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第2章
桜井加奈
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「こんにちは」
声をかけられ携帯から目をそらし、声のした方を見る。そこには見たことない男性が立っていた。私より年齢が下だと思う。
「えっと、そのおひとりですか?」
彼は顔を紅めながら続けて言った。なんだろう。もしかして
「あ、俺大地って言います。お姉さんは?」
「ねえ君。もしかしてナンパ?」
直球で質問をした。
「え!?あ、そ、そうです…一応」
「私の名前は佳奈。桜井佳奈(サクライカナ)。残念だけどこの後予定があるの」
「そうですか…」
「また会った時誘って」
そう言い立ち去ろうとした時
「あ、じゃあせめてこれだけでも」
そう言って1枚の紙をくれた。多分連絡先でも書いてあるのだろう。
「ありがと。じゃあこれ」
そう言って私は自分の連絡先を書いた紙を渡してあげ、その場を去った。なかなかかわいい感じの男の子だったしデートくらいしてあげてもいい。自慢もできるし。
「あ、ありがとうございました」
そう声が聞こえたが私は振り向くことはなかった。
「あ~面白かった」
「大地さん顔真っ赤だったよね」
「連絡先まで交換していたよね」
「もうやめろ!」
俺は思わず声をあげた。
「大地ってナンパしたことないの?」
「ねえよ!」
「なんでですか?女に不自由しなかったとか」
「そんなんじゃなく」
「女に興味がなかった」
「それはもっと違う!」
「じゃあ女の子好き?」
「そりゃあ男より女が好きだ」
「シズク危ないじゃん!シズクは私のだから手ださないでよね!陽奈も私のだから!」
「出さないよ!!」
「サクマさんには手をだすと」
「なんで露木さんはそうしたがるの!」
こいつらどうなっているんだよ…。でもまぁ今日1日付き合ってみてなんとなく本当になんとなくだけど彼女たちの絆がみえた。事前にシズクから友達になってそんなに時間が経っていないって聞かされたけど、時間なんか彼女たちには関係ないのだろう。具体的には話してくれなかったがきっと今の関係になるのがずっと前から決まっていたのではないだろうか。
「とにかく目標に物は渡したし後は様子みましょう」
「相手が動かなかったら私達の出番だけど…多分」
「彼女は直ぐに動く」
「さっき年下の男の子からナンパされた」
いつものコンビニに集まった私達。
「嘘乙」
相変わらずスマホから目線を動かそうとしない仲間達。
「嘘じゃないから!連絡先も交換したし」
「へえ。相手してあげるの?」
「デートくらいはしようかなって。でもね変なの」
「何が?」
「連絡先と一緒に住所まで書いているの」
「思春期だねぇ」
「いきなりおしかけようか」
「実家だったらどうすんのよ」
「あ、それもそうか」
「今日はお疲れ様」
「ありがとう」
サクマからコーヒーを受け取る。今、大地はいない。それにしても今日は疲れた。
「珍しくお疲れですね」
「そりゃそうよ。大地もいたし。陽奈は何も言わなかったけど疑っていたからねぇ」
「神崎さんは?」
「成実は特別だよ。サクマも知っているでしょう」
「そうですね」
コーヒーを啜る。サクマが淹れるコーヒーは好きだ。それにしても
「お腹すいたな」
思わず呟く。
「何か作りましょうか?」
「大丈夫。そっちじゃないから」
「そうですか」
「今日の美味しそうだったからね」
今日みたのは久しぶりのご馳走に思えた。食べた時どんな味がするのだろう。陽奈が最悪と言っていたのだからよほど美味しいに違いない。
「貴女さえよければすぐにでも人間になれますよ」
相変わらず要らない気をまわす。
「私が好きでこうしているの。サクマのそばにいたいから。それに貴女じゃなくてシズクって呼んでって言っているでしょ」
「そうでしたねシズク」
「よろしい」
コーヒーを啜る。静寂の中コーヒーを啜る音だけが響く。私はこの時間が好きだ。
「彼女は来ますか?」
「来るわよ。多分すぐにでも」
じゃないと私の空腹が限界だ。
「そういや例の年下の彼はどうしているの?」
「連絡はしているよ。ただね」
「なに?」
「本気で好きになったかも」
「佳奈が!?」
珍しく視線を私に向ける。
「何よその反応」
「だって男なんて貢がせて捨ててきた子が好きとか」
「私もびっくりしている」
「他に女がいたらどうするの?」
「大地に?」
「うん」
「その時はいつも通り奪う」
「そ。それより今日も行くの?」
「狩り?」
「うん。お金ぼちぼちキツイからね」
「じゃあ私も行こうかな」
