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第2章
USA部
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「ねえ知ってる?」
仲間の1人が目線を変えず話しかけてくる。
「何を?」
だから私もスマホから目線を変えず話半分で聞く。
「最近噂の女子高生」
「何それ」
「なんでも霊的な問題を解決してくれるって」
「何それ。テレビ?」
「テレビじゃないよ。実際の話」
相変わらずそういうネタが好きな子だ。
「へぇ。どこで会えるの?」
「それがこっちからは会いに行けないんだって。向こうから来てくれるらしいよ」
「何それ変なの」
「だから噂なんじゃない?」
「どっちかっていうと都市伝説ね」
「それいいね!謎の霊能力女子高生都市伝説。拡散しようかな」
「好きにしなよ…炎上には気を付けてね」
実際彼女がネット社会で炎上しようが私には関係ない。
「はいはい。でも会ってみたいなぁ。最近体がつらいし。もしかしたら」
「あんたのはスマホのしすぎ」
「賛成多数で可決!おめでとう山海大地くん。君は栄えあるUSAの一員になりました!拍手!」
「何なのそのテンション…」
私、露木陽奈は呆れた声で1人拍手をしている成実を見た。愛好会の名前や活動内容がある程度決まってから数日経った今日。いつも通り3人で遊ぶことになっていていつも通り私のバイト先に集まっていた。なのだがいつもと少しだけ今日は違う。シズクから
「会って欲しい人がいる」
って連絡があった。成実は
「彼氏!?どうしよ!?うちの娘はお前なんかにはやらん!とか言った方が良いのかな!」
なんて興奮していたけど。もし仮に彼氏だったとしても成実にそんな事言う資格はないと思う。シズクに親がいるのか知らないけど。シズクが連れてきたのが男の人で少しカッコいいと思った時は少しだけ焦った。本当に彼氏を連れてきたのかと思ったからなだけで特に深い意味は無い。シズクにはサクマさんがいるし。
「なかなか紹介出来なかったけどやっと安定したから2人に紹介したくてね。彼が大地。山海大地。元人間。今幽霊みたいな存在」
「おぉ!君が山海くんか!よろしく!私神崎成美」
「大地で良いですよ」
「了解!大地くんだね!」
そうか。彼がシズクの話に良く出て来た山海大地さんか。
「えっと…露木陽奈です。大地さんはその……」
私が言いづらそうにしていると感じ取ったのか大地さんが
「シズクの説明通りです。俺は死んだ人間。まぁ色々あって」
そう苦笑いをしながら話してくれる。
「そうですか…」
「嫌ですよね普通」
「そうじゃないです!」
「大丈夫だよ大地。成実も陽奈も普通じゃないから。私の親友だよ」
シズクが変なフォローをしてくれた。
「そうか」
「それに私たちも困っていたし」
「普通に買い物したいのにナンパとかしつこかったもんね」
「特にシズクはね」
「私だけじゃないよ!?」
シズクと成実が場を和ませてくれた。正直助かった。別に大地さんが苦手とか幽霊が怖いとかじゃなくてついつい疑心というか疑ってしまう。シズクにはじめて会ったときもそう。
「ところで」
「何?大地」
「USAってなんだ?アメリカがどうかした?」
「ノンノンノン!アメリカじゃないよ」
成美は大げさに指を振りながら
「『U』嘘か『S』真実か『A』明らかにする部!の略称だよ!」
そう胸を張って言った。
「は、はぁ…」
どうリアクションしたらいいのか凄く困っている様な顔を大地さんはしている。まあ、普通そんな反応になるよ。
「簡単に説明すると私の獲物を探したり、学校内の不思議に勝手に首を突っ込んだりする部」
そうシズクが説明をし
「で、今日はその部活動の一環として市内パトロール兼シズクの獲物探しってわけ」
と成美が補足する。
「で、そのUSA部とやらに俺も入ったってわけか」
「そういうこと」
「それは喜んでいいのか?」
「もちろん!本来なら超難解なテストに合格しないと入れないんだよ!大地くんは特別サービス!特例!」
「ないでしょそんなテスト…。大地さん。あまり2人の話を本気にしない方が良いですよ」
全く…。2人に任せていたら何1つ話が進まないのだから…。そんな会話をしながら私達4人は店を出てそのまま街の中を散策した。
