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1 ここはどこ?私はだあれ?
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目を開けると、見知らぬ森に大の字で寝転んでいた。
そんな経験をしたことがある人が現代日本に何人いるだろう。
キャンプに来ていたのを忘れていた。あるかもしれない。
ドッキリで、友達に陥れられた。あるかもしれない。
夢遊病で気づいたら森にいたことが…。それは大至急病院に行きなさい。
そもそも私の記憶には、キャンプを計画した覚えはない。
それにこの森に生物の存在は感じられない。ただ木々の間から差し込む木漏れ日が神秘的なだけだ。もし、誰かのドッキリと言うなら、私はその気配の消し方を賞賛して今すぐ忍者になることを勧める。
それなら、夢遊病?
流石に、寝ている間に他県に渡るなんてことはないだろう。少なくとも私が住んでいる東京にこんなに自然豊かな場所はない。
「.......困った」
Q ここはどこ?
A 知らん
Q どうしてここに?
A 私が知りたい
駄目だ、解決策がまるで浮かばない。
痛むこめかみをほぐそうと、手を挙げた時、私は違和感を覚えた。
いやいやいや、なんでこんなとこにもみじ饅頭?誰かに広島土産もらったっけ?
グーパーグーパーと私の意思と共に動くもみじ饅頭。
まさかと思い、ガバリと起き上がる。
目線低っ!!
立ち上がり、目線をしたに落とす。
そこにあったのは断崖絶壁からのぽこんと飛び出たお腹。見事なほどの幼児体型だ。某会社のマヨネーズのCMに出られそう。ってそうじゃない!
急いで着ているワンピースのような白い布の中をのぞき込む。うん、女であることに変わりはないようだ。
そこはまあいい。だがな、私の胸返せぇぇぇぇえええええええ!!
おい、元からそれぐらいじゃね?とか言ったやつ。ちょっと表出ろや。私の拳が火吹くぞ。
「まさか、異世界とか.......?」
どこかの世界で死にかけの幼女の身体に私の魂投下っ!的な。どこのラノベだよ。
「.......水辺探そう」
何はともあれ、顔を確認しないことには何とも言えない。まあ、背中を覆うストレートの髪色を見た感じ私の容姿でない可能性大なんだが。地球での私は面倒くさいという理由から、基本的に黒髪のショートだった。だが、手に取った髪は綺麗なミルクティー色。思いっきり引っ張ったら毛根持っていかれそうになったから、私の頭についているので間違いないだろう。それと同時に夢でないことも確認できた。…夢であって欲しかったなぁ。
「さて、どの方向に進むか」
見渡す限り、緑、緑、緑、そして緑である。
私は、近くにあった木の枝を拾い、地面に軽く刺した。すると、枝はパタンと倒れる。
「こっちか」
そして私は枝が指し示す方へ歩き出した。
歩きながら頭の中を整理することにする。
まず、名前。
…
…
…あるぇ?名前が思い出せないぞ。
それ以外の私の生い立ちはバッチリと思い出せるのに、名前だけがすっぽりと頭の中から抜け落ちている。記憶の中の他者との会話でも、私の名前だけノイズがかかる。
まあ、いっか。いつか思い出すだろう。
とりあえず一つ一つ確認していこう。
私は、一般の家庭に生まれ、自然豊かな田舎町で育った。しかし、私が小学五年生の時に父が交通事故に巻き込まれ、他界。私の小学校卒業を機に、母の実家がある東京に引っ越した。母は女手一つで私を育て上げ、このご時世大学行かないとまともな職につけないわよ!と大学まで通わせてもらった。
そして、そのまま東京の中小企業に就職。
歳はアラサーに足を引っ掛けたくらい。
彼氏ナシ歴=年齢。
うん、最後の方は思い出さなくても良かったやつだ。私の心は深く傷ついた。
続いて森の中で目覚める前の記憶を思い起こす。
確か、いつもと変わらない朝、会社に向かうためにいつもと同じ道を歩いていた。
そしたら、後から男の人の悲鳴が聞こえて、何事かと振り向いたら、近所の高校の制服を着た男子生徒が腰まで地面に埋まっていた。
そして、突然その男子生徒を囲むようにして地面に穴が開き、彼はストンと落ちた。
私はその手を間一髪で掴んだ。しかし、たかが一介のアラサー女が中々に体格の良い青年を引き上げられるわけもなく、私共々穴の中に引きずり込まれた。
そこで私の記憶は終わっている。
これは、あれだ。
ラノベによくある勇者召喚に巻き込まれたやつだ。
いや、巻き込まれたというより私が巻き込まれに行った?
