20 / 21
第4章
大好きだからこそ
しおりを挟む
私が思い立ってから数日経った夜。部屋の扉をノックして返事を待っていた。
「はい」
返事が聞こえ扉を開ける。
「君が返事を待ってから開けるなんて珍しいですね」
「たまにはちゃんとしないとね」
そうサクマに話しながら扉を閉める。
「どうしたのですか?」
「明日なんだけど皆を呼んで良いかな?」
「明日がどういう日か知っていますよね?」
「うん」
明日は桜井加奈の浄化を行う日。つまり私がこれからどうするかを決める日でもある。
「皆とは君に関わる人全てですか?」
「うん。リズも含めて皆」
「それが君の決めた事ですか?」
「うん」
私は力強く頷く。
「分かりました。かまいませんよ」
「ありがと」
もしかするとこの決断は間違えているのかも知れない。それでも私はこの決断が正しいものと思うしかない。成美や陽奈は人間だ。私達とは違う世界に生きている。本来なら何も知らず生き何も知らず死んでいくはずだった。それを私が邪魔をしてしまった。それだけでなく2人の優しさに甘えてしまっている。なら今の私が出来る事は1つだけ。ここで区切りを付ける。2人がこれ以上関わらないと決めるならそれで良い。少し寂しいがむしろその方が良い。私は大きな決断を2人に任せる。そして私は2人が離れる事を願う事しか出来ない。大丈夫。笑顔は得意だ。最後は笑顔で別れよう。
「それじゃまた明日」
「はい。おやすみなさい」
「おやすみ」
翌日の放課後。
「じゃ部室行きますか!」
成美が鞄を持って教室から出ようとしている。
「あ、ちょっと待って」
それを私は言葉で静止させる。
「どうしたの?」
「今日さ…私の家に来ない?」
「へぇ珍しい。あんたが誘うなんて」
「うん。この前話した事ちゃんと伝えたくて」
「ああ。ここじゃ出来ないわね」
「うん。だから今から家に来てくれると助かる」
「オッケー!川井先生に今日部活しないって伝えて来るね」
「ありがと成美」
鞄を置いて成美は教室から出て行った。
「ねえシズク」
「何かな?」
「あんたがどういう決断したか知らないけど1つだけ約束して」
「約束?」
「うん。成美を暴走させないで。あの子一度決めたら真っ直ぐにしか進めないから。まぁ、それが良さでもあるんだけどね」
「分かっている。大丈夫だから」
「あの子に何かあったら悪いけどあんたを恨むから」
「うん。それが陽奈だと思う」
私には出来ない事を陽奈は簡単に行う。それが成美の為なら尚更。大丈夫。この2人は目には見えないけどしっかりと繋がっている。
「お待たせ!じゃあ行こう!」
幸いな事に教室には誰も居ない。
「じゃあここから行くから目を閉じて私の手を握って」
「はーい!久しぶりだなぁこれも」
「そうだね」
2人が私の手を握ったのを確認し
「じゃあ行くよ」
私達はその場から消えた。
「到着ー!」
シズクの家に着いた私達。いやぁ久しぶりだなぁ。
「あんた良く平気でいられるわね」
具合が悪そうに蹲っている陽奈を横目に
「えー。ジェットコースターみたいで楽しいけどなぁ」
「その気持ち少しで良いから分けて欲しいわ」
そんな会話をする。
「中に入ったら大地にコーヒー淹れてもらおう」
「そうね。少し落ち着きたい」
シズクが扉を開けそれに続く。
「あ、お帰り。っと神崎さんに露木さんいらっしゃい」
「大地くんヤッホー!」
「こんばんは」
大地くんが苦笑いで出迎えてくれた。
「ただいま…どうしたの?その変な笑顔は」
「あぁ…リズさんが来ている」
「相変わらず早いんだから…」
「ん?リズっちも来ているの?」
「うん」
「そうなんだ」
会うの久しぶりだな。なんて事を考えていると部屋から怒鳴り声が聞こえてくる。この声は間違いなくリズっちだ。
「はい」
返事が聞こえ扉を開ける。
「君が返事を待ってから開けるなんて珍しいですね」
「たまにはちゃんとしないとね」
そうサクマに話しながら扉を閉める。
「どうしたのですか?」
「明日なんだけど皆を呼んで良いかな?」
「明日がどういう日か知っていますよね?」
「うん」
明日は桜井加奈の浄化を行う日。つまり私がこれからどうするかを決める日でもある。
