チートな親子と変な仲間たち

ais

文字の大きさ
32 / 55

少女怒る

しおりを挟む
「コラァー! やっと見つけたわ! 」
マルローネが吠える

えへへと頭を掻いて何事も無かったように並ぶイチにさらにイライラする。
「こらマルローネ、この場に協力してくれている村の人間になんて事をいうんだ」
状況は理解できないがマルローネを止めようとギルドマスターが手で制する。

マルローネはイチを指で突き刺さんばかりに指し示し
「だってコイツ私が剣の素振り練習をしてる時にゴリラって、それに私の剣を蹴って曲げて使えなくしたんです」

「人に指をさしちゃダメだぞー」
イチが茶化し、またさらにマルローネは顔を赤くしてグゥゥゥと唸る。眼光が凄い。怖い。
「やっぱゴリラ…」
「ーー!!っ!」

ガタンとマルローネが椅子から思わず立ち上がる。
まぁまぁとギルドマスターがマルローネの肩を押さえ椅子に座り直させると
「剣ってオマエの剣は大剣だろ?あんな分厚いの蹴っても曲がらんだろ?」
苦笑しながらギルドマスターが問うとマルローネはガタンと立ち上がり今度はテント横にある木箱へ走り中からマルローネの大剣を持ってきてギルドマスターに渡す。

「こりゃぁ… 曲がってるな… 本当にこの小僧が? 」
ギルドマスターの言葉に顔を紅潮させ涙目のマルローネが頷く。

ギルドマスターはイチを真剣な目で見るが、イチはピューピューと口笛ち吹いてとぼけるフリをするが汗が凄いので、ギルドマスターはこの小僧が大剣を曲げたのだと確信をする。

「マルローネ。怒りは分かるがこの小僧のステータスをチェックしてくれ」
「ぐっ」
上司からの命令に仕方なくイチに向き合う。

やれやれとイチも向き合うと
マルローネはステータスコンタクトの魔法を唱えイチの前にステータスが浮かぶ。

名前:イチ
職業:村人
体力:不明
魔力:不明
能力:以下不明

「はあ??ギルドマスター何ですかこれは?」
マルローネは思わず大声を出す。
「何だこれはこんなステータスは見た事がないぞ」

何かあったんだろうと遠巻きに見ていた他の村人はざわつきながらも『まあイチだからなぁー』と口を合わせる。
「ありゃ俺ダメだわこりゃ弱すぎてステータス見れないみたいだわーははは」
とイチは逃げ出す。
ーーーまだ子供なんだ母さんに教わりたい事もあるしこの村を好きなんだ面倒な事はごめんだ
と逃げるイチにギルドマスターが回り込む。

「なあなあ坊主… いやイチ君!ボクと一緒にギルドの支部にまで行ってもう一度ステータスチェックさせてよー」脂ギッシュにギルドマスターがニコニコ笑う。

「いやいやすみません」
「まあまあそう言わず」
「いえいえ間に合ってますんですみません」
「いいからいいから」
全速力のスピードで走りながら2人は言葉の掛け合いをするがそこは経験を重ねた身のこなしと呪いで能力を抑えられているイチに分が悪く距離が縮まる。

脂ギッシュでも冒険者を束ねるギルドマスターはイチに追いつく程のスピードがあった。

「ホント勘弁して下さいよー俺まだ子供ですよ!」
「こんな子供、世界中にもおらん」
とギルドマスターは脂ギッシュにイチを捕まえてスリーパーホールドつまり首をガッチリホールドした

イチはギルドマスターの手を剥がそうと力をフンヌと入れ首とギルドマスターの腕の間に少し隙間ができる

「これを… 剥がせるかね! なんだこの小僧! オイ誰か魔物を拘束する鎖の一番太いの持って来い!」

ギルドマスターが職員に向かい叫ぶとワタワタと鎖を持ってきて「やれ」というギルドマスターの合図でイチをぐるぐる巻きにした。
それをも力で剥がそうとするイチに一般ギルド職員は唖然とする。

「やめてよー怖いよー」
「嘘つけ! 目が怖がってないぞコラ! 」
「チッ」
その2人のやりとりを見ながらマルローネはイチの方がゴリラじゃないとまた顔を赤くして怒るのだった。

*****
「すみませんお母さん」
「いえうちの子をよく捕まえれましたね」
ギルドマスター村人の視線に我を忘れていた自分に気付きすぐに保護者との面会を村人に頼みこうしてテントで話す事になった。

「ーーーでうちの子をしばらく貸して欲しいと?」
「!?はい… すみません」
少ない説明は職員に聞いていただろうが察しの良いマリーにギルドマスターは驚く。
「まぁ… そろそろイチも外の世界を見せないといけないと思っていました。これもいい機会なのかもしれませんね。」

イチみたいな化け物の子供に母親も手を焼いているんだろうなとギルドマスターは勘違いし無言で頷く

「ただイチは夫の忘れ形見。いつか返して下さいね。」
「ーーーはい。お子さんを責任持って預かります。」

それならとマリーは息子と少し2人きりで話をさせて欲しいとイチと話す機会を作る。
わかったと案内された小さなテントにイチが鎖を巻きつけられ座っているのを見てマリーはクスリと笑う。

「母さん笑うって場面じゃないよー!」
「いやごめんねイチ。あんたちょっと旅に出なさい」
「いきなりすぎない?」
フフフと笑う母に酷いなーと言い返すが、あマジだコレと段々と汗が流れる。

「ちょっと手を出しなさい」
マリーはイチの手を握りそこから光がもれる。
「これで呪いは覚えれただろう?」
確かに頭の中に自分のステータスを抑えるのに使われていた呪いの付与方法が鮮明に分かる。

「母さん… マジで旅にでるの?俺?」
「イチ、あんたには世界を見て貰いたいんだよ。この村ではそりゃあ安らぐだろう。でもね世界には知らない事や体験しないと分からない事が山ほどあるんだ知識は感動と人生… 知らなきゃそれこそ腐って死ぬだけの無駄にしかならない」

いつもと違う真剣な母の説得にイチはうなずく

「あんたにかけた呪いはすぐに自分でもとけるハズだ。分かるだろ?でも自分を隠す事を忘れてはダメだイチの能力は全開で使うと怖れられ人間に疎まれるかもしれないそれを覚えておくんだ」

さっきマリーから渡された自分を縛る呪いを頭に浮かべたらなるほど自分で加減をしたり解いたりできると理解した。

頭の中を反芻するイチを見てマリーはフッと笑うとイチを抱きしめた
「行っておいで… 世界は面白いよ」
「うん。出来るだけ早くには帰ってくるけどね異世界人だから話通じ過ぎて忘れてるかもしれないけど、まだ、ボク、子供だからね?」

テントの外にも聞こえる程2人は笑った。




*****
「へー村の外の街道ってこんななんだー」
イチは馬車の外に広がる風景に感嘆する。体にはまだグルグルにマジックアイテムの鎖を巻きつけられている。
「なあマルローネそろそろお腹減ったよー」

その呑気な風にするイチにギリっと目の前のマルローネが睨む。

ーーーはぁ…なんか面倒な事になっちゃったなぁ世界、楽しめるかなー?

とイチはため息をもらし暇つぶしにまた馬車の外の風景を見ながらギルド支部がある町に早く着かないかなと思うのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...