うん、自業自得だね。
「まじかー.......」
そうと分かれば、自分でなんとかするしかない。自分から巻き込まれに行ったのだ、勇者召喚を行った国の人に頼るわけにはいかないだろう。
勇者君(仮)がどうなったか気になるが、勇者なら悪いようには扱われまい。それ以前に自分が生き残ることを第一に考えねば。
幸い、東京に引っ越す前は毎日のように家の裏にあった山で遊んでいたため、山には慣れている。
悶々とこれからのことを考えていると、足の裏から伝わる地面の感触が変わった。ちなみに足は裸足である。
ふにゅ、と微妙に湿ったものを踏みつけたなんとも言えない気持ち悪い感触。
背筋がゾワッとしたが、地面が湿っているということは近くに水辺があるということである。私は弾丸の如く駆け出した。
「湖だ.......!!」
予想した通り、走って5分もかからずに湖に着いた。決して大きくはないけれど、光を反射してキラキラ光る水面は今まで見たどんな景色よりも綺麗に思えた。
湖の岸辺に腰を下ろし、そっと手を浸す。
冷たい水に、今の状況が現実であることを痛感させられる。
私は流れそうになった涙をぐっと堪え、誤魔化すように湖の水をすくって飲んだ。
「美味しい…」
喉が渇いていたせいか、喉を通る水が甘く感じた。
何度もすくっては飲み、心を落ち着かせる。
そして、水面に自分の姿を写して呆然とする。
「私じゃん.......」
そこにいたのは紛れもなく私自身だった。
そんな経験をしたことがある人が現代日本に何人いるだろう。
キャンプに来ていたのを忘れていた。あるかもしれない。
ドッキリで、友達に陥れられた。あるかもしれない。
夢遊病で気づいたら森にいたことが…。それは大至急病院に行きなさい。
そもそも私の記憶には、キャンプを計画した覚えはない。
それにこの森に生物の存在は感じられない。ただ木々の間から差し込む木漏れ日が神秘的なだけだ。もし、誰かのドッキリと言うなら、私はその気配の消し方を賞賛して今すぐ忍者になることを勧める。
それなら、夢遊病?
流石に、寝ている間に他県に渡るなんてことはないだろう。少なくとも私が住んでいる東京にこんなに自然豊かな場所はない。
「.......困った」
Q ここはどこ?
A 知らん
Q どうしてここに?
A 私が知りたい
駄目だ、解決策がまるで浮かばない。
痛むこめかみをほぐそうと、手を挙げた時、私は違和感を覚えた。
いやいやいや、なんでこんなとこにもみじ饅頭?誰かに広島土産もらったっけ?
グーパーグーパーと私の意思と共に動くもみじ饅頭。
まさかと思い、ガバリと起き上がる。
目線低っ!!
立ち上がり、目線をしたに落とす。
そこにあったのは断崖絶壁からのぽこんと飛び出たお腹。見事なほどの幼児体型だ。某会社のマヨネーズのCMに出られそう。ってそうじゃない!
急いで着ているワンピースのような白い布の中をのぞき込む。うん、女であることに変わりはないようだ。
そこはまあいい。だがな、私の胸返せぇぇぇぇえええええええ!!
