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第一章
アリスの憂鬱
しおりを挟む何故なら、私は今日死ぬものだと思って王族に不敬だと思われても仕方がない言葉を吐き捨てたのだ。
普通に考えたら、この場で処刑されてもおかしくない言葉だったはず。
なのに生かすなんて、それほどまでに先程の出来事は王族にとって神秘的な何かだったのだろう。
私、死にたいのか、死にたくないのかどっちなんだろう。
そう頭に浮かべては、自分をせせら笑う。
「…女。お前の身柄はこの国の第一王子であるレンが引き受ける事とする。先程の出来事に免じて、お前が投げ付けた言葉に目を瞑ってやろう。」
「…それは、どうも…。」
どうやら、私は生かされる事になったらしい。
ボロボロの洋服を手で握り締めながら、レン王子に返事をした。
礼儀作法なんて習わなかった私にとって、この人と話すのは苦でしかない。
いっそのこと、有り難き幸せとでも言っておいた方が良かっただろうか。
面倒な事になりそうなのが目に見えて、はぁ、と溜め息を漏らすと。傍で鉄格子が開く音がする。
はっ、と顔を上げれば、そこには背を向けて消えた第一王子と同じ顔をした男が立っていて、視線が絡むと、藍色の目が興味深そうに細められる。
「…お前、名前はなんて言う?」
この人、こんな近くまできて臭いとか思わないのかな。
疑問に思いながら聞かれた事に答える為、息を吸うと…。
「なんて、な…。もう知ってる。お前の名前はアリスだろう…?」
ピタ、と唇に人差し指が当てられて。目の前にあった唇が先に私の名前を紡いだ。
何で、私の名前を…?
そう聞こうとしたけれど、無理だった。
白い手袋越しに伝わる指先の熱が、口の中にまで侵入してきて。じっとりと、その人の指先に唾液が染み込んだ。
官能的な行為に頭がぼうっとして、危うく顔を桃色に染めそうになった頃。
「アリス…。俺の、可愛いアリス…。
お前だけは、あの兄に渡さないよ…。」
綺麗だと感じた藍色の瞳に、ドロっとした狂気が滲んだ。
歪を感じた台詞にゾワリとして距離を取ろうとすれば、逆に腕を引かれ、ふわりと抱き上げられる。
コツコツと音を鳴らし、歩いていくその人から急いで逃げ出そうと試みるけれど、力が強くて全く歯が立たずーー。
大きな浴場に着いた時にはもう、私の事を利用しよう、と言っていた彼の姿は何処にもなくて。
「ああ、アリス…。さあ、綺麗にしよう。お前は俺のもの。」
「れ、レオ様…、」
「何を恥ずかしがる?、綺麗にしてやるから大人しくしていろ」
「…ぁっ、」
王族でもあろう方が、私を隅々まで綺麗にしたのは、言うまでもない。
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