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過去への旅立ち

負の連鎖が始まる。

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前回のあらすじ。
昔のムーンと昔のライトが、昔のライトの事情により、縁を切ってしまう。そして、光に包まれ目を開けると、街では戦争が起きていた。

「え?何!?どういう事!?」
私は焦りながら口を開いた。
「取り敢えず、また隠れるしか無さそうだぞ。過去で何かをしないと戻れないならばな!」
そして私達は、比較的安全そうな建物の中に避難した。建物の窓から外を見ると、昔のライトが、川の方向から走って街に帰って来るのが見えた。
「あれは、昔のライト!?なんで戻って来てるの…!?」
「あれは…川に行ってた時に…街で争いの音が聞こえて来たから…家族が心配で…街に戻ってきたの。」
「あの、ライトさん。この戦争はどんな戦争なんですか、?」
「…この戦争は、死神との戦争…長年続いてる…争い…」
その事を聞き、ライトとムーンは俯き、他の3人は驚きを隠せなかった。すると外から爆発音がした。急いで外を見てみると、ライトが爆発の爆風で飛ばされていた。
「ねぇ、あれ大丈夫なの?助けに行った方がいいのかな、」
と、伯菜が問う。するとムーンが、
「いや。助けない方がいい。今助けると歴史を変えることになる。そうすると俺達の関係にも影響があると思うぞ。」
私達は、ただ何かがあるまで見るだけしか出来なかった。そして、昔のライトの様子を見ていた。
「うぅ…私の…家は…家族は…大丈夫…かな」
先程の爆風で怪我をしながら、歩いて家を目指していた。そして、私達はその後を、隠れながら見ていた。
「あ…あぁ…家が…」
昔のライトの家は、爆破で壊れていた。だが、家族が逃げた事を確信し、安心した。が、そこに一体の死神が、昔のライトを襲う。昔のライトは、咄嗟に避けるも、足に当たってしまう。本来、死神と戦えるのは、選ばれた戦士のみなんだが、普通の天使にも一応戦える力があるので、昔のライトは、その辺にあったガラスの破片を死神の目に投げつけ、その場から逃げた。だが、他の死神が昔のライトを追う。
「ね、ねぇ、あれ助けなくていいの?」
と伯菜が問う。
「あぁ。下手にここで行動したら、タイムパラドックスが起きるかもしれない。だから今は見る事しか出来ないんだ。」
とムーンが拳を握りながら悔しそうに答える。
そして、他の死神が昔のライトを追い詰めた。そしてライトは近くに落ちていたナイフを拾い、死神に向けた。そして、その瞬間。死神が被っていたフードが落ちた。すると、死神の顔を見た瞬間。ムーンが驚いたように、
「あ、あいつは…!!」
「え、もしかして知り合いなの?ムーン。」
と私はムーンに聞いた。すると、少し考え込んでからムーンは答えた。
「あぁ、知り合いなんてもんじゃない、あいつは…俺の父親だ。」
ライト以外は、その事に驚いた。確かに、よく見たらムーンに似てるかも…というくらいだった。
「でも、何故ムーンさんのお父様が...?」
「俺の父さんは騎士だったんだ。かなり優秀だったらしいが、俺は仕事について何も聞かされてなかった。まぁ、言う気も無かっただろうな。」
あれがムーンの父親...どんな人だろうとは思っていたけど、家族に暴力をふるようには思えなかった。よく観察してみると、ライトの近くに水晶らしき物があった。
「ム、ムーン!!!あれ!!!」
「ん?って、水晶じゃねぇか!?なんでこんな所に!?」
「もしかして...ここでの目的は水晶の回収なのでは...?」
「それだ!!」
でもみんな同じ考えになった。どうやって取ろうか…と。
すんごい状況で取りに行かないと行けなくなってしまった。あのままだったら、何かの拍子で割れてしまう事もあるかも知れない。
「隠れて取りに行くしか無さそうだな…」
「でもどうやってやるの?」
「そりゃもう走って取りに行くしかないだろ」
まぁ確かにそうだ。隠れても不自然すぎる…そうだ!
「ムーンもフードすればいいよ!私持ってるから」と、私はムーンにフード付きのローブを渡した。
「よし。それじゃあ行ってくる。」
ムーンは上手く周りに溶け込んで水晶まで近づき、手を伸ばしたその時。
「誰だ貴様は。俺の仲間ではないな?」
とムーンの父親に気づかれてしまった。

続く。
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