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第3章
恋人・・・?
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「おぉ!いつものコーヒーより美味い!」
大地からコーヒーの入ったマグカップを受け取り飲みながらリズは言う。
「それはどうも」
「いやぁ!流石…名前何だっけ?」
「大地です。山海大地」
「大ちんね!オッケー!」
私の隣に座り向かいに座っている大地と笑顔で話している。どうやらリズはサクマじゃなければその笑顔を保てるらしい。
「いやぁいつものコーヒーだとねこれはコーヒー色をしたお湯なのか悩むんだよ」
「悪かったわね。下手で」
「いやいや!シズクは料理下手キャラを貫かないと!出来ればもっと下手になって欲しい所なんだけどね!」
「今日から大地に料理教えてもらう」
「だからダメだって!それにシズク教わっても上手くならないでしょ?」
そう言われると反論出来ない。
「それで何しに来たのよ」
自分のマグカップを取りコーヒーを飲む。同じ豆使っているのに何故ここまで味が違うのだろう。
「シズクに会いに来ただけだよ?」
「嘘でしょ?」
「嘘じゃないよ。7割はそうだもん」
「残りの3割は?」
マグカップを置き先程までふざけていた雰囲気から真面目な目に変わっていく。
「桜井加奈の件」
「だと思った」
やっぱりその話か。
「ここに居るんでしょ?」
「居るよ」
「私が目を付けていたのは?」
「知っていた。匂いが付いていたからね」
「美味しいでしょ彼女」
「そうだね」
「返す気は?」
「ない」
リズはふぅと息を吐く。まぁさすがにバレるよね。味見までした獲物が急に感知出来なくなったのだから。
「ティニエへの報告も考えてよね。ルクスに獲物を横取りされました~。テヘペロ。じゃ怒られるだけで済まないの知っているでしょ?」
「……ん?ティニエ?」
「どうしたの大チン?」
「いや…リズさんはティニエ所属?」
「そうだけど…それがどうかしたかい?」
「いや、昔シズクにルクスとティニエは仲が悪いって聞いたから。2人を見ていて勝手にリズさんもルクス所属なんだと思っていて…ん?そうするとルクスとティニエの仲が悪いっていう事が無くなって…あ、俺の頭じゃ理解が追い付かない」
この場合流石!と言った方が良いのだろうか。出来れば気付いて欲しくなかったけど。大地は気付いてしまった。話の違和感に。
「シズク話してないの?」
「まぁ……話す必要も無かったし」
「え?何?理解していないの俺だけ?」
「あー。えっとね」
さてどう話せば良いのだろうか。さすがに全部話す訳にはいかないし。
「実はね。私の生まれルクスじゃなくティニエなの。だからリズと仲が良いってわけ。でまぁ色々あって私だけ所属がルクスになったの」
「色々って?」
まぁ聞くよねそこ。
「ゴメン。今は言えない」
私が何をしようとしているのかを知っているのはリズだけだ。おそらくサクマはそれに気付いているだろう。まだ何か言われた事はないけど。成美や陽奈。それに大地を巻き込んだ未来を私は願っていない。巻き込んだ未来なんて来なくていい。苦しむのは私1人で充分だ。
「分かった」
あっさりと頷く大地。本当なら色々聞きたいだろう。それを我慢しているのが分かる。分かるが今はその我慢に甘えていよう。
「ま、そんなわけで私とシズクは大昔からの恋人なのさ!」
「恋人ではないけどね」
「酷い!こんなに愛しているのに」
「あぁもう!いちいち引っ付かないで!」
そしてリズのおふざけにも甘えよう。ははっ。甘えてばかりだな私。
「リズさん」
「……何よ犬」
先程まで笑顔で話していたのに明らかに不機嫌な態度をとるリズ。もう少し仲良くならないかなこの2人。一方的にリズが嫌っているんだけども。
「これあげます」
1枚の紙をリズに渡す。
「ふーん。これでチャラにしたいわけね」
そこに居たのは笑顔でも不機嫌でも無くティニエ所属のリズだった。なんか懐かしいな。その表情を見るのは。
「ルクスが横取りをするだけと思われたくはありませんから」
「まぁ良いわ。久しぶりにシズクにも会えたし。それをプラスにしてこの件と合わせてチャラにしてあげる」
「ありがとうございます」
「じゃ、シズク。帰るね」
「うん。またね」
「じゃーねー」
そう言い残しリズはその場から消えた。
「まるで嵐か台風だな」
そう言いながらマグカップを片付けだす大地。
「悪い子じゃないんだけどね」
「それは分かる。シズクと仲良いしな」
その仲が良いには成美や陽奈も含まれているのだろう。
「そういやサクマはリズさんに何渡したんだ?」
「ルクスから依頼を受けていたターゲットの情報を渡しただけですよ」
「そんな事勝手にしていいのか?」
「本来ならダメですが依頼が浄化ではなく抹消に近かったので。彼女が手を下した方が効率良いですからね」
サクマの言う通り抹消なら今の私よりリズが最適だろう。
「ふーん。なんか意外だな」
「意外とは?」
「いや、シズクがティニエに居たって話もそうだしサクマがルクスの行動に反するってのも」
『ルクスの飼い犬』そう呼ばれていた時のサクマと今のサクマではかなり違って見える。初めて会った時はルクスの意のままに動いていた。それが今では反する行動を少しだけ取る様になっている。サクマに感情が戻って来ている証拠なのかも知れない。
「んじゃ俺は夕飯作るよ。リクエストは?」
「ハンバーグ!」
「了解っと。そういやシズク一緒に作るのか?」
「え?作らないよ」
「その方が助かるわ」
