チートな親子と変な仲間たち

ais

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またね

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アキヤにファーブニルがぶつかる寸前にマリーはアキヤを自分の肩で押しやるが最後の力を使ったファーブニルのスピードは速くアキヤは壁と猛撃のファーブニルに胸から下をはさまれて苦しそうに唸り声を上げる。
ファーブニルはしばらく肺を火傷したのだろう荒く呼吸をしていたが生命の力の魔力を噴霧して黒炭のような体で生き絶えた。


「ーーーあなた!! 」
マリーは涙を流しながら回復呪文を唱えるが、アキヤのその胸から下の状態は傷ではなく地球で言うトラックに轢かれたような人間の体とは認識出来ないような肉塊になっている。
回復呪文を唱えても少し、ほんのすこしだけ延命ができるだけだろう。

「マ… リー……大丈夫か?」マリーも肩を破損していたが自分の体の一部を使い自分でも気づかずに治していた。その人間ではありえない自己再生をアキヤが見ているのを気づき
「私…魔物なの」
と苦しく言う。

こんな時に言いたく無かった。死ぬ間際にまで自分に優しくしてくれる人にバレたく無かった。
色々な感情がマリーの心を何本ものナイフが突き刺すような気分にさせた。

「わかって…いたよ」

マリーはアキヤの言葉に愕然とする
この人は
この人は…
アキヤの命が失われていく
「いやだ… イヤだよ…」
もうアキヤの声は返ってこない。

そっと愛おしいアキヤの頭を抱き寄せマリーは呟いた。


「エナジードレイン」




*****
夕暮れの部屋
マリーが長椅子にうたた寝する
今日農場を開墾する時についた無数の傷やマメが潰れたマリーの手足をさする。
ーー俺が王妃を助けれたらこんな苦労もさせないのに。

その時、マリーの体の一部が盛り上がり傷を塞ぐ

ーーそうかマリーは人間じゃないのか。
それは今日の天気がどうか確認するぐらいの軽い思いだった。それはマリーへの愛情より矮小なものだった。
異世界の人間だから色々な漫画で人間と違う人間との愛情を知るアキヤにとってマリーのいる事が大事で種族の隔たりなど他愛もない事だった。

暖かい毛布をマリーにかける
ふいとマリーが目を醒ます
ーー寝ていてもいいのに起こしちゃった?ごめんね?

隠しているなら聞かないでおこう
君がいないなんて寂しすぎるから


愛してるよマリー


これがアキヤの記憶だった



「アキヤー! 戻ってきてー! 」
マリーは絶叫した
頭を壁や床に叩きつけ頭にいるアキヤを出そうとする
血だらけになりながら這ってアキヤの遺体にすりより泣く。

泣いて泣いて時間が過ぎ、アキヤが腐り出した頃

マリーは火の魔法でアキヤを骨にする
遺跡に土魔法で祭壇を作り骨になったアキヤを寝かせ
少し涙を流してアスクレピオスの杖を掴み取り
その部屋を出た。

洞窟入り口を土魔法で閉じてアキヤの墓にしたあと

またね
と小さく呟き王都へ向かった。
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