チートな親子と変な仲間たち

ais

文字の大きさ
51 / 55

しおりを挟む
その日は曇天で憂鬱な空気が流れていた。
ギルドの聞き取りと現地でのゴブリンの糞の分布図と実際の差異、確認の為にギルドで依頼を受けてから達成するまでの時間等々を情報で集め
ゴブリンの糞の分布図を悪質に達成として報酬をもらっていた准冒険者の少年少女の5人を割り出した。

少年少女はギルドの会議室でその事を"笑顔"のギルドマスターに問われると
「バレたかー」
と談笑するようにそれを認め、その浅はかさにギルドマスターは顔は笑顔だが悔しさか怒りかで拳を震わせる。

こういう子供は厳しく問い詰めると失敗を誰かのせいにするのでギルドマスターとしてまずは懐柔しないといけない。
それでも笑顔は引きつる。

さて、すみませんでしたと報酬の返還をして去ろうとする少年少女を数人のギルド職員が手で圧して椅子に座らせると縄で後ろ手に縛り土魔法で手に重りをつける。

「オマエ達のついた嘘の報告でゴブリン発生地の周辺の村々から50人以上の犠牲者が出た。そのうち5人の少女はゴブリンに弄ばれ腹から計11匹のゴブリンを産んで果てた… うちの冒険者も2人犠牲になっている」

ギルドマスターは無表情に変わり冷たい目で少年少女を見て一つため息をつく。

「すみませんじゃあ済まないんだわ」

この世界では三権分立とか生易しい制度は存在しない。
王国法によりだいたいの法律は決まっているが、諸処地方で起こる問題は当地の人間またはギルドに委ねる国民情緒法が是とされる場合がある。


まだ何をされるか理解していない少年少女5人はニヤニヤとし会議室から数珠なりに護送される時も
「牢屋とかサイテー」
「一緒に収監されたら一緒に行動しようね」
と談笑している。

ギルドのロビーでは知り合いの冒険者に見られて照れ笑いなどしているが、ギルドから外に出て民衆の目に晒されると初めて5人は恐怖に固まる。

「あの?… どこに行くンスカ?」
「兵舎はそっちと違いますよ!!」
恐怖から足を止めるが引きずられ町の外にある平原に到着するとあらかじめ土魔法で作られた穴に1人ずつ立ったままスッポリと入れられる。

「やめて」
「ごめんなさいー!」
「助けて!助けて!」
口々に叫ぶがギルド職員が動けないよう穴と体の間に柔らかい土を詰め首だけ出している状態になると少年少女全員が涙を流してナゼこんな事をされるのかと汚い言葉で批難しだす。

ギルド職員とギルドマスターが離れるとどこからか怒りや悲しみをもった目を5人に向けるたくさんの村人が囲む。
今回ゴブリンに殺された人間の家族や知人達だ。
彼等は手に手に石を持ち首だけ出している少年少女5人に投げ出した。

「痛い痛いやめて!やめて下さい!」
「あぁあ… 私の目が潰れてあぁ… ひどい」
「何でもしますから!やめて痛い痛い」
泣き叫ぶ声と村人の泣き声、石が肉にぶつかる音…

少年少女はビクビクと血を吐き垂らし震えだす。
ギルドマスターが村人に止めろと手を交差し石打ちの刑が止まると死にかける少年少女に柔らかな土をかぶせる。
ピコピコと土が上下してすぐに動かなくなる。
死んだと言うことだ。

それを見ると村人は大声で泣きだしギルドマスターに感謝を言うのだった。

ーーー怒りを納めるにしても石打ちの刑はやはり気分が悪い… しかしこれで村人達はギルドに恨みは持たないだろう。

ギルドマスターはギルドを守る為に出来る事をしたのだと自分に納得させる。

曇天だった空からは雨が降り出していた。


*****
「鬱だなぁ… 」
当事者の1人であるイチには今日の私刑を知っていた。
酷い間違いを犯したが今の自分と同じぐらいの子供が石打ちで殺されると知るとやりきれない。

日本で生きていたのだから裁判も無しに刑が確定するのも憂鬱になる一つだ。

イチは正規冒険者になってからセレファイスの町の安宿に移り拠点にしていた。

雨の音がさらに憂鬱にさせる。
マリナと討伐したゴブリンの村の報酬は明日ギルドにて渡される。
私刑された少年少女の捜査と今日の後始末で伸びに伸びている。

何か作って手持ち無沙汰を無くそうかと考えて何が居るか考える。
「イチどうしたの?」
「うん何か作ろうかと思ってるんだけど何か要らない?」
ニーがミニムーンに座りイチの事を見ている。

ーーーあのミニムーンのせいで宿屋の床が壊れないかな?
と考えている時に思いつく。

「なんでも入るカバンを作れば便利かもしれない」
これは田中一郎として生きた地球での記憶で、子供の頃に連載が始まった漫画の何でも入るポケットを魔法でなら作れるんじゃないかな?と思い立った。

「ニーと会った遺跡はあの後ガッチリ塞いだしあそこでいいか…」
「ニーと会った場所?」
ニーが首をかしげる。

ニーを召喚させられた黒い本があった遺跡である。
ーーー人が入った形跡も無かったのし、これからも人の世が何世代かあっても見つからないだろう。

イチは自分のステータスを開き移転魔法がないかを確かめると幾つもの確認した事のない魔法群の中に移転魔法を発見する。
「上手くいくといいけど」

立ち上がりイチとニーの生活品などが詰めているバックパックを漁り重たそうな布袋を取り出す。中には刀を作った残りの時の青き空の先の鉄粉を入れている。

「イチ言ってくれたら出したのに」
「残ってるんだし成功するか分からないからこれでいいよ。ありがとう。」

宿屋の受け付けに行きベッドシーツと宿の夕食に出たとうもろこしを売ってもらい部屋に備え付けてある桶(おけ)に火魔法と水魔法でお湯を作る。
それに風魔法で粉砕したとうもろこし(コーンスターチ)と青き空の先の鉄粉を水で混ぜて粘度が出た物を加えしっかりとお湯と混ぜる。

「さて染色で青き空の先の鉄粉が布に乗るかな?」
イチはお湯の湯気に汗を流しながらシーツを桶にある青い液に漬ける。
ムラが出来てもいいやという風に重力魔法で圧を掛けて染めていく。

しばらくして布を取り出し水魔法で丁寧にすすぎ風魔法と火魔法で温風を作り布を乾かす。青き空の先の鉄の性質からか鉱石なのにしっかりと青くまた重みがある染まり方をする。

あとは袋の口がミニムーンの入るサイズになるよう長方形に裁断し両端を麻紐でザックリ縫い合わせると頭陀袋(ずたぶくろ)が出来上がる。

「イチこの袋じゃミニムーン入らないよ?」

その言葉を背に受けながら次にイチは移転魔法を袋に付与するように唱える。
なぜ一々と青き空の先の鉄を染色までして布に付けたのかと言うと星鋼の刀に魔法が付与しやすくまた解除するまで継続を続けた性質に期待したからである。
何度か袋にニーと出会った遺跡の部屋へ移転するイメージを魔法で付与し、頭陀袋を覗き込むと遺跡の部屋と黒い本が目に入る。

「出来た!」
4次元バッグー!
移転魔法の付与の為か手を入れる場所を思いながら使うと思った所に入れた物が簡単に取り出せる便利機能まであった。

楽しそうにバックパックやミニムーンを出し入れして騒ぐイチにクスクスとニーは笑った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...