勇者召喚に巻き込まれた(?)私、魔族の元で華咲かす

斑鳩 鳰

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11 暫しの別れと新たな生活

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衝撃的なシーンで意識を飛ばしてから数週間、遂に私はグウェンさんの家から離れることになった。
思い返せば、色々なことがあった。
常識を勉強したり、双子ちゃんに説教したり、グウェンさんと一緒に薬を作ったり、双子ちゃんに説教したり、双子ちゃんに説教したり…。ほぼ、ネネネとコココに説教しかしてないな。
だって2人ともすぐでっかい魔物片手に持って振り回すんだもん、ハラハラしすぎて命がいくつあっても足りない。
言葉の方はだいぶ文になってきたけれど、未だラ行は言えず。トホホ。

「リヴ様~。お迎えですにゃ~。」

「はーい」

扉を閉める前にもう一度数ヶ月過ごした部屋を見回す。

「おしぇわになりました」

ペコリと部屋にお辞儀をして、下に降りる。
玄関では、アレシュさんとグウェンさんが話しており、ネネネとコココは荷物の最終確認をしている。
ハクト?
私の頭の上ですぴすぴ言ってるよ。

「リヴ」

二人の会話を邪魔しないように、双子の方を手伝おうとしたら、イケボで名前を呼ばれ、ひょいと抱えられた。

「アーシュしゃん」

「準備は出来たのか?」

「あい」

「そうか。いい子だ。」

最近アレシュさんがどんどん親馬鹿になってる気がする。
大したことしてないのに、いい子いい子と褒められる。そんなことしたらリヴちゃんダメ人間になっちゃうよ?良いの?

「リヴ、元気でやるんじゃぞ。」

「じいちゃー」

どうしよう、すごく泣きそう。グウェンさんと離れるとか寂し過ぎる。
私はアレシュさんに抱っこされた状態で、腕だけグウェンさんの方に伸ばす。

「そんな悲しそうな顔しなさんな。
なに、一生会えないわけじゃなかろう。」

そうだけどさあ。
アレシュさんに降ろしてもらい、グウェンさんに抱きつく。

「じいちゃ、今までおしぇわになりました。」

流石に大好きと言葉に出すのはアラサーには恥ずかしかったので、伝われと念じながらぎゅうぎゅう抱きつく。

「ふぉっふぉっふぉっ。
リヴの一大事には儂がいつでも駆けつけるからのう。
それじゃあ、アレシュ様。うちの孫をよろしくお願いします。」

「あぁ。
今まで世話になった。」

「じいちゃ、ばいばい。」

最後にもう一度だけ抱きついて、アレシュさんと手を繋いで外に出る。
いつの間に運んだのか、ネネネとコココが荷物を全部外に持ち出していた。
今回、双子は私についてくる。何でも、グウェンさんは少し人族の領土で調べたいことがあるらしく、魔族の2人は連れて行けないからと私と一緒に行くことになった。
知らない人だらけの場所で顔見知りが増えるのはありがたい。

「ネネネ、コココ、しっかりやるんじゃぞ。」

「はいですにゃー。」

「リヴ様のことはお任せ下さいにゃ~。」

「「グウェン様もお元気で!!」」

双子ちゃんもグウェンさんとの別れを済ませ、出発の準備が整った。
それにしても、人間の私が本当に魔王城で暮らしても良いのだろうか。
アレシュさんにも双子にも子供は貴重だから大切にされるだろう、的なことは言われたけれどやっぱり不安はある。
しかも、その時に双子は既に成人しているという衝撃の事実を知った。『合法ロリやん…』私の口から漏れた言葉はそれでした。いやあ、どれだけ口に出しても聞こえないって便利!でないと、周りに白い目を向けられること待ったなしだった。アレシュさんにそんな目向けられたら死んじゃう自信ある。

