63 / 77
七章
62話 目的
しおりを挟む
パチ…パチパチ……
暗闇の中に見えるオレンジ色の光。
堺はゆっくりと意識を取り戻す。
あたりは暗く、砂埃が少し待っている。
意識がもうろうとしており、起きあがろうとしたが、体勢が崩れ、頬が地面につく。
ツルりとしたタイル。
パチっと静電気が走った。
それと、微かに焦げた匂いがする。
タイルはひんやりとしており、細かな砂が頬につく。
目をパチパチとしながら体勢を起こした。
焚き火の周りを見る。
少女が一人すわっている。
「!!??」
堺は思い出した。彼女は極悪な魔人で、ラルトや岡本たちを何度も殺した人物だと。
呼吸がうまくできない、ぼやぼやと視界が動く。
「あ…」
堺は魔道具に魔力をそっと込め、闇の杖を取り出そうとした。
「殺したい気持ち 伝わるけど、無駄だから」
少女は焚き火に薪を入れながら、視点を離さずに堺に話しかける。
堺は頭の整理がつかない。
(死に戻りした!?で、でもこんな場面は一度もなかった!岡本さんの時?俺だけ生かした?わからない!!なんで、そもそもここは何処なんだ!)
堺は改めて周りを見ると、焚き火の近く、人が横になっている。
「……斎藤さん……?」
焦げた燕尾服。黒の手袋。
あの、複製体の斉藤が息をしていた。
焚き火の近くを囲むのは、堺、斎藤、そして少女――真希。
「きみ、死にかけてたんだよ。倒壊した建物の下敷きになってさ。足とか潰れてたから、治してあげたの」
真希は淡々と告げる。
焚き火の炎が、彼女の瞳にゆらりと映る。
そこには、かつての冷酷な光はなかった。
(倒壊… そうだ!前田さんを探してて…意識が飛んで……)
ここがアルファだと気づいた。
白色のタイルがその証拠。
堺は質問をしたいと思ったが、何も考えれない。
それよりも真希に対する憎悪や、殺意が込み上げてくる。
(何もできない自分が悔しいっ……)
堺は歯を噛みしめ、目をぎゅっと瞑る。
「う……あれ? ここは…」
隣で斎藤が目を開ける。
手を見つめ、ゆっくりと自分の体を確かめた。
「生きてる……」
「真希… それにサッカイくん。……僕を助けてくれたのは、真希、君かい?」
「そう、別に死んでもらって構わなかったけど、仕方なくね」
真希の手に握られている。薪がパキッ!と割れる。
「君の兄を殺したってのに、不思議。殺さなくてよかったのかい?」
「偽物を殺しても意味ないでしょ?それに、さっきまで死にたくない死にたくないって、唸ってたくせに」
斎藤は微かに口を開けたまま固まる。
「わたし、魔王軍やめたの、勝手にだけど。それで、ある人を生き返らせたいから、手伝ってくれない?」
真希は焚き火を見つめていた。
「前田かい?」
斎藤はニヤリと笑う。
「そう よ」
その名を聞いた瞬間、堺の心臓が跳ねた。
「まっ、前田さん!がし、し死んだってことですか!?……アッ すみません……」
言葉が喉で絡まり、震えた声になる。
「なんで生きてる人を生き返らせるの?」
真希は冷静に突っ込んだ。
「…僕は手伝うよ。償ってやつだね」
斎藤は自然に微笑む。
「そ、ならよかった。サッカイ?は どうする? 別に強制はしない」
真希は少しだけ口元を緩め、堺に視線を移す。
真希の表情には、もはや魔の影はなかった。
温もりを宿した瞳が、まっすぐに堺を射抜く。
「僕は……」
(何が何だかわかんねぇ、なんで魔人が前田さんを助けたいのかも、斎藤さんがいるのも訳わからない、、でもっ……」
――前田さんと出会って色々あった。
ゴブリンに殺される羽目になって、学園では殺されかけた。
アルファの拠点に行ったら死に戻りして、最初からになった。
それで、何もない俺に魔道具とか渡してきてくれた。
面倒見も良くて、でも少しスパルタ。
一度は疑ったけど……救いたい。
今までの恩返ししないと。
そんで ちゃんと話したい。
だから……
「僕も! 前田さんを 生き返らせたい!です……」
堺は目を輝かせた。
顔から迷いが消える。
真希はわずがに目を細め、微笑む。
「そ、ありがと。 なら これに触れて」
真希は転送石を取り出した。
紫の光を放つそれは、渦を巻くように内部がうごめき、微かに熱を放つ。
「火の都に行くのかい?」
斎藤が呟く。
真希はうなずく。
「ひ、火のみやッ……ゴホッゴホッ!」
堺は質問をしたかったが、これが限界だった。
そして、三人の手が転送石に触れる。
すると転送石が強烈な光を放った。
焚き火の炎が吸い込まれるように伸び、三人を包み込む。
堺は体からゴッソリ魔力が抜けたのを感じた。
