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9 この世界の常識を学びましょ
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椅子に座って絵本を開く。
まだ難しい本は読めないけれど、絵本ならイラストがついているおかげで理解ができる。
案外子供向けの話に伝承の事実が書かれていたりするし、童心にかえったつもりで楽しんでいる。
今読んでいるのは『勇者と魔王』の話。
この世界の生物は3つに分類される。
人族、魔族、魔物だ。
魔物は体内に核を持つ、ファンタジーで討伐されることでお馴染みのあの魔物だ。
人族は普通の人間のこと。この世界には魔法があって、人間でも使えるそうだ。
最後に、魔族は、亜人族と言った方がわかりやすい。
人間の選民思想により、人間以外の人形を取れる生物を''自分より劣っている、人間ならざるもの''として、魔族と呼ぶようになったのが始まりらしい。
だから、この世界ではエルフもドワーフも魔族に分類される。
他にも、獣人族、鬼人族、龍人族、魔人族などなど。
そしてその魔族の頂点に立つのが魔王だ。
魔王は前魔王からの推薦かつ民衆からの投票で選ばれる、強さと賢さを兼ね備えた存在。だから、民衆からの信頼が厚く、下剋上はほとんど起こらない。
そこで出てくるのが''勇者''だ。
人間にとって魔族は敵で、魔王は倒さないといけない存在らしい。何でも、世の中の不条理は全て魔族のせいらしいよ。
倒さないといけないけれど、魔族の方が人間よりも色々な面で優秀なのは分かっているから、人間は異世界から勇者を召喚する。
異世界から渡って来た歴代の勇者は皆秀でた能力を持っていたからだ。
いや、人間馬鹿なの?死ぬの?が私の最初の感想だ。
だってさ、自分達が魔族の人たちを他の場所に追いやっといて、都合が悪くなったら彼らのせいにして倒すって。
いやあ、人間様は実に暇なようで。
そして、そんな暇人のせいで私はここにいると。
うわ、ちょっと勇者召喚を指示したお偉いさん殴りたくなってきた。
私がふつふつと怒りを沸かしていると、頭に衝撃が。
「キュッ!!」
「ふぎゅっ
……ハ~ク~ト~!!」
私は頭に突撃してきた弾丸をガシッと掴んだ。
「キュ、キュッ!?」
弾丸改めハクト。あの森の中で会った白いリス君だ。
何故かここまで着いてきた。
帰る気配がなく、名前がないのも可愛そうなので''ハクト''と名付けた。
由来は'' 白桃''です。白い毛皮にピンクの縦縞模様がイチゴミルクにしか見えなかったんだけど、アレシュさんに雄だと言われまして。白、ピンク。白、桃色。白桃。あ、白桃!
じゃあ、ハクトで!ってなったのですよ。
センスがない?余計なお世話だ。
「ハクトは、リヴ様が次の本に手をつける前に、読んでいる本が終わったらストップをかけるようグウェン様に頼まれたんですにゃ~。」
「コココ!」
ドアが開いて、入ってきたのは14歳ぐらいのメイドの格好をした女の子。首元で切りそろえられたおかっぱは白く、つり目がちな大きな瞳は琥珀色。
そして何より、白い猫耳と尻尾がついている。名前はコココ。猫獣人だ。
「お茶の準備が出来てますにゃー。
グウェン様もお待ちですにゃ。」
その後ろからひょこっと出てきたのは、コココとそっくりな顔立ちと全く同じ背丈の女の子。こっちの子は黒髪のおかっぱで同じく琥珀色の瞳だ。そして、黒い猫耳と尻尾。
名前はネネネ。
「ネネネー」
2人はグウェンさんに命を助けられた恩があるらしく、住み込みで働いている双子ちゃんだ。
私は近づいてきたネネネにぎゅむっと抱きついた。
抱き心地抜群!ピコピコ動く耳とユラユラ揺れる尻尾はもふもふでとても可愛らしい。
しかも二人とも超絶美少女だから、目の保養。ご馳走様です。
「リヴ様~?
