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「お義姉さん、やっぱり妹の家に行く前にレストランへ寄ってもいいですか? 着いたらお昼時ですし、宏美に昼ごはんの用意なんかで気を遣わせたくないんです」
「あら、そんなに長居をするつもりないわよ。もらうものもらったら早く帰りたいのよ。でも、そうね、あなたは妹さんとおしゃべりしたいってわけね。だけど早く振り込んじゃわないと、落ち着かないのよ」
「大丈夫ですよ。3時まであと4時間もありますから」
「わかったわ、じゃあ、先に食べてから行きましょう。私もなんだかお腹がすいてきちゃったわ」
大谷地には11時過ぎに着き、そこから野幌森林公園の方へ向かった。
風はさほど吹いてないが、雪がさっきよりも更に多くなったような気がする。
「なんか随分閑散とした辺鄙なところね。本当にこんなところにイタリアンのお店なんかあるの?」
車の一台も通らないような場所に来て心配になったらしい。
あたりは雪一色の景観だ。
降りしきる雪のために、日中なのに暗く視界が悪い。
和歌子に疑いの目を向けられて、少し緊張した。
「この辺だった気がするんですけど……何処もかしこも一面雪なので分かりにくいですね」
「 やっぱり食事は後にしましょう。なんか心配だわ。早く妹さんのところへ行ってちょうだい」
「そうですね。そうします」
Uターンしようとして、バックし過ぎて路肩から30㎝ほど下の雪野原へ滑り落ちた。
もちろんわざとである。
「ちょっと、清美さん、あなた何やってんのよ!」
「す、すみません! 後ろが真っ白でよく見えなくて」
「まったく、運転下手ね!」
「それほどの高さじゃないですから、なんとか出られると思います」
ーー出られるわけがない。
こんなに雪が積もった雪野原から登れたら奇跡だろう。
たとえ登れてもそう出来ないようにしなければならない。
除排雪されていない雪野原に車はすっぽりと埋もれてしまって、登るどころではなかった。
前進も後進も出来ずに立ち往生した。
「ちよっとタイヤの前の雪をかいてきますね」
慌てたそぶりで手袋をはめた。
「無理よ、こんなところから出られないわ。JAFか何処かのロードサービスを呼びなさいよ!」
義姉が苛立ちを抑えきれずに怒鳴った。
「あ、はい」
携帯を取り出し、電話をかけるふりをした。
「あ、すみませんが雪野原から出られなくなってしまって、立ち往生してるので助けて欲しいのですが、、えっ、あ、はい、野幌森林公園のそばのところです。……はい、わかりました。じゃあ、お願いします」
適当に相槌を打って電話を切った。
「なんか、ロードサービスとっても混んでいて、早くても1時間はみてくださいって言われて」
「えーっ、1時間も、はぁ~」
「ごめんなさい。なるべく早く出られるように、雪をかいておきますから、お義姉さんは休んでいてください」
「いいわよ、私も手伝うわ」
義姉がそう言って車を降りようとした。
「スコップひとつしかありませんから、お義姉さん、休んでいてください」
そう言われて義姉も諦めたようだった。
「あら、そんなに長居をするつもりないわよ。もらうものもらったら早く帰りたいのよ。でも、そうね、あなたは妹さんとおしゃべりしたいってわけね。だけど早く振り込んじゃわないと、落ち着かないのよ」
「大丈夫ですよ。3時まであと4時間もありますから」
「わかったわ、じゃあ、先に食べてから行きましょう。私もなんだかお腹がすいてきちゃったわ」
大谷地には11時過ぎに着き、そこから野幌森林公園の方へ向かった。
風はさほど吹いてないが、雪がさっきよりも更に多くなったような気がする。
「なんか随分閑散とした辺鄙なところね。本当にこんなところにイタリアンのお店なんかあるの?」
車の一台も通らないような場所に来て心配になったらしい。
あたりは雪一色の景観だ。
降りしきる雪のために、日中なのに暗く視界が悪い。
和歌子に疑いの目を向けられて、少し緊張した。
「この辺だった気がするんですけど……何処もかしこも一面雪なので分かりにくいですね」
「 やっぱり食事は後にしましょう。なんか心配だわ。早く妹さんのところへ行ってちょうだい」
「そうですね。そうします」
Uターンしようとして、バックし過ぎて路肩から30㎝ほど下の雪野原へ滑り落ちた。
もちろんわざとである。
「ちょっと、清美さん、あなた何やってんのよ!」
「す、すみません! 後ろが真っ白でよく見えなくて」
「まったく、運転下手ね!」
「それほどの高さじゃないですから、なんとか出られると思います」
ーー出られるわけがない。
こんなに雪が積もった雪野原から登れたら奇跡だろう。
たとえ登れてもそう出来ないようにしなければならない。
除排雪されていない雪野原に車はすっぽりと埋もれてしまって、登るどころではなかった。
前進も後進も出来ずに立ち往生した。
「ちよっとタイヤの前の雪をかいてきますね」
慌てたそぶりで手袋をはめた。
「無理よ、こんなところから出られないわ。JAFか何処かのロードサービスを呼びなさいよ!」
義姉が苛立ちを抑えきれずに怒鳴った。
「あ、はい」
携帯を取り出し、電話をかけるふりをした。
「あ、すみませんが雪野原から出られなくなってしまって、立ち往生してるので助けて欲しいのですが、、えっ、あ、はい、野幌森林公園のそばのところです。……はい、わかりました。じゃあ、お願いします」
適当に相槌を打って電話を切った。
「なんか、ロードサービスとっても混んでいて、早くても1時間はみてくださいって言われて」
「えーっ、1時間も、はぁ~」
「ごめんなさい。なるべく早く出られるように、雪をかいておきますから、お義姉さんは休んでいてください」
「いいわよ、私も手伝うわ」
義姉がそう言って車を降りようとした。
「スコップひとつしかありませんから、お義姉さん、休んでいてください」
そう言われて義姉も諦めたようだった。
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