Haruの星を探して

なごみ

文字の大きさ
5 / 6

亡くなった親友

しおりを挟む

「あ、、あのね、さっきの話だけど、智紀は結局なにが言いたかったの?」


「さっきの話って?  輪廻転成のことかい?」


「ううん、その話はもういいわ。次の段階に進むって話よ。私たちの経験や努力は死んでも無駄にならないって話」


「ああ、そのことか………」


無言のまま星空を見つめる智紀の目に、涙が光ってみえた。


「智紀……  もしかして、ハル君のこと考えてた?」


智紀は少しうつむくと、指でそっと目尻をぬぐった。


「鋭いな、美月は。どうしてわかった?」


「私もいま思い出してたから」


「………そうか」



ハル君は3ヶ月ほど前、交通事故で突然この世を去った。


智紀の幼なじみで、小学校から高校までずっと同じだったという。



「ごめん……。邪魔しちゃって」


「いや、いいんだ。美月と一緒にここに来られて良かったよ。宇宙って観ているだけで本当に癒されるな。ほら、猫だと星空を見あげてこんな気持ちにはなれないだろう」


「まぁ、確かにそうかもね」


「ハルはさ……」



「えっ?」


「ハルはもう次の段階に進んで頑張ってるよ」



「………別の星で?」


「どんなところかは分からないけど、いまも生きてるよ。ここではちょっと生き急ぎすぎたけど、アイツは人として十分に人生をクリア出来ていたから。もちろん、やり残したこともあっただろうけどね」


ハル君は日本を代表する陸上短距離のトップアスリートの一人だった。


並々ならぬ努力と精神力で、常に高みを目指していた。


「そうね、ハル君、本当にステキな人だった。智紀のおかげで何度か一緒に食事させてもらったけど、緊張でガチガチだった私をいつも笑顔で気遣ってくれて」


あの時のオドオドしていた自分を思い出し、恥ずかしくなる。


「心配だったなぁ。美月がハルに取られちゃうんじゃないかと思って」


「フフフッ、私はファンのままで良かったの。ハル君はスターだから住む世界が違うもの。遠くから見つめているだけで十分幸せだった。智紀のおかげで、とってもいい思い出がもらえたよ」


「残された僕たちの喪失感は大きいけどね。だけど、あいつは今また歩き始めてるよ。今度は生き急がないでゆっくり進めよって言いたいな」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完結短編】ある公爵令嬢の結婚前日

のま
ファンタジー
クラリスはもうすぐ結婚式を控えた公爵令嬢。 ある日から人生が変わっていったことを思い出しながら自宅での最後のお茶会を楽しむ。

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

あなたの愛はいりません

oro
恋愛
「私がそなたを愛することは無いだろう。」 初夜当日。 陛下にそう告げられた王妃、セリーヌには他に想い人がいた。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

処理中です...