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第三巻 Éternité
第8話「ワンピースとバスローブ」③
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「音羽さん」
八神さんに声をかけられ、我に返る。
「涼しい場所に行きますか?長く見てると緊張しますよ」
うなずきながら、もう一度だけステージを見た。
ちょうどセナ君がセンターでターンを決めるところだった。
リハーサルなのに、歓声が聞こえた気がした……。
みんなが控室に戻り、着替えが終わったころ合いを見計らってノックの音とともに部屋に入ると、そこにいたのは……
やっぱり全員、バスローブ姿。
「……っ」
だから……なんでこの人たちはバスローブなの……!?
眩し過ぎて眩暈がしてしまい、しゃがみ込む。
「奏ちゃん、大丈夫?」
「怜央さん……いえ……その……みんなが格好良すぎて……」
「おまえなー。今でそれ言ってたら本番倒れんじゃねーの?」
「セナ君の“本番”って意味深だよね」
「レン……黙れよ……泣かすぞ」
……少しずつ、目が慣れてきたかも。
すると、ソファに座った遊里君が上目遣いで話しかけてくる。
「奏~。今日ってボクらと同じホテル泊まるんでしょ?」
その目線に、私はなんだかすごく弱い気がする……
「あ、うん……八神さんが気をつかって取ってくれてて……」
「じゃさ、じゃさ……」
ふふっと含み笑いを浮かべて、遊里君が続ける。
「日付が変わる頃、みんなで奏の誕生日パーティー、しよ?」
「え……?」
控室の皆を見ると、にこやかにうなずいてくれていた。
「でも……みんな明日も早いんじゃ……」
「そんなの気にしないで大丈夫だって」
「椿さん……」
まさか、そんなふうに考えてくれていたなんて。
「ありが……とう……ございます……なんか、もう、すでにすごいプレゼントもらった気がしちゃって……」
「うわーー!椿さん泣かしたらあかんやん!!」
「はぁ!!???……ツバキ……!!おまえ!」
「ちょ……落ち着けセナ……」
泣き笑いになってしまう私を見て、みんながあたふたしてくれてるのが、ちょっとだけ嬉しかった。
ライブ直前。
ドームの空気は、今にも火が灯りそうな熱を帯びていた。
バックステージのモニターには、次々に映し出される客席の光。
何万人もの観客が、息をのんで彼らの登場を待っている。
「……よし、行こう」
椿さんのそのひと声で、全員の空気が一変した。
ついさっきまでわちゃわちゃしていた彼らが、まるで別人のように真っ直ぐステージを見据えている。
「スターライトパレード、まもなく本番です」
スタッフの声とともに、音が、光が、世界を切り裂いた……。
1曲目が始まった瞬間、全身に鳥肌が立った。
「音に飲まれる」って、こういうことなんだ……
センターに立つセナ君。
その姿は、指先ひとつ、歩幅ひとつまで完璧で、まるで空気すら従えていくみたいだった。
そのすぐ後ろ、怜央さんが一瞬だけこちらを見た……気がした。
ステージ上の彼の目は、普段とはまるで違う。
静かな情熱と覚悟、そして……ほんの少しの切なさが滲んでいた。
椿さんの煽りに、客席が沸き上がる。
信さんのハモりが、楽曲に芯を通す。
蓮君は軽やかにステージを舞い、真央君のダンスが力強くアクセントを刻む。
遊里君のファンサひとつで、歓声が波のように広がった。
そして……
『shooting stars』のイントロが流れた。
その瞬間、心臓が跳ねた。
あの日の景色が、今、こんなにも壮大な世界で再現されてるなんて。
……この曲が、みんなの代表曲になったんだ。
涙が止まらなかった。
“誰一人として欠けていない”ステージ。
完璧なフォーメーション。
音と光が交差するなか、彼らは本当に……星のように煌めいていた。
アンコールのラスト曲が終わり、マイクを置いた彼らが深く頭を下げる。
「ありがとうございましたぁぁぁぁあ!!!」
どこまでも届く声だった。
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最後まで読んでいただきありがとうございました!