そう言いながら立ち上がる。
「年下彼氏は?」
「別の話だよ」
声をかけられ携帯から目をそらし、声のした方を見る。そこには見たことない男性が立っていた。私より年齢が下だと思う。
「えっと、そのおひとりですか?」
彼は顔を紅めながら続けて言った。なんだろう。もしかして
「あ、俺大地って言います。お姉さんは?」
「ねえ君。もしかしてナンパ?」
直球で質問をした。
「え!?あ、そ、そうです…一応」
「私の名前は佳奈。桜井佳奈(サクライカナ)。残念だけどこの後予定があるの」
「そうですか…」
「また会った時誘って」
そう言い立ち去ろうとした時
「あ、じゃあせめてこれだけでも」
そう言って1枚の紙をくれた。多分連絡先でも書いてあるのだろう。
「ありがと。じゃあこれ」
そう言って私は自分の連絡先を書いた紙を渡してあげ、その場を去った。なかなかかわいい感じの男の子だったしデートくらいしてあげてもいい。自慢もできるし。
「あ、ありがとうございました」
そう声が聞こえたが私は振り向くことはなかった。
「あ~面白かった」
「大地さん顔真っ赤だったよね」
「連絡先まで交換していたよね」
「もうやめろ!」
俺は思わず声をあげた。
「大地ってナンパしたことないの?」
「ねえよ!」
「なんでですか?女に不自由しなかったとか」
「そんなんじゃなく」
「女に興味がなかった」
「それはもっと違う!」
「じゃあ女の子好き?」
「そりゃあ男より女が好きだ」
「シズク危ないじゃん!シズクは私のだから手ださないでよね!陽奈も私のだから!」
「出さないよ!!」
「サクマさんには手をだすと」
「なんで露木さんはそうしたがるの!」
こいつらどうなっているんだよ…。でもまぁ今日1日付き合ってみてなんとなく本当になんとなくだけど彼女たちの絆がみえた。事前にシズクから友達になってそんなに時間が経っていないって聞かされたけど、時間なんか彼女たちには関係ないのだろう。具体的には話してくれなかったがきっと今の関係になるのがずっと前から決まっていたのではないだろうか。
「とにかく目標に物は渡したし後は様子みましょう」
「相手が動かなかったら私達の出番だけど…多分」
「彼女は直ぐに動く」
「さっき年下の男の子からナンパされた」
いつものコンビニに集まった私達。
「嘘乙」
相変わらずスマホから目線を動かそうとしない仲間達。
「嘘じゃないから!連絡先も交換したし」
「へえ。相手してあげるの?」
「デートくらいはしようかなって。でもね変なの」
「何が?」
「連絡先と一緒に住所まで書いているの」
「思春期だねぇ」
「いきなりおしかけようか」
「実家だったらどうすんのよ」
「あ、それもそうか」
「今日はお疲れ様」
「ありがとう」
サクマからコーヒーを受け取る。今、大地はいない。それにしても今日は疲れた。
「珍しくお疲れですね」
「そりゃそうよ。大地もいたし。陽奈は何も言わなかったけど疑っていたからねぇ」
「神崎さんは?」
「成実は特別だよ。サクマも知っているでしょう」
「そうですね」
コーヒーを啜る。サクマが淹れるコーヒーは好きだ。それにしても
「お腹すいたな」
思わず呟く。
「何か作りましょうか?」
「大丈夫。そっちじゃないから」
「そうですか」
「今日の美味しそうだったからね」
今日みたのは久しぶりのご馳走に思えた。食べた時どんな味がするのだろう。陽奈が最悪と言っていたのだからよほど美味しいに違いない。
「貴女さえよければすぐにでも人間になれますよ」
相変わらず要らない気をまわす。
「私が好きでこうしているの。サクマのそばにいたいから。それに貴女じゃなくてシズクって呼んでって言っているでしょ」
「そうでしたねシズク」
「よろしい」
コーヒーを啜る。静寂の中コーヒーを啜る音だけが響く。私はこの時間が好きだ。
「彼女は来ますか?」
「来るわよ。多分すぐにでも」
じゃないと私の空腹が限界だ。
「そういや例の年下の彼はどうしているの?」
「連絡はしているよ。ただね」
「なに?」
「本気で好きになったかも」
「佳奈が!?」
珍しく視線を私に向ける。
「何よその反応」
「だって男なんて貢がせて捨ててきた子が好きとか」
「私もびっくりしている」
「他に女がいたらどうするの?」
「大地に?」
「うん」
「その時はいつも通り奪う」
「そ。それより今日も行くの?」
「狩り?」
「うん。お金ぼちぼちキツイからね」
「じゃあ私も行こうかな」
そう言いながら立ち上がる。
「年下彼氏は?」
「別の話だよ」
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