知らずのうちにアレシュさんの手を握る力を強めていたらしく、大きな手が頭に降ってきた。

「大丈夫。
俺が選んだ奴らだ、お前を傷つけるようなのは城にはいない。」

なんてかっこいい台詞。
私もアレシュさんみたいな上司に恵まれたかったな。ホイホイ外出するのは少し困るけど。

「アーシュしゃんもハクトもネネネもコココもいるから、へーきでしゅ」

「ふっ、そうだな。
それじゃあ行くか。」

どうやって?と疑問に思ったのもつかの間。私はアレシュさんに横抱きにされて、空を飛んでいた。

「ひょえええええええ」

「暴れると舌を噛むぞ。」

見上げれば端正なお顔が可笑しそうに少し笑っていた。

「ネネネたちは?」

アレシュさんの腕の中には私と頭に乗ったハクトしかいない。
それにしても君全く頭の上から落ちないよね。握力強すぎない?私が将来禿げたら君のせいだからね。それかアレシュさんが頭を撫ですぎたせい。

「後ろだ。」

くるりとアレシュさんが体ごと振り向けば、真っ黒なドラゴンに乗った双子と荷物の姿が。まさかと思い、アレシュさんの背中を確認すると背中から漆黒の翼が生えていた。目の前のドラゴンに似た、鳥とは違う大きな翼が。

「アーシュしゃん!」

「なんだ?」

「アーシュしゃんってりゅーじんにゃの?」

にゃのってなんだよ。私みたいなのが言っても可哀想な雰囲気しかでないっつーの。
私があざとい噛み方に嫌な顔をしているのを他所に、アレシュさんは微笑ましそうな顔をしていた。

「そうだ。
よく知っていたな。」

「えほんでよみまちた」

龍人の文字を見て私の中の厨二部分が感動したと言いますか、ドラゴンいるんだ!とその日は興奮して眠れなかった。まさかこんな近くに実物がいるとは。
キラキラした目をアレシュさんとドラゴンに向けていると、頭を撫でられた。なんでや。

「あれの近くに行ってみるか?」

「いいんでしゅか?」

「あぁ。」

ドラゴンに近づいて見て、その迫力に吃驚した。すごく大きい。私ぐらいだったら鼻の穴に入れそうだ。

「かっこいいっ!」

「ククルだ。仲良くしてやってくれ。」

「リヴ・フロルでしゅ!
よろちくね。」

ーふふふ、あなたが主様が言っていた子ね

『喋った!?』

ドラゴンが喋ったことに驚愕して、つい慣れ親しんだ日本語の方が口からとび出てしまった。

ーあら、あなたあたしの声が聞こえるの?

妖艶な女の人の声が頭の中に響く。
え、日本語が通じるの!?
グウェンさんや双子には、日本語を使っても、聞こえすらしなかったのに。

ー不思議ね。主様でさえあたしの言葉はわからないのよ。
リヴちゃんね、気に入ったわ!

驚きの事実に暫し固まっていると、余程嬉しいのかクルルがスリスリと鼻頭を私の首元に擦り付けた。
パクッと丸呑みされそうで少し怖かった。

「ククルが懐くとは珍しいな」

「ククリュは、アーシュさんのおともだち?」

「少し違うな。
龍人は、成人の義の一環としてドラゴンと契約する。それで俺が契約したのがククルだったんだ。」

へぇ、そうなんだ。通過儀礼がドラゴンと契約って何それ超かっこいい。
それから、私達もククルの上に乗って、たわいもない話をしながら城までの道中を進む。

「見えてきたぞ。」

アレシュさんの腕の中でうつらうつらしていると、声をかけられる。
身を乗り出して前方を見れば、かの有名な夢の国のシンボル的お城のような立派な建物があった。

「ふわああああ」

「あんまり乗り出すと落ちるぞ。」

ーその時はあたしが拾ってあげるから大丈夫よぅ。

ククルが拓けた場所に着地する。
異世界に渡って早数ヶ月。いよいよ、魔王城に登城します。



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