早くしないとグウェン様におやつ全部食べられてしまいますにゃ~。」
「やー!」
「それじゃあ、行きますにゃー。」
コココに促され、ネネネに手を繋がれた。
「あぁ、ネネネだけずるいにゃ~!
リヴ様、その手に持っているネズズミを捨ててコココと手を繋いでくださいにゃ~!」
ネズズミとはネズミのことを指す。でもね、コココさん。ハクトはネズミじゃないよ?
「キューッ!」
ほらハクト怒っちゃったよ。
私は、ハクトを自分の頭の上に置いて、コココの手をとり、早く早くと急かす。
私はおやつが食べたいの!
二人と手を繋いで下に降りれば、既にデーブルの上にケーキと飲み物が入ったティーポットが置いてあった。
グウェンさんは一席に座って新聞を読んでいる。
彼は私たちに気づくと、顔を上げてふぉっふぉっふぉっ、と笑った。
「仲が良くてよろしい。
ほら、3人とも席に座りなされ。
おやつにしよう。」
「あいっ!」
「「はいですにゃ!!」」
私たちは各々席について、手を合わせた。
もきゅもきゅとクリームたっぷりのケーキを頬張る。
それをグウェンさんが微笑ましそうに見ているのに気づいて、途端に恥ずかしくなる。
私は恥ずかしさを誤魔化すように、グウェンさんに話しかけた。
「じいちゃはまじょく?」
「じいちゃんは人間じゃよ。
と言っても、魔族領で暮らしておるがのう。」
「なんで?」
「ふむ。
わかりやすく言うと、人間の汚い部分が嫌になったからかのう。」
あーそれわかります。
私も本読んで思いました。
「じいちゃはまおーしゃまにあったことありゅ?」
「ん?
会ったも何もリヴもその場におったじゃろう?」
「う?」
魔王様に私も会ったことあるの!?
「ほら、さっき会ったばかりじゃ。」
え?会ったばかりってまさか…
「……アーシュしゃん?」
「そうじゃよ?」
「ええええええええええええっ!!」
私の絶叫が室内に響いた。
どうやら、私魔王様に拾われたようです。
まじかよっ!!!よく生きてたな、私!!
まだ難しい本は読めないけれど、絵本ならイラストがついているおかげで理解ができる。
案外子供向けの話に伝承の事実が書かれていたりするし、童心にかえったつもりで楽しんでいる。
今読んでいるのは『勇者と魔王』の話。
この世界の生物は3つに分類される。
人族、魔族、魔物だ。
魔物は体内に核を持つ、ファンタジーで討伐されることでお馴染みのあの魔物だ。
人族は普通の人間のこと。この世界には魔法があって、人間でも使えるそうだ。
最後に、魔族は、亜人族と言った方がわかりやすい。
人間の選民思想により、人間以外の人形を取れる生物を''自分より劣っている、人間ならざるもの''として、魔族と呼ぶようになったのが始まりらしい。
だから、この世界ではエルフもドワーフも魔族に分類される。
他にも、獣人族、鬼人族、龍人族、魔人族などなど。
そしてその魔族の頂点に立つのが魔王だ。
魔王は前魔王からの推薦かつ民衆からの投票で選ばれる、強さと賢さを兼ね備えた存在。だから、民衆からの信頼が厚く、下剋上はほとんど起こらない。
そこで出てくるのが''勇者''だ。
人間にとって魔族は敵で、魔王は倒さないといけない存在らしい。何でも、世の中の不条理は全て魔族のせいらしいよ。
倒さないといけないけれど、魔族の方が人間よりも色々な面で優秀なのは分かっているから、人間は異世界から勇者を召喚する。
異世界から渡って来た歴代の勇者は皆秀でた能力を持っていたからだ。
いや、人間馬鹿なの?死ぬの?が私の最初の感想だ。
だってさ、自分達が魔族の人たちを他の場所に追いやっといて、都合が悪くなったら彼らのせいにして倒すって。
いやあ、人間様は実に暇なようで。
そして、そんな暇人のせいで私はここにいると。
うわ、ちょっと勇者召喚を指示したお偉いさん殴りたくなってきた。
私がふつふつと怒りを沸かしていると、頭に衝撃が。
「キュッ!!」
「ふぎゅっ
……ハ~ク~ト~!!」
私は頭に突撃してきた弾丸をガシッと掴んだ。
「キュ、キュッ!?」
弾丸改めハクト。あの森の中で会った白いリス君だ。
何故かここまで着いてきた。
帰る気配がなく、名前がないのも可愛そうなので''ハクト''と名付けた。
由来は'' 白桃''です。白い毛皮にピンクの縦縞模様がイチゴミルクにしか見えなかったんだけど、アレシュさんに雄だと言われまして。白、ピンク。白、桃色。白桃。あ、白桃!