暗闇の中に見えるオレンジ色の光。
堺はゆっくりと意識を取り戻す。
あたりは暗く、砂埃が少し待っている。
意識がもうろうとしており、起きあがろうとしたが、体勢が崩れ、頬が地面につく。
ツルりとしたタイル。
パチっと静電気が走った。
それと、微かに焦げた匂いがする。
タイルはひんやりとしており、細かな砂が頬につく。
目をパチパチとしながら体勢を起こした。
焚き火の周りを見る。
少女が一人すわっている。
「!!??」
堺は思い出した。彼女は極悪な魔人で、ラルトや岡本たちを何度も殺した人物だと。
呼吸がうまくできない、ぼやぼやと視界が動く。
「あ…」
堺は魔道具に魔力をそっと込め、闇の杖を取り出そうとした。
「殺したい気持ち 伝わるけど、無駄だから」
少女は焚き火に薪を入れながら、視点を離さずに堺に話しかける。
堺は頭の整理がつかない。
(死に戻りした!?で、でもこんな場面は一度もなかった!岡本さんの時?俺だけ生かした?わからない!!なんで、そもそもここは何処なんだ!)
堺は改めて周りを見ると、焚き火の近く、人が横になっている。
「……斎藤さん……?」
焦げた燕尾服。黒の手袋。
あの、複製体の斉藤が息をしていた。
焚き火の近くを囲むのは、堺、斎藤、そして少女――真希。
「きみ、死にかけてたんだよ。倒壊した建物の下敷きになってさ。足とか潰れてたから、治してあげたの」
真希は淡々と告げる。
焚き火の炎が、彼女の瞳にゆらりと映る。
そこには、かつての冷酷な光はなかった。
(倒壊… そうだ!前田さんを探してて…意識が飛んで……)
ここがアルファだと気づいた。
白色のタイルがその証拠。
堺は質問をしたいと思ったが、何も考えれない。
それよりも真希に対する憎悪や、殺意が込み上げてくる。
(何もできない自分が悔しいっ……)
堺は歯を噛みしめ、目をぎゅっと瞑る。
「う……あれ? ここは…」
隣で斎藤が目を開ける。
手を見つめ、ゆっくりと自分の体を確かめた。
「生きてる……」
「真希… それにサッカイくん。……僕を助けてくれたのは、真希、君かい?」
「そう、別に死んでもらって構わなかったけど、仕方なくね」
真希の手に握られている。薪がパキッ!と割れる。
「君の兄を殺したってのに、不思議。殺さなくてよかったのかい?」
「偽物を殺しても意味ないでしょ?それに、さっきまで死にたくない死にたくないって、唸ってたくせに」
斎藤は微かに口を開けたまま固まる。
「わたし、魔王軍やめたの、勝手にだけど。それで、ある人を生き返らせたいから、手伝ってくれない?」
真希は焚き火を見つめていた。
「前田かい?」
斎藤はニヤリと笑う。
「そう よ」
その名を聞いた瞬間、堺の心臓が跳ねた。
「まっ、前田さん!がし、し死んだってことですか!?……アッ すみません……」
言葉が喉で絡まり、震えた声になる。
「なんで生きてる人を生き返らせるの?」
真希は冷静に突っ込んだ。
「…僕は手伝うよ。償ってやつだね」
斎藤は自然に微笑む。
「そ、ならよかった。サッカイ?は どうする? 別に強制はしない」
真希は少しだけ口元を緩め、堺に視線を移す。
真希の表情には、もはや魔の影はなかった。
温もりを宿した瞳が、まっすぐに堺を射抜く。
「僕は……」
(何が何だかわかんねぇ、なんで魔人が前田さんを助けたいのかも、斎藤さんがいるのも訳わからない、、でもっ……」
――前田さんと出会って色々あった。
ゴブリンに殺される羽目になって、学園では殺されかけた。
アルファの拠点に行ったら死に戻りして、最初からになった。
それで、何もない俺に魔道具とか渡してきてくれた。
面倒見も良くて、でも少しスパルタ。
一度は疑ったけど……救いたい。
今までの恩返ししないと。
そんで ちゃんと話したい。
だから……
「僕も! 前田さんを 生き返らせたい!です……」
堺は目を輝かせた。
顔から迷いが消える。
真希はわずがに目を細め、微笑む。
「そ、ありがと。 なら これに触れて」
真希は転送石を取り出した。
紫の光を放つそれは、渦を巻くように内部がうごめき、微かに熱を放つ。
「火の都に行くのかい?」
斎藤が呟く。
真希はうなずく。
「ひ、火のみやッ……ゴホッゴホッ!」
堺は質問をしたかったが、これが限界だった。
そして、三人の手が転送石に触れる。
すると転送石が強烈な光を放った。
焚き火の炎が吸い込まれるように伸び、三人を包み込む。
堺は体からゴッソリ魔力が抜けたのを感じた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