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第9話「ケーキとプレゼント」①は【明日朝】に更新予定です!
ぜひまた覗きに来てくださいね!
八神さんに声をかけられ、我に返る。
「涼しい場所に行きますか?長く見てると緊張しますよ」
うなずきながら、もう一度だけステージを見た。
ちょうどセナ君がセンターでターンを決めるところだった。
リハーサルなのに、歓声が聞こえた気がした……。
みんなが控室に戻り、着替えが終わったころ合いを見計らってノックの音とともに部屋に入ると、そこにいたのは……
やっぱり全員、バスローブ姿。
「……っ」
だから……なんでこの人たちはバスローブなの……!?
眩し過ぎて眩暈がしてしまい、しゃがみ込む。
「奏ちゃん、大丈夫?」
「怜央さん……いえ……その……みんなが格好良すぎて……」
「おまえなー。今でそれ言ってたら本番倒れんじゃねーの?」
「セナ君の“本番”って意味深だよね」
「レン……黙れよ……泣かすぞ」
……少しずつ、目が慣れてきたかも。
すると、ソファに座った遊里君が上目遣いで話しかけてくる。
「奏~。今日ってボクらと同じホテル泊まるんでしょ?」
その目線に、私はなんだかすごく弱い気がする……
「あ、うん……八神さんが気をつかって取ってくれてて……」
「じゃさ、じゃさ……」
ふふっと含み笑いを浮かべて、遊里君が続ける。
「日付が変わる頃、みんなで奏の誕生日パーティー、しよ?」
「え……?」
控室の皆を見ると、にこやかにうなずいてくれていた。
「でも……みんな明日も早いんじゃ……」
「そんなの気にしないで大丈夫だって」
「椿さん……」
まさか、そんなふうに考えてくれていたなんて。
「ありが……とう……ございます……なんか、もう、すでにすごいプレゼントもらった気がしちゃって……」
「うわーー!椿さん泣かしたらあかんやん!!」
「はぁ!!???……ツバキ……!!おまえ!」
「ちょ……落ち着けセナ……」
泣き笑いになってしまう私を見て、みんながあたふたしてくれてるのが、ちょっとだけ嬉しかった。
ライブ直前。
ドームの空気は、今にも火が灯りそうな熱を帯びていた。
バックステージのモニターには、次々に映し出される客席の光。
何万人もの観客が、息をのんで彼らの登場を待っている。
「……よし、行こう」
椿さんのそのひと声で、全員の空気が一変した。
ついさっきまでわちゃわちゃしていた彼らが、まるで別人のように真っ直ぐステージを見据えている。
「スターライトパレード、まもなく本番です」
スタッフの声とともに、音が、光が、世界を切り裂いた……。
1曲目が始まった瞬間、全身に鳥肌が立った。
「音に飲まれる」って、こういうことなんだ……
センターに立つセナ君。
その姿は、指先ひとつ、歩幅ひとつまで完璧で、まるで空気すら従えていくみたいだった。
そのすぐ後ろ、怜央さんが一瞬だけこちらを見た……気がした。
ステージ上の彼の目は、普段とはまるで違う。
静かな情熱と覚悟、そして……ほんの少しの切なさが滲んでいた。
椿さんの煽りに、客席が沸き上がる。
信さんのハモりが、楽曲に芯を通す。
蓮君は軽やかにステージを舞い、真央君のダンスが力強くアクセントを刻む。
遊里君のファンサひとつで、歓声が波のように広がった。
そして……
『shooting stars』のイントロが流れた。
その瞬間、心臓が跳ねた。
あの日の景色が、今、こんなにも壮大な世界で再現されてるなんて。
……この曲が、みんなの代表曲になったんだ。
涙が止まらなかった。
“誰一人として欠けていない”ステージ。
完璧なフォーメーション。
音と光が交差するなか、彼らは本当に……星のように煌めいていた。
アンコールのラスト曲が終わり、マイクを置いた彼らが深く頭を下げる。
「ありがとうございましたぁぁぁぁあ!!!」
どこまでも届く声だった。
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