
あんなに落ち込んでいるなんて、一体何があったんだ?
「…遅かったわね。じゃあ、これから、最近の不可思議な事態の確認を行います。団長たちは特に心して聞いてくださいね!」
サラの言葉が響き、緊張が走った。「不可思議な事態」とは何のことだろう?団長と爺さんがこんなに萎縮しているのは、やはりサラが原因なのか?
「まず、団長。ソフィアっていう子が騎士団で働くことを話し合いで決めたって言っていましたけど、なんでそんなことになったのですか?」
「いや、あちらの室長…というよりも、ソフィア嬢の父の伯爵からの圧力があって…」
団長が少し戸惑いながら口を開く。
「はい、出ました。貴族のしがらみ。フローリアと出会った時のことを思い出したら、前の職場で何かあったなんてすぐわかるじゃないですか!そもそも首にされているんですよ?断ってくださいよ、前の職場の人間なんて」
フローリアには、帰ってきてから、報告書やら会議やら後始末やらで会えていない。時間の合間に、医療室に行っても見かけることがなくなった。代わりにソフィア嬢が話しかけてきたが、フローリアが気になっていたので内容は、よく覚えていない。
そうだ、あの時、団長は断ってくれると言ったのに、話し合いから帰ってきたら引き受けるに代わっていたんだ。フローリアが困っている様子だったから、断ってくれとちゃんと伝えたのに!これだから貴族は!
「アドバン様もあの子にデレデレしちゃって」
「デレデレ何ぞ…」
「してました!鼻の下をこーんなに伸ばして!!孫のセシルちゃんに手紙でばらしますから!!」
「や、やめてくれ!」
「アドバン様がフォローしてあげないから、フローリアが肩身の狭い思いをするんじゃないですか?全然、最近医療室にいないで作業室と温室にこもりっぱなし…。そもそも、なんでソフィアって子は薬師なのに薬を作らないで医療室のずっといるの。おかしいじゃない!」
サラの鋭い指摘に、爺さんは慌てふためく。そんな二人のやり取りを見ながら、心の中でフローリアのことを思い浮かべていた。最近、彼女は作業室と温室にこもりきり…。彼女が追い詰められているとは、考えてもいなかった。
「ソフィアは他の騎士たちとも仲良くしているし、フローリアは、もともと薬づくりが好きだからって言われたら…」
爺さんの言葉はどこか歯切れが悪い。サラの鋭い視線が貫き、そのプレッシャーに爺さんはさらに小さく見えた。
「…それ、本気で言っているのなら、アドバン様のランチはこれからは、パンだけですからね!」
「わしが悪かった…」
爺さんはすっかり意気消沈し、深く息を吐いた。
「エドモンド様、黙っているけど、何か言うことは?」
サラの鋭い声が私を現実に引き戻した。彼女への感謝と共に、自分が感じている苛立ちをかみしめた。
「ああ、サラありがとう。フローリアのために怒ってくれて。…俺が甘かった。フローリアにとって何が一番いいのか迷っていた。それに、後始末が終わるまで俺の代わりに気にかけてくれと2人を頼ってしまった…くそっ!人任せにしたことを今、猛烈に後悔している!」
次第に怒りが湧き上がってくる。自分自身にも、この目の前の2人にも!
「…とりあえず、団長と爺さんは、今から俺の敵だ!」
「まてまて!フローリアを蔑ろにはしていない!何とか2週間まで短くしたのは私だぞ。フローリアが望まなければ、辞めさせる事は無いとも言っている!」
「いつまでもソフィアと話し、長居をしようとしている騎士を追い返しているのはわしじゃ。作業室にいるフローリアには、差し入れを持って行っているし、フローリアの作ったものを鑑定しては、べた褒めしている!いや、べた褒めするほどの薬なのは間違いないのだが…」
団長と爺さんの必死の弁解に、何も安堵などしない。
閉じこもっているフローリアのことが気がかりだった。その状態が続けば、彼女は孤立してしまう危険がある。そのことが不安でたまらなかった。サラも同じことを考えているのだろう。彼女の厳しい表情には、フローリアを守りたいという強い決意が感じられた。
「2週間まで、あと1週間もあるじゃない。これ以上フローリアの元気がなくなるようだったら、私にも考えがありますからね!!」
サラの厳しい声に、なんだ、考えって…と、団長と爺さんは戦々恐々とした様子だった。
そうだ、キャリアなんか関係ない。例えソフィア嬢の言うことが正論だったとしても、フローリアに恨まれる未来があっても、フローリアの居場所は、この騎士団だ。なぜなら、俺が、フローリアしか望んでいないからだ。邪魔する奴は誰であろうと、許さない。
「失礼します。少し遅れまし…は?」
団長が呼んでいると伝言を受け、扉を開けて団長室に足を踏み入れた瞬間、異様な光景に足を止めた。
そこには、団長とアドバン爺さん、そしてサラがいた。団長室の空気は重く、いつもとは違う緊張感が漂っている。普段は堂々とした団長と、頼りになる爺さんが、まるで怒られた子供のように項垂れているのが目に入った。
あんなに落ち込んでいるなんて、一体何があったんだ?
