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義姉の葬儀
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寒波が去った翌日、義姉の葬儀がセレモニーホールでしめやかに行われた。
母の葬儀とは比較にならないほど立派な葬儀だった。
素晴らしくアレンジされた菊の花の真ん中に、かなり若い頃の義姉が優しく微笑んでいた。
どこにこんな葬儀代があって、誰がそれを支払うのか不思議な気もしたが、家族全員がなんとかなるだろうという、義姉と同じ体質なのかも知れない。
いくら罪には問われなくても、同じ車に同乗していたものが元気で生きているということに後ろめたさを感じる。
遺族、特に子供たちからの視線が痛い。
あんな自分勝手な義姉でも、子供たちにとってはいい母親だったのだろう。
自分と身内にだけはとても甘い人だった。
けれど、参列者は思いのほか多かった。
これだけの人にお参りしてもらえたら、香典料で葬儀代もまかなえるかも知れない。
遺族以外にも手を合わせて涙ぐむ人もひとも何人かいて、複雑な気持ちになる。
同じ職場の人たちなのだろうか。
親戚ではなく、同じ職場の同僚だったら義姉とは仲良くできたのだろうか。
見ず知らずの人たちだけれど、この人たちを悲しませたのが自分だと思うとやりきれない気持ちになる。
***
義姉の葬儀が終わり、いつもの日常が戻った。
二度目の殺人は母のときと比べて罪悪感と恐怖がなくなっている。
人間は、こんな非道な悪にも簡単に慣れてしまうものなのか。
もう誰からも脅されたり、強請られたりする心配はない。
これからは真っ当な人生を歩もう。
どこにでもいる普通の主婦に戻るのだ。
母の葬儀とは比較にならないほど立派な葬儀だった。
素晴らしくアレンジされた菊の花の真ん中に、かなり若い頃の義姉が優しく微笑んでいた。
どこにこんな葬儀代があって、誰がそれを支払うのか不思議な気もしたが、家族全員がなんとかなるだろうという、義姉と同じ体質なのかも知れない。
いくら罪には問われなくても、同じ車に同乗していたものが元気で生きているということに後ろめたさを感じる。
遺族、特に子供たちからの視線が痛い。
あんな自分勝手な義姉でも、子供たちにとってはいい母親だったのだろう。
自分と身内にだけはとても甘い人だった。
けれど、参列者は思いのほか多かった。
これだけの人にお参りしてもらえたら、香典料で葬儀代もまかなえるかも知れない。
遺族以外にも手を合わせて涙ぐむ人もひとも何人かいて、複雑な気持ちになる。
同じ職場の人たちなのだろうか。
親戚ではなく、同じ職場の同僚だったら義姉とは仲良くできたのだろうか。
見ず知らずの人たちだけれど、この人たちを悲しませたのが自分だと思うとやりきれない気持ちになる。
***
義姉の葬儀が終わり、いつもの日常が戻った。
二度目の殺人は母のときと比べて罪悪感と恐怖がなくなっている。
人間は、こんな非道な悪にも簡単に慣れてしまうものなのか。
もう誰からも脅されたり、強請られたりする心配はない。
これからは真っ当な人生を歩もう。
どこにでもいる普通の主婦に戻るのだ。
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