散策っていっても買い物したり食べ歩いたりいつも通りの行動。歩くたび思う。私にも見えていたから不思議だったけど大地さんは他の人にも普通に見えている。そう、普通に。私は幼い頃から所謂霊感というのが強かった。そして憑りつかれ易かった。小さい頃は自分ではセーブする事が出来なくて怖い思いを何度も体験した。それが大人になるにつれ自分でセーブをかける事が出来る様になってきた。だから普段はなるべく視えない様にセーブをかけて生活をしている。そんな状態でも大地さんは視える。多分シズクかサクマさんが何かしたのだろう。だからといってどうこう聞こうとは思わない。聞いても誤魔化されるし仮に教えてくれても私には理解できない。だから私はこういうものだと思うだけでいいと思う。
「っと!」
考え事をしていたせいで危うく成実にぶつかりそうになった。
「あ、ごめん」
「大丈夫だけど…どうしたの?」
「ちょっとね」
見るとシズクと大地さんも立ち止まっていた。
「分かる?」
「居ているのが分かるくらい。誰までは分からない」
「そう。じゃあ今後の課題かな」
そんな会話が聞こえてきた。
「成実は分かる?」
「ん~。女の人だね」
「そうね。陽奈は?」
なぜ私に聞く。
「分からない」
「じゃあ視て」
「頭痛くなるんだけど、しなきゃダメ?」
「罰ゲームが陽奈でいいなら」
それは嫌だ。
「シズクが言っているのはあの女の人。憑いているのは…最悪だ。あの人」
「流石陽奈だね」
あぁ、頭痛が酷い。街中だし色々なのが視えてしまった。そして私の視線に気付いたのだろう。何体かの霊が私の周りをうろうろしている。
「シズク。これどうにかしてよ」
「了解っと」
私の周りをゆっくり歩き
「はい。おしまい」
そう笑って答えた。
「何が憑いていたの?」
「子供の霊が3体と男の霊が2体」
「私には一切分からないけど相変わらず大変だね陽奈」
ほんと…・。この憑かれ易い体質をどうにかしたい。今はシズクが居て簡単に除霊してくれるからいいのだけれども…。
「じゃあ罰ゲームは大地ね」
「凄いな君たち…」
「言ったでしょ?普通じゃなく私の親友。あ、でもちゃんと生きているし人間だから」
「そうか……ところで罰ゲームって?」
私達はニヤッと笑い少しためてこう告げた。
「「「あの人をナンパしてきて!」」」
「………え?」
仲間の1人が目線を変えず話しかけてくる。
「何を?」
だから私もスマホから目線を変えず話半分で聞く。
「最近噂の女子高生」
「何それ」
「なんでも霊的な問題を解決してくれるって」
「何それ。テレビ?」
「テレビじゃないよ。実際の話」
相変わらずそういうネタが好きな子だ。
「へぇ。どこで会えるの?」
「それがこっちからは会いに行けないんだって。向こうから来てくれるらしいよ」
「何それ変なの」
「だから噂なんじゃない?」
「どっちかっていうと都市伝説ね」
「それいいね!謎の霊能力女子高生都市伝説。拡散しようかな」
「好きにしなよ…炎上には気を付けてね」
実際彼女がネット社会で炎上しようが私には関係ない。
「はいはい。でも会ってみたいなぁ。最近体がつらいし。もしかしたら」
「あんたのはスマホのしすぎ」
「賛成多数で可決!おめでとう山海大地くん。君は栄えあるUSAの一員になりました!拍手!」
「何なのそのテンション…」
私、露木陽奈は呆れた声で1人拍手をしている成実を見た。愛好会の名前や活動内容がある程度決まってから数日経った今日。いつも通り3人で遊ぶことになっていていつも通り私のバイト先に集まっていた。なのだがいつもと少しだけ今日は違う。シズクから
「会って欲しい人がいる」
って連絡があった。成実は
「彼氏!?どうしよ!?うちの娘はお前なんかにはやらん!とか言った方が良いのかな!」
なんて興奮していたけど。もし仮に彼氏だったとしても成実にそんな事言う資格はないと思う。シズクに親がいるのか知らないけど。シズクが連れてきたのが男の人で少しカッコいいと思った時は少しだけ焦った。本当に彼氏を連れてきたのかと思ったからなだけで特に深い意味は無い。シズクにはサクマさんがいるし。
「なかなか紹介出来なかったけどやっと安定したから2人に紹介したくてね。彼が大地。山海大地。元人間。今幽霊みたいな存在」
「おぉ!君が山海くんか!よろしく!私神崎成美」
「大地で良いですよ」
「了解!大地くんだね!」
そうか。彼がシズクの話に良く出て来た山海大地さんか。
