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第一章
アリスの家庭
しおりを挟む産まれた頃から貧乏暮らしだった私はその話を聞いていて、凄く思っていた事がある。
それは…。
両親がこんなにも貧乏なのに、私なんかを産む為の費用を出して良かったのだろうか、という疑問であった。
お父さんの借金は私が一生働いても払えない額になっていて。お母さんも内職で何とか小銭を稼ぐ程度。
お父さんに至っては借金の取り立てが会社まで来て辞めざるを得なかったという。何とも絶望的な状況である。
少ないお母さんの収入で、何とか私達は食いつないでいるけれど、その生活もそろそろ限界を迎える頃だ。
お父さんも仕事を探しにしょっちゅう外に行っているみたいだけど、これといった吉報はなく、一週間に三度は挫折をしている。
この貧乏生活を送っている所為で学歴が無い私は面接に行っても、なけなしのお金で買った履歴書を一目見て、首を横に振られるばかりである。
紙は高いんだぞ…。
この野郎…!
そういう時は、心で恨みを込めた言葉を呟きながら、突っ返された履歴書を綺麗に折り畳み、ポケットに入れる。
「アリス、ごめんね…。
お母さん達の所為で、美味しいものも食べられなくて…。」
「…、良いのよ、お母さん。私こそお母さんばかり働かせて本当にごめんね。」
回想は終わり、私の意識は冒頭に戻る。
お父さんとお風呂の話をしていたお母さんが、私にもう何度聞いたかも覚えていないその事を謝ってきた。
別にお母さんを責めたいわけではない。だからといって借金を作って来たお父さんが全て悪いと言いたい訳でもなく…。
私はただ、この生活を変えたいと思った。
借金の取り立てに来た人達は毎日のように家に来て怒鳴ってくるし、お風呂に入れていない身体は臭いし、お腹は常に空いているし。
今まで生きてこられたのが謎だと言うような姿をしている私達。
ハンバーグなんて食べたことも無ければ、見た事がない。
野菜炒め?
モヤシだけの生活の中で、もう野菜なんて見たくない。
青椒肉絲?
難しい事は言わないで、それを言われても私には分からないわ。
「お父さん、お母さん。」
「どうしたの?アリス」
「…私、出稼ぎに行こうと思うの。」
「…っ、何!?出稼ぎ!?、この街から出るのかい??」
バン、と床を叩いて私は二人に宣言をした。
この生活を変える為に出稼ぎに行って、少しでも二人に美味しい料理を食べさせたいという願いを抱きながらーー。
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