8 / 8
帰ってきてほしかった
しおりを挟む
結局、容疑者は死亡のまま事件は終わりを迎えた。セオは火傷後の薄く残るソウタの左手を持っていた。セオの拘束から逃げる時、ソウタが自分で切り取った手だ。見つけられるまでに失血で死ななかったのは「大丈夫」と暗示をかけ続けていたからだろう。
「……セオが、好きだと言ったのは本当のことなんだろうね。少なくとも『嫌い』ではなかった」
検査を受けた病院で、セオのことをヒナギから聞かされたソウタはぽつりと答える。さんざん痛めつけられたとはいえ、彼が死んで残ったのはつらさだけだった。
「セオにだって、何か別の道はあったはずなんだよ」
それは被害者が加害者に同情的になる心理だろうとヒナギは思う。長く共にいたことで理屈ではなく情を寄せてしまう。だから、ヒナギは反論しなかった。たとえそうだとして、ヒナギは彼を許す気はなかったけれど、ソウタの傷を深くしたくはなかった。
「そうかもしれない。でも、ソウタさんが悪いわけじゃない。それについて、あなたが責任を感じることはないんだ」
「うん。ねえ、俺は全部忘れたら【大丈夫】だって思ったんだ。元に戻れるって。だから……忘れた」
「……ああ」
ソウタはきっと「大丈夫」と自分に言い聞かせながら帰ってきたのだろう。そうして帰れば、何もなかったようにリツといられると思いたかったのだ。けれど、奇言は現実まで変えることはできない。
「捨てられたと思ったよ。でも、リツは痛いのに助けようとしてくれた」
「うん」
「それで、帰って来ないで欲しいって思ってたわけじゃないのかもなって、思った」
「オレたちは、あなたがいなくて良いって思ってたわけじゃない」
ヒナギが思わず声を荒げた。
「オレは……」
それから、何かを言おうとして、やめる。そして言い直した。嘘はつきたくない。
「ごめんなさい。少しだけ、チャンスが来たことに喜んだ。あなたが帰ってきて、リツに振られることを恐れていた」
そもそも毎週のようにリツの家に行ってたのは、リツを狙っていたからだろうと言われれば言い返せない。待てるだけ待ったのだというのはソウタからすればただの言い訳だろう。ソウタがいなくなって、一番得をしたのはヒナギだ。
「うん」
「それでも、帰ってきたら嬉しくて、セオに腹が立つんだ。だから……」
「うん、ありがとう。いっそ、ヒナくんが悪いヤツだったらよかったんだけどね」
ソウタがない手を右手で覆う。
「リツに忘れられたと思ったけど。俺は、セオのことを『好き』だと言ってしまったから、仕方ないんだ」
「……それはソウタさんのせいじゃない」
「うん。だから、俺が痛かったのに、リツとヒナくんが幸せでいたのがひどいと思えても、それは君たちのせいじゃない。……待つのはつらいよ。そうだろう?」
ゆっくりとソウタは瞬きをして、ヒナギを見上げた。誰が悪いわけでもないのだと。ヒナギだって、セオが一番悪いとわかっている。それでも、ソウタが痛い目に遭っているのに、リツが憔悴していたのに、自分だけが得をしたのはずるいような気がしてなんとも言えなかった。
「……ミツキくんは待ってたんだね」
「はい。ずっと待ってました」
「それを理由に好きだと思うのは、少し自分勝手かな」
「ミツキさんは、それでもいいと言うんだと思いますよ」
「そうか、ミツキはソウタさんのことが好きだったんだね」
聴取を終えたミツキにリツがつぶやく。「嘘」を封じられた上でそう言ったのだから、それはミツキの真実だ。そう考えると、ずっと待っていたのも怒ったのも腑に落ちる。ずっと前から、ミツキはソウタのことが好きだった。それこそ、ソウタがリツと一緒にいた時から。
「……ああ」
「ソウタさんには幸せになってほしい。ぼくにはできなかったから」
「だけど。おれが待ってたからって、それで好きだとなるわけではないよ」
セオがいくら好きだと言っても、したことはソウタを痛めつけるだけだったように。いくらソウタを待っていたからといって、好きになってくれというわけにはいかない。それはソウタが思って決めることだ。
「そうかな……ソウタさんも、ミツキのこと好きだと思うよ。だって……ミツキが来てから痛そうじゃなくなったから」