「えっと…露木陽奈です。大地さんはその……」
私が言いづらそうにしていると感じ取ったのか大地さんが
「シズクの説明通りです。俺は死んだ人間。まぁ色々あって」
そう苦笑いをしながら話してくれる。
「そうですか…」
「嫌ですよね普通」
「そうじゃないです!」
「大丈夫だよ大地。成実も陽奈も普通じゃないから。私の親友だよ」
シズクが変なフォローをしてくれた。
「そうか」
「それに私たちも困っていたし」
「普通に買い物したいのにナンパとかしつこかったもんね」
「特にシズクはね」
「私だけじゃないよ!?」
シズクと成実が場を和ませてくれた。正直助かった。別に大地さんが苦手とか幽霊が怖いとかじゃなくてついつい疑心というか疑ってしまう。シズクにはじめて会ったときもそう。
「ところで」
「何?大地」
「USAってなんだ?アメリカがどうかした?」
「ノンノンノン!アメリカじゃないよ」
成美は大げさに指を振りながら
「『U』嘘か『S』真実か『A』明らかにする部!の略称だよ!」
そう胸を張って言った。
「は、はぁ…」
どうリアクションしたらいいのか凄く困っている様な顔を大地さんはしている。まあ、普通そんな反応になるよ。
「簡単に説明すると私の獲物を探したり、学校内の不思議に勝手に首を突っ込んだりする部」
そうシズクが説明をし
「で、今日はその部活動の一環として市内パトロール兼シズクの獲物探しってわけ」
と成美が補足する。
「で、そのUSA部とやらに俺も入ったってわけか」
「そういうこと」
「それは喜んでいいのか?」
「もちろん!本来なら超難解なテストに合格しないと入れないんだよ!大地くんは特別サービス!特例!」
「ないでしょそんなテスト…。大地さん。あまり2人の話を本気にしない方が良いですよ」
全く…。2人に任せていたら何1つ話が進まないのだから…。そんな会話をしながら私達4人は店を出てそのまま街の中を散策した。
散策っていっても買い物したり食べ歩いたりいつも通りの行動。歩くたび思う。私にも見えていたから不思議だったけど大地さんは他の人にも普通に見えている。そう、普通に。私は幼い頃から所謂霊感というのが強かった。そして憑りつかれ易かった。小さい頃は自分ではセーブする事が出来なくて怖い思いを何度も体験した。それが大人になるにつれ自分でセーブをかける事が出来る様になってきた。だから普段はなるべく視えない様にセーブをかけて生活をしている。そんな状態でも大地さんは視える。多分シズクかサクマさんが何かしたのだろう。だからといってどうこう聞こうとは思わない。聞いても誤魔化されるし仮に教えてくれても私には理解できない。だから私はこういうものだと思うだけでいいと思う。
「っと!」
考え事をしていたせいで危うく成実にぶつかりそうになった。
「あ、ごめん」
「大丈夫だけど…どうしたの?」
「ちょっとね」
見るとシズクと大地さんも立ち止まっていた。
「分かる?」
「居ているのが分かるくらい。誰までは分からない」
「そう。じゃあ今後の課題かな」
そんな会話が聞こえてきた。
「成実は分かる?」
「ん~。女の人だね」
「そうね。陽奈は?」
なぜ私に聞く。
「分からない」
「じゃあ視て」
「頭痛くなるんだけど、しなきゃダメ?」
「罰ゲームが陽奈でいいなら」
それは嫌だ。
「シズクが言っているのはあの女の人。憑いているのは…最悪だ。あの人」
「流石陽奈だね」
あぁ、頭痛が酷い。街中だし色々なのが視えてしまった。そして私の視線に気付いたのだろう。何体かの霊が私の周りをうろうろしている。
「シズク。これどうにかしてよ」
「了解っと」
私の周りをゆっくり歩き
「はい。おしまい」
そう笑って答えた。
「何が憑いていたの?」
「子供の霊が3体と男の霊が2体」
「私には一切分からないけど相変わらず大変だね陽奈」
ほんと…・。この憑かれ易い体質をどうにかしたい。今はシズクが居て簡単に除霊してくれるからいいのだけれども…。
「じゃあ罰ゲームは大地ね」
「凄いな君たち…」
「言ったでしょ?普通じゃなく私の親友。あ、でもちゃんと生きているし人間だから」
「そうか……ところで罰ゲームって?」
私達はニヤッと笑い少しためてこう告げた。
「「「あの人をナンパしてきて!」」」
「………え?」
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