魂を紡ぐもの

にゃら

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第4章

大好きだからこそ

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 私が思い立ってから数日経った夜。部屋の扉をノックして返事を待っていた。
「はい」
 返事が聞こえ扉を開ける。
「君が返事を待ってから開けるなんて珍しいですね」
「たまにはちゃんとしないとね」
 そうサクマに話しながら扉を閉める。
「どうしたのですか?」
「明日なんだけど皆を呼んで良いかな?」
「明日がどういう日か知っていますよね?」
「うん」
 明日は桜井加奈の浄化を行う日。つまり私がこれからどうするかを決める日でもある。
「皆とは君に関わる人全てですか?」
「うん。リズも含めて皆」
「それが君の決めた事ですか?」
「うん」
 私は力強く頷く。
「分かりました。かまいませんよ」
「ありがと」
 もしかするとこの決断は間違えているのかも知れない。それでも私はこの決断が正しいものと思うしかない。成美や陽奈は人間だ。私達とは違う世界に生きている。本来なら何も知らず生き何も知らず死んでいくはずだった。それを私が邪魔をしてしまった。それだけでなく2人の優しさに甘えてしまっている。なら今の私が出来る事は1つだけ。ここで区切りを付ける。2人がこれ以上関わらないと決めるならそれで良い。少し寂しいがむしろその方が良い。私は大きな決断を2人に任せる。そして私は2人が離れる事を願う事しか出来ない。大丈夫。笑顔は得意だ。最後は笑顔で別れよう。
「それじゃまた明日」
「はい。おやすみなさい」
「おやすみ」

 翌日の放課後。
「じゃ部室行きますか!」
 成美が鞄を持って教室から出ようとしている。
「あ、ちょっと待って」
 それを私は言葉で静止させる。
「どうしたの?」
「今日さ…私の家に来ない?」
「へぇ珍しい。あんたが誘うなんて」
「うん。この前話した事ちゃんと伝えたくて」
「ああ。ここじゃ出来ないわね」
「うん。だから今から家に来てくれると助かる」
「オッケー!川井先生に今日部活しないって伝えて来るね」
「ありがと成美」
 鞄を置いて成美は教室から出て行った。
「ねえシズク」
「何かな?」
「あんたがどういう決断したか知らないけど1つだけ約束して」
「約束?」
「うん。成美を暴走させないで。あの子一度決めたら真っ直ぐにしか進めないから。まぁ、それが良さでもあるんだけどね」
「分かっている。大丈夫だから」
「あの子に何かあったら悪いけどあんたを恨むから」
「うん。それが陽奈だと思う」
 私には出来ない事を陽奈は簡単に行う。それが成美の為なら尚更。大丈夫。この2人は目には見えないけどしっかりと繋がっている。
「お待たせ!じゃあ行こう!」
 幸いな事に教室には誰も居ない。
「じゃあここから行くから目を閉じて私の手を握って」
「はーい!久しぶりだなぁこれも」
「そうだね」
 2人が私の手を握ったのを確認し
「じゃあ行くよ」
 私達はその場から消えた。

「到着ー!」
 シズクの家に着いた私達。いやぁ久しぶりだなぁ。
「あんた良く平気でいられるわね」
 具合が悪そうに蹲っている陽奈を横目に
「えー。ジェットコースターみたいで楽しいけどなぁ」
「その気持ち少しで良いから分けて欲しいわ」
 そんな会話をする。
「中に入ったら大地にコーヒー淹れてもらおう」
「そうね。少し落ち着きたい」
 シズクが扉を開けそれに続く。
「あ、お帰り。っと神崎さんに露木さんいらっしゃい」
「大地くんヤッホー!」
「こんばんは」
 大地くんが苦笑いで出迎えてくれた。
「ただいま…どうしたの?その変な笑顔は」
「あぁ…リズさんが来ている」
「相変わらず早いんだから…」
「ん?リズっちも来ているの?」
「うん」
「そうなんだ」
 会うの久しぶりだな。なんて事を考えていると部屋から怒鳴り声が聞こえてくる。この声は間違いなくリズっちだ。
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