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十回目
第1話 目覚め
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あの夢を見たのは、これで9回目だった。
唐突に、ハッと目が覚めた。
ここはどこだ。
教室? 体育館? 歩道橋? 路地裏?
息を殺し、気配を探る。
見回したそこが見慣れた俺の部屋のベッドの中だと気付いたのは、数秒掛かってからだった。
次第に強張った体から力が抜けていくと、ようやく呼吸をすることができる。
充電コードにささったままのスマホを手繰り寄せると、今日の日付と時刻を確認する。
時刻は午前の五時四十五分。日付は十二月九日。
――これで、繰り返しの九日が始まり十回目。
ああ、俺はまた抜け出せなかった。どうしよう、どうしたらいい。もう俺にはこの世界を抜け出す方法がわからない。
一回目と二回目は、教室で首を絞められ殺された。
三回目は、逃げようとして階段から足を滑らせて首を捻って死んだ。
四回目は、隠れていた体育館で腹を刺されて殺された。
五回目は、凍ったプールの氷の脆い場所に突き落とされて、溺れ死んだ。
六回目は、歩道橋の上から車道に突き飛ばされ、轢き殺されて死んだ。
七回目は、暗く湿った路地裏であいつに嬲り殺された。
八回目は、あいつを殺したが、俺も首を掻き切って死んだ。
九回目は、それでも駄目なら、とあいつの前で屋上から落ちて死んでやったのに。
出来る限りの方法は全て試した。
それでも、気が付くとそれらは全部夢だったことになり、十二月九日の朝に戻される。
この世界からどうしても抜け出せない。
もう、十回目だ。
これ以上死にたくない。痛みを感じるのは嫌だ。
気管を圧迫されて窒息するのも、骨を折るのも、嬲られるのも、自殺するのも――。
しかし、それでも俺はこの一日を殺されるためだけに生きていかなければばらない。
眠気も、昨日落ちて全身を打った痛みも、何も感じないこの体が怖い。
何をしても絶対俺が死ぬこの世界から抜け出せないことが怖い。
どれだけあいつの手から逃れようと、まるで見えない何かが味方をしているかのように俺は死ぬ。
ぐるぐると回る思考を振り払うように、俺は頭を数回振ると、布団を抜け出した。
両親はまだ眠っているようだ。
まだ暗い室内で、俺は電気もつけずにポットで湯を沸かす。
飲めもしないコーヒーを淹れ、柄にもなく新聞を開いた。
湯気の立ち上るブラックコーヒーを一気に流し込むと、その苦味にむせそうになる。
しかし、胃へと熱いものが落ちていく感覚はなぜか心地よかった。
そうこうしているうちに、母親が起きてきた。
「あら、早いのね」
俺には視線を向けずに言う。
そう、この人にとって俺はどうでもいい存在なのだ。
その事実に気づいた頃は色々と悩んだものだが、今となってはそんなことで悩んでなどいられない。
早くこの一日から抜け出す方法を見つけなければ。
唐突に、ハッと目が覚めた。
ここはどこだ。
教室? 体育館? 歩道橋? 路地裏?
息を殺し、気配を探る。
見回したそこが見慣れた俺の部屋のベッドの中だと気付いたのは、数秒掛かってからだった。
次第に強張った体から力が抜けていくと、ようやく呼吸をすることができる。
充電コードにささったままのスマホを手繰り寄せると、今日の日付と時刻を確認する。
時刻は午前の五時四十五分。日付は十二月九日。
――これで、繰り返しの九日が始まり十回目。
ああ、俺はまた抜け出せなかった。どうしよう、どうしたらいい。もう俺にはこの世界を抜け出す方法がわからない。
一回目と二回目は、教室で首を絞められ殺された。
三回目は、逃げようとして階段から足を滑らせて首を捻って死んだ。
四回目は、隠れていた体育館で腹を刺されて殺された。
五回目は、凍ったプールの氷の脆い場所に突き落とされて、溺れ死んだ。
六回目は、歩道橋の上から車道に突き飛ばされ、轢き殺されて死んだ。
七回目は、暗く湿った路地裏であいつに嬲り殺された。
八回目は、あいつを殺したが、俺も首を掻き切って死んだ。
九回目は、それでも駄目なら、とあいつの前で屋上から落ちて死んでやったのに。
出来る限りの方法は全て試した。
それでも、気が付くとそれらは全部夢だったことになり、十二月九日の朝に戻される。
この世界からどうしても抜け出せない。
もう、十回目だ。
これ以上死にたくない。痛みを感じるのは嫌だ。
気管を圧迫されて窒息するのも、骨を折るのも、嬲られるのも、自殺するのも――。
しかし、それでも俺はこの一日を殺されるためだけに生きていかなければばらない。
眠気も、昨日落ちて全身を打った痛みも、何も感じないこの体が怖い。
何をしても絶対俺が死ぬこの世界から抜け出せないことが怖い。
どれだけあいつの手から逃れようと、まるで見えない何かが味方をしているかのように俺は死ぬ。
ぐるぐると回る思考を振り払うように、俺は頭を数回振ると、布団を抜け出した。
両親はまだ眠っているようだ。
まだ暗い室内で、俺は電気もつけずにポットで湯を沸かす。
飲めもしないコーヒーを淹れ、柄にもなく新聞を開いた。
湯気の立ち上るブラックコーヒーを一気に流し込むと、その苦味にむせそうになる。
しかし、胃へと熱いものが落ちていく感覚はなぜか心地よかった。
そうこうしているうちに、母親が起きてきた。
「あら、早いのね」
俺には視線を向けずに言う。
そう、この人にとって俺はどうでもいい存在なのだ。
その事実に気づいた頃は色々と悩んだものだが、今となってはそんなことで悩んでなどいられない。
早くこの一日から抜け出す方法を見つけなければ。
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