どういうことだという目を向けると、リツはすこし嬉しげに言った。
「セオの奇言で痛かったけど、あいつ、『好きな人といると痛くない』とも言ってたんだ。ぼくも、ヒナギくんが来てから痛みがやわらいだ。だから、きっと好きだよ。ミツキのこと、好きでいたいと思ってる。それは本当」
「傷は平気か?」
「うん、【大丈夫】だよ」
「奇言を使わないでください。本当に大丈夫かわからなくなる」
「ごめん」
へらっと笑ったソウタに、ミツキが厳しい目を向けた。ミツキの部屋で、二人が隣り合う。検査と聴取を終え、とりあえずミツキの家に帰ってきた。帰ってきた。ここはソウタの家ではないけれど、帰って来れてよかったと思う。ソウタは窓の外を見る。はっきりした形の雲がいくのをみながら、ミツキを見ずに聞いた。
「ミツキくんはさ、俺のこと好きなの?」
「……まあ、そうだ」
ソウタは目を伏せて、振り返らなかった。ミツキに背を向けたまま、青の濃い空を見上げていた。
「俺はリツが好きだったし、セオのことを好きだと言ってしまった。それで……誰かを好きって何なのか分からなくなった」
もっと早く出会えてたら何かが変わっただろうかとミツキは思った。それは違う、おれはリツの恋人としてソウタを好きになったのだから。そんな仮定は無意味だ。好きなのは今ここにいる彼その人でしかない。
「……ミツキくんは待ってたんだね」
「ああ。待ってたよ」
ソウタが振り返る。その目はすこし歪んでいるように見える。
「捨てないで。ずっと忘れないでいてくれるか?」
すぐには答えられなかった。それが果たされなかった時、どれだけ傷ついたか知っていたから。彼は「助けて」とは言わなかった。そう叫んでも無駄なことだとわかってしまったのだ。だからこそ、今はその手を取りたいと思う。
「……俺は、ずっとリツが待っていてくれるって信じてた。でも、違った。先のことなんてわからないよ」
「そうだな。でも、『今は』そう思ってると約束できる」
ソウタはよりひどく顔を歪めて、今にも泣きそうな声で告げる。
「ごめん、信じられない。でも……帰ってきたよ。帰って来れてよかった」
「帰ってきてくれてよかったと思うよ。生きていて、本当によかった」
「……うん。だから、嘘でもいいからミツキくんを愛したい。信じさせてほしい」
胸が締め付けられるような声ですがる。嘘でもいい、か。今のソウタは、好きだ、愛してると言っても簡単に信じられないのだろう。それもそうだと思う。ミツキだって将来のことはわからない、保証できない。絶対に大丈夫、おれを信じてほしいとは言えなかった。
「おれはソウタさんが好きだよ。だから、たとえ今はわからなくても、おれが本当のことにする。それならいいかな?」
そう答えれば、ソウタは目を細めて笑った。やっと心安らかになったように。
「……もう少し待って。俺から好きだと言えるまで」
「わあ、咲いてるなあ」
三ヶ月後、ひまわり畑にて。ミツキやヒナギより背の高いひまわりが、大きな花を咲かせている。見まわせど見回せど一面の黄金色。四人はその迷路のような道を、汗を拭きながらゆっくりと進んでいく。先に行ったリツとヒナギの背中を見ながら、こっそりとソウタがミツキに笑いかける。
「リツとヒナくんとも友達でいられてよかった」
「……そうか」
「いい人たちだからね」
「そうかもな」
リツとヒナギはソウタが帰ってきた祝いをしたいと言ってくれた。ソウタのほうも、リツとヒナギを祝いたいと言った。そうして、みんなでひまわり畑を見に行って泊まってこようという話になったのだ。
「ミツキさん、ソウタさん、こっちこっち!」
先に行ったヒナギが手を振る。その横にしゃがむリツの手には大きなデジカメ。それに気づいて振り返ったソウタがそっとミツキの腕をとり引き寄せる。ソウタより背の高いミツキがよろけてソウタにもたれかかってしまう。シャッター音。
「ほら、よく撮れたよ」
リツが駆け寄ってきてデジカメの画面を見せてきた。ソウタに腕を組まれ、慌てたミツキを、上から大きなひまわりが見下ろしていた。いい写真だと思う。ソウタの嬉しそうな表情が、ミツキの驚いたような期待するような表情がよく切り取られている。それを見ているとすこし恥ずかしくて、ミツキは心にもないことをうそぶく。