「…遅かったわね。じゃあ、これから、最近の不可思議な事態の確認を行います。団長たちは特に心して聞いてくださいね!」
サラの言葉が響き、緊張が走った。「不可思議な事態」とは何のことだろう?団長と爺さんがこんなに萎縮しているのは、やはりサラが原因なのか?
「まず、団長。ソフィアっていう子が騎士団で働くことを話し合いで決めたって言っていましたけど、なんでそんなことになったのですか?」
「いや、あちらの室長…というよりも、ソフィア嬢の父の伯爵からの圧力があって…」
団長が少し戸惑いながら口を開く。
「はい、出ました。貴族のしがらみ。フローリアと出会った時のことを思い出したら、前の職場で何かあったなんてすぐわかるじゃないですか!そもそも首にされているんですよ?断ってくださいよ、前の職場の人間なんて」
フローリアには、帰ってきてから、報告書やら会議やら後始末やらで会えていない。時間の合間に、医療室に行っても見かけることがなくなった。代わりにソフィア嬢が話しかけてきたが、フローリアが気になっていたので内容は、よく覚えていない。
そうだ、あの時、団長は断ってくれると言ったのに、話し合いから帰ってきたら引き受けるに代わっていたんだ。フローリアが困っている様子だったから、断ってくれとちゃんと伝えたのに!これだから貴族は!
「アドバン様もあの子にデレデレしちゃって」
「デレデレ何ぞ…」
「してました!鼻の下をこーんなに伸ばして!!孫のセシルちゃんに手紙でばらしますから!!」
「や、やめてくれ!」
「アドバン様がフォローしてあげないから、フローリアが肩身の狭い思いをするんじゃないですか?全然、最近医療室にいないで作業室と温室にこもりっぱなし…。そもそも、なんでソフィアって子は薬師なのに薬を作らないで医療室のずっといるの。おかしいじゃない!」
サラの鋭い指摘に、爺さんは慌てふためく。そんな二人のやり取りを見ながら、心の中でフローリアのことを思い浮かべていた。最近、彼女は作業室と温室にこもりきり…。彼女が追い詰められているとは、考えてもいなかった。
「ソフィアは他の騎士たちとも仲良くしているし、フローリアは、もともと薬づくりが好きだからって言われたら…」
爺さんの言葉はどこか歯切れが悪い。サラの鋭い視線が貫き、そのプレッシャーに爺さんはさらに小さく見えた。
「…それ、本気で言っているのなら、アドバン様のランチはこれからは、パンだけですからね!」
「わしが悪かった…」
爺さんはすっかり意気消沈し、深く息を吐いた。
「エドモンド様、黙っているけど、何か言うことは?」
サラの鋭い声が私を現実に引き戻した。彼女への感謝と共に、自分が感じている苛立ちをかみしめた。
「ああ、サラありがとう。フローリアのために怒ってくれて。…俺が甘かった。フローリアにとって何が一番いいのか迷っていた。それに、後始末が終わるまで俺の代わりに気にかけてくれと2人を頼ってしまった…くそっ!人任せにしたことを今、猛烈に後悔している!」
次第に怒りが湧き上がってくる。自分自身にも、この目の前の2人にも!
「…とりあえず、団長と爺さんは、今から俺の敵だ!」
「まてまて!フローリアを蔑ろにはしていない!何とか2週間まで短くしたのは私だぞ。フローリアが望まなければ、辞めさせる事は無いとも言っている!」
「いつまでもソフィアと話し、長居をしようとしている騎士を追い返しているのはわしじゃ。作業室にいるフローリアには、差し入れを持って行っているし、フローリアの作ったものを鑑定しては、べた褒めしている!いや、べた褒めするほどの薬なのは間違いないのだが…」
団長と爺さんの必死の弁解に、何も安堵などしない。
閉じこもっているフローリアのことが気がかりだった。その状態が続けば、彼女は孤立してしまう危険がある。そのことが不安でたまらなかった。サラも同じことを考えているのだろう。彼女の厳しい表情には、フローリアを守りたいという強い決意が感じられた。
「2週間まで、あと1週間もあるじゃない。これ以上フローリアの元気がなくなるようだったら、私にも考えがありますからね!!」
サラの厳しい声に、なんだ、考えって…と、団長と爺さんは戦々恐々とした様子だった。
そうだ、キャリアなんか関係ない。例えソフィア嬢の言うことが正論だったとしても、フローリアに恨まれる未来があっても、フローリアの居場所は、この騎士団だ。なぜなら、俺が、フローリアしか望んでいないからだ。邪魔する奴は誰であろうと、許さない。
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