じゃあ、ハクトで!ってなったのですよ。
センスがない?余計なお世話だ。
「ハクトは、リヴ様が次の本に手をつける前に、読んでいる本が終わったらストップをかけるようグウェン様に頼まれたんですにゃ~。」
「コココ!」
ドアが開いて、入ってきたのは14歳ぐらいのメイドの格好をした女の子。首元で切りそろえられたおかっぱは白く、つり目がちな大きな瞳は琥珀色。
そして何より、白い猫耳と尻尾がついている。名前はコココ。猫獣人だ。
「お茶の準備が出来てますにゃー。
グウェン様もお待ちですにゃ。」
その後ろからひょこっと出てきたのは、コココとそっくりな顔立ちと全く同じ背丈の女の子。こっちの子は黒髪のおかっぱで同じく琥珀色の瞳だ。そして、黒い猫耳と尻尾。
名前はネネネ。
「ネネネー」
2人はグウェンさんに命を助けられた恩があるらしく、住み込みで働いている双子ちゃんだ。
私は近づいてきたネネネにぎゅむっと抱きついた。
抱き心地抜群!ピコピコ動く耳とユラユラ揺れる尻尾はもふもふでとても可愛らしい。
しかも二人とも超絶美少女だから、目の保養。ご馳走様です。
「リヴ様~?
早くしないとグウェン様におやつ全部食べられてしまいますにゃ~。」
「やー!」
「それじゃあ、行きますにゃー。」
コココに促され、ネネネに手を繋がれた。
「あぁ、ネネネだけずるいにゃ~!
リヴ様、その手に持っているネズズミを捨ててコココと手を繋いでくださいにゃ~!」
ネズズミとはネズミのことを指す。でもね、コココさん。ハクトはネズミじゃないよ?
「キューッ!」
ほらハクト怒っちゃったよ。
私は、ハクトを自分の頭の上に置いて、コココの手をとり、早く早くと急かす。
私はおやつが食べたいの!
二人と手を繋いで下に降りれば、既にデーブルの上にケーキと飲み物が入ったティーポットが置いてあった。
グウェンさんは一席に座って新聞を読んでいる。
彼は私たちに気づくと、顔を上げてふぉっふぉっふぉっ、と笑った。
「仲が良くてよろしい。
ほら、3人とも席に座りなされ。
おやつにしよう。」
「あいっ!」
「「はいですにゃ!!」」
私たちは各々席について、手を合わせた。
もきゅもきゅとクリームたっぷりのケーキを頬張る。
それをグウェンさんが微笑ましそうに見ているのに気づいて、途端に恥ずかしくなる。
私は恥ずかしさを誤魔化すように、グウェンさんに話しかけた。
「じいちゃはまじょく?」
「じいちゃんは人間じゃよ。
と言っても、魔族領で暮らしておるがのう。」
「なんで?」
「ふむ。
わかりやすく言うと、人間の汚い部分が嫌になったからかのう。」
あーそれわかります。
私も本読んで思いました。
「じいちゃはまおーしゃまにあったことありゅ?」
「ん?
会ったも何もリヴもその場におったじゃろう?」
「う?」
魔王様に私も会ったことあるの!?
「ほら、さっき会ったばかりじゃ。」
え?会ったばかりってまさか…
「……アーシュしゃん?」
「そうじゃよ?」
「ええええええええええええっ!!」
私の絶叫が室内に響いた。
どうやら、私魔王様に拾われたようです。
まじかよっ!!!よく生きてたな、私!!
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