おい、元からそれぐらいじゃね?とか言ったやつ。ちょっと表出ろや。私の拳が火吹くぞ。
「まさか、異世界とか.......?」
どこかの世界で死にかけの幼女の身体に私の魂投下っ!的な。どこのラノベだよ。
「.......水辺探そう」
何はともあれ、顔を確認しないことには何とも言えない。まあ、背中を覆うストレートの髪色を見た感じ私の容姿でない可能性大なんだが。地球での私は面倒くさいという理由から、基本的に黒髪のショートだった。だが、手に取った髪は綺麗なミルクティー色。思いっきり引っ張ったら毛根持っていかれそうになったから、私の頭についているので間違いないだろう。それと同時に夢でないことも確認できた。…夢であって欲しかったなぁ。
「さて、どの方向に進むか」
見渡す限り、緑、緑、緑、そして緑である。
私は、近くにあった木の枝を拾い、地面に軽く刺した。すると、枝はパタンと倒れる。
「こっちか」
そして私は枝が指し示す方へ歩き出した。
歩きながら頭の中を整理することにする。
まず、名前。
…
…
…あるぇ?名前が思い出せないぞ。
それ以外の私の生い立ちはバッチリと思い出せるのに、名前だけがすっぽりと頭の中から抜け落ちている。記憶の中の他者との会話でも、私の名前だけノイズがかかる。
まあ、いっか。いつか思い出すだろう。
とりあえず一つ一つ確認していこう。
私は、一般の家庭に生まれ、自然豊かな田舎町で育った。しかし、私が小学五年生の時に父が交通事故に巻き込まれ、他界。私の小学校卒業を機に、母の実家がある東京に引っ越した。母は女手一つで私を育て上げ、このご時世大学行かないとまともな職につけないわよ!と大学まで通わせてもらった。
そして、そのまま東京の中小企業に就職。
歳はアラサーに足を引っ掛けたくらい。
彼氏ナシ歴=年齢。
うん、最後の方は思い出さなくても良かったやつだ。私の心は深く傷ついた。
続いて森の中で目覚める前の記憶を思い起こす。
確か、いつもと変わらない朝、会社に向かうためにいつもと同じ道を歩いていた。
そしたら、後から男の人の悲鳴が聞こえて、何事かと振り向いたら、近所の高校の制服を着た男子生徒が腰まで地面に埋まっていた。
そして、突然その男子生徒を囲むようにして地面に穴が開き、彼はストンと落ちた。
私はその手を間一髪で掴んだ。しかし、たかが一介のアラサー女が中々に体格の良い青年を引き上げられるわけもなく、私共々穴の中に引きずり込まれた。
そこで私の記憶は終わっている。
これは、あれだ。
ラノベによくある勇者召喚に巻き込まれたやつだ。
いや、巻き込まれたというより私が巻き込まれに行った?
うん、自業自得だね。
「まじかー.......」
そうと分かれば、自分でなんとかするしかない。自分から巻き込まれに行ったのだ、勇者召喚を行った国の人に頼るわけにはいかないだろう。
勇者君(仮)がどうなったか気になるが、勇者なら悪いようには扱われまい。それ以前に自分が生き残ることを第一に考えねば。
幸い、東京に引っ越す前は毎日のように家の裏にあった山で遊んでいたため、山には慣れている。
悶々とこれからのことを考えていると、足の裏から伝わる地面の感触が変わった。ちなみに足は裸足である。
ふにゅ、と微妙に湿ったものを踏みつけたなんとも言えない気持ち悪い感触。
背筋がゾワッとしたが、地面が湿っているということは近くに水辺があるということである。私は弾丸の如く駆け出した。
「湖だ.......!!」
予想した通り、走って5分もかからずに湖に着いた。決して大きくはないけれど、光を反射してキラキラ光る水面は今まで見たどんな景色よりも綺麗に思えた。
湖の岸辺に腰を下ろし、そっと手を浸す。
冷たい水に、今の状況が現実であることを痛感させられる。
私は流れそうになった涙をぐっと堪え、誤魔化すように湖の水をすくって飲んだ。
「美味しい…」
喉が渇いていたせいか、喉を通る水が甘く感じた。
何度もすくっては飲み、心を落ち着かせる。
そして、水面に自分の姿を写して呆然とする。
「私じゃん.......」
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