「おれの顔、こんな変なとこ撮って……」
それを聞いて、ソウタがくすぐられたようにおかしげに笑った。
「でも俺、この写真、気に入ったよ」
それから、こそっとミツキにささやいた。まだ好きとは言えないけれど、今言える本心を最大限に伝える。
「俺はミツキくんと一緒にいられるの、すごくありがたいなあって思うんだ」
(終)
「……セオが、好きだと言ったのは本当のことなんだろうね。少なくとも『嫌い』ではなかった」
検査を受けた病院で、セオのことをヒナギから聞かされたソウタはぽつりと答える。さんざん痛めつけられたとはいえ、彼が死んで残ったのはつらさだけだった。
「セオにだって、何か別の道はあったはずなんだよ」
それは被害者が加害者に同情的になる心理だろうとヒナギは思う。長く共にいたことで理屈ではなく情を寄せてしまう。だから、ヒナギは反論しなかった。たとえそうだとして、ヒナギは彼を許す気はなかったけれど、ソウタの傷を深くしたくはなかった。
「そうかもしれない。でも、ソウタさんが悪いわけじゃない。それについて、あなたが責任を感じることはないんだ」
「うん。ねえ、俺は全部忘れたら【大丈夫】だって思ったんだ。元に戻れるって。だから……忘れた」
「……ああ」
ソウタはきっと「大丈夫」と自分に言い聞かせながら帰ってきたのだろう。そうして帰れば、何もなかったようにリツといられると思いたかったのだ。けれど、奇言は現実まで変えることはできない。
「捨てられたと思ったよ。でも、リツは痛いのに助けようとしてくれた」
「うん」
「それで、帰って来ないで欲しいって思ってたわけじゃないのかもなって、思った」
「オレたちは、あなたがいなくて良いって思ってたわけじゃない」
ヒナギが思わず声を荒げた。
「オレは……」
それから、何かを言おうとして、やめる。そして言い直した。嘘はつきたくない。
「ごめんなさい。少しだけ、チャンスが来たことに喜んだ。あなたが帰ってきて、リツに振られることを恐れていた」
そもそも毎週のようにリツの家に行ってたのは、リツを狙っていたからだろうと言われれば言い返せない。待てるだけ待ったのだというのはソウタからすればただの言い訳だろう。ソウタがいなくなって、一番得をしたのはヒナギだ。
「うん」
「それでも、帰ってきたら嬉しくて、セオに腹が立つんだ。だから……」
「うん、ありがとう。いっそ、ヒナくんが悪いヤツだったらよかったんだけどね」
ソウタがない手を右手で覆う。
「リツに忘れられたと思ったけど。俺は、セオのことを『好き』だと言ってしまったから、仕方ないんだ」
「……それはソウタさんのせいじゃない」
「うん。だから、俺が痛かったのに、リツとヒナくんが幸せでいたのがひどいと思えても、それは君たちのせいじゃない。……待つのはつらいよ。そうだろう?」
ゆっくりとソウタは瞬きをして、ヒナギを見上げた。誰が悪いわけでもないのだと。ヒナギだって、セオが一番悪いとわかっている。それでも、ソウタが痛い目に遭っているのに、リツが憔悴していたのに、自分だけが得をしたのはずるいような気がしてなんとも言えなかった。
「……ミツキくんは待ってたんだね」
「はい。ずっと待ってました」
「それを理由に好きだと思うのは、少し自分勝手かな」
「ミツキさんは、それでもいいと言うんだと思いますよ」
「そうか、ミツキはソウタさんのことが好きだったんだね」
聴取を終えたミツキにリツがつぶやく。「嘘」を封じられた上でそう言ったのだから、それはミツキの真実だ。そう考えると、ずっと待っていたのも怒ったのも腑に落ちる。ずっと前から、ミツキはソウタのことが好きだった。それこそ、ソウタがリツと一緒にいた時から。
「……ああ」
「ソウタさんには幸せになってほしい。ぼくにはできなかったから」
「だけど。おれが待ってたからって、それで好きだとなるわけではないよ」
セオがいくら好きだと言っても、したことはソウタを痛めつけるだけだったように。いくらソウタを待っていたからといって、好きになってくれというわけにはいかない。それはソウタが思って決めることだ。