「皆とは君に関わる人全てですか?」
「うん。リズも含めて皆」
「それが君の決めた事ですか?」
「うん」
私は力強く頷く。
「分かりました。かまいませんよ」
「ありがと」
もしかするとこの決断は間違えているのかも知れない。それでも私はこの決断が正しいものと思うしかない。成美や陽奈は人間だ。私達とは違う世界に生きている。本来なら何も知らず生き何も知らず死んでいくはずだった。それを私が邪魔をしてしまった。それだけでなく2人の優しさに甘えてしまっている。なら今の私が出来る事は1つだけ。ここで区切りを付ける。2人がこれ以上関わらないと決めるならそれで良い。少し寂しいがむしろその方が良い。私は大きな決断を2人に任せる。そして私は2人が離れる事を願う事しか出来ない。大丈夫。笑顔は得意だ。最後は笑顔で別れよう。
「それじゃまた明日」
「はい。おやすみなさい」
「おやすみ」
翌日の放課後。
「じゃ部室行きますか!」
成美が鞄を持って教室から出ようとしている。
「あ、ちょっと待って」
それを私は言葉で静止させる。
「どうしたの?」
「今日さ…私の家に来ない?」
「へぇ珍しい。あんたが誘うなんて」
「うん。この前話した事ちゃんと伝えたくて」
「ああ。ここじゃ出来ないわね」
「うん。だから今から家に来てくれると助かる」
「オッケー!川井先生に今日部活しないって伝えて来るね」
「ありがと成美」
鞄を置いて成美は教室から出て行った。
「ねえシズク」
「何かな?」
「あんたがどういう決断したか知らないけど1つだけ約束して」
「約束?」
「うん。成美を暴走させないで。あの子一度決めたら真っ直ぐにしか進めないから。まぁ、それが良さでもあるんだけどね」
「分かっている。大丈夫だから」
「あの子に何かあったら悪いけどあんたを恨むから」
「うん。それが陽奈だと思う」
私には出来ない事を陽奈は簡単に行う。それが成美の為なら尚更。大丈夫。この2人は目には見えないけどしっかりと繋がっている。
「お待たせ!じゃあ行こう!」
幸いな事に教室には誰も居ない。
「じゃあここから行くから目を閉じて私の手を握って」
「はーい!久しぶりだなぁこれも」
「そうだね」
2人が私の手を握ったのを確認し
「じゃあ行くよ」
私達はその場から消えた。
「到着ー!」
シズクの家に着いた私達。いやぁ久しぶりだなぁ。
「あんた良く平気でいられるわね」
具合が悪そうに蹲っている陽奈を横目に
「えー。ジェットコースターみたいで楽しいけどなぁ」
「その気持ち少しで良いから分けて欲しいわ」
そんな会話をする。
「中に入ったら大地にコーヒー淹れてもらおう」
「そうね。少し落ち着きたい」
シズクが扉を開けそれに続く。
「あ、お帰り。っと神崎さんに露木さんいらっしゃい」
「大地くんヤッホー!」
「こんばんは」
大地くんが苦笑いで出迎えてくれた。
「ただいま…どうしたの?その変な笑顔は」
「あぁ…リズさんが来ている」
「相変わらず早いんだから…」
「ん?リズっちも来ているの?」
「うん」
「そうなんだ」
会うの久しぶりだな。なんて事を考えていると部屋から怒鳴り声が聞こえてくる。この声は間違いなくリズっちだ。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について
えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。
しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。
その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。
死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。
戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』
宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる