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第二章 動き出す
仲間入り
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朝。
猫に鼻を咬まれた激痛で目が覚めた。
「笑うなよアウソさん」
「いやっ!ごめっ…ぶふっ」
「これで笑うなの方が無理な話しね」
鼻を押さえて悶えている所を悲鳴を聞き付けたアウソに発見され、笑いのツボに嵌まったらしく、ずっとお腹を押さえてはオレを見るたびに笑いのスイッチが入ている。
もうそのまま腹筋崩壊すればいい。
ちなみにキリコにも軽く鼻で笑われた。悲しかった。
(カリアさんにはまだ会っていないけど、多分笑われるんだろうな)
鼻を擦ると小さくへこんだ所がある。
血が出てないのがせめてもの救いか。
「お待たせいたしましたー!」
店員のお姉さんが三人分のお茶を置いて下がっていく。下がるときにチラリとこちらを見たので恐らく鼻の歯形に気付いたのだろう、小さく肩が震えていた。
穴があったら入りたい。
「………」
加害者の猫は知らん顔してフードの中に納まっている。おかしいな、ムカついて置いてきた筈なのにな。
「そういえばカリアさんは?」
不貞腐れながらお茶を啜っているとアウソがキリコへ質問をする。キリコはお茶と一緒に出てきた甘い豆をお箸で弄びながら視線を後ろへと流した。
視線を辿ってみると食堂の奥、髭の生えたおっさんが座るカウンターの前に居て、そのおっさんに何やら話し掛けていた。
その周りにもゴツい面子がちらほらあり、さながらウズルマでのギルドの様だった。
「ああ、なるほど」
同じくキリコの視線の先にいるカリアの姿を見付けてアウソが納得した様子で言い、キリコの弄ぶ豆を摘まむと口に放り込んだ。
「何がなるほどなんですか?」
質問をするとアウソは答える。
「ライハはギルド知ってる?」
「まぁ、一応」
「あの奥の、カリアさんがいる所がこの村のギルドで、ちょっとした依頼の交渉をしているんさ」
「あそこギルドだったんですか」
「ここは完全に宿と融合しちゃっているからねー、分からなくても仕方ないわよ」
豆を爪楊枝で焼き鳥のように刺していたキリコがそれを一気に頬張る。
「あそこの男性がここのギルドマスターで、個々に合った依頼を出しているの」
「へえー」
てっきり貼り出されている依頼を勝手にやるのかと思っていた。
何となくギルドを眺めていると目の前に大皿が二つ置かれた。
「パエーリャとアヒーショです」
「ありがとうございます」
一つは海鮮物の炊き込みご飯に、もう一つは海老とほうれん草の蒸したようなものだった。
そう言えば昨日の料理も魚が多いような気がしたけど、もしかしたら海が近いのか?
「あと、これどうぞ」
箸を手に取りかけた時に顔の前に小さな入れ物が出された。
「?」
思わず手に取り見上げると、店員のお姉さんが微笑み。
「暴れん坊のガトなんですね。この軟膏傷に効くので使ってください」
では、と店員のお姉さんがスキップ混じりに去っていった。なんか、吃驚しすぎてお礼言い忘れてしまった。
手の中にある小さな入れ物を見詰める。
貝殻を二枚合わせたような物で、開けると緑色のクリームが入っていた。
「うわぁ!ライハ良いもの貰ったなあ!」
「しかもあの子看板娘よ、良かったわねぇ」
ニヤニヤと二人が笑う。
確かにあの店員さんめっちゃ可愛かったな。
「ヨギモナの薬ね」
「うわっ!!」
突然後ろから顔を出したカリアに吃驚して危うく薬を落とすところだった。
本当にこの人心臓に悪い。いつ来たんだ。
「師匠もう良いの?」
「ん、一応仮だけど登録もしたし、いきなりきて寄越せはないと思うよ」
キリコの隣にカリアが座り、大皿に盛られたパエーリャとアヒーショを小皿に取っていく。
「おお!これで仲間入りさ!」
「なんの話ですか?」
ニヤリとカリアが笑う。
「お前をさっき私の弟子として登録してきた!」
「………はい?」
「今日からあんたは師匠の弟子、つまりアタシ等の仲間になったって事よ」
ドヤ顔のカリアの隣でキリコが海老を突き刺している爪楊枝をこちらと向けながら言う。
弟子?…弟子!?
「え!ちょっ、なんでいきなり…」
焦るオレにカリアはまあ落ち着けとお茶を出す。
「……」
出されたお茶を飲んで落ち着いたところでもう一度訊ねた。
「えーと、なんでオレいきなり弟子にされたんですか」
「理由知りたい?」
「当たり前ですよ」
カリアは深く腰を掛け腕を組んだ。
「まず第一にお前は身寄りの無い人物と周りに認識されていて、おまけにマクツの森で大怪我をして倒れていた。そしてその容姿ね、昨日お前は自分の事を何処にでもいるようなと言ったけど、この辺じゃあんまり見ないよ。それこそアシュレイ並にね」
そうなの?とアウソに目配せするとパエーリャを頬張りながら頷いた。
「んで、尾びれの付いた噂のせいでお前の事が鷲の爪に知られてしまっている。品定めするくらいには興味を持っているから、多分…いや、確実に“預り”のままだとお前が危ない。私が拾ったのに横取りされんのは気に入らないんよ」
「…あの、今更なんですが“預り”って何なんですか?」
恐る恐る小さく手を挙げる。
するとキリコが答えた。
「“預り”っていうのは、何かの事情に置いて身の安全を保護してやる事、その人の保護下にある、つまりあんたの存在を“預り”守っているっていう言葉なのよ」
「だけど“預り”だと所詮奴らには配達最中にある“荷物”と同じだからね。奪い取り、こちらの方が安全だから自分達の“預り”だと宣言されてしまえばお仕舞いよ。だけど“預り”ではなく、“弟子”と登録すれば話は別」
「別…」
「“弟子”は身内になるからね。“預り”とは違い、奪い取ればそれは完全な犯罪だから攻撃が許されるんよ。しかも登録すればギルドが身内証明してくれるから奴らは更に手が出しずらくなるってわけ」
「あいつ等は表向きは職業紹介組織だと名乗っているからね。身寄りの無い可哀想な人を保護し快適で素晴らしく適正に合った仕事を紹介いたします。とか、まじふざけた話だわ」
キリコが盛大に舌打ちをした。
(そう言えば、なんかキリコさんアシュレイ族とか言っていたような気がするけど、なんか相当嫌な事があったっぽいな)
でもこれで一応弟子にされた意味が分かった。しかし、ここでさらにある疑問が浮上した。
なんでこの人達オレにこんなに良くしてくれるんだろうか。
よくよく考えてみればこんなにも素性がしれない怪しいやつを保護し、手当てし、あまつさえ弟子にして身の安全を守るとか。
チラリと三人の様子を見るが、三人ともそれぞれ食事をし何も怪しいところは無いように見える。
もし、オレがこの人たちと同じ立場だったとして、森で大怪我をして倒れていた人をここまで助けてやれるだろうか。
「おーい、どうした黙り込んで。てかまだ何も食べてないじゃんか。お腹でも痛いば?」
「いえ、大丈夫です」
アウソの声に我に返ると急いで小皿に料理を盛って食べ始めた。ついでに店員が気を利かせてくれたのか更に一回り小さい猫用の皿にも食べれそうな物を盛り付けて机に置いてやると、フードから肩を伝って猫が下り臭いを嗅ぐと食べ始める。
考えるのは後にしよう。
そう思い、料理を一気に掻き込んだ。
猫に鼻を咬まれた激痛で目が覚めた。
「笑うなよアウソさん」
「いやっ!ごめっ…ぶふっ」
「これで笑うなの方が無理な話しね」
鼻を押さえて悶えている所を悲鳴を聞き付けたアウソに発見され、笑いのツボに嵌まったらしく、ずっとお腹を押さえてはオレを見るたびに笑いのスイッチが入ている。
もうそのまま腹筋崩壊すればいい。
ちなみにキリコにも軽く鼻で笑われた。悲しかった。
(カリアさんにはまだ会っていないけど、多分笑われるんだろうな)
鼻を擦ると小さくへこんだ所がある。
血が出てないのがせめてもの救いか。
「お待たせいたしましたー!」
店員のお姉さんが三人分のお茶を置いて下がっていく。下がるときにチラリとこちらを見たので恐らく鼻の歯形に気付いたのだろう、小さく肩が震えていた。
穴があったら入りたい。
「………」
加害者の猫は知らん顔してフードの中に納まっている。おかしいな、ムカついて置いてきた筈なのにな。
「そういえばカリアさんは?」
不貞腐れながらお茶を啜っているとアウソがキリコへ質問をする。キリコはお茶と一緒に出てきた甘い豆をお箸で弄びながら視線を後ろへと流した。
視線を辿ってみると食堂の奥、髭の生えたおっさんが座るカウンターの前に居て、そのおっさんに何やら話し掛けていた。
その周りにもゴツい面子がちらほらあり、さながらウズルマでのギルドの様だった。
「ああ、なるほど」
同じくキリコの視線の先にいるカリアの姿を見付けてアウソが納得した様子で言い、キリコの弄ぶ豆を摘まむと口に放り込んだ。
「何がなるほどなんですか?」
質問をするとアウソは答える。
「ライハはギルド知ってる?」
「まぁ、一応」
「あの奥の、カリアさんがいる所がこの村のギルドで、ちょっとした依頼の交渉をしているんさ」
「あそこギルドだったんですか」
「ここは完全に宿と融合しちゃっているからねー、分からなくても仕方ないわよ」
豆を爪楊枝で焼き鳥のように刺していたキリコがそれを一気に頬張る。
「あそこの男性がここのギルドマスターで、個々に合った依頼を出しているの」
「へえー」
てっきり貼り出されている依頼を勝手にやるのかと思っていた。
何となくギルドを眺めていると目の前に大皿が二つ置かれた。
「パエーリャとアヒーショです」
「ありがとうございます」
一つは海鮮物の炊き込みご飯に、もう一つは海老とほうれん草の蒸したようなものだった。
そう言えば昨日の料理も魚が多いような気がしたけど、もしかしたら海が近いのか?
「あと、これどうぞ」
箸を手に取りかけた時に顔の前に小さな入れ物が出された。
「?」
思わず手に取り見上げると、店員のお姉さんが微笑み。
「暴れん坊のガトなんですね。この軟膏傷に効くので使ってください」
では、と店員のお姉さんがスキップ混じりに去っていった。なんか、吃驚しすぎてお礼言い忘れてしまった。
手の中にある小さな入れ物を見詰める。
貝殻を二枚合わせたような物で、開けると緑色のクリームが入っていた。
「うわぁ!ライハ良いもの貰ったなあ!」
「しかもあの子看板娘よ、良かったわねぇ」
ニヤニヤと二人が笑う。
確かにあの店員さんめっちゃ可愛かったな。
「ヨギモナの薬ね」
「うわっ!!」
突然後ろから顔を出したカリアに吃驚して危うく薬を落とすところだった。
本当にこの人心臓に悪い。いつ来たんだ。
「師匠もう良いの?」
「ん、一応仮だけど登録もしたし、いきなりきて寄越せはないと思うよ」
キリコの隣にカリアが座り、大皿に盛られたパエーリャとアヒーショを小皿に取っていく。
「おお!これで仲間入りさ!」
「なんの話ですか?」
ニヤリとカリアが笑う。
「お前をさっき私の弟子として登録してきた!」
「………はい?」
「今日からあんたは師匠の弟子、つまりアタシ等の仲間になったって事よ」
ドヤ顔のカリアの隣でキリコが海老を突き刺している爪楊枝をこちらと向けながら言う。
弟子?…弟子!?
「え!ちょっ、なんでいきなり…」
焦るオレにカリアはまあ落ち着けとお茶を出す。
「……」
出されたお茶を飲んで落ち着いたところでもう一度訊ねた。
「えーと、なんでオレいきなり弟子にされたんですか」
「理由知りたい?」
「当たり前ですよ」
カリアは深く腰を掛け腕を組んだ。
「まず第一にお前は身寄りの無い人物と周りに認識されていて、おまけにマクツの森で大怪我をして倒れていた。そしてその容姿ね、昨日お前は自分の事を何処にでもいるようなと言ったけど、この辺じゃあんまり見ないよ。それこそアシュレイ並にね」
そうなの?とアウソに目配せするとパエーリャを頬張りながら頷いた。
「んで、尾びれの付いた噂のせいでお前の事が鷲の爪に知られてしまっている。品定めするくらいには興味を持っているから、多分…いや、確実に“預り”のままだとお前が危ない。私が拾ったのに横取りされんのは気に入らないんよ」
「…あの、今更なんですが“預り”って何なんですか?」
恐る恐る小さく手を挙げる。
するとキリコが答えた。
「“預り”っていうのは、何かの事情に置いて身の安全を保護してやる事、その人の保護下にある、つまりあんたの存在を“預り”守っているっていう言葉なのよ」
「だけど“預り”だと所詮奴らには配達最中にある“荷物”と同じだからね。奪い取り、こちらの方が安全だから自分達の“預り”だと宣言されてしまえばお仕舞いよ。だけど“預り”ではなく、“弟子”と登録すれば話は別」
「別…」
「“弟子”は身内になるからね。“預り”とは違い、奪い取ればそれは完全な犯罪だから攻撃が許されるんよ。しかも登録すればギルドが身内証明してくれるから奴らは更に手が出しずらくなるってわけ」
「あいつ等は表向きは職業紹介組織だと名乗っているからね。身寄りの無い可哀想な人を保護し快適で素晴らしく適正に合った仕事を紹介いたします。とか、まじふざけた話だわ」
キリコが盛大に舌打ちをした。
(そう言えば、なんかキリコさんアシュレイ族とか言っていたような気がするけど、なんか相当嫌な事があったっぽいな)
でもこれで一応弟子にされた意味が分かった。しかし、ここでさらにある疑問が浮上した。
なんでこの人達オレにこんなに良くしてくれるんだろうか。
よくよく考えてみればこんなにも素性がしれない怪しいやつを保護し、手当てし、あまつさえ弟子にして身の安全を守るとか。
チラリと三人の様子を見るが、三人ともそれぞれ食事をし何も怪しいところは無いように見える。
もし、オレがこの人たちと同じ立場だったとして、森で大怪我をして倒れていた人をここまで助けてやれるだろうか。
「おーい、どうした黙り込んで。てかまだ何も食べてないじゃんか。お腹でも痛いば?」
「いえ、大丈夫です」
アウソの声に我に返ると急いで小皿に料理を盛って食べ始めた。ついでに店員が気を利かせてくれたのか更に一回り小さい猫用の皿にも食べれそうな物を盛り付けて机に置いてやると、フードから肩を伝って猫が下り臭いを嗅ぐと食べ始める。
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