「そうかな……ソウタさんも、ミツキのこと好きだと思うよ。だって……ミツキが来てから痛そうじゃなくなったから」
どういうことだという目を向けると、リツはすこし嬉しげに言った。
「セオの奇言で痛かったけど、あいつ、『好きな人といると痛くない』とも言ってたんだ。ぼくも、ヒナギくんが来てから痛みがやわらいだ。だから、きっと好きだよ。ミツキのこと、好きでいたいと思ってる。それは本当」
「傷は平気か?」
「うん、【大丈夫】だよ」
「奇言を使わないでください。本当に大丈夫かわからなくなる」
「ごめん」
へらっと笑ったソウタに、ミツキが厳しい目を向けた。ミツキの部屋で、二人が隣り合う。検査と聴取を終え、とりあえずミツキの家に帰ってきた。帰ってきた。ここはソウタの家ではないけれど、帰って来れてよかったと思う。ソウタは窓の外を見る。はっきりした形の雲がいくのをみながら、ミツキを見ずに聞いた。
「ミツキくんはさ、俺のこと好きなの?」
「……まあ、そうだ」
ソウタは目を伏せて、振り返らなかった。ミツキに背を向けたまま、青の濃い空を見上げていた。
「俺はリツが好きだったし、セオのことを好きだと言ってしまった。それで……誰かを好きって何なのか分からなくなった」
もっと早く出会えてたら何かが変わっただろうかとミツキは思った。それは違う、おれはリツの恋人としてソウタを好きになったのだから。そんな仮定は無意味だ。好きなのは今ここにいる彼その人でしかない。
「……ミツキくんは待ってたんだね」
「ああ。待ってたよ」
ソウタが振り返る。その目はすこし歪んでいるように見える。
「捨てないで。ずっと忘れないでいてくれるか?」
すぐには答えられなかった。それが果たされなかった時、どれだけ傷ついたか知っていたから。彼は「助けて」とは言わなかった。そう叫んでも無駄なことだとわかってしまったのだ。だからこそ、今はその手を取りたいと思う。
「……俺は、ずっとリツが待っていてくれるって信じてた。でも、違った。先のことなんてわからないよ」
「そうだな。でも、『今は』そう思ってると約束できる」
ソウタはよりひどく顔を歪めて、今にも泣きそうな声で告げる。
「ごめん、信じられない。でも……帰ってきたよ。帰って来れてよかった」
「帰ってきてくれてよかったと思うよ。生きていて、本当によかった」
「……うん。だから、嘘でもいいからミツキくんを愛したい。信じさせてほしい」
胸が締め付けられるような声ですがる。嘘でもいい、か。今のソウタは、好きだ、愛してると言っても簡単に信じられないのだろう。それもそうだと思う。ミツキだって将来のことはわからない、保証できない。絶対に大丈夫、おれを信じてほしいとは言えなかった。
「おれはソウタさんが好きだよ。だから、たとえ今はわからなくても、おれが本当のことにする。それならいいかな?」
そう答えれば、ソウタは目を細めて笑った。やっと心安らかになったように。
「……もう少し待って。俺から好きだと言えるまで」
「わあ、咲いてるなあ」
三ヶ月後、ひまわり畑にて。ミツキやヒナギより背の高いひまわりが、大きな花を咲かせている。見まわせど見回せど一面の黄金色。四人はその迷路のような道を、汗を拭きながらゆっくりと進んでいく。先に行ったリツとヒナギの背中を見ながら、こっそりとソウタがミツキに笑いかける。
「リツとヒナくんとも友達でいられてよかった」
「……そうか」
「いい人たちだからね」
「そうかもな」
リツとヒナギはソウタが帰ってきた祝いをしたいと言ってくれた。ソウタのほうも、リツとヒナギを祝いたいと言った。そうして、みんなでひまわり畑を見に行って泊まってこようという話になったのだ。
「ミツキさん、ソウタさん、こっちこっち!」
先に行ったヒナギが手を振る。その横にしゃがむリツの手には大きなデジカメ。それに気づいて振り返ったソウタがそっとミツキの腕をとり引き寄せる。ソウタより背の高いミツキがよろけてソウタにもたれかかってしまう。シャッター音。
「ほら、よく撮れたよ」
リツが駆け寄ってきてデジカメの画面を見せてきた。ソウタに腕を組まれ、慌てたミツキを、上から大きなひまわりが見下ろしていた。いい写真だと思う。ソウタの嬉しそうな表情が、ミツキの驚いたような期待するような表情がよく切り取られている。それを見ているとすこし恥ずかしくて、ミツキは心にもないことをうそぶく。
「おれの顔、こんな変なとこ撮って……」
それを聞いて、ソウタがくすぐられたようにおかしげに笑った。
「でも俺、この写真、気に入ったよ」
それから、こそっとミツキにささやいた。まだ好きとは言えないけれど、今言える本心を最大限に伝える。
「俺はミツキくんと一緒にいられるの、すごくありがたいなあって思うんだ」
(終)
7
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*不定期連載です。
僕たち、結婚することになりました
リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった!
後輩はモテモテな25歳。
俺は37歳。
笑えるBL。ラブコメディ💛
fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
王太子殿下に触れた夜、月影のように想いは沈む
木風
BL
王太子殿下と共に過ごした、学園の日々。
その笑顔が眩しくて、遠くて、手を伸ばせば届くようで届かなかった。
燃えるような恋ではない。ただ、触れずに見つめ続けた冬の夜。
眠りに沈む殿下の唇が、誰かの名を呼ぶ。
それが妹の名だと知っても、離れられなかった。
「殿下が幸せなら、それでいい」
そう言い聞かせながらも、胸の奥で何かが静かに壊れていく。
赦されぬ恋を抱いたまま、彼は月影のように想いを沈めた。
※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」にて同時掲載しております。
表紙イラストは、雪乃さんに描いていただきました。
※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。
©︎月影 / 木風 雪乃
青龍将軍の新婚生活
蒼井あざらし
BL
犬猿の仲だった青辰国と涼白国は長年の争いに終止符を打ち、友好を結ぶこととなった。その友好の証として、それぞれの国を代表する二人の将軍――青龍将軍と白虎将軍の婚姻話が持ち上がる。
武勇名高い二人の将軍の婚姻は政略結婚であることが火を見るより明らかで、国民の誰もが「国境沿いで睨み合いをしていた将軍同士の結婚など上手くいくはずがない」と心の中では思っていた。
そんな国民たちの心配と期待を背負い、青辰の青龍将軍・星燐は家族に高らかに宣言し母国を旅立った。
「私は……良き伴侶となり幸せな家庭を築いて参ります!」
幼少期から伴侶となる人に尽くしたいという願望を持っていた星燐の願いは叶うのか。
中華風政略結婚ラブコメ。
※他のサイトにも投稿しています。
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
【8話完結】いじめられっ子だった僕が、覚醒したら騎士団長に求愛されました
キノア9g
BL
いじめられ続けた僕は、ある日突然、異世界に転移した。
けれど、勇者として歓迎されたのは、僕を苦しめてきた“あいつ”の方。僕は無能と決めつけられ、誰からも相手にされなかった。
そんな僕に手を差し伸べてくれたのは、冷酷と恐れられる騎士団長・ジグルドだった。
なのに、あいつの命令で、僕は彼に嘘の告白をしてしまう――「ジグルドさんのことが、好きなんです」
それが、すべての始まりだった。
あの日から彼は、僕だけをまっすぐ見つめてくる。
僕を守る手は、やさしく、強くて、どこまでも真剣だった。
だけど僕には、まだ知られていない“力”がある。
過去の傷も、偽りの言葉も超えて、彼の隣にいてもいいのだろうか。
これは、いじめられっ子の僕が“愛されること”を知っていく、嘘と覚醒の物語。
全8話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる