異世界転生 内気な青年に与えられた能力は死に戻り

KOKE

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七章

62話 目的

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パチ…パチパチ……

 暗闇の中に見えるオレンジ色の光。
 堺はゆっくりと意識を取り戻す。

 あたりは暗く、砂埃が少し待っている。
 意識がもうろうとしており、起きあがろうとしたが、体勢が崩れ、頬が地面につく。
 ツルりとしたタイル。
 パチっと静電気が走った。
 それと、微かに焦げた匂いがする。
 タイルはひんやりとしており、細かな砂が頬につく。
 目をパチパチとしながら体勢を起こした。

 焚き火の周りを見る。
 少女が一人すわっている。

「!!??」

 堺は思い出した。彼女は極悪な魔人で、ラルトや岡本たちを何度も殺した人物だと。

 呼吸がうまくできない、ぼやぼやと視界が動く。

「あ…」
 堺は魔道具に魔力をそっと込め、闇の杖を取り出そうとした。

「殺したい気持ち 伝わるけど、無駄だから」
 少女は焚き火に薪を入れながら、視点を離さずに堺に話しかける。

 堺は頭の整理がつかない。
 (死に戻りした!?で、でもこんな場面は一度もなかった!岡本さんの時?俺だけ生かした?わからない!!なんで、そもそもここは何処なんだ!)

 堺は改めて周りを見ると、焚き火の近く、人が横になっている。

「……斎藤さん……?」

 焦げた燕尾服。黒の手袋。
 あの、複製体の斉藤が息をしていた。

 焚き火の近くを囲むのは、堺、斎藤、そして少女――真希。

「きみ、死にかけてたんだよ。倒壊した建物の下敷きになってさ。足とか潰れてたから、治してあげたの」
 真希は淡々と告げる。
 焚き火の炎が、彼女の瞳にゆらりと映る。
 そこには、かつての冷酷な光はなかった。

 (倒壊… そうだ!前田さんを探してて…意識が飛んで……)

 ここがアルファだと気づいた。
 白色のタイルがその証拠。

 堺は質問をしたいと思ったが、何も考えれない。
 それよりも真希に対する憎悪や、殺意が込み上げてくる。

 (何もできない自分が悔しいっ……)
 堺は歯を噛みしめ、目をぎゅっと瞑る。

「う……あれ? ここは…」
 隣で斎藤が目を開ける。
 手を見つめ、ゆっくりと自分の体を確かめた。

「生きてる……」

「真希… それにサッカイくん。……僕を助けてくれたのは、真希、君かい?」

「そう、別に死んでもらって構わなかったけど、仕方なくね」
 真希の手に握られている。薪がパキッ!と割れる。

「君の兄を殺したってのに、不思議。殺さなくてよかったのかい?」

「偽物を殺しても意味ないでしょ?それに、さっきまで死にたくない死にたくないって、唸ってたくせに」

 斎藤は微かに口を開けたまま固まる。

「わたし、魔王軍やめたの、勝手にだけど。それで、ある人を生き返らせたいから、手伝ってくれない?」
 真希は焚き火を見つめていた。

「前田かい?」
 斎藤はニヤリと笑う。

「そう よ」

 その名を聞いた瞬間、堺の心臓が跳ねた。
「まっ、前田さん!がし、し死んだってことですか!?……アッ すみません……」
 言葉が喉で絡まり、震えた声になる。

「なんで生きてる人を生き返らせるの?」
 真希は冷静に突っ込んだ。

「…僕は手伝うよ。償ってやつだね」
 斎藤は自然に微笑む。

「そ、ならよかった。サッカイ?は どうする? 別に強制はしない」
 真希は少しだけ口元を緩め、堺に視線を移す。

 真希の表情には、もはや魔の影はなかった。
 温もりを宿した瞳が、まっすぐに堺を射抜く。

「僕は……」
 (何が何だかわかんねぇ、なんで魔人が前田さんを助けたいのかも、斎藤さんがいるのも訳わからない、、でもっ……」

 
 ――前田さんと出会って色々あった。
 ゴブリンに殺される羽目になって、学園では殺されかけた。
 アルファの拠点に行ったら死に戻りして、最初からになった。
 それで、何もない俺に魔道具とか渡してきてくれた。
 面倒見も良くて、でも少しスパルタ。
 一度は疑ったけど……救いたい。
 今までの恩返ししないと。
 そんで ちゃんと話したい。
 だから……

「僕も! 前田さんを 生き返らせたい!です……」
 堺は目を輝かせた。
 顔から迷いが消える。

 真希はわずがに目を細め、微笑む。
「そ、ありがと。 なら これに触れて」
 
 真希は転送石を取り出した。
 紫の光を放つそれは、渦を巻くように内部がうごめき、微かに熱を放つ。
 
「火の都に行くのかい?」
 斎藤が呟く。

 真希はうなずく。

「ひ、火のみやッ……ゴホッゴホッ!」
 堺は質問をしたかったが、これが限界だった。

 
 そして、三人の手が転送石に触れる。
 すると転送石が強烈な光を放った。
 焚き火の炎が吸い込まれるように伸び、三人を包み込む。
 堺は体からゴッソリ魔力が抜けたのを感じた。

 

 
 
 
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