どういう意味で聞いてきたのだろうか。
大地からコーヒーの入ったマグカップを受け取り飲みながらリズは言う。
「それはどうも」
「いやぁ!流石…名前何だっけ?」
「大地です。山海大地」
「大ちんね!オッケー!」
私の隣に座り向かいに座っている大地と笑顔で話している。どうやらリズはサクマじゃなければその笑顔を保てるらしい。
「いやぁいつものコーヒーだとねこれはコーヒー色をしたお湯なのか悩むんだよ」
「悪かったわね。下手で」
「いやいや!シズクは料理下手キャラを貫かないと!出来ればもっと下手になって欲しい所なんだけどね!」
「今日から大地に料理教えてもらう」
「だからダメだって!それにシズク教わっても上手くならないでしょ?」
そう言われると反論出来ない。
「それで何しに来たのよ」
自分のマグカップを取りコーヒーを飲む。同じ豆使っているのに何故ここまで味が違うのだろう。
「シズクに会いに来ただけだよ?」
「嘘でしょ?」
「嘘じゃないよ。7割はそうだもん」
「残りの3割は?」
マグカップを置き先程までふざけていた雰囲気から真面目な目に変わっていく。
「桜井加奈の件」
「だと思った」
やっぱりその話か。
「ここに居るんでしょ?」
「居るよ」
「私が目を付けていたのは?」
「知っていた。匂いが付いていたからね」
「美味しいでしょ彼女」
「そうだね」
「返す気は?」
「ない」
リズはふぅと息を吐く。まぁさすがにバレるよね。味見までした獲物が急に感知出来なくなったのだから。
「ティニエへの報告も考えてよね。ルクスに獲物を横取りされました~。テヘペロ。じゃ怒られるだけで済まないの知っているでしょ?」
「……ん?ティニエ?」
「どうしたの大チン?」
「いや…リズさんはティニエ所属?」
「そうだけど…それがどうかしたかい?」
「いや、昔シズクにルクスとティニエは仲が悪いって聞いたから。2人を見ていて勝手にリズさんもルクス所属なんだと思っていて…ん?そうするとルクスとティニエの仲が悪いっていう事が無くなって…あ、俺の頭じゃ理解が追い付かない」
この場合流石!と言った方が良いのだろうか。出来れば気付いて欲しくなかったけど。大地は気付いてしまった。話の違和感に。
「シズク話してないの?」
「まぁ……話す必要も無かったし」
「え?何?理解していないの俺だけ?」
「あー。えっとね」
さてどう話せば良いのだろうか。さすがに全部話す訳にはいかないし。
「実はね。私の生まれルクスじゃなくティニエなの。だからリズと仲が良いってわけ。でまぁ色々あって私だけ所属がルクスになったの」
「色々って?」
まぁ聞くよねそこ。
「ゴメン。今は言えない」
私が何をしようとしているのかを知っているのはリズだけだ。おそらくサクマはそれに気付いているだろう。まだ何か言われた事はないけど。成美や陽奈。それに大地を巻き込んだ未来を私は願っていない。巻き込んだ未来なんて来なくていい。苦しむのは私1人で充分だ。
「分かった」
あっさりと頷く大地。本当なら色々聞きたいだろう。それを我慢しているのが分かる。分かるが今はその我慢に甘えていよう。
「ま、そんなわけで私とシズクは大昔からの恋人なのさ!」
「恋人ではないけどね」
「酷い!こんなに愛しているのに」
「あぁもう!いちいち引っ付かないで!」
そしてリズのおふざけにも甘えよう。ははっ。甘えてばかりだな私。
「リズさん」
「……何よ犬」
先程まで笑顔で話していたのに明らかに不機嫌な態度をとるリズ。もう少し仲良くならないかなこの2人。一方的にリズが嫌っているんだけども。
「これあげます」
1枚の紙をリズに渡す。
「ふーん。これでチャラにしたいわけね」
そこに居たのは笑顔でも不機嫌でも無くティニエ所属のリズだった。なんか懐かしいな。その表情を見るのは。
「ルクスが横取りをするだけと思われたくはありませんから」
「まぁ良いわ。久しぶりにシズクにも会えたし。それをプラスにしてこの件と合わせてチャラにしてあげる」
「ありがとうございます」
「じゃ、シズク。帰るね」
「うん。またね」
「じゃーねー」
そう言い残しリズはその場から消えた。
「まるで嵐か台風だな」
そう言いながらマグカップを片付けだす大地。
「悪い子じゃないんだけどね」
「それは分かる。シズクと仲良いしな」
その仲が良いには成美や陽奈も含まれているのだろう。
「そういやサクマはリズさんに何渡したんだ?」
「ルクスから依頼を受けていたターゲットの情報を渡しただけですよ」
「そんな事勝手にしていいのか?」
「本来ならダメですが依頼が浄化ではなく抹消に近かったので。彼女が手を下した方が効率良いですからね」
サクマの言う通り抹消なら今の私よりリズが最適だろう。
「ふーん。なんか意外だな」
「意外とは?」
「いや、シズクがティニエに居たって話もそうだしサクマがルクスの行動に反するってのも」
『ルクスの飼い犬』そう呼ばれていた時のサクマと今のサクマではかなり違って見える。初めて会った時はルクスの意のままに動いていた。それが今では反する行動を少しだけ取る様になっている。サクマに感情が戻って来ている証拠なのかも知れない。
「んじゃ俺は夕飯作るよ。リクエストは?」
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「了解っと。そういやシズク一緒に作るのか?」
「え?作らないよ」
「その方が助かるわ」
どういう意味で聞いてきたのだろうか。
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