構造理解で始めるゼロからの文明開拓
TEKTO
ファンタジー
ブラック企業勤めのサラリーマン・シュウが転生したのは、人間も街も存在しない「完全未開の大陸」だった。
適当な神から与えられたのは、戦闘力ゼロ、魔法適性ゼロのゴミスキル《構造理解》。
だが、物の仕組みを「作れるレベル」で把握できるその力は、現代知識を持つ俺にとっては、最強の「文明構築ツール」だった――!
――これは、ゴミと呼ばれたスキルとガラクタと呼ばれた石で、世界を切り拓く男の物語。
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。
しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。
しかし――
彼が切り捨てた仲間こそが、
実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。
事実に気づいた時にはもう遅い。
道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。
“荷物持ちがいなくなった瞬間”から、
アレクスの日常は静かに崩壊していく。
短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。
そんな彼と再び肩を並べることになったのは――
美しいのに中二が暴走する魔法使い
ノー天気で鈍感な僧侶
そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー
かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。
自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。
これは、
“間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる”
再生の物語である。
《小説家になろうにも投稿しています》
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!
HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。
跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。
「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」
最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!
【第一部完結】転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!
DAI
ファンタジー
【第一部完結!】
99回のさよならを越えた、究極の『ただいま』
99回転生した最強エルフは、のんびり暮らしたいだけなのに――なぜか家族が増えていく。
99回も転生したエルフの魔法使いフィーネは、
もう世界を救うことにも、英雄になることにも飽きていた。
今世の望みはただひとつ。
――森の奥の丸太小屋で、静かにのんびり暮らすこと。
しかしその願いは、
**前世が日本人の少女・リリィ(12歳)**を拾ったことで、あっさり崩れ去る。
女神の力を秘めた転生少女、
水竜の神・ハク、
精霊神アイリス、
訳ありの戦士たち、
さらには――
猫だと思って連れ帰ったら王女だった少女まで加わり、
丸太小屋はいつの間にか“大所帯”に!?
一方その裏で、
魔神教は「女神の魂」と「特別な血」を狙い、
世界を揺るがす陰謀を進めていた。
のんびり暮らしたいだけなのに、
なぜか神々と魔王と魔神教に囲まれていくエルフ。
「……面倒くさい」
そう呟きながらも、
大切な家族を守るためなら――
99回分の経験と最強の魔法で、容赦はしない。
これは、
最強だけど戦いたくないエルフと、
転生1回目の少女、
そして増え続ける“家族”が紡ぐ、
癒しと激闘の異世界スローライフファンタジー。
◽️第二部はこちらから
https://www.alphapolis.co.jp/novel